天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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今回はラクサスが登場!更に今までありそうでなかった初の試みも!


第二十一話 天才くん、兄貴分と再会する

「出せっ!!俺をここから出せー!」

 

静寂に包まれるギルド内に響き渡る声。その声の主は小さなトカゲに姿を変えられ、コップの中に閉じ込められていた

 

「うるさいわよ?ナツ。ティータイムの邪魔よ」

 

ティーカップ片手にトカゲをナツと呼んだリアン。そう、このトカゲこそがナツなのである

 

「マキナもカナも、それにディンガたちも反省しなきゃダメだよ!あとでエルザに叱ってもらうからね!」

 

「あい……あれ?エルザは捕まったんじゃなかったかな」

 

「はっ……そうだった!!」

 

「マナツは肝心な時にバカだねぇ」

 

「仕方ないさ。所詮はマナツだからね」

 

「「「ぐもっ!?」」」

 

賭け金持ち逃げについてのお叱りを受けていたアルベローナ姉弟とディンガ。彼等を正座させ、小言を放つマナツであったがエルザが逮捕された事を忘れていた事に対する揚げ足を取る二人と一匹を蹴り飛ばす

 

「蹴り飛ばすよっ!!」

 

「「いやもう蹴り飛ばしてんだろっ!!」」

 

事後報告という名の文句を言い放つマナツに対し、ギルド内から突っ込みが飛ぶ

 

「兎に角!ナツは静かにしなさい」

 

「出せったら出せー!!つーか!元に戻せ!」

 

「そうしたらナツは助けに行く!!って言うでしょ?」

 

「言わねぇよ!誰がエルザなんか助けるかっ!!」

 

「じー……………」

 

コップの中で暴れ回るナツ、その姿に妹のマナツは違和感をを感じ、何かを怪しむ様に兄の姿を凝視する

 

「な、なんだよ?マナツ」

 

「ホントにアニキ?」

 

「あ?な、何を言って……」

 

「いんや別に〜……マキナ?なんか知ってるんじゃない?」

 

トカゲの姿を怪しむマナツは問い掛けに煮え切らない答えを返すと、明後日の方向に視線を向けていた幼馴染に問いを投げかける

 

「何も知らないかな。人を疑うのは良くないって前に誰かが言ってたよー」

 

「ふぅん?そういえばぁ〜、前にシロツメの街で食べたプリンアラモードが美味しい店が近くに出来たらしいんだよねー、開店記念だからお手頃価格みたいなんだけど……一緒に行かない?」

 

「うっ……た、食べ物で買収されるボクじゃないよ……」

 

シラを切ろうとするマキナ、その態度に長い付き合いのマナツは何かを感じ取り、食べ物を餌に揺さぶりを掛け始める

 

「でもあたしだって放っておけないわ!明らかにこれは不当逮捕よ!判決が出てからじゃ間に合わないっ!」

 

「今更足掻いても判決は変わらん。落ち着かんか」

 

エルザ逮捕に意を示すルーシィは扉に向かおうとするがマカロフに止められた。その落ち着いた姿に誰もが違和感を感じる中、何かを知るマキナの頬を冷や汗が伝う

 

「はぁ………じっちゃんにはお見通しってワケかな……物質移動(アポーツ)

 

「あっ、おい!マキナ!」

 

流石にマカロフには隠し通せないと悟ったマキナはコップの中にいたナツに物質移動(アポーツ)を放ち、外に移動させる

 

「ほれ」

 

「「…………えぇぇぇぇぇ!?」」

 

目の前に現れたナツに対し、マカロフが解除魔法を放った瞬間。姿を変えたトカゲの正体に全てを知るマキナ以外が驚愕した

 

「…………アニキがトカゲになったと思ったらマカオになったーーーーっ!!!」

 

「「そうじゃねぇだろ!!!」」

 

唯一人、見当違いの解答を導き出したマナツに二度目の全員突っ込みが放たれる。そう、ナツだと思われていたトカゲの正体はまさかのマカオだったのだ

 

「ちょっと待って!本物のナツは!?」

 

「まさか!エルザを追いかけたのかっ!?」

 

「マキナてめぇ!舐めたマネしてんじゃねぇぞゴラァ!!」

 

「ボクは悪くないかな、マカオに協力を頼まれただけだし」

 

「ナツには借りがあるんでな……其れにマキナの知恵がありゃあ上手いこと誤魔化せると思ったんだ」

 

「当然かな。ボクは天才だからね!」

 

「どうしよう!アニキも裁判に!?おじじ!何とかしてよー!泣くよ!さもないと引くくらいに泣くよ!!」

 

「どんな脅しじゃ……全員、黙っておれ。静かに結果を待てばよい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり!シャバの空気はうめぇ!自由って素晴らしい!」

 

数日後、エルザと共に逮捕されていたナツは久方振りに吸うギルドの空気に感化され、走り回っていた

 

「あぁ〜………暫くは研究が捗ると思ってたのに……もう帰ってきたのかな…うるさい…」

 

「そうよねー………もう少し入ってればよかったのに」

 

協力しておきながらも私欲の為だったマキナが呆れた眼差しを向ける隣で、ルーシィも項垂れたたままで同意を示す

 

「ていうか!マキナは知ってたんだよね!どーして教えてくれなかったの!」

 

勢いよく机を叩き、マキナに詰め寄ったマナツは今にも噛み付きそうな勢いで喰って掛かる

 

「推測だけで結論と結びつけるのは、ボクの魔科学論に反するからね。如何なる結論にも如何なる理由が伴う……だから、世界は成り立つんだ」

 

「………ふみゅぅ……よく分かんない……」

 

「なーに、マナツにも理解出来るように言うとだな。蛙の使いだけにすぐ帰るってコトだ」

 

「流石は氷の魔導士だな……」

 

「すげぇさみぃ……」

 

科学的論理から導き出した解答を述べるマキナに煙が出る程に頭を悩ますマナツ。その姿を見兼ねたグレイがギャグを交えた理由を述べた瞬間、余りの寒さにエルフマンとスコルが寒さを訴える

 

「そーいやナツ、エルザとの漢の勝負はどうなったんだよ」

 

「漢……!?」

 

「エルザは女だよ?エルフマン」

 

「其れに関しては今更な気もするかな」

 

漢の勝負という言葉に反応を見せるルーシィとマナツ、其れに呆れた眼差しのマキナが真っ当な突っ込みを放つ

 

「エルザァァ!!この前の続きだ!」

 

「よせ………疲れているんだ」

 

カウンターに腰掛けていたエルザに向かい、ナツが殴り掛かるが当の本人は乗り気ではない

 

「行くぞゴラァァァ!!」

 

「やれやれ………」

 

聞く耳を持たないナツに呆れていたエルザであったが彼の消えない闘志に感化されたのか、立ち上がった

 

「ぐもぉっ!?」

 

勝負は一瞬。飛び掛かるナツはハンマーに殴り飛ばされ、壁に激突し、意識を失う

 

「仕方ない、始めようか」

 

「しゅーりょー!」

 

「ふむ……これは最短記録だね。0.2秒だ」

 

「男ってバカねぇ」

 

一瞬の内に決着が着いた勝負にハッピーが終了を告げ、時間を計っていたディンガが最短記録であると冷静に分析し、リアンは呆れながらも紅茶を口に含む

 

「「ギャハハハ!だせーぞ!ナツ!」」

 

「コイツは傑作だな!」

 

「そーいや、この前の賭けはどうなってんだ?アルベローナ姉弟」

 

「無効に決まってんじゃないの。賭け金は返さないよ」

 

「一度でも貰ったモノを返すのは失礼かな」

 

「正しい事を言ってるんだろうけど、間違ってるわよ?」

 

笑い転げるグレイとエルフマン、スコルを皮切りに騒がしさを増すギルド内。そして、賭けは有効なのかという質問に対し、傍若無人極まりない解答を繰り出すカナとマキナにルーシィが呆れた眼差しで突っ込みを放つ

 

「ふぬ………」

 

「どうしました?マスター」

 

その中、船を漕ぎ始めたマカロフに気付いたミラが声を掛けた

 

「いや……眠い……奴じゃ…」

 

刹那、マカロフの発言を皮切りにギルド全体が強烈な眠気に襲われた。マキナとマナツは何時の間にか準備していた毛布に包まり、完全に就寝している。そして、静寂に包まれたギルド内に足音が響き渡る

 

「ミストガン」

 

「何時見ても無愛想なヤローだな」

 

「無愛想以前に顔が分からないがな」

 

唯一、眠気に抗っていたマカロフが足音の主の名を呼べば、機械である為に魔法を受け付けないデウスとエクスが覆面に隠れている顔に難色を示す

 

「行ってくる……」

 

「これ!眠りの魔法を解かんか!」

 

リクエストボードから選んだ依頼を自分の前に置き、マカロフが出掛けようとするミストガンを叱り付けると彼は身を翻す

 

「伍、四、参、弐、壱」

 

霧に消え行きながら、カウントを取るミストガン。完全に姿が見えなくなるとギルド内にいたメンバーたちは目を覚ました

 

「この感じはミストガンか!」

 

「あんにゃろぉ!!」

 

「相変わらず…すげぇ眠りの魔法だ」

 

「毎度毎度眠らせやがって!あのヤロー!次に会ったら、ぶん殴ってやる!!」

 

「ミストガン?」

 

「フェアリーテイルの最強男候補の一人だよ」

 

騒がしさを増すギルド内であるが、ミストガンを知らないルーシィが首を傾げるとロキが答える。ちなみにマキナとマナツ、ナツは未だに爆睡している

 

「誰も顔を知らないらしいんだ。特に博士やマナツみたいなおこちゃまは眠り魔法に弱いからね、一度も見たことないみたいだよ」

 

「あら、寝る子は育つのよ?ディンガ」

 

「ですから、マスター、それにワタシとエクス以外は顔も知らないんですよ。まぁ、覆面姿しか知らないんですが……」

 

「いや…あと三人は知ってる奴等がいる…だよなぁ?ラクサス(・・・・)フェルマ(・・・・)ガルム(・・・)

 

ディンガの補足に的外れな解答を返すリアンを見兼ねたデウスが顔を知らないと告げる。然し、エクスはギラっと瞳を光らせ、2階部分に見える三つの影に呼び掛けた

 

「はんっ…相変わらずの嗅覚だな?エクス」

 

「流石はマキナが作り上げた最高傑作(・・・・)のプロトタイプと言うべきかしらね」

 

「まぁ、所詮は二つに分割されちまった半端なガラクタだがな」

 

「違いねぇ!」

 

エクスの視線に合わせ、視線を動かした先に居たのは金髪の青年と彼の肩に腰掛ける三毛猫と足元に寝転ぶ赤い体の狼。高圧的な雰囲気を感じさせる彼の姿にルーシィは近視眼を覚えた

 

「…………なんかマキナみたい…」

 

「ルーシィ……あんなヤツと私の可愛いマキナを一緒にしないでくれるかい?彼奴はラクサス、もう一人の最強候補だよ」

 

「カナか。久しぶりだなぁ?何時以来だ、顔を見んのは」

 

ルーシィの呟きを聞き逃さなかったカナが彼女に反論する姿に、青年基ラクサスは声を掛けた

 

「気安く話しかけてんじゃないよ。アンタがマキナからガルムを奪った事を私はまだ許してない………次にそのツラを見せてみな?潰すわよ」

 

「くっ……くははははは!!相変わらずの甘ちゃんだな!父親にそっくりだぜ!」

 

「ラクサス!俺と勝負しろぉ!」

 

「ラクサス………ニィ(・・)ちゃん!帰ってたのかな!?」

 

「マジでっ!?ラクサスだ!おはよー!」

 

漸く目を覚ました寝坊助三人組。ナツはラクサスに飛び掛かり、マキナは彼を兄と呼び、マナツに至っては普通に挨拶していた

 

「ナツ……エルザに負けるテメェじゃ俺には勝てねぇよ。次いでにだ、マキナ……いい加減にその呼び方はやめろ。あと最後にマナツ、テメェは黙ってろ」

 

「ラクサス……それはどういう意味だ?」

 

「俺が最強ってことさ」

 

三人の反応に答えを返すラクサスに対し、彼女は黙っていなかった。自分を軽んじられたエルザは怒気を放ち、二階を睨み付ける

 

「降りて来い!!」

 

「お前が上がって来いよ」

 

「上等だ!」

 

二階に上がろうとするナツであったがマカロフの巨大な拳に潰され、ルーシィが目を見開く。だが、マキナはディンガと共に別の方に視線を向けていた

 

「ガルム………」

 

「はんっ……相変わらずだな?マキナ。まだ力を制御出来てねぇのかよ、魔科学と物質移動(アポーツ)みてぇな陳腐な力に頼ってる内はラクサスには勝てねぇぜ?」

 

「………そうかもね。だから、君はボクを見限った…発明に反を翻されるようじゃ、ボクもまだまだかな…」

 

「ちっ……気に食わねぇぜ…」

 

ガルムからの嫌味の籠った言葉の数々に返す言葉の無いマキナは苦笑を浮かべる。その姿にガルムは舌打ちし、遂には彼との会話を止めた

 

「ディンガ。久しぶりねぇ?未だにマキナなんかと一緒にいんの?アンタは」

 

「そういうキミこそ……趣味が悪いね?フェルマ」

 

「………どうとでも言いなさい。唯……これだけは言っておくわよ、アンタ如きがラクサスを語らないで……潰すわよ」

 

表情を変えないディンガとは裏腹にフェルマは睨みを効かせ、怒気を放つ。その姿は正に小さな獣である

 

「フェルマもS級よ。あたしやディンガとは同期みたいなもんね」

 

「ディンガはS級じゃないのね」

 

「あの子……研究一筋なのよ…」

 

ディンガとフェルマのやり取りを見ていたルーシィにリアンが同じ猫の立場から両名の立場を告げる

 

「最後にこれだけは言っておくぜ……妖精の尻尾(フェアリーテイル)最強の座は誰にも渡さねぇよ、ミストガンにもカナにもエルザにも、あのオヤジにもな………俺が最強だ!行くぞ!フェルマ!ガルム!」

 

そう言い残し、ラクサスは相棒たちと共に二階奥に消えていった。その後ろ姿を見詰め、マキナは頭のゴーグルに触れる

 

「ニィちゃん………」




復興支援の依頼を受けたマキナは相棒の一匹と二体、更にマナツとリアンを連れ、ハルジオンの港町を訪れる。そこに現れたのはまさかのエルザ?怒り爆発な彼女の真意は……

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