天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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今回はエルザが登場!!マイペースなマキナも流石に形無しかな


第十二話 天才くん、逃亡失敗する

「むむ………中々の値段かな……これは…」

 

「博士は何を面白い顔で広告を見てるんです?」

 

シロツメの街での依頼から数日後、ギルドのカウンターで好物のわたあめを頬張りながらマキナは広告と睨めっこしていた。その姿にデウスが気付き、問い掛ける

 

「新しい発明品を作る為の部品が売りに出されてるんだけど……ちょっと高いから、悩んでるかな」

 

「あ〜……確かに手が届きそうな気もしますが割と良い値段ですね」

 

「う〜む……昨日、生物学の本を買ったばかりで経済的に厳しいかな…」

 

「マキナ〜!なーにしてるの?」

 

広告片手に頭を悩ませていたマキナの背後から、マナツが飛び掛かり、問い掛ける。何時も通りの戯れ合いはギルドでは当たり前のありふれた日常的な風景である為に誰も気にする素振りは見せない

 

「へっ……ヤダヤダ、頭でっかちと胸無しの戯れ合いなんざ見てると胸焼けしちまうぜ」

 

然し、其れは唯一人の例外を除いてはの話だ。悪態にも似た文句を吐き捨てた少年はカウンターの上に胡座を掻き、マキナとマナツを見ていた

 

「「あぁ?」」

 

その文句に二人は声を合わせ、彼を睨み付ける。その先には青い髪が特徴的なタンクトップの少年がいた

 

「…………誰かと思えば、バカで有名なおバカスコルかな。さっさと小屋に帰れ」

 

「誰の家が小屋だぁ?てめぇこそ、毎日毎日飽きずにしょうもねぇ発明品ばっかり作りやがって。んだ?そのもやしみてぇな体は」

 

スコル、そう呼ばれた少年はマキナの眼前に迫り、ぎろりと睨みを効かせる

 

「もやしは食べ物かな。人間と同じ分類じゃないから、例えにはならないかな。お前は雪山にお友達がいるから帰れ」

 

「誰がバルカンだゴラァ!!張り倒すぞっ!もやしゴーグル!!」

 

「うるさいかな!迷彩ゴリラ!!」

 

「服着ろやっ!!変態氷!マナツが真似したらどうするっ!!」

 

「ウルセェ!クソ炎!!」

 

取っ組み合いの喧嘩を始めるマキナとスコル、その背後では脱ぎ癖のあるグレイを相手に妹の未来を心配したナツが、彼と殴り合っている

 

「ルーシィ。アタシね、思うんだ………男ってバカだよね」

 

「ホントにね……さっき、ロキに口説かれたわ…」

 

「あーアタシもなんかプリン食べに行こうとか言われたよ?でも、返事する前にアニキとマキナに殴られてたけど…」

 

騒ぐ男性陣を前に遠い目するマナツの発言にルーシィも呆れた様に頷きながら、何処かに走り去ったロキの話題を切り出す。其れにマナツも昔を思い出す様に苦笑を浮かべる

 

「マナを口説こうなんて一万光年早いわ」

 

「あい!マナツは愛されキャラです。何故なら、花竜(アイドル)ですから!」

 

「だから!その呼び名はやめてくれる!?恥ずかしいから!」

 

「大変だー!!ナツ!グレイ!マキナ!スコル!!」

 

勢いよく開かれた扉から姿を見せたのは、走り去ったロキ。その顔は冷や汗がしたり、喧嘩していた四人に呼び掛ける

 

「ロキー?どったのー?」

 

「聞いて驚かないでくれよ…マナツ……帰ってきたんだ……エルザ(・・・)が!!」

 

「「なっ……!!」」

 

「ゔぇっ!?」

 

「かなーっ!?」

 

告げられた名に喧嘩していた四人だけではなく、ギルド全体が騒然となる。ある者は戦慄し、ある者は震え、ある者は書き置きを残し、まるで化け物を見たかの様に誰もが震えていた

 

「あっ!思い出した!マキナ!買い出しに行くわよっ!」

 

「そうかな!今日は確か卵の特売だったかな!」

 

「「「汚ねぇぞっ!!アルベローナ姉弟!!」」」

 

思い付きとしか思えない言い訳を盾にギルドから闘争を図るカナとマキナ、其れに気付いた面々が叫ぶも時は既に遅かった

 

「「ぐもっ!?」」

 

ギルドを飛び出そうとした姉弟(カナとマキナ)が入れ違いに入ってきた緋色の髪を靡かせた女性の纏う鎧に勢いよく打つかり、床に叩きつけられる

 

「ミラ、マスターはおられるか?」

 

「おかえり、エルザ。マスターは今定例会よ」

 

「エルザだ!それなにー?教えてー!」

 

「マナツは今日も元気だな。此れは討伐した魔物の角をお礼にと、村の者が装飾を施してくれた物でな、綺麗だったので土産にしようと思ってな……迷惑だったか?」

 

「わぁ!ホントだー!キレーイ!満開だね!」

 

「うんうん、やはりマナツは理解力があるな」

 

誰もが震え上がる中、冷静に会話するミラとはしゃぎ回るマナツ。説明せねばなるまい、彼女達名はエルザ、妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の女性魔導士である

 

「マキナ……今のうちにとんずらするわよ」

 

「とんずらって今日日聞かないかな」

 

「何処に行く?カナにマキナ」

 

気を取られている間にギルドから退散しようとするカナとマキナ、だが時はやはり遅かった。背後から聞こえた声に振り返れば、エルザが仁王立ちしていた

 

「へ……いやあの買い出し…さ、酒が切れたからさ…」

 

「そ、そうかな。ネエちゃんと買い物に行くとこかな」

 

「ほう…未成年のマキナを酒屋に?カナ、お前は何を考えているんだ?」

 

「…………あ、明日の晩酌?」

 

「バカモノ!」

 

「ぐもっ!?」

 

「ネエちゃん!?」

 

「お前もだ!姉だからといってカナに甘えてばかりではいかんぞっ!少しは自立をせんかっ!」

 

「ぐもっ!?」

 

「其れにだ!お前たち!また問題ばかり起こしているようだな。仕事先で何度も話を聞いたぞ………マスターが許しても私は許さんぞ!ビジター、踊りなら外でやれ。ワカバ、吸殻が落ちてる。ナブ、そろそろクエストボードの前をウロウロせず仕事に行け。スコル、此処で筋トレをするんじゃない」

 

不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)を物理的に黙らせたエルザは次々とギルドメンバーに注意を始める

 

「風紀委員か何かで?こちらは」

 

「エルザだよ?カナと同じS級魔導士なんだよ」

 

「ところで……ナツとグレイはいるか?」

 

「あい!こちらです」

 

驚くルーシィにエルザが如何なる人物であるかをマナツが説明する隣で、エルザはナツとグレイの行方を聞く

 

「や、やぁ………エ、エルザ!今日も俺達、な、仲良くしてるぜ……!!」

 

「あいー!」

 

「ナツがハッピーみたいになった!!」

 

現れたナツとグレイは肩を組み、固い握手を交わしていた。更に言えばナツはハッピーの口癖を連呼するくらいの語彙力の低下が起きていた

 

「アニキはケンカを挑んでボコボコにされたんだよ」

 

「グレイは裸で歩いてるのを見つかってボコボコにされたんだったよね」

 

「マキはエルザのお気に入りの鎧に魔粒子砲をつけようとしてボコボコにされて、カナは未成年のマキをはしご酒に付き合わせたのを知られてボコボコにされたのよ」

 

「あとスコルは勝手にエルザのケーキを食べてボコボコにされたわ」

 

「…………ぐうの音も出ないわね」

 

矢継ぎ早に聞かされるエルザの武勇伝という名の親しい面々の過去にルーシィは呆れた様に苦笑を浮かべる

 

「其れはそうと……ナツとマナツ、グレイにスコル、其れからカナとマキナに頼みたい事がある。仕事先で厄介な話を耳にしてな…本来はマスターの許可を仰ぐところだが、早期解決が望ましいと私は判断した。六人の力を貸してもらいたい」

 

「エルザ。私だけじゃなく我が愛弟を頼るなんて………観る目があるじゃないか……分かった!協力してやろうじゃないの!」

 

「わぁ!アニキ!アタシも一緒に行けるんだって!」

 

「マナツとチームなのは当たり前としてだ……裸パンツとバカタンクトップとアホゴーグルはいらねぇ」

 

「「「んだとゴラァ!!」」」

 

「ぐもっ!?」

 

乗り気なカナ、マナツとは裏腹にナツが難色を示すと悪口を吐かれた三人が飛び蹴りを放つ

 

「仲が良いな」

 

「アレをどう見たら…そうなるのかしら…」

 

「にしても…竜兄妹(ドラグニルブラザーズ)不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)…グレイとスコル…これって、今までに想像しもなかったけど、妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強チームかも……」

 

「マジで!?アタシも最強の一人なのっ!?」

 

「あらやだ枝毛」

 

「あい!ハサミだよ」

 

「平和って簡単に壊れますよね」

 

「全くだぜ…どうなることやらだ」

 

「アンタらは緊張感を持たんかいっ!!」




最強チーム結成!其処には何故かルーシィも……

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