天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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今日はヒロインちゃんに頑張ってもらいやしょう!そして遂に次回は!!


第十一話 花竜ちゃん、頑張る

「咲かすよ」

 

そう言い放つ少女は翡翠色の尻尾(ポニーテール)を揺らし、眼前で血管が切れそうな音を響かせるエバルーを見据えている

 

「ねぇ、デウスにエクス。マナツって強いの?」

 

ハコベ山の時にマナツの魔法が滅竜魔法である事は理解したが、彼女の根本的な強さを知らないルーシィはデウスとエクスに問う

 

「マナツですか?あー……そこ聞いちゃいます?」

 

「マナツはなぁ……俺たちが言うのもなんだがなぁ……」

 

苦笑を浮かべ煮え切らない態度を取っていたが、顔を見合わせた後に頷き合うと二体は口を開いた

 

「「すんげぇ弱い」」

 

「えぇぇぇぇ!?弱いの!?……ちなみにどのくらい?」

 

「鍵を無くしたルーシィさんくらいですかね」

 

「つまりは役立たずだ」

 

「そこっ!聞こえてるからねっ!!後で覚えておきなよっ!!」

 

驚くルーシィを前に彼女の弱さを語るデウスとエクス。自分を引き合いに出されたコトに表情を顰めるルーシィであったが、彼女よりも前にマナツがお叱りの声を飛ばす

 

「貴様の相手は我輩だろうが!小娘!」

 

「うるさいよっ!モグラオヤジ!!というかアタシに触んなっ!ばっちい!!」

 

「マナににゃにやってんのよっ!!モグラヤロー!!」

 

「あいさーっ!!」

 

「おごっ!?なんなのだ!この猫どもは!」

 

無視されたことに腹を立てたエバルーが腕を掴むとマナツは喚き始め、彼を振り払おうとする。その時だった、翼を生やしたリアン、ハッピーがエバルーの腕に蹴りを叩き込む

 

「リアン!其れにハッピー!」

 

「マナ!大丈夫!?怪我してない?ちょっと擦りむいてるじゃないの!デウスにエクス!あとルーシィ!アンタたちがいたのにどういうことよっ!!」

 

「「「め、面目ない………」」」

 

着地に成功したリアンが睨みを効かせ、叱りつけると名を呼ばれた二体と一人は申し訳なさそうに頭を下げる

 

「リアンは心配性だなぁ……大丈夫だよ!このくらいなら、後でマキナに薬をもらえば、直ぐに治るよ!」

 

「それはそうかもしれないけど……マナは本来、戦いには向いてないのよ?何かあったら……」

 

「ぶくぶく………ふぃんふぁいふぇふ」

 

当の本人は何時も通りに花が咲いた様に笑うが、相棒であるリアンは気が気でならない。着地に失敗したハッピーも下水に身を任せながらも心配している

 

「兎に角!形勢逆転だよ!花竜の咆哮!!」

 

口から放たれた花の息吹はエバルーを目掛け、飛んでいくが彼は嘲笑うかの様にほくそ笑む

 

「ふんっ!言葉を知らん小娘が!形勢逆転とは勢力の優劣状態が逆転することだ。猫が2匹増えたところで吾輩の魔法土潜(ダイバー)の前ではその程度の魔法なんぞ柔風に過ぎんわ!」

 

「柔風ェ?確かにね、アニキのに比べると勢いはないけど……目眩しには丁度いいんだよ?これは!!花竜の舞踊脚!!」

 

エバルーは魔法土潜(ダイバー)を使用し、目がけ、地面から攻撃を繰り返す戦法を取るのを得意とするがマナツの前では無力に等しい。其れは何故か?彼女の息吹は同じナツの息吹には火力としては劣るが目眩しとしての役割は効果充分。其処に持ち前の身体能力で肉薄した彼女は美しく舞う様に次々と花弁を纏う蹴りを叩き込む

 

「マナがおしてる…!」

 

「あい!マナツの蹴りは痛いんだよ……」

 

「アンタも巻き添えにされてたんかいっ!!マナツ!そいつは最低ヤローよっ!!ケム・ザレオンの家族を人質に彼を独房に入れて、この本を書かせた……あたしは物書きとしてはまだまだ未熟だけど……でも!!作家を夢見る者として…!一人の魔導士として!あたしはコイツを許せない!ケム・ザレオンもそうだった筈よ……これを読んで、確信したわ…!!彼の誇りはまだ生きてる!!(・・・・・・・・・・・・・)

 

エバルーに蹴りを叩き込むマナツの脚技を讃えるハッピーであるが彼の顔面には靴の跡が見つけられる、巻き添えを喰らっていたようだ。突っ込みを放ちながらもルーシィは読んでいた本から得た情報を語りながら、必死に訴えかける

 

「ルーシィ……そうだね。おい!モグラ!アンタなんかにこの本はあげないよっ!!ケム・ザレオンの言葉はアンタなんかにはもったいない!この本はアタシたちが貰った!!」

 

その訴えはマナツの胸に響き、彼女はにかっと笑う。そしてエバルーに対し、本を渡さない事を宣言してみせた

 

「ええい!やかましい!!秘密なんぞ!我輩にも分かっておるわっ!!その本が……えっと……食べられることくらいな!!」

 

「「「…………は?」」」

 

自尊心の塊であるエバルーは自分が秘密を知らない事が許せないらしく、意味不明な事を口走った。其れに誰もが耳を疑い、素っ頓狂な声を挙げる

 

「味は確かホワイトチョコだ!」

 

「ルーシィ。あのモグラは何を言ってるんだろ……」

 

「マナツ?見て見ぬ振りをするのよ。あたしたちは何も見てないし、聞いてないし、言わないの」

 

「リアン。人って追い詰められると意味の分からない嘘を吐くんだね」

 

「醜いわね」

 

「エクス。博士とナツはまだですかね」

 

「くたばってはねぇだろうぜ」

 

嘘を吐いた事に自尊心を傷付けながらも更なる嘘を重ねるエバルー。其れを見て見ぬ振りしようと気を利かすマナツたちの姿に彼の顔が赤く染まっていく

 

「ええい、なんとしてでも聞き出してやる!我輩の魔法が1つだけだと思うなよ!開け!処女宮の扉!!バルゴ!!」

 

「お呼びでしょうか?ご主人様」

 

まさかまさかの魔法、ルーシィと同じ星霊魔導士であったエバルーが呼び出したのはメイド集団を率いていた巨漢メイドのバルゴだった。然し、マナツたちの興味は彼女よりも別の場所に向いていた

 

「………お?」

 

「………かな?」

 

(((なんかいるーーーーっ!!!)))

 

バルゴの肩と頭に掴まる様に姿を見せたのはマフラーの青年と白衣の少年。何を隠そう、ナツとマキナの二人である

 

「ふぅ……この乗り物は疲れるかな」

 

「てか乗り物じゃなくねぇか?だって酔ってねぇぞ?俺」

 

「アニキ!マキナ!どうやって!?」

 

「まさか!星霊界を通って来たの!?アンタら!?」

 

「まあ貴重な体験だったかなー。其れはそうと、何をすればいいかな?」

 

「だな!燃えてきたっ!」

 

「アイツをぶっ飛ばすのよ!あたしも一緒に戦うわ!開け!巨蟹宮の扉! キャンサー!」

 

指示を飛ばした後、ルーシィも金の鍵を取り出し、星霊の名を呼ぶ。刹那、光が溢れ、中から星霊が姿を見せる

 

「カニだぁ!」

 

「カニだわ!」

 

「カニだな」

 

「カニですね」

 

「カニかな」

 

その星霊は二足歩行で人間の姿をしつつも背中から6本の蟹の足を生やした美容師風の姿をしている蟹の星霊、但しハサミは両手に握られた鋏である

 

「語尾はカニだよ!絶対に!」

 

「間違いないわね。可愛いあたしが言うんだから!絶対にそうよ!」

 

興奮するハッピー、自分を褒めながらも興奮気味に期待するリアン。視線の先にいるキャンサーが口を開くのを待つ

 

「ルーシィ、今日はどんな髪型にする?エビ」

 

「「「「「エビーーーーー!!?」」」」

 

「空気読んでくれるかしら!?」

 

予想外の語尾に誰もが驚愕し、声を挙げた。ルーシィはくわっ、と表情を変え突っ込みを放つ

 

「兎に角!やっちゃうかな……デウス!エクス!形態変化(カンビオファルマ)!!」

 

「「ワォォォォン!!」」

 

「うぉぉぉ!!行くぞぉ!マナツ!」

 

「ほいきたっ!!」

 

「キャンサーもお願い!」

 

「OKエビ」

 

呆気に取られながらも逸早く動いたマキナが双剣を構えると、ナツが拳を燃やし、マナツが縦にリズミカルに跳び始め、ルーシィはキャンサーに呼び掛けた

 

天才超振動(ジーニアスムーブ)!!」

 

「火竜の鉄拳!!」

 

「花竜の乱舞!!」

 

「エビ!」

 

マキナの放った超振動の斬撃が、ナツの拳が、マナツの蹴撃が、キャンサーの鋏が、バルゴに命中し、エバルーを巻き込む様に吹き飛ばす

 

「トドメにアレをやるわよ!ハッピー!」

 

「あいさーっ!」

 

「「ダブルネコパンチ!!」」

 

「からの〜ルーシィキック!!」

 

「ボギョォ!」

 

トドメの一撃となる二匹の右ストレート、ルーシィの一撃がエバルーを完全に仕留めた

 

「あの腰にある鞭は意味あるのかな……」

 

「でもさー、依頼達成には違いないよ?草生えるどころか咲き誇って花だよ!それも満開!」

 

「まあ、あのモグラは火を通しても美味しくはならないから良しとするかな。どうせ、後で色々と不正が明るみに出て、ソーセージとかにされちゃうかな」

 

「「「発想が怖いわっ!!!」」」

 

この日の事を後にカービィ・メロンはこう語る。「妖精の尻尾はあるのか?ないのか?ですが私は思います、彼等の行く先に答えはあるのではないかと……父さんがくれたこの日の出(デイ・ブレイク)…いえ、DEAR KABYがそうだった様に……」と、これは彼しか知らない妖精たちの美談である

 

 

 

 

 

 

 

「にしても小説が読めなかったのは残念かなー。あっ、代わりにルーシィの小説読ましてよ」

 

帰路に着きながら、本を読めなかった事を悔いるマキナ。すると彼は悪戯を思いついた様に笑う

 

「へ?アンタなんで知ってんの!?まさか読んだのっ!?」

 

「ルーシィって小説家なのっ!?すごっ!サインちょうだいだ〜い!」

 

秘密を知られ、慌てるルーシィにマナツが期待に溢れた眼差しを向け、取り出した色紙にサインを求める

 

「へ?いや!まだよっ!駆け出し!駆け出しだから!だからサインとかは……はい!」

 

「わーい!」

 

(((するのかよっ!!)))

 




妖精の尻尾に慣れ始めたルーシィ、しかし平和な日常に重たい足音が響き、誰もが恐怖する最強の女が帰還する!!

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