天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、遺跡でトラブルに巻き込まれたナツを見つけたボクは敵の仲間である魔導士ザルティと戦うことになり、時のアークと呼ばれる古の魔法に翻弄されることになり……」

ディンガ「ふむ、未知なる魔法を相手にするのは些かの不安が否めないね」


第二十四話 天才くん、時を斬る

「〝時のアーク〟………なかなかどうして、厄介な魔法を使ってくれるかな…!」

 

「ほーっほっほっほ!どうしました?得意の魔科学とやらもネタ切れですかな?科学者さん」

 

未知なる魔法、〝時のアーク〟を前に得意の戦法を封じられたマキナは奥歯をぎりっと噛み締める。万物には例外なく科学で解明可能な解答が存在し、科学的な解釈を用いれば、再現することも容易い。しかし、其れが〝時間(・・)〟となれば、話は別だ。時は本来、有限であると同時に瞬く間に過ぎ行く概念そのもの、故に相応の対応策などは皆無に等しいのだ。其れは普段から〝天才〟を自称するマキナも理解している、時の概念を人が超越する事は科学的に不可能であると、科学者である彼は誰よりも理解していた

 

「…………さっきの零帝だっけ?あの人の所にグレイが来たみたいだ。炎と氷……相性的には最悪だけど、二人が組めば、誰も敵わない………何故かって?超絶に強くなるからかな!デウス!単独形態変化(カンビオファルマ・ソロ)!」

 

「ワォォォォン!!」

 

近付く新たな気配に希望を見出したマキナは高らかに叫ぶ。その叫びに呼応したデウスの体は見慣れた双剣としての姿ではなく、大太刀に形を変える

 

「ほう、久しぶりに見たね……デウスの単独形態は。其れで?博士、魔力は如何程に必要かを教えてもらえるかい?」

 

巨大スパナを担ぎ、意味深な笑みで問うディンガ。その言葉の意図を瞬間的に理解したマキナは頭のゴーグルに触れ、意味深に笑う

 

「決まってるかな……腹一杯(・・・)!」

 

「了解した……スパナスラッシュ!!」

 

相棒からの解答にディンガは頷き、巨大スパナを構え、マキナに向け、斬撃を放つ。形状だけ見れば、スパナに見えるが列記とした刀剣系統の武器であり斬撃を放てるのだ、其れ即ち、マキナの魔力増大に繋がるという事だ

 

「食べたら力が湧いてきた!行くよ、制限解除(リミットパージ)………〝X(見えないもの)〟を喰らわせてあげるよ、瞬きしてると見逃すよっ!!」

 

大太刀片手に走り出すマキナ、その魔力は既に滅竜魔法に変化し、全てを斬り裂き、万物を悉く斬り刻む力を得た。科学を超越したモノが相手である以上、出し惜しみをしている場合ではないと本能的に感じ取ったのである

 

「なんですかな?その力は……もしや、其れも科学(・・)だとは言いますまい」

 

「竜を滅する斬撃の力……ボクは天才科学者であると同時に斬撃の滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)、このボクに斬り裂けないモノ、斬り刻めないモノは存在しない…!時間だろうと斬る!!一刀竜・竜災天(りゅうさいてん)!!」

 

放たれた斬撃が竜の形に変化し、ザルティを襲う。その威力は正に一撃必殺、普段は双剣故に力の分散が見られる斬撃は放つ武器自体が大太刀一振りである為に力の分散が起きずに、威力を高めていた

 

「ボク自身を支点に斬撃を放つ時に大太刀を振るう力に緩急を付け、必要最低限の力で圧倒的な力を込めた飛ぶ斬撃を生み出す。その速度は()だろうと、()だろうと容易に超えていく………〝X(見えないもの)〟が見える時……全ては終わりを告げる。瞬きしてると見逃すよ……〝X(見えないもの)〟が見えるのはこっからだよっ!!」

 

周囲に立ち込める砂塵を隠れ蓑に天高くに飛び上がったマキナは大太刀に魔力を流し込む

 

「一刀竜・竜速天(りゅうそくてん)!!」

 

力に特化した竜災天とは異なる速度特化型の斬撃はザルティの退路を消すかのように無数の飛ぶ斬撃となり、辺り一面に刃の雨を生み出す

 

「なかなかどうして……避けきれないものですな。その斬撃、斬撃竜カリバーン(・・・・・)の力ですかな?噂には聞いておりましたが、その継承者を直に見る日が来ようとは思いませんでした」

 

「知らないかな、そんな名前は。ボクはボクだ、マキナ・アルベローナ、〝妖精の尻尾(フェアリーテイル)〟の魔導士だ!お前を此処から先には行かせない!」

 

「博士!無茶だ!キミの滅竜魔法は長続きしない!」

 

「それでも………仲間が戦ってる声が聞こえて来る限り、ボクは足を止めない!〝超竜斬撃・独奏(エクストリーム・ソロ)〟!!」

 

魔力消費の激しい滅竜魔法の使用はマキナの幼い体に負荷を掛け、次第に呼吸も荒さを増していくが、仲間たちの戦う声を聞き、大太刀を握る手に力を込め、十八番とも呼べる最強技の派生版を放つ

 

「グォォォォォォォォ!!」

 

「………はぁはぁ……あとは任せたよ……ナツ……」

 

「デウス!博士を早急に退避させるんだ!魔力の限界だ!」

 

「分かりました!博士!振り落とされないでくださいよ!ディンガもしっかりと掴まっていてください!」

 

響き渡る悪魔の咆哮、島中に轟く其れに誰もが戦慄を覚えたのは言うまでない

 

 

 

 

 

 

 

 

嵐が吹き荒れ、雷が轟く何処かの渓谷、聳え立つ山の頂上に鎮座する影が一つ

 

『我が心臓を受け継ぎし、人の子よ……。貴様が覚醒を果たす時、〝炎竜王(イグニール)〟の子すらも凌駕する力を手にするのであろう………』

 

無数の傷跡が特徴的な白き竜は意味深に呟き、笑う。その名は斬撃竜カリバーン(・・・・・)。マキナの持つ滅竜の魔水晶の本来の持ち主にして、斬撃に特化したドラゴンである

 

『人の子よ…否、マキナ・アルベローナよ!竜と為れ!!』




遂に目覚めた災厄、蘇る宿敵を前にグレイは決意を固める。その生き様、正に氷の如し!

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