天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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今回は鉄の森編中間の列車の中の話になりますかな


第十四話 天才くん、目的を知る

「うぅ……乗り物なんか滅びればいい……」

 

「いや其れだと移動出来ないじゃない。というか毎回思うけど、辛そうね」

 

乗り物酔いの元凶である乗り物そのものが滅びればいいという答えに行き着くマナツにルーシィが突っ込みを放つ

 

「マナツが可哀想かな。というか駅に来た時点で列車に乗る事に気付くべきじゃないかな」

 

「つーか別の席行けよ」

 

「なんなら走るか?俺も付き合うぜ!」

 

「すいません、駅員さん。ゴリラがいるんで次の駅で捨てて欲しいかな」

 

「はんっ…もやしが」

 

「「やんのかゴラァ!!」」

 

「やめんかっ!!」

 

「「ぐもっ!?」」

 

マナツ、ナツの心配をしていたかと思えば直ぐに喧嘩に発展するマキナとスコルの鳩尾にエルザが鎧姿で一撃を放ち、気絶させる

 

「マキナ!?大丈夫かい!さぁ、姉ちゃんの膝においで」

 

「カナ…マキナを甘やかすのは良くないと言っているだろう」

 

「気絶させた本人が言うんじゃないよ」

 

「あてて……エルザてめぇ!少しは加減しろや!一瞬、川の向こう側にジジイが見えたじゃねぇか!」

 

「いやマスターは生きてるよ?スコル」

 

「というか川を渡らなくて良かったわね」

 

気絶したマキナを膝に寝かせるカナ、その姿にエルザが呆れた視線を向けるが事の発端は彼女にある為に説得力は皆無だ。元が頑丈なスコルは即座に復活し、エルザに異議を申し立てるが彼の発言に違和感を感じたハッピーとリアンに突っ込まれていた

 

「「うぷっ……」」

 

「全く仕方ない奴等だ。ほら、ナツもマナツも私の隣に来い」

 

「あたしに退けって言ってない?それ」

 

未だに乗り物酔いに苦しむ竜兄妹を隣に呼び寄せ、座る様に促すエルザ。其れ即ちルーシィに席を代われと言っているのだが、二人が移動した瞬間に事件は起きた。鳩尾に見事な一撃を入れられ、重なる様に二人は倒れ、物言わぬ屍と化したのである

 

(変だ!この人も明らかに変だ!そういえばカナさんは……)

 

「マキナ。気絶してる時は向かい酒だ!飲みな!」

 

「むごっ!?むぐっ!」

 

(ああ………憧れは憧れのままが良かったなぁ……)

 

常識があると思っていたエルザの行い、更に憧れのカナの正気の沙汰とは思えない行動にルーシィは何かを悟り、車窓から流れ行く雲を眺める

 

「そういえば、ナツとマキナ、マナツの魔法は見たことあるけど、皆はどういう魔法使うの?エルザさんのとか気になる」

 

「む?私か?」

 

「エルザの魔法は綺麗だよ」

 

「敵の血が出るのよ、あれを見ながらのティータイムは最高ね」

 

「それは……綺麗なの?というかリアンは趣味悪いわよ」

 

猫二匹の説明にルーシィは思わず、問い掛けるように突っ込みを入れるも二匹は聞く耳を持とうとはしない

 

「綺麗かどうかは知らないが私などグレイに比べると大したことはない」

 

「そうか?」

 

首を傾げながらも、グレイは右手の拳を左掌に添え、ゆっくりと魔力を込めていく。すると氷のギルドマークが現れ、辺りに僅かな冷気が漂う

 

「氷の魔法さ」

 

「はんっ…魔法にも綺麗もへったくれもあるかよ」

 

「スコル…くんは自分の魔法にかなりの自信があるのね。どんな魔法なの?」

 

グレイの魔法を鼻で笑い、自分の力を誇示するかの様な笑うスコルにルーシィは疑問を抱き、問い掛ける

 

「俺の魔法?見ても面白くもねぇぞ」

 

「確かに面白くないかな。バカの魔法なんか見ても」

 

「ああん?気絶しとけや、テメェは」

 

何時の間にか復活したマキナが横槍を入れた瞬間、スコルは直ぐに彼に喧嘩を売りに行き、彼の魔法を見る機会を失ったルーシィはちらっと隣に座るカナに視線を向けた

 

「カナさんのは?」

 

「私かい?私の魔法はコレだよ、札魔法(カードマジック)。占いとかにも使えるから割と便利なのよ。ちなみにルーシィ、もうすぐ良い出会いがあるよ」

 

「ホント!?」

 

出会いがあると聞き、食い気味にカナに詰め寄るルーシィ。然しながら、流石に占いが得意だとしても何時、何処等の具体的な未来までは分からない為にカナは困り顔である

 

「あい!カナの占いは当たるんだよ。そーいえば、ルーシィになんか言わないといけない気がするんだけどリアンは知ってる?」

 

「ハッピーの頭の中があたしに分かると思う?」

 

「ですよねー。思い出したら言うね」

 

「どうせ大した用事じゃないでしょ」

 

何かを忘れているハッピーにリアンざ呆れた様に肩を竦めれば、ルーシィは所詮は猫の思い付きだから大した事はないと決めつけるが、これが後に出会いに繋がるのは別の話だ

 

「其れでエルザ。そろそろ話して欲しいかな、ボクとネエちゃんとその他を頼る理由を」

 

「「誰がその他だ!!」」

 

「そうだな、話しておこう。先の仕事の帰りのことだ。オニバスの街で魔導士が集まる酒場に寄った時に少々気になるやつがいてな」

 

マキナに促され、エルザは思い出す様に話し始める。仕事帰りに寄った酒場で『せっかくララバイを見つけたのに封印が施されていて解けやしない』と大きな声で言い放った客が居り、その仲間と思われる男たちが声が彼を咎め、その内の一人が『必ず三日以内にララバイの封印を解き、持って帰るからエリゴールさんに伝えておいて』という会話していたと、語り終えるとスコルが疑問符を浮かべる

 

「グッバイ?なんだそりゃ」

 

「ララバイ……子守唄(ララバイ)……前に何かの本で読んだ気がするかな…にしても鉄の森(アイゼンヴァルド)まで絡む案件となると…今回の件は相当な事案かもしれない…」

 

「流石はマキナだ。恐らくは封印を施されているという事を聞く以上は相当な威力の魔法だ」

 

「エリゴール……そーいや前に仕事先で聞いたことがあるぜ。死神とか呼ばれてるヤベェ奴だ、こなした仕事はどれもが暗殺系統で終いにはテメェのギルドを闇ギルドにまで貶めたって話だ」

 

目的の駅に辿り着き、下車しながら会話をしていると闇ギルドと言う単語を聞いた途端にルーシィから大量の汗が噴き出す姿を見た仲良し猫二匹は「汁が出てる」と述べるが彼女は「汗よ!」と突っ込みを入れる

 

「不覚だった……あの時エリゴールの名を思い出しておけば……全員血祭りにあげていたものを……」

 

「だな、確かにその場にいた連中だけならエルザだけでどうにかなったかもしれねぇ。だがギルド一つ丸々相手となると」

 

「厳しい……てことはだ!鉄の森(アイゼンヴァルド)に乗り込むってことか!分かりやすくて良いぜ!」

 

「やれやれかな……仕方ない、乗り掛かった船だから最後まで付き合うかな。ん?どうしたの?ネエちゃん」

 

意気揚々とエルザの提案の乗っかる三人の男達、だがカナはあることに気が付き、周囲を見渡した後に前を歩く弟の肩を叩いた

 

「いやナツとマナツは何処に行ったのかな?と思ってね。マキナは知ってる?」

 

「知らないかな」

 

刹那、その発言を聞いた途端に全員が目を丸くした。既に街の中腹まで来ていたが、マキナたちは急いで駅まで戻ったが列車は既に次の駅に向かって出発した後だった

 

「デウス!エクス!何で言わなかったかな!?」

 

「言いましたよ!なのに!博士が話に夢中で聞いてなかったんですよ!」

 

「聞く耳持たねぇ博士が悪ぃ」

 

「なんということだ! 話に夢中になる余り、ナツとマナツを列車に置いてきた。あの二人は乗り物に弱いというのに! これは私の過失だ。とりあえず私を殴ってくれないか!」

 

「エルザはその変な癖をやめな。ハッピー、リアンはあの二人を見つけて来て」

 

「あいっ!」

 

「マナ!今行くわ!」

 

カナの的確な指示に従い、ハッピーとリアンは背中からお揃いの翼を広げ列車を追いかけていく

その近くでは軽い錯乱状態のエルザを見かねたスコルが駅員の方へ近寄り、衝撃の一言を放っていた

 

「おうコラ、列車止めろや」

 

「妖精の尻尾ってこんな人しかいないのかしら」

 

「俺はまともだぞ!」

 

「グレイは服を着るかな。あっ、良いものを見つけたかな」

 

「おわっ!?」

 

スコルは駅員に交渉という名の暴挙を持ちかけるが駅員は降り損ねた二人の為に列車を止めることは出来ないと頑なに拒み、平行線を辿っている二人の交渉が続く中で、ふと駅員の後ろにある緊急停止スイッチに気づいたマキナが動いた

 

「さて…行くかな」

 

「そうね。にしてもマキナは流石だね、お姉ちゃんは鼻が高いよ」

 

緊急停止スイッチを入れ、非常用ベルを作動させたのだ。駅にいた人々は事故か事件かと騒ぎ始め、列車のレールを照らすランプも点灯を始める

 

「ではこの荷物をホテルチリまで頼む」

 

居合わせたカップルにエルザが荷物を押し付けると、ルーシィを覗いた六人と二体はナツとマナツの後を追いかけ始める

 

「ああ……めちゃくちゃだわ……この人たち……」




列車に揺られ、何処に行くかもわからない竜兄妹。二人の前に現れたのは一人の魔導士…彼は一体…

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