ナツルーの日記念 花竜ちゃんは贈りものをしたい
「う〜ん………何が良いかなぁ?リアン」
「マナの好きにしていいのよ?こればかりは相棒のあたしでも関与出来ないわ」
ある日のマグノリア。雑貨屋の一角で、特徴的な
「え〜?アタシの好きに?んとぉ〜………じゃあ、野菜の苗!育てたら食べられるから!」
「あたしが悪かったわ、マナ。一緒にマトモなのを選びましょ」
今日も元気に自分の大好物を口にするマナツに対し、前言撤回をした相棒の黒猫のリアンは一緒に選ぶことを提案する。流石に野菜の苗を送られては相手側も困惑すると悟ったからに相違ない
「ホント!?リアンは優しいね!だぁーいすき!」
「あたしもよ」
自分を抱き上げ、抱き締めるマナツの頭を優しく撫でるリアンの顔は猫ではあるが見方によっては聖母に見えなくもない。それだけ、相棒に対する彼女の母性が強く、マナツを大切に思っているのだ
「でも…ルーシィは何が好きなんだろー?やっぱり、本?それともアニキが言ってたみたいに脂っこいのかなぁ?」
「マナ。今更だけど、ナツの言うのは半分が憶測よ」
「目から花びら!!」
初めて知る兄の発言がまさかの出鱈目だと聞き、マナツは雷に打たれたかのような衝撃を受け、両目を見開く
「それはそうと……どうして、急にルーシィに贈り物をしようと思ったの?」
「う〜ん……なんか、ルーシィには色々とお世話になったりとか、遊んでもらったりとか、ごちそうになったりしてるから、お礼がしたいなぁ〜って思ってたんだよね」
「ふぅん?マナにしては考えてたのね」
「んなっ!してはは余計だよ!アタシだって、こー見えても色々と考えてるんだからね!!」
揶揄うように笑うリアンに頬を膨らませた後、マナツは威張るように慎ましやかな胸を張る
「あれー?マナツかな。なぁ〜にしてるの?」
「おや、リアンもいるね。どうかしたのかい?お二人さん」
背後から聞こえたこえに振り向けば、揃いの白衣を靡かせたゴーグルの少年とガスマスクの赤猫が佇んでいた
「マキナ!ディンガも!」
「やっほー」
「やぁ、マイレディ。今日も可憐だね」
「にゃにを当たり前のことを言ってるのよ。にしても、インドアな二人が外に居るのを見るのはなんか新鮮ね」
名を呼ばれ、軽く手を挙げるマキナ。リアンの手を取り、笑い掛けるディンガ。其々の大切な存在に対する反応は様々だ
「そうかい?これでも最近は外出頻度を高めにしているつもりなんだけどね」
「そうかな。最近は割と出歩くようにしてるし、他人と触れ合う機会も増えてきたようにも思えるかな」
「二人は外に出なさすぎるよ!アタシなんか、商店街の常連なんだよ!えっへん!」
インドアの幼馴染とその相棒を咎め、慎ましかな胸を再び張るマナツ。商店街の常連、其れが嘘か誠かは分からないが、彼女の評判が高いのは事実。故に信用には値することは明白だ
「マナの場合はあたしの買い物に付き合ってる影響なだけじゃないの」
「うみゅ〜……そうだけど、名前と顔は覚えられてるもんね!」
実際には買い物上手という家庭的な一面の持ち主のリアンの付き添いであった事が明かされるも、それを差し引いてもマナツは商店街でも異名と同じ地位を築き上げているようだ
「ああ……だから、商店街に行く度にマナツによろしくとか声を掛けられるかな」
「いや、博士の場合は飲食店関係の人たちに声を掛けてもらう頻度が高いんじゃないかい?なにせ、キミはあらゆる飲食店の売り上げに貢献すると同時に経営破綻に追い込むほどの悪食だからね」
「失礼な、育ち盛りと言ってもらいたいかな」
「あの食いっぷりを育ち盛りとは言わないよ」
良く言えば育ち盛り、悪く言えば悪食。皿を積み上げるのが誰よりも得意な彼を誰よりも知るディンガは頭のガスマスクに触れ、軽くため息を吐く
「マナの拾い食いも大概だけど、マキの悪食にも困るわね。自重しないとダメよ」
「うみゅ?自重ってなになになぁに〜?」
「食べたい時に食べておかないとお腹が空いちゃうかな。どっかの偉い人がそんなことを言ってたよーな気がするかな」
「博士。それは偉い人ではないよ」
自重の意味を知らずに首を傾げるマナツ、出鱈目を言い放つマキナ、やんわりと突っ込みを放つディンガは二度目の軽いため息を吐く
「それで、雑貨屋なんかで二人は何をしてたかな」
「えっとね、ルーシィにおかえしを選んでたの!何がいいかなぁ〜?マキナはなんかなぁい?」
「おかえし………ネエちゃんはお酒をあげると喜ぶかな」
「博士。カナの話はしていないよ?今はルーシィに何をお返しするべきなのかを話しているんだ」
「えっ?女の人の基準って、基本的にネエちゃんじゃないのー?」
「…………やれやれ」
「相変わらずね…マキは…」
基準となる身近に居る女性が姉以外に存在しないマキナは、酒を与えれば誰もが喜ぶという結論に至っていた。相変わらずの姉以外はアウトオブ眼中であるがマナツの事を大事に想う気持ちはリアンにも負けないのは確かである
「まぁ、本気で考えると本じゃねぇかな。ルーシィは読書とか好きだし」
「本かぁ〜……ん〜どんなのがいいかなぁ?」
「前はなんか恋愛小説読んでたから、違うジャンルにしてあげると喜ばれるかな」
「なるほどー!あっ!じゃあ、マキナの家にある本はー?」
「ボクの本?まぁ、構わないけど……なんかあったかな」
贈り物は本という答えに行きつき、雑貨屋を後にしたマナツたちは郊外にあるマキナの家に向かう。雑踏の多い街中とは異なり、静かに吹き抜ける風と心地良い空気、その二つが郊外の魅力だとマキナは語っており、研究にも無心で集中出来るのだと口にしている
「わぁ!やっぱり、マキナの家には本がいっぱいあるね!」
「マキはこれを全部読んだのよね?」
「そうだよー、自分で買ったのもあれば、レビィとかにあげたり、ギルドの書庫に寄付したのとかを含めたら、数えられないくらいは読んでるかな」
「ほへぇ……どれが良いかなぁ?リアン」
「そうね……冒険系とか推理系はどう?」
「推理系かぁ!アタシ知ってるよ!サスペンションだよね!」
「マナ……それを言うならサスペンスよ」
「あり?そだっけ?」
「サスペンスかな……だったら、今は手に入りにくい大人気超サスペンスの初版シリーズとかあるよー。でもねー、個人的にはそのシリーズよりも天才教授が事件解決するシリーズとかが好きかな。マナツが好きなジャンルとなると、この花屋さんが主役のシリーズが良いよー」
「僕はこの猫の探偵が活躍する話やハードボイルド系のサスペンスがオススメだけどね。リアンは何かお気に召したかい?」
「あたし?そうね……この紅茶探偵シリーズが好きよ。紅茶を飲みながら事件を解決するにゃんて、優雅よね。見習いたいわ」
「う〜ん……あっ!あの上にある本!ルーシィが読みたいって言ってたやつ!ねぇ!マキナ!この本ちょうだいだ〜い!」
次から次へとオススメされる中で、マナツが興味を示したのは竜騎士の青年と貴族の令嬢が個性に溢れた仲間たちと旅をする冒険譚。推理小説を勧めていた手前、何故それを選んだ?と言いたくなるが、マナツの判断を否定するのは流石にマキナも心苦しいと感じているらしく、
「コレかな」
「うん!そうそう!ありがと!マキナ!早速、ルーシィにプレゼントしてくるね!いこっ!リアン!」
「はしゃぐと転ぶわよ?マナ。それじゃあまたね、マキにディンガ」
「「あいあい」」
飛び出したマナツを追いかけるリアン、二つの背に手を振りながら、マキナは頭のゴーグルに触れる
「博士。最初からマナツがあの本を選ぶと分かっていたんじゃないかい?キミは」
「そんな途方もねぇ確率を予測してるワケねぇかな。間違いなく、あの本はマナツ自身が選んだ………だからきっと、ルーシィも喜んでくれるよー」
澄み切った空の下、マキナは頭のゴーグルに触れ、けらけらと笑う。それにつられる様にディンガも頭のガスマスクに触れ、同意する様に笑顔を浮かべるのであった
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