天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……ししょーの家に辿り着き、自分宛の手紙に記された謎の文章を読むことになったかな」

ディンガ「師匠はこういうのが好きなことでも有名でね」

マナツ「へー!ものしりなんだね!マキナとおんなじだー」

マキナ「それほどでもあるかな」

リアン「マキったら、謙遜が謙遜にもにゃってないわよ」


第九十話 天才くん、育ての親に挑戦状を叩きつけられる

「「「謎解きって?なになになぁにぃ〜?」」」

 

頭のゴーグルに触れ、意味深に笑うマキナの発言が気になったマナツたちが声を揃え、決まり文句で問いを投げかける

 

「手紙にあるでしょ?花の匂いを辿りなさいってヒントが」

 

「うんうん!あるねー!」

 

「匂いって何の花だよ?」

 

「スコルの言う通りだ、この家の周りは花だらけだ。何の匂いを辿るってんだい」

 

手紙を手にヒントを口にするマキナ。しかし、スコルとアマノの意見は実に的を射ていた、匂いを辿るにしても、道場の周りには様々な植物が原生しているが故に何の花を示しているのかを絞りきれない、それでも尚、マキナの表情には一切の曇りは見えない

 

「ボクの話を聞いてたー?手紙から読み解ける謎は二つ(・・)あるって言ったかな」

 

「二つ?何処に書いてんだ?裏か?裏だろ」

 

「封筒の方じゃねーか?」

 

「「ぐもっ!?」」

 

マキナが更なる推理を語ろうとするのを素っ頓狂な発想で妨害するも、その腹部に蔓の鞭が捉え、二人は物言わぬ屍と成り果てた

 

「バカ二人は黙ってな。マキナ、続けてもらえるかい?」

 

「あいあい。ポイントはさっきも言ったけど、ヒントの花の匂いを辿りなさいってヤツだよ。でもそれだけじゃ何の花かは分からない」

 

「うんうん」

 

「でも二つってことは手紙にヒントがあるワケじゃん?何処にあるし」

 

「見当たらないけど………あっ!」

 

ヒントの他に存在する読み解くべき謎。手紙を前に疑問符を浮かべるレティの隣で同じように手紙を見ていたウェンディが何かに気付いたらしく、声を挙げた

 

「どしたのー?ウーちゃん」

 

「あっ、急に大きな声出しちゃってごめんね?マナちゃん。実はね、わたし、マキナくんが言ってるもう一つの謎?に気付いちゃった」

 

声を挙げた理由が分からないマナツはきょとんとした表情でウェンディに問いを投げかけた。すると、彼女は大声を出したことを謝罪した後にマキナの言うもう一つの謎に気付いたことを明かす

 

「えー!?すごーい!教えてー!ウーちゃん!」

 

「う、うん。あのね…花の匂いを辿りなさいって言うのをふまえて、手紙を読むと手紙の中に花の名前があることに気付いたの」

 

「あん?何処にだよ」

 

キラキラと瞳を輝かせたマナツはウェンディの推理に興味がある様子だが、何も理解していない様子のスコルは首を傾げる

 

「バカはバカらしく黙りなさい、バカオス」

 

「誰がバカだ!!筋肉つけろや!筋肉!」

 

「ぷいっ」

 

「ケンカはダメだってば!」

 

恒例と化したスコルとシャルルの歪み合い。それを止めるウェンディに引き継ぐ形で、マキナはレティの手から手紙を取り上げる

 

「花の匂いが示す花はししょーの名前の〝()〟だ。そして、この道場には全部で13の部屋があって、それぞれに〝菊〟、〝椿〟、〝蘭〟、〝梅〟、〝柊〟、〝菫〟、〝藤〟、〝杏〟、〝桃〟、〝萩〟、〝蓮〟、〝松〟と花の名前が付けられている……そして、十三個目の部屋に当たるこの部屋に付けられた名前は〝()〟。そして、匂いを辿るって言うのはこの部屋に飾られた〝桜の木の枝〟がある本棚の方向を意味する」

 

読み解いた謎を固く結ばれた結び目を紐解くかの如く語る姿は推理小説に出て来る探偵。何処からか吹き抜ける隙間風が白衣を揺らし、真っ直ぐと読み解いた謎が示す本棚に歩み寄る

 

「次はなぁにー?マキナ」

 

「隙間風は此処からか……となると……本はこの辺りになるワケか。それで…桜の学名は……確か……ケラサスだから……あった、これだ」

 

問い掛けるマナツの声も耳に入らない程に謎解きに夢中なマキナは本棚に収められた無数の蔵書から、桜に関係しているであろう本を引き抜こうとする

 

「な、なんだぁ!?」

 

「地震か!?」

 

「鬼揺れてんだけど…!」

 

「うみゅ?ねぇ!アレ見て!アレ…!!」

 

突如、地響きにも似た揺れがマキナたちを襲い、立っているのも楽ではない状況下で何かの異変に気付いたマナツが声を挙げる。その声に誘導されるかの如く、一斉に視線は彼女が指差く方向に向いた

 

「やっぱりねー、そうだと思ってたかな」

 

「兄弟子!アレなんですか!?部屋が割れました…!」

 

狙い通りと言わんばかりにけらけらと笑うマキナに反し、状況を呑み込めないサザンカが割れた床(・・・・)を指差し、目を白黒させる

 

保護魔法(プロテクト)に術式を組み合わせたししょーの仕掛け魔法だよ。桜の学名はケラサス、それに関連する本に特定の人物が触れると仕掛けが動くようにししょーが術式を施しておいたんだ。その特定の人物とは誰か……此処で二つ目の謎解きだ。この手紙は誰に宛てられたものだった?」

 

「えーっと……マキナ!」

 

驚きながらも顔を近づけるサザンカを手で押し退け、床が割れた理由を語る。そして、二つ目の謎を提示すると、簡単な答えゆえにマナツが即答した

 

「そう、これはボク宛の手紙。つまり、特定の人物はボクを意味する。それを踏まえて、文章を読んでいくと…ボクに対する挑戦状という解釈が出来る」

 

「挑戦状…?なんで、おししょーさんがマキナに挑戦なんかするのー?」

 

手紙を挑戦状であると告げたマキナに対し、理解出来ないマナツは疑問符を浮かべ、首を傾げていた。それもその筈、弟子と師の間柄であるにも関わらず、挑戦状を送るというのは実に不可解だ

 

「いえ、マナツさん。サクラさまなら、やりそうではあります」

 

しかし、それは同門であるサザンカも理解していたらしく、マナツの疑問に簡潔な答えを告げた

 

「弟子に挑戦状叩きつけるとかどーいう師匠だし…」

 

「マキナの師匠なだけはあるねぇ」

 

「どーいう意味かな」

 

それでも理解出来ないのが女子の心理。そして、何よりも常人には理解不可能な天才的な頭脳を持ったマキナを育てた師、直接の会合は果たしていないが、彼と似通った部分があることは火を見るよりも明らかだ

 

「お?なんか匂うぜ?この下から」

 

「あん?言われてみりゃあ……なんだぁ?この匂い」

 

割れた床下から微かに漂う匂い、それに気付いたセイランにつられるようにスコルも匂いに気付いたが、理解出来ずに首を傾げる

 

「くんくん…なんだろー?行ってみよー!」

 

「あっ!コラ!待ちにゃさい!マナ!」

 

「博士。僕たちも」

 

「うん」

 

そして、いの一番に床下に飛び込んだマナツを追随するようにリアン、ディンガ、マキナが飛び込む。その後を追い、スコルたちも中に飛び込んだ

 

「……なんだろー?金属の匂い?う〜ん…」

 

「金属?そんなのどこにあるワケ?鬼真っ暗で見えねーんだけど」

 

金属の匂いだというマナツに対し、レティは暗闇に支配された空間に目が慣れない為に悪態にも似た文句を口にしている

 

「わたしも匂うよ、レティちゃん。スコルくんが首から提げてるのとおんなじ匂いがする」

 

「首って……まさか…コイツか?」

 

マナツ同様に鼻が良いウェンディは匂いに近しいモノがスコルの首から提げられた三種類のドックタグであることに気付くも、当の本人は首を傾げている

 

「なぜ、スコルさんのネックレス?なんでしょうか…不思議です」

 

不思議(ワンダー)だからこそ、解明する価値がある……それがロマンだよ」

 

不思議なことは解明せずにいられない、魔科学者としての本能が謎を解けとマキナの心を揺さぶる

 

「マロン?栗?」

 

「はいはい、マナは黙ってましょうね」

 

「うみゅ?」

 

そして、ロマンを如何のように聞き間違えたかは不明だがマナツが首を傾げていると、思案の邪魔をさせないようにとリアンが取り出した野菜スティックを彼女の口に咥えさせる

 

「ん?なんだい、これは」

 

刹那、壁伝いに探り探りで歩いていたアマノが前方に現れた見えない壁のような物に気付き、足を止めた

 

「こいつぁ…扉だな。しかも三つもあんぜ」

 

近付いたセイランが壁の正体が三つの扉であると説明すると、マキナの手が頭のゴーグルに触れ、意味深な笑みが浮かぶ

 

「次の謎かな。三つの扉に金属の匂い……こいつはなかなかどうして……すっごく不思議(ワンダー)な匂いだ」

 

 




次から次へとマキナたちの前に謎が…!謎が謎を呼ぶとは正にこのこと?

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