マナツ「ねーねー、マキナのししょーってどんな人なのー?」
マキナ「頭突きが得意な剣術家だよー」
リアン「剣使ってないじゃない」
ディンガ「師匠は頭の硬さでも有名でね」
リアン「意味が違うんじゃにゃい?それ」
「ねーねー、マキナのおししょーさんのおウチってまだー?」
「もう少しだよー」
依頼を受理し、マグノリアを旅立ったマキナたちは彼の師であるサクラ・ティプロンの道場に向かう為に山道を歩いていた。一向に目的地に辿り着かないことに対し、無邪気に問うマナツにけらけらと笑うマキナは優しく答えを返す
「そう言って二時間近くは歩いてんじゃねーか!!元はと言えば、テメーと絶壁に大喰らいが列車に乗りたくねーとか言うから歩きになってんだぞ!?」
「つべこべ言わずに歩けかな、バカ猿」
「誰が絶壁だコラァ!!」
「なんだ?ケンカか?」
「あわわ…ダメですよ!?みなさん!」
睨み合うスコルとマキナ、吠えるマナツにケンカを好むセイラン、それを止めようとするウェンディ。チームワーク的には最悪と言うべきチームだ
「にしても、よくもまぁ迷わずに進めるもんだね。スズランって言ったかい?アンタ」
先導するように先頭を歩くサザンカに近付き、彼女が迷わずに山道を進むことにアマノが関心を示す
「そりゃあ、この山はわたしの育った場所ですので。あと、サザンカです」
そして、サザンカはまだまだ小柄な体で胸を張り、ドヤ顔で自分が育った場所故に道に迷わないと語る。なんとも、その姿は実に微笑ましい光景だ
「つーか、マキナの
最もな疑問、マキナの魔法であれば、マーキングしてある場所に一瞬で移動可能であるにも関わらず、彼は其れをしようとしない。それが理解出来ないレティは首を傾げる
「マーキングが出来るんなら、してるよー。この山はね、ししょーが
「サクラさまは基本的に山にこもっていて、外出も少ない方なのです。因みにお使いは弟子であるわたしの仕事です!」
「近くの街に降りるまでは二時間は掛かるよ」
「二時間もかかるお使いとか聞いたことないねぇ…」
「そこまでやんなら、普通に山降りろし」
「それにしても、見たことない植物がたくさんあるよねー。図鑑にも載ってないよ?これとか」
真っ当な意見を放つアマノとレティ。その後ろを歩いていたマナツは愛読している図鑑を片手に周りの植物を見ており、其処には今までに見たことない植物が原生していたが故に興味津々な様子だ
「ししょーの趣味かな。植物を愛でる心は人を見る目を養うって言ってたよー」
「へー!そうなんだ!マキナのししょーはすごいんだね!」
植物が多い理由をマキナが語ると、マナツは未だ見ぬ彼の師に期待を膨らませ、両眼をキラキラと輝かせる。なんとも、愛らしくも可憐な姿である
「これなんか雪国の植物だ、ホントに珍しいねぇ」
「これに至っては口とかあんだけど…マジで植物なワケ?」
知らない植物に興味を持ったのは、なにもマナツだけではなかった。植物関連の魔法を使うアマノは勿論ながら、初めて見る知らない植物にレティも関心を示す
「近付くと頭からガブっといかれて、首無しになってしまうよ?気をつけたまえ」
「発想が鬼エグいんだけど…」
「食べられちゃうんですか…!?わたしたち…」
「赤猫はなんで冷静なのよ」
「そういう性格だからよ」
冷静に植物の解説をするディンガ、レティが引いている隣ではウェンディが驚きと恐怖故に震えていた。そして、余りにも冷静なディンガを前にシャルルが突っ込むと、リアンがこれまた冷静に答えを返す
「ほーん、ワケわかんねーんだな。お前らの師匠って……おん?なんだか暗ェな」
理解しているかも疑わしく適当に相槌を打つスコル。その頭に口のある植物が噛みついているのだが、本人は電気が消えた程度にしか思っていないようだ
「言ってる側から食べられてるよ!?アンタ!!」
「いやぁぁ!!スコルくーーーん!!」
「あっひゃっひゃっ!!なんだってそんなおんもしれぇことになってんだよ!」
気付いたアマノが声を挙げれば、ウェンディの悲鳴が響き渡り、更にはセイランの独特な笑い声も木霊する。しかし、当の本人であるスコルは頭を噛む植物を確認するように手で触れる
「……………よーし…いい子だ、そのままゆっくりと話せよ?……俺を食ってんじゃねぇ!!!」
一瞬の沈黙の後、頭を噛んでいた植物をゆっくりと引き離し、優しい態度は一変し、怒りのアッパーカットを決まる
「よし……先に進むか。おん?なんだ、止まってる暇ねぇぞ?おめぇら」
「「誰のせいだと思ってんだ!!バカ猿!!」」
「ぐもっ!?」
何故、自分以外の者たちが足を止めているかを理解していないスコルの発言に物理という名の突っ込みが放たれ、彼は木に激突した
「あっ!見えてきましたよ!」
「よーやくかな」
「全員が五体満足で着けたようでなによりだ」
騒いでいる間にも歩みを止めていなかったマキナたちは目の前に姿を見せた一軒の古い建物を前に安堵したかのように息を吐く
「スコルくんが息してないんですけど…!?」
「それは放置でいーよ。ディンガ、肉」
しかし、木に激突したスコルは白目を剥いており、息すらしていないとウェンディが主張。それに対するマキナは相棒に肉を出すように要求する
「これはどうだろうか?今朝のから揚げで使用した鶏肉」
「うん」
「朝にから揚げ食べたの!?マキナくん!?」
今朝のから揚げの残りの鶏肉を取り出したディンガに頷くマキナ、その会話を聞いていたウェンディは朝から揚げ物を食べたことに驚きを示す
「まぁ、そこはマキだから。気にするだけ無駄よ」
「そうだよー、ウーちゃん。基本的にマキナは朝から晩まで食べてるから何を食べてようとおかしくないよ」
「一日何食食べてんのよ……アンタは…」
マキナの胃袋事情を把握していないウェンディは軽い戸惑い状態となっている為、代わりにシャルルが引き気味に問う
「十五食かな」
「普通だろ、そんくれーは」
「セイラン、なんでもテメーの物差しで測るんじゃないよ。ウェンディが戸惑ってるじゃないかい」
マキナの一日十五食理論に同意するセイラン。それにアマノが呆れ気味に突っ込みを放つ、彼女はこのメンバー内に於ける突っ込み役となってしまったようだ
「くんくん……にく〜〜〜!!どこだ!肉は!」
「鶏肉だけど構わないかい?」
「おおよ!」
気絶から復活したスコルはディンガに手渡された鶏肉に齧り付き、先程までの状態がなんだったんだ?と言わんばかりに元気に騒ぎ出す
「ねっ?だから言ったでしょ」
「スコルくん……時々ちょっと心配になるよ……」
「仕方ないよースコルはバカだもん!もぐもぐ…」
スコルに回復力の速さにウェンディがため息を吐き、彼の身を案じていると野草を拾い食いしたマナツが口を動かしながら彼を罵倒してみせる
「マナ。ばっちいから拾い食いはしちゃダメよ、またお腹壊すわよ」
「ああ〜!アタシのごはんがぁ〜!」
そして、それを見た
「取り敢えずは中に入って、ししょーの痕跡を探すかな。なんか手掛かりがあるはずだよー」
如何なる時もけらけらと笑っている姿がデフォルトである白衣の少年は扉に触れ、何食わぬ顔で中に入っていく
「手掛かりかどうかは分かりませんけど、サクラさまの書斎に兄弟子宛の手紙がありました!」
「うん、それは完全に手掛かりだよね」
僅かに頭の弱い妹弟子に突っ込みを放ちつつ、サクラの書斎に足を向ける。マナツたちには何処に何があるかは微塵も分からないが、マキナにとっては育った場所であるが故に構造は勝手知っている。迷わずに辿り着いた部屋の前には東洋の島国に代表的な花であり師の名と同じ〝桜〟が描かれている
「わぁー!キレーなお花ー!なになになぁに〜?これ!」
花に関係する魔法を使うが故に、誰よりも桜に興味津々なマナツはキラキラとした瞳でマキナに問う
「〝桜〟だよ、マグノリア公園にあるでしょー」
「う〜ん……あっ!あのおっきいヤツだ!」
マグノリアの中心にある公園には街の象徴である大きな木が聳え立っている。それは一年に一度、虹のように幻想的な花を咲かせる奇跡の桜、マナツも何度か見たことがある故に直ぐに思い出した
「あったよ、博士。師匠の筆跡に間違いない」
説明をしている間に中に入っていたディンガが机の上に置かれていた一枚の手紙をマキナに手渡す。宛名書きには確かに彼の名が記載されており、彼宛であることは間違いなかった
「なになに……『拝啓、我が一番弟子にして我が子のマキナ。貴方がこの手紙を読んでいるとしたら、私の身に何かが起きて、
「師匠らしい簡潔な手紙だね…」
手紙を読み終えたマキナは要件すら書かれていないことに不満を漏らし、それを聞いていたディンガも苦笑する
「だけど、手紙からは二つのことが読み解けたよ。ししょーが考えそうな謎解きだ」
「「「謎解きって?なになになぁにぃ〜?」」」
手紙から読み解かれた謎、その謎は何を意味するのか?そして、マキナは師匠と再会出来るのか……
マキナの賑やかさに元気をもらえたら、お気に入り登録お願いしまーす。コラボとかも気軽にメッセージ飛ばしてくれたら、反応しまーす