天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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今日から前書きであらすじを紹介していきます

マキナ「前回のあらすじ。妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……久しぶりにギルドで兄貴分のラクサスことニィちゃんと再会を果たしたんだけど、昔みたいに仲良し子よしって訳にはいかない状況に心を痛めることに……何時かは前みたいに笑い合える日が来るのかなぁ〜なんて、思ってたりするかな」

ディンガ「博士は説明が長いね。少しは簡潔に纏めたら、どうだい?」

マキナ「……むぅ。余計なお世話かな」


第二十二話 天才くん、出航する

「あ〜………最悪………何故にボクが復興支援の依頼なんかをしなきゃいけないのかな……」

 

海風に吹かれ、靡く白衣。ため息にも似た悪態を吐くのは誰あろうマキナ。彼は以前に訪れたハルジオンの港町に復興支援の依頼を受け、相棒たちと訪れていた

 

「仕方ないじゃないですか。港を半壊させた張本人なんですから」

 

「やれやれ…キミは僕の知らない間に厄介事を増やすのが得意だね」

 

「デウスとディンガが揃うと小言が相乗効果で二倍はうるさい……連れて来るんじゃなかったかな…」

 

「後悔先に立たずだ……今更、悔やんでも仕方がねぇだろ」

 

一匹(ディンガ)一体(デウス)の小言に視線を逸らすマキナ。その姿を傍観していたエクスは彼の呟きを咎める

 

「漸く、終わりが見えてきたのよ?つべこべ言わずに手を動かしなさい」

 

「がんばれー!マキナー!」

 

「…………優雅にお茶を嗜んでる奴等に応援されてもなぁ……」

 

数日間に渡る作業で終盤間近の復興支援であるがマキナは同行者である女子二人(マナツとリアン)が優雅に紅茶を嗜んでいる事に難色を示していた。最初こそは手伝っていた彼女たちだったが早々に飽き、現在に至る

 

「マキナにマナツではないか。丁度良い、お前たちも来い」

 

「「…………はい?」」

 

唐突に背後から聞こえた、自分たちを呼ぶ声に振り返る。其処に佇んでいたのは緋色の髪を靡かせ、仁王立ちする鎧姿の女性。言わずもがな、エルザである

 

「何故にエルザが?生憎だけど、手伝いは間に合ってるかな」

 

「手伝い?何の話だ。寧ろ、私が手伝いを頼みたいくらいだ」

 

「うん?話が見えないんだけど……エルザはマキナに用事があるってことなの?」

 

「ああ。お前たちは数日間に渡り、ギルドに居なかったから知らないかもしれんがナツとハッピー、ルーシィの三人が規則違反を犯した。あと連れ戻しに行った筈のグレイも戻らない」

 

規約違反という言葉にマキナたちは表情を変え、目付きが鋭くなり、魔導士としての思考に切り替わる。身内であっても規則を破る事は最大の裏切り、故にマキナとマナツも幼いながらに腹を括る

 

「依頼内容は?」

 

「悪魔の島ガルナ島と聞いている」

 

「あんのバカアニキ……どえらい依頼に手を出してくれたなぁ……」

 

「今更だよ。ガルナ島なら、この港町から行ける……直ぐに仕事を終わらせて、準備するから待ってて」

 

頭のゴーグルに触れ、考えを纏めたマキナは冷静に準備を進める。その後ろ姿を見守っていたエルザは彼に伝えるべきか迷っている話があった。其れは彼が実の兄の様に慕うラクサスの発言だ

 

『テメェのケツも拭けねぇ魔導士は必要ねぇ。アイツらがどうなろうが知らねぇよ』

 

「…………マキナ、実はだな」

 

「皆まで言わなくていいよ」

 

意を決し、伝えようとしたエルザにマキナは振り返らずに待ったをかけ、更に続ける

 

「エルザ。ニィちゃんが何を言ったかは想像出来てるよ……でもさ、目の敵にしないであげてほしいんだ……ボクにとっては大切な兄貴分だから……きっと、何時かは昔みたいに優しいニィちゃんに戻ってくれるって信じてる」

 

信じる気持ち、其れは誰よりもラクサスと過ごした時間の長いマキナだからこそ抱く純粋な想い。故に彼は内に秘めた心の声を口に出し、彼の真意を知ってほしいと苦笑した

 

「分かった……お前がそこまで言うなら、私はこれ以上の言及をしないでおこう…。其れで?移動手段は準備出来たのか?」

 

「当たり前かな。この前の魔導四輪に手を加え、陸海空の全てに特化した最新式に改造したのを物質魔法(アポーツ)で呼び寄せたよ」

 

「流石はマキナだ…では!行くぞっ!」

 

船に乗り込み、三人と二匹と二体はガルナ島に向け、出航する。その先に待つのが厄災であるとは知らずに彼等は船を走らせるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぷっ………乗り物なんか嫌い……」

 

「だらしないなぁ…マナツは」

 

ガルナ島に到着し、船を停泊させたマキナは呆れた眼差しで船酔いに苦しむ幼馴染を見る

 

「然し……マキナは船酔いをしないのだな。何か理由があるのか?」

 

「ボクの場合は力の切り替えをしてるからね、今は純然な魔科学者だよ。魔力の増大次第では切り替えも不要になるかもだけどね」

 

純粋な力とは呼べないが滅竜魔法を使うマキナが乗り物酔いしていない事をエルザが意外そうに問えば、彼は力を切り替えているからと答えた

 

「ほう…そういうモノか。それでだ……一先ずはナツたちを探す為に別行動を取ろうと思うのだが……組み分けはどうする?」

 

「………うーんと、取り敢えずはハッピーとルーシィを探せばいいと思うから……ディンガとリアンは飛んでくれる?」

 

「「あいさーっ!」」」

 

エルザからの問いに頭の中で状況を組み立て、的確な指示を飛ばしたマキナ。それに応えたディンガとリアンは翼を広げ、飛び上がる

 

「………あい?」

 

飛び上がった先、其処には飛ぶハッピーの姿があった。目の前に現れた兄貴分と姉貴分に、彼は目を疑い、何度も自身の目を瞬きさせている

 

「ハッピー?お姉ちゃん、オハナシがあるんだけど」

 

「お、おいらはないよ……」

 

優しく笑い掛けながらも、瞳の奥が笑っていないリアンに何かを感じ取ったハッピーは露骨に目を逸らす

 

「そう……ディンガ」

 

「すまないね、ハッピー。他ならないリアンからの頼みだ。少しだけ痛いかもしれないが我慢してくれたまえよ?なーに、脳天が雷に打たれたくらいの些細な痛みが生じるだけだ」

 

「やばっ………ぐもっ!」

 

リアンに呼ばれたディンガは何処に隠していた?と言わんばかりの巨大なスパナを取り出すと逃走を図るハッピーの頭上に振り下ろした。脳天直撃の激しい痛みに目を回したハッピーの尻尾を掴み、二匹はゆっくりと降下していく

 

「博士、読み通りだったよ。飛んで直ぐにハッピーを発見して、捕獲したよ。其れで?状況はどんな感じだい?」

 

「流石はディンガとリアンだね。こっちも今さっき、マナツとエルザがルーシィを見つけたみたいだよー。それとナツとグレイはデウスに探してもらってるかな」

 

降下した先に待っていたのは、エクスに跨ったマキナ。彼は方々に散らばった仲間たちの行方をディンガに伝える

 

「ま、マキナ!アンタからも二人を説得してよ!」

 

名を呼ばれ、振り返るとマナツとエルザに連れられたルーシィが姿を見せる。体を縄で縛られた彼女にマキナの視線は冷め切っていた

 

「ボクも甘く見られたもんだね……まぁ、そうだよね。何時も適当にのらりくらりとしてるんだから……あのね?ルーシィ、如何なる組織も掟があるから、成り立つんだ……ボクたちを子どもと呼び、信頼してくれる(マスター)を裏切った奴等の話なんかに興味はないよ」

 

何時もとは違う凄みを感じさせる剣幕で正論を放つマキナにルーシィは何も言えなくなる。心の何処かでは勝手に彼ならば、何時もみたいに笑顔で流してくれると思っていた。然し、其れは彼女の思い込みに他ならなかった。彼もまた魔導士としての筋を通そうとしている、其れはマナツも然りだ

 

「マキナ。アニキとグレイは見つかったの?」

 

「デウスが探してるよ。エクス、連絡は?」

 

マナツの問いに答えながら、マキナはデウスと情報を共有可能なエクスに呼び掛ける

 

「ナツはまだみてぇだがグレイは見つけたらしい。村の資材置き場だ」

 

「だそうです」

 

「そうか。エクス!案内しろ!」

 

「だりぃが仕方ねぇな……逸れんなよ」

 

エルザの号令に、軽くため息を吐きながらも重い腰を上げたエクスの跡を追い、マキナたちはグレイの元を目指すのであった

 




グレイを探し、資材置き場に足を踏み入れたマキナたち。全てを知りながらも掟を優先する彼等にグレイは怒りを示す……その時、マキナが取った行動とは……

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