天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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今回は遂に!マキナの相棒であるエクシードの登場!二十話まで出ないってのは意外にもオリジナルエクシードの中では一番の遅い登場では?と思ってたりします


第二章 とある魔科学の天才少年F
第二十話 天才くん、相棒と決闘を見に行く


「あぁ〜………まだ魔力が足りない……こんな事なら……エルザに斬撃を食べさせてもらうんだったなぁ…」

 

鉄の森騒動から数日後。久し振りに魔科学とは違う滅竜魔法の使用で体内の魔力不足を嘆きながらも、マキナは自室から出ると洗面所に向かう

 

「おや…博士がこんな朝早くに起きるのは珍しいね。キミは割とスロースターターだったと思っていたんだが…違ったかい?」

 

背後から聞こえた声、デウスとエクスとは異なる声に振り向くと其処には白衣を着た赤い猫が佇んでいた。特徴的な頭の上にあるガスマスクに触る彼の姿にマキナは呆れた様にため息を吐く

 

「久し振りに顔を見せたかと思えば……相変わらずの小言かな……ディンガ(・・・・)

 

「失礼。どうも、キミを前にすると親心?が刺激されてしまってね」

 

ディンガ、そう呼ばれた赤猫はナツのハッピー、マナツのリアンに相当するマキナの相棒である。普段は研究に没頭し、滅多に姿を見せる事はないがマキナの顔を見る度に小言を吐く姿は子を持つ親の様だ

 

「はいはい、それで?今日は一世一代の大勝負がある訳だけど……どう?ディンガも久し振りに顔を出してみるかな」

 

「ふむ……大勝負か…それは興味深いね。最近は研究ばかりで暇を持て余していたんだ、御招待に預かろう」

 

「言い回しが回りくどいかな……」

 

相棒の小難しい態度に苦笑しながらも、デウスとエクスの背に跨るとマキナはディンガを連れ、ギルド前の広場に直行する。余談ではあるがマキナはカナと同居している訳ではない、姉には姉の生活があるからと彼はディンガと共に街の郊外に一軒家を購入し、研究所兼自宅としているのだ

 

「マキナ。今朝はしっかりと起きられたみたいだね」

 

「ネエちゃんも二日酔いせずに居るのは珍しいかな……ああ、小遣い稼ぎしてたんだねー」

 

広場に着いたマキナが真っ先に視界に捉えたのは姉の姿。彼女は賭けをしており、籠内に入った金銭を見せる

 

「こんな一世一代の勝負に小遣い稼ぎをしないなんてのは私のギャンブル魂が許さないからね」

 

「ふむ…中々に見応えがありそうだ。僕はエルザに賭けるよ」

 

「おっ…珍しいのが居ると思えば、ディンガじゃないかい。流石に話が分かるね」

 

「あっ!ディンガだー!久しぶりー!それにマキナも!おはよー!」

 

「あら、珍しいわね。ディンガが外に出てるにゃんて、明日は雨かしら…」

 

「おやおや、キミは何時も辛辣だね?リアン」

 

「ちょっと!二人とも本気なの!?」

 

普段は外に出ない故にギルドメンバーから見ても珍しいディンガの存在。其処へ湧き立つ周囲の騒ぎを聞き付けたルーシィも駆け付ける

 

「おや…初めて見る女性だね」

 

「赤いハッピー!?というか何故にガスマスク!?」

 

割とギルドに馴染みつつあるルーシィであったが、初見であるディンガの姿に驚きの表情を見せる

 

「面白い事を言う人だね。僕はハッピーよりも教養はあるんだよ?こー見えても」

 

「ルーシィ。この妙ちきりんな格好をした赤猫はディンガ、ボクの相棒?というか助手かな」

 

「改めて、名乗らせてもらおうかな。僕はディンガだよ。マキナ基博士と共に魔科学の研究に勤しむ天才科学猫だよ」

 

「アンタにそっくりね…」

 

「そうかな?」

 

ディンガが自己紹介をするとルーシィは彼の中に普段から天才を自称しているマキナの姿を重ね、本人に呟くが当の本人には自覚が無い様子で首を傾げる

 

「にしてもアニキも毎度のコトだけど、よくもまぁ…懲りずにやるよねぇ…」

 

「あら、知らないの?男の子は何時でもチャレンジャーなのよ」

 

「おお!リアンは相変わらず物知りだね!」

 

「というかバカの一つ覚えとも言えるかな…」

 

「教養の欠片もないね」

 

「博士とディンガは辛辣ですねぇ…」

 

「始まるみてぇだ」

 

ナツの挑戦精神にマキナたちが呆れていると騒ぎを傍観していたエクスが動きを見せた渦中の二人に視線を向ける

 

「あの時はガキだった!!今日こそはお前に勝つ!」

 

「私も本気でいかせてもらうぞ、全てをぶつけてこい!」

 

ナツの挑発を受け、エルザも腹を括った様子で赤い炎のような柄をした鎧に換装する

 

「マジか!炎帝の鎧!?エルザのヤロー!ガチだぜっ!ありゃあ!」

 

「ナツに対する対策としては一番の無難かな。ボクなら、発明No.0072の水桶瓶(ウォーターフレーム)で魔法を封じた後に発明No.0064の八裂拳(やつざきナックル)とかでタコ殴りにするとかかな」

 

「ふむ……僕なら、博士に作ってもらった魔力吸収スパナで頭をカチ割るね」

 

「発想がエグいわ!!」

 

「やっぱりエルザに賭けてもいい?」

 

「アタシも」

 

「なんて愛の無いネコと妹なの!?」

 

発想が怖いマキナとディンガを突っ込みを入れた後、賭けの対象をエルザに切り替えるハッピーとマナツにもルーシィは突っ込みを放つ

 

「始めい!」

 

マカロフの号令と共に最初に動きを見せたのはナツ。炎を纏った拳をエルザに繰り出すがそれを紙一重で躱したエルザ。その御返しとばかりに振るわれた刃をナツも負け時と躱す。尚、エルザが刃を振るった瞬間に出た行き場のない斬撃はマキナが魔力回復の為に食している

 

「すごい!」

 

「アニキ!がんばれー!」

 

「ほーん、ナツのヤローにしては今までよりは良い勝負なんじゃねぇか?こりゃあ」

 

「ああ!漢だ!」

 

「はんっ…どこが」

 

「もぐもぐ…やっぱり、エルザの斬撃が一番食べ応えあるかな」

 

何方も退かない攻防戦にルーシィとマナツは歓声を挙げ、スコルとエルフマンは意外なナツの動きに高評価を送るがグレイは不満気に鼻で笑う。マキナは未だに飛び交うエルザの斬撃を食べていた。然し、終わりは何の前触れもなく訪れた

 

「そこまでだ、全員その場を動くな。私は評議員の使者である」

 

勢いよく手を叩く音が響いたかと思えば、蛙?の様な風貌をした人間が姿を見せた。しかも評議員と名乗ったその人物の存在に誰もが驚愕する

 

「ひょ、評議員!?」

 

「使者だって!?」

 

「なんでこんな所に!?」

 

「えらい人だー!どうしよう!リアン!」

 

「落ち着きなさい……取り敢えずはお茶にするわよ」

 

「この状況で落ち着きすぎよっ!!アンタはっ!!」

 

慌てふためくマナツを咎め、茶を嗜むリアンにルーシィは即座に突っ込みを放つ。そして、その騒動に隠れ動きを見せた者たちがいた

 

「賭け金は稼いだ…とんずらよ!マキナ!」

 

「あいあい」

 

「今夜は豪勢にいきたいね」

 

「騒ぎに乗じるのは得意ですねー……」

 

「魔導士よりも泥棒の素質があんじゃねぇか?コイツらは」

 

賭け金片手に広場から去ろうとする不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)。誰もが評議員に視線を向けていたが、その走り去る姿を見逃さない者がいた

 

「あっ!マキナとカナが逃げた!あとディンガたちも!」

 

「なっ!あんにゃろう!また賭け金持ち逃げしやがるつもりかっ!!追え!」

 

「うぉぉぉぉ!漢ォォォ!!」

 

マナツが声を挙げた事で一気に魔導士たちの視線が彼等に向き、誰もが去り行く背を追いかけようとするが再び、視線は使者に向くことになる

 

「先日の鉄の森テロ事件において器物損害罪並びに他11件の罪の容疑で『エルザ・スカーレット』を逮捕する」

 

「「「え………えーーーーーーーっ!!!」」」

 

「なんだとぉーーー!」

 

 




評議員に連れて行かれたエルザ。その救出に乗り込んだナツの事などは露知らず、マキナはかつての兄貴分と再会する

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