天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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今回は鉄の森編クライマックス!果たして!無事にマキナたちはララバイを壊せるのか!


第十九話 天才くんwith仲間たち、悪魔と戦う

「ナツー!マキナー!マナツー!」

 

エリゴールに勝利を果たした三人は背後から迫る声に気付き、振り向く。その視線の先にはマキナが改造を施した魔導四輪を走らせるエルザの姿があった

 

「遅かったな」

 

「もう終わったよー!」

 

「マキナ!大丈夫かい!?ボロボロになって…!」

 

「あー…うん、大丈夫だよー。心配掛けちゃってごめんねー。ネエちゃん」

 

待ちくたびれたと言わんばかりに優しく笑うナツ、迫るエルザたちに遅いと怒るマナツ。そして魔導四輪から飛び降り、自分を抱き締める姉にマキナは何時もの調子で笑い掛ける

 

「流石はナツとマナツ……それに三体目の竜(マキナ)だな」

 

「正直に言うとヤバかったかな……魔力の半分を持っていかれたよ…久しぶり過ぎてね…」

 

「だはははは!これくらいでへばるとかザコだな!つーかなんだぁ?その格好は白衣が布切れみてぇになってんぞ」

 

「言われてみりゃあ……裸にマフラーのヤローもいるしな」

 

「スコルは兎も角としてだ、お前にだけは言われたくねぇよ」

 

「所構わず脱ぎ散らかす変態氷は黙るかな。というかそこのアホ野蛮人は山に帰れ」

 

「ああん?なんか言ったか?もやしゴーグル」

 

一難去ってまた一難、火花を散らし合う様に険悪な雰囲気を醸し出す四人。睨み合い彼等の視界には既にエリゴールを捉えていない

 

「いーじゃん、服の一つくらいどうなっても…アタシは気にしないよ?」

 

「アンタは気にしなさいよ!女の子でしょうが!!恥じらいを知らないのっ!?」

 

「えー………じゃあ、ルーシィの服を貸してよ」

 

「貸さないわよ!!」

 

上着に羽織っている緑色のノースリーブパーカーが風に切り刻まれ、下に着た白のチューブブラが見えているにも関わらず気にも留めないマナツ。彼女にルーシィが恥じらう事を求めるが本人は面倒そうな表情を見せる

 

「マナツはこれを着ると良いよ」

 

「わぁ!ありがとー!マキナ!」

 

空かさず、マキナが物質移動(アポーツ)で出現させた白衣を被せるとマナツは彼に飛び付く

 

「博士!あのちょんまげがいません!」

 

「あらやだホント」

 

「ん?あれじゃねぇか?」

 

和気藹々とした雰囲気に包まれる中、デウスがカゲヤマの行方が見当たらない事に気付き、リアンもその行方を気にしていた。一方で冷静に状況観察をしていたエクスは魔導四輪の方に視線を向けた

 

「油断したな……妖精(ハエ)ども!呪歌(ララバイ)はここだぁ!ざまぁみろ!」

 

「あのちょんまげヤロー!助けてやったのに恩を仇で返す気かっ!?ふてぇヤローだ!」

 

「助けたのは俺だけどな」

 

「あれは確か、汽車にいたよく喋る素敵ヘアの人かな。何故にネエちゃんたちと?」

 

「髪型がアタシと被ってる!!キャラ被りだ!」

 

走り去って行くカゲヤマに向かって叫ぶシオンに突っ込みを入れるナツ、その横で一度ではあるが見知った顔が居たことに漸く気付いたマキナ、マナツは自分と酷似した髪型をしている彼の去り行く背に抗議している

 

「追うぞ!!」

 

エルザの指示でマキナたちは魔導四輪の向かった先に足を走らせるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カゲヤマを追い、クローバーの街へと辿り着いたマキナたちは現在、茂みに隠れ、眼前の様子を伺っている

 

「じっちゃん!!」

 

「マスター!!」

 

「おじじ!!」

 

「しっ。今イイトコなんだから見てなさい」

 

の視線の先にはマカロフの姿とカゲヤマの姿があり、今まさに笛を吹こうとしているカゲヤマを見た瞬間にナツとエルザ、マナツの三人が声を掛けようとするが巨漢の男性が彼等を制止した

 

「あっ、ボブちゃんかな」

 

「お久しぶりねぇ、マキナちゃん。カナちゃんもお元気?ギルダーツ(・・・・・)ちゃんとは上手くやれてるかしら?」

 

「まぁ……ぼちぼち……」

 

呑気に挨拶するマキナと和気藹々と会話するのはギルド青い天馬(ブルーペガサス)のマスター・ボブ。その隣にはファンキーな出で立ちの四つ首の番犬(クワトロケルベロス)のマスター・ゴールドマインが立っている

エルザは何故、止めるのです!と二人に意義を申し立てるが慣れ親しんだ優しい声が彼女の耳に届いた

 

「何も変わらんよ。弱い人間はいつまでも経っても弱いまま。しかし弱いことは悪ではない。そもそも人間なんて弱い生き物じゃ。一人じゃ不安だからギルドがある。仲間がいる。強く生きるために寄り添い合って歩いていく、不器用な者は他の者より多くの壁にぶつかり、遠回りするやもしれん。しかしただ明日を信じて一歩を踏み出していけば、自ずと力は湧いてくる。強く生きようと笑っていける。そんな笛に頼らずともな」

 

「!!」

 

マカロフの言葉に全てがお見通しだったのだと気づいたカゲヤマはララバイを手から落とし、参りましたとの言葉と共に膝を付いた

 

「「マスター!」」

 

「「じっちゃん!」」

 

「「ジーさん!」」

 

「おじじ!」

 

「ぬぉぉ!なぜ、彼奴等がここに!?」

 

全てを見ていたマキナたちは隠れていた茂みから一斉に飛び出し、マカロフの元へ走っていくが当の本人は悩みの種である六人の登場に戦慄していた

 

「マスター!!流石です!!今の言葉目頭が熱くなりました!!!」

 

「痛っ!!」

 

「やっぱスゲーな!さすがはじっちゃんだ!」

 

「なら、ぺしぺしせんでくれい」

 

「おじじ!見直したよー!すごいんだね!エロいけど!」

 

「今それは関係ないじゃろうが!」

 

「じっちゃんが八つ裂きになるのを期待してたのに残念かな」

 

「怖い事を言わんでくれんかっ!?」

 

エルザの鎧ハグの餌食にされ、ナツに頭をペシペシと叩かれ、マナツの発言に反論し、マキナの物騒な発言に突っ込みを入れるのはさすがマスターとでも言うべきだろう。その光景を見ながらカナは自然と笑顔を浮かべる

 

「おう、グレイ。医者はどこだ」

 

「知るか」

 

「ああん?んだコラ、医者の場所も知らねぇのか?テメェは」

 

「獣は黙ってろや」

 

完全に一件落着ムードの談笑がこの場で繰り広げられていた

 

「ククク、どいつもこいつも根性のない屑共だ。もう我慢できん。ワシ自ら食ってやろう。貴様らの魂をな……」

 

刹那、呪歌(ララバイ)からもくもくと煙が舞い上がり、一人でに喋り始めのだ。予想外の展開に誰もが戦慄し、言葉を失う

 

「た、た、魂って食えるのかーー!?」

 

「草生えるどころか咲き誇って花なんだけど!!」

 

「ナツもマナツも見当違いも甚だしいかな」

 

ナツの見当違いの発言にマキナの鋭い突っ込みが放たれる。ゴールドマインとボブはこの怪物こそがララバイの本体、生きた魔法であり、歴史上最も凶悪だった黒魔導士ゼレフの魔法だと説明する

ララバイがこの場にいる全ての人間の魂を喰らおうとすると、その音色を聴くまいと耳を塞ぐがナツ、マキナ、マナツ、エルザ、グレイ、カナは飛び出した

 

「デウス!エクス!形態変化(カンビオファルマ)!!」

 

「「ワォォォォン!!」」

 

「悪魔が相手となると……流石に手は抜けないかな……制限解除(リミットパージ)………〝X(見えないもの)〟を喰らわせてあげるよ。喰らえ!!」

 

「アニキ!アタシたちも!」

 

「よっしゃああ!!」

 

真っ先に動きを見せたマキナは滅竜の力を解放した斬撃を放ち、ララバイの足を切り裂く。その隙を好機と言わんばかりに体をよじ登ったナツとマナツの蹴りが顔面に叩き込まれ、重い一撃に巨体が僅かに浮く

 

「グレイ!ハンマー出せ!」

 

「命令すんな!スコル!アイスメイク“大槌(ハンマー)”!」

 

牙天獣牙(がてんじゅうが)!!!」

 

グレイの造形したハンマーに飛び乗り、打ち上げられたスコルが魔力弾を拳から放った魔力弾で相殺。一瞬の出来事ではあるがマスター達はそれを見逃さなかったのか適切な対応に反応を示す

 

「あの一瞬でこれ程の造形魔法を!?」

 

「それにアレは身体能力強化に特化した付与魔法(エンチャント)ではないかっ!?」

 

「スコル!今度はお前が合わせろ!」

 

「ちっ……仕方ねぇな!!」

 

グレイが別の構えを取りながら呼び掛けるとスコルは悪態を吐きながらも拳を構え、魔力を込め始めた

 

「アイスメイク“槍騎兵(ランス)”!」

 

「牙狼天眼!!」

 

グレイの造形した氷の槍がララバイに突き刺り、その全てにスコルが乱撃の嵐を叩き込み、更に深く突き刺さる

 

「ゴォア!! が……」

 

「………ナツ!マキナ!マナツ!」

 

「やっちまいな!」

 

「待ってたぜ!」

 

「一気にカタをつけちゃうもんね!」

 

「〝X(見えないもの)〟を喰らうかな」

 

蝙蝠や竜のような翼を携えた鎧に換装したエルザ、札を構えたカナはララバイの両脇と真下に待機していた竜兄妹と白衣の少年に呼び掛けた

 

「右手の炎と左手の炎を合わせて……」

 

「ふぅ……花は咲き誇り、芽吹き、揺蕩う姿は正に優美一色…」

 

「〝X(見えないもの)〟が見える時……全ては終わりを告げる。瞬きしてると見逃すよ……〝X(見えないもの)〟が見えるのはこっからかな」

 

拳に威力を高めた炎を込めるナツ、右脚を軸に体を回転する事で威力を高めるマナツ、両手に握る双剣に魔力を流し込むマキナ。そして、彼等はエルザの動きにあわせて同時に技を放つ

 

「火竜の煌炎!!」

 

「花竜の月花脚!!」

 

「〝超竜斬撃(エクストリーム)〟!!」

 

顔面にナツによる大火力の炎、顎をかち割るマナツの蹴撃、胸部を撃ち抜くマキナの飛ぶ斬撃。胴体を一閃するエルザの斬撃とグレイの氷、両足を粉砕するスコルの拳とカナの爆発の札。顔を吹き飛ばされ、体を折られたララバイは倒れ込み、周囲を巻き込む様に大爆発を起こした

 

「す……すごい……これが……これが〝妖精の尻尾(フェアリーテイル)〟!!」

 

「どうじゃーーー!! すごいじゃろぉぉぉっ!!!」

 

「うーん……でもこれで終わりじゃない気がするのはあたしだけかしら……?」

 

彼らの活躍を目の当たりにしたカゲヤマは思わず涙を浮かべていたが、上機嫌で笑っていたマカロフが突然滝のような汗をかいて停止した

 

「ん? ………ぬああああっ!!!定例会の会場が粉々じゃ!!」

 

「あらやだ」

 

「あい…予想通りです」

 

巨大なララバイが倒れた際に巻き込まれたのだろう。建物は最早原形を留めないレベルで崩壊し、完全に定例会を再開出来るような状況ではなかった

 

「ははっ!!見事にぶっこわれちまったなァ!!」

 

「つ、捕まえろーーーー!!!」

 

「おし!まかせとけ!!」

 

「アニキが其方にいるのはおかしいよ!アタシにもわかる!それは!」

 

「だはははは!いいね!いいね!こっちの方が性に合ってるぜ!俺たちは!」

 

「どんだけ呑気なんだい!?アンタは!兎に角!とんずらよっ!マキナ!」

 

「あいあい、ネエちゃん」

 

「あー……またやりすぎたな」

 

「マスター……申し訳ありません……顔を潰してしまって……」

 

「いーのいーの。どうせもう呼ばれないでしょ?」

 

ナツをマナツが引っ張り、其々の反応を示しながらその場から逃げる"妖精の尻尾"。後日この事件は大ニュースとなって国中に知れ渡った

ギルドマスターの定例会を狙ったテロ事件が妖精の尻尾によって解決されたということが記載されていた。カゲヤマを含めた鉄の森のメンバーはほとんどが逮捕されたとのことだ

だが、カゲヤマは穏やかで何処か憑き物が落ちたような顔をしていたという。マカロフの言葉で彼の中の何かが変わったのかもしれない。それを知る者は本人だけであるがいつの日か彼は罪を償い、表の世界へ戻ってくるだろう

 

「あ………ヤバい…魔力切れた……」

 

「「博士ェェェェ!?」」

 

「しっかりするんだよ!マキナ!!」

 

「御先真っ暗だわ……やってけるのかな……あたしは……」

 




鉄の森騒動から数日後、ナツとエルザの決闘が始まる……果たして、勝者の女神はどちらに微笑む?

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