天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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この作品のコンセプトは賑やかな雰囲気と時にシリアスな雰囲気を混ぜ合わせたギャグ系シリアスコメディです(コメディ:9 シリアス:1)

書いてたら、楽しくなって長くなったのでエバルー編はまだまだ続く!!


第十話 天才くん、暴れる

「ルーシィさん!マナツ!我々に乗ってください!」

 

「追手という名のモグラが来やがる。さっさとしろ」

 

「デウスにエクス!?アンタ等がどうして!」

 

本を片手に迫り来る大量のメイドとは名ばかりの醜女集団から逃げていたルーシィ、マナツの背後からデウスとエクスが姿を見せた。マキナの側にいる筈の二体の登場にルーシィは驚愕する

 

「博士なら一人で大丈夫です。というか、博士は一人で戦った方が強いんです(・・・・・)

 

「へ?だって、物質移動(アポーツ)しか使えないからアンタたちを発明したんじゃないの?自分でも戦う力はないかなーとか言ってたし」

 

デウスの発言にルーシィは耳を疑う。確かに彼は自分に戦う為の力は皆無だと口にしていた、だからこその発明だと思っていたのに現に彼が手にする武器となり得る筈のデウスとエクスは現在、自分たちを乗せ、屋敷内を駆けているのだ。これで違和感を感じるなという方が無理な話だ

 

「バーカ。発明が俺たちだけとは一度も博士は言ってねぇだろ」

 

「ルーシィは知らないだろうけど、マキナの発明の中でデウスとエクスは製造順で言うとNo.000なの。とどのつまり、発明品はまだ沢山あったりするんだよ」

 

「そうなのね。あれ?でもアイツ、何処にそんな発明品を持ってるの?明らかに手ぶらで来てたわよ?」

 

「分かってませんね」

 

「だな」

 

「ホントにね」

 

エクス、マナツからの指摘を受けた後に納得したルーシィであったがマキナの姿を思い浮かべた途端にまたしても違和感を感じる。然し、二体と一人は呆れた様にため息を吐く

 

「「「だからこその物質移動(アポーツ)なんだよ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「面白い事を言ってくれるな?少年よ。其方の火の魔導士ならまだしも、貴様の様な子どもに負ける我々ではない」

 

「兄ちゃん!先ずはこの生意気な小僧からやってやろうぜ!」

 

「言わずもがなだ。貴様の料理は後だ、火の魔導士」

 

フライパン男基兄とバンダナ男基弟はマキナの発言に先ずは彼を標的と定め、ナツを後回しにしようとする

 

「へんっ!マキナだけに任せておけるかぁ!黒焦げにしてやるよ!二人纏めてな!」

 

然し、ナツが其れを良しとする筈が無く、彼は兄に飛び掛かる。だがナツの拳が届く事はなかった。何故?其れは兄のフライパンが拳を受け止めていたからだ

 

「所詮は火の魔導士。我がフライパンの前には翅をもがれた妖精に過ぎん」

 

「流石は兄ちゃん!次はお前だ!」

 

次に動きを見せたのは弟。床を蹴り、跳躍した彼は動きを見せないマキナに接近戦を仕掛ける為に白衣を掴み、動きを封じると顔面に蹴りを放つ

 

物質移動(アポーツ)!!………かな!?ちょっ!ナツ!邪魔だよ!」

 

瞬間的に対象と入れ替わる様に魔法で居場所を変えるマキナ。然し、その先にはフライパンで殴打されたナツがおり、巻き込まれる様に共に壁をぶち破り、部屋の外まで吹き飛ばされる

 

「マキナ!お前!少しは考えてから動けよっ!!」

 

「ナツに言われたくないかな!?というか!フライパンおじさんにやられてるくせに偉そうにしないでほしいかな!」

 

「うるせぇ!かなかな言いやがって!!天才ならなんとかしろ!」

 

「兄ちゃん!此奴等、喧嘩してるよ!絶対に舐めてるよっ!」

 

敵を前に緊張感の欠片もない喧嘩を始めるマキナとナツ。その姿に弟は兄に呼び掛けた

 

「なんとも見苦しい。時に貴様等は魔導士の弱点を知っているか?」

 

「乗り物に弱いことか!?」

 

「其れはナツとマナツだけかな。昔から魔導士の弱点は空腹と決まってるよ、腹が減っては何とやらと言うかな」

 

「其れも明らかに個人的な事であろう。弱点其れ即ち…肉体だ!!」

 

兄からの問いに的外れな解答を返すナツとマキナ、其れに対する兄の答えは明らかな力が全てと言わんばかりの論理。二階から飛び降り、下の二人に狙いを定める

 

「肉体だぁ!?」

 

「其れは単なる結果論に過ぎないかな」

 

「そうは言うがな?少年よ。魔法とは、精神力を鍛錬せねば身に付かぬもの」

 

「結果、魔法を得るには肉体の鍛錬は不足する」

 

魔導士の弱点?というないの結果論を語るバニッシュブラザーズ。然し、ナツは放たれる攻撃を素早く躱し、マキナも科学者と名乗る割には身軽な動きで辺りを逃げ回る

 

「ほう、少しは鍛えているらしいな。特にそこの少年は歳の割に何とも軽やかな動きだ」

 

「お褒めに預かり光栄かな…でもまぁ出来たら、動き回るのは遠慮したいってのが本音かな」

 

「ならば一撃で沈めるまでだ」

 

「アレをやるんだな!兄ちゃん!いくぜっ!!」

 

刹那、弟がフライパンに飛び乗り、何かの体勢に入る。明らかに異質な体勢にマキナの瞳が鋭くなった

 

「「『天地消滅殺法』!!」」

 

その声と共にフライパンから放たれた弟は空高くに飛び上がった

 

「投げたっ!?ナツ!」

 

「ああ!俺が上をやる!マキナはフライパンを!」

 

「天を向いたら地にいる!」

 

上に気を取られながらも連携を取ろうとするマキナとナツ。然し、僅かな隙に兄がフライパン片手に迫り来る

 

物質魔法(アポートマジック)!!発明No.009!爆裂魔水晶(ボムラクリマ)!!」

 

(な、なんだ…この爆発は!)

 

何処からともなく連鎖的に発生する爆発。その先には少年が爆風に白衣を靡かせながら、佇んでいた

 

「聞こえなかったかな。アンタの相手はボクだって、最初に言ったよね?それとも…連携無しではボクに勝てないかな」

 

「小癪な…だがこちらを見ていて良いのか?」

 

呆れた眼差しを向けるマキナに対し、兄は問いを投げかけるが彼の表情が変わる事はない

 

「天を向いたら地にいる!!」

 

「うるせぇ」

 

何故なら、彼には心強い兄貴分がいる。天から降る弟に拳を叩き込むと彼もまた呆れた眼差しを向けた

 

「対人特化に関する知識は豊富みたいだけど、其れを扱うだけの実戦経験が足りてないかな。正直言って、ボクにダメージを与えられない時点で傭兵も大したことないかなぁ〜」

 

「全くだ………次はこっちの番だ」

 

「見せてやるかな。天才の実力を」

 

ナツが大きく息を吸い、マキナは頭のゴーグルに触れる

 

「火竜の咆哮!!」

 

物質魔法(アポートマジック)!!発明No.007!斬撃手刀(スラッシュナイフ)!!」

 

火のブレス、真空波を纏う斬撃、二位一体。重なり合う二つの技はバニッシュブラザーズに牙を向く

 

「来た!火の魔法!」

 

「斬撃で砕ける我がフライパンではない。其れに火は我が前に意味無し!!火の玉料理(フレイム・クッキング)!」

 

フライパンに炎は呑み込まれ、威力を増加させた後に相手に弾き返すとバニッシュブラザーズは思っていた

 

「……かな」

 

然し、其れは目の前に立つ白衣の少年を見るまではの話だ

 

「「ん……な、なにー!?」」

 

彼の意味深な笑みに視線を巡らせれば、其処にある筈のフライパンが無かった(・・・・)

 

「何故だ!?私のフライパンは何処に消えた!!」

 

「ああ、邪魔だったから退場してもらったよ?なにせ、ボクは物質移動(アポーツ)しか使えないからねー」

 

「はぁ!?何を言ってんだ!お前!さっき爆発とか斬撃とか色々な魔法使ってただろ!!」

 

消えたフライパンを探す兄、其れにマキナがけらけらと笑えば、弟が彼の言葉に意義を申し立てる

 

「かな?アレは魔法じゃないよー………科学(・・)

 

「「…………は?」」

 

またしても意味深に笑う彼にバニッシュブラザーズは素っ頓狂な声を挙げる

 

「例えば爆風を巻き起こしたのは爆破系魔法を科学的な観点で解明し、火を起こす魔水晶(ラクリマ)に金属とかの可燃物を混ぜ合わせて作った即席の爆弾。其れから斬撃を生み出したのは超振動する刃が音速の速さで放たれる事で何でも切れる即席の刃。此れを再現出来てしまう……頭脳が我ながら恐ろしいかな。でも出来るのがボクかな……何故かって?天才だからに決まってるかなー!」

 

科学的に解析した魔法又は現象を起こす発明品を物質移動(アポーツ)で呼び出す。正に魔法と科学の融合、其れ即ち魔科学である

 

「マキナ!合わせろよ?」

 

「むぅ…誰に言ってるかな。ナツがボクに合わせるんだよ」

 

にやっと笑うナツにぷくっと頬を膨らませるマキナ。二人は未知との遭遇を体験するバニッシュブラザーズに走り出す

 

「火竜の翼撃!!」

 

物質魔法(アポートマジック)!!発明No.015!電磁砲(コイルガン)!!」

 

火を纏った両腕が、指先から放たれた電磁波を纏う弾丸がバニッシュブラザーズが迫る。彼等は叫び声を挙げる間も無く、床と壁に減り込む

 

「妖精というよりも悪魔だ………」

 

「ママぁ……俺はもうダメだぁ…」

 

「失敬だな…ボクは何処からどう見ても天才かな。あと良くは知らないけど、おじさんたちのママよりもボクのネエちゃんの方が綺麗かな」

 

「いやマナツの方が可愛い」

 

「聞き捨てならないかな!今日こそはきっちりと分からせてやるかな!」

 

「上等だ!というか!マナツと仲良い癖にそこだけ譲らねぇのが気に入らん!!」

 

「ケースバイケースを知らないかな!?」

 

先程までの息のあったコンビネーションは何だった?と言いたくなる様な低レベルな口論を繰り広げる二人の魔導士、彼等を見ながらバニッシュブラザーズは思った

 

((こんなヤツらに負けたのかよ………納得いかねェェェェ!!!))

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ………ルーシィに手出しはさせないよ……モグラ!!」

 

一方、地下室に逃げ込んだ本盗難メンバーは窮地に陥っていた。謎を読み解いたルーシィをエバルーが脅迫し、其れに気付いたマナツが戦闘に名乗りを挙げたが彼女はナツの様な力強さも、マキナの様な頭脳も、持ち合わせていないサポート役である為に苦戦を強いられていた

 

「調子に乗るなよ!?小娘が!本は吾輩の物じゃあ!吾輩がケム・ザレオンに書かせたのじゃからな!本の秘密だって吾輩のものなのじゃ!」

 

「アタシは本とか読まないし、買わない……でもマキナが言ってた…本は人の思いを書き込んだ言葉の魔法の集大成だって……そんなことも理解出来ないヤツに読ませる本なんか一冊もないんだからっ!!」

 

「マナツ!」

 

「ルーシィは其れを絶対にメロンさんに渡して……此奴はアタシがぶっ飛ばす」

 

本を読まない也に本を冒涜するエバルーに怒りを見せるマナツ。ルーシィは彼女に呼び掛けるが、その瞳は魔導士と呼ぶに相応しいまでに闘志を宿していた

 

「ぶっ飛ばす?小娘、其れは死にたいという意味だな!?」

 

ぎりっと奥歯を噛み締め、前方のマナツに瞳を見据えるが彼女はにかっと笑う

 

まさか……アンタを此処で叩き潰すって意味だよ!!モグラオヤジ!!

 

彼女から返ってきたのは予想もしていなかった反応。此処にマナツ・ドラグニルのアバレが始まる

 

「咲かすよ」

 




エバルーと戦うのはまさかのマナツ!果たして……彼女の実力は!

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