天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……襲撃の犯人である敵対ギルドにカチコミをかけたけど、マスターの敗北で撤退することなったかな

ディンガ「なかなかどうして…上手くいかないね」

マキナ「諦めるのは早いよー」


第三十三話 天才くんwith仲間たち、家族を見捨てない

「ディンガは包帯をありったけ用意してくれるー?あっ、デウスとエクスはこの薬草をばっちゃんにもらってきてくれるかな」

 

怪我人で溢れかえる妖精の尻尾のギルド、重傷を負ったマカロフ以外は多少ではあるが医学の知識を持つマキナの治療を受けていた

 

「大丈夫ー?ルーシィ」

 

「不安を表に出してると、良い女にはなれないわよ」

 

仲間たちを遠目に見ながら、不安そうにするルーシィに声を掛けてきたのはマナツとリアン。幼いが故に誰よりも他人の想いに敏感なのか、心配そうにマナツはルーシィを見ていた

 

「マナツ……心配かけちゃったわね……それに、リアンも慰めてくれて…ありがとう……」

 

心優しいマナツの頭を優しく撫でると、彼女は花が咲いたように嬉しそうな笑顔を見せる。如何なる時も、彼女が笑うだけで辛い雰囲気が嘘のようにギルド全体の空気が変わっていく、其れがマナツの持つ最大の魅力にして、花竜(アイドル)と呼ばれる所以なのだ

 

「でも、驚いちゃったよ。ルーシィって、お金持ちだったんだね」

 

「ハートフィリア財閥って言えば、鉄道会社の元締めみたいなもんよね……前に聞いたことがあるわ」

 

「確か……博士が何度か、依頼で鉄道のメンテナンスをしていたハズだよ。だったよね?博士」

 

「あくまでもメンテナンスだから、特に誰が依頼したなんかは気にしてなかったかな」

 

〝ハートフィリア〟の名を聞き、カナが鉄道会社である事を口にすると、ディンガが記憶の中から以前にマキナが関わった依頼に関係があったと告げるも、当の本人は忘却の彼方に忘れ去っていた

 

「隠してたわけじゃないの………だけど、家出中だから……言う気になれなくて……一年間も、あたしをほったらかしにしてたクセに……パパは……あたしを……道具としか…思ってないの……ごめん……ごめんなさい……あたしのせいで…」

 

「どーして、ルーシィが謝るのー?悪いことしてないのに」

 

「………マナツ」

 

やはり、重い空気を打ち破ったのはマナツだった。彼女はきょとんした表情を浮かべ、素直に問い掛けたのだ。彼女だからこそ出来る発言に、顔を上げたルーシィの視界には、マナツの頭に手を置くナツ、包帯片手に動き回るマキナ、何よりも見慣れた仲間たちが映った

 

「マナツの言うとおりだぞ?ルーシィ。お前はさっき、妖精の尻尾(ココ)に居たいって言ってたじゃねぇか……だったら、戻りたくない場所に戻る必要なんかねぇよ」

 

「そうだよっ!ルーシィの居場所は妖精の尻尾(ココ)だよっ!ちょっと汚いけど!」

 

「その一言は余計よ?マナ」

 

涙を浮かべるルーシィを諭す竜兄妹、その優しさが心地良く、自分にも居場所がある事を再確認する

 

「なかなかどうして……事は思っていた以上の案件かな。ネエちゃん、ミストガンとトーちゃんの居場所は?」

 

「ダメだ……ミストガンの居場所はわからないね。あのオヤジも戻るには時間がかかる……まいったわね……ラクサス、アンタに頼むのも癪だが……力を貸しな」

 

考えを纏めながらも、更なる戦力増強を図りたいマキナは、(カナ)に二人の〝S級魔導士〟の居場所を尋ねる。しかし、返ってきた答えは望まない答え、一方でカナは水晶に映る同期に声を掛ける

 

『俺には関係ねぇな………勝手にやってろよ。ジジイのケツを拭くなんざ、ゴメン被るぜ。ああ……そうだ、俺とヨリを戻すんなら、考えてやってもいいぜ?ほら、さっさと言えよ……なぁ、おい……なんとか言えよっ!カナ!』

 

「ナントカ」

 

『あ?』

 

マカロフを蔑むだけではなく、カナに復縁を迫るラクサスにマキナの中で何かが変化し、冷たい眼差しを向ける

 

「ニィちゃん……いや、ラクサス(・・・・)なんかに頼らなくていいよ。これはボクたちの問題だ」

 

『………ちっ、勝手にしやがれ』

 

本心であるかは誰にも分からない、兄と慕い続けたラクサスを拒絶する態度を見せたマキナに誰もが息を呑んだ。弟分からの拒絶に思う所があるのか、悪態を吐き捨てた後にラクサスは通信を切断した

 

「マキナ…………大丈夫かい?なんなら、姉ちゃんが」

 

「分かってるんだ……ホントは……今のニィちゃんには何を言っても無駄だって………それでも……やっぱり……ボクの中では………ニィちゃんはニィちゃんだから………キライになんかなれない……、だからさ、今はボクたちでどうにかしようよ。ルーシィは大切な仲間だからねー」

 

「そうね」

 

兄貴分の真意が理解出来ない本心を口にしながらも、彼を信じている想いを漏らす。白衣の袖で涙を拭い、頭を優しく撫でるカナの胸の中で、取り繕ったようにけらけらと笑う

 

「こうなったら!私が!」

 

「やめな!ミラ!今のアンタには無理だ………例え、〝元S級魔導士〟だとしてもね」

 

名乗りをあげたミラをカナが咎め、今の彼女には荷が重いと告げる。かつて、マキナと本格的にコンビを組む前にカナはミラと組んでいた時期があった、しかし、今となっては其れも過去なのだ

 

「………おい!なんか音がすんぞっ!!デケェのが近付いてきてやがるっ!!!」

 

最初に反応したのは野生的な勘が誰よりも鋭く、獣と同スペック並みの聴覚を持つスコルだった

 

「ウォーレン!エルザに念話を!スコルとエルフマンはルーシィを護るかなっ!!」

 

状況を瞬間的に整理したマキナは的確な指示を飛ばし、仲間たちを適材適所に送り込む。頭脳派である彼だからこそ可能な司令塔役に逆らう者は居らず、割り振られた場所に向かっていく

 

「……………大変だ!歩く家が!!ギルドに加入しにきた!!」

 

「「そうじゃねぇだろ!!!」」

 

唯一人、見当違いの解答を導き出したマナツに御約束の全員突っ込みが放たれる。そして、更に今回は新たにもう一名が存在した

 

「動くギルド…………スゴい!なにあれっ!どういう仕組みかな!不思議(ワンダー)にもほどがあるよっ!」

 

「「オメェもかよっ!!!」」

 

きらきらと瞳を輝かせるマキナに全員突っ込みが放たれる。しかし、直ぐに思考を切り替え、ゴーグルに触れたマキナは目を疑うモノが視界に入り、両目を見開いた

 

「どうして……あんなのがっ!!」

 

「おや…魔導収束砲(ジュピター)だね」

 

「まぁ、怖い」

 

「冷静に解説してる場合じゃないかなっ!!全員ふせてっ!!エルザっ!!」

 

「言われずともっ!ギルドはやらせんっ!!」

 

冷静なディンガとリアンを押し退け、マキナは砲台の前に躍り出る。呼び掛けに応えたエルザも同様である

 

物質魔法(アポートマジック)!!発明No.0037!銀造形棒(シルバーロッド)!!モード・シールド!!」

 

「換装!!金剛の鎧!!」

 

瞬時に銀色の棒を出現させたマキナは捏ねくり回すと盾を創造し、エルザは盾を装備した鎧に換装する

 

「まさか受け止めるつもりかっ!?」

 

「よせっ!マキナ!エルザ!死んじまうぞっ!!」

 

「マキナ!」

 

「エルザ!!」

 

巨大な砲身を前に受け止めようとするマキナとエルザ。その姿にマナツとナツが叫ぶが時は既に遅かった

 

「「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」」

 

集束されたエネルギーを真正面から、受け止めたエルザは鎧が剥がれ落ちるほどの衝撃を受け、マキナは建物の壁に叩き付けられる

 

「エルザ!!マキナ!!」

 

「ナブ!マックス!直ぐに担架の準備をしてくれるかいっ?!ビジターとワカバはエルザに肩を貸してあげてくれっ!」

 

「マキナ!しっかりしてよっ!マキナってば…!!」

 

「あんにゃろう…!」

 

即座に指示を飛ばしたのはディンガだった。普段は呑気な彼も、今回ばかりは慌てており、マキナに駆け寄り、マナツが涙目で彼を揺すり、スコルはぎりっと奥歯を噛み締める

 

『二度は言わないから、よく聞け……マカロフ、エルザ、そしてマキナも戦闘不能………もう貴様らに凱歌はあがることはありえねぇ…………ルーシィ・ハートフィリアを渡せ……今すぐにだ!!!』

 

「ふざけんなっ!」

 

「誰が渡すかっ!!」

 

「仲間を差し出すギルドがどこにあるってんだ!!!」

 

拡声魔法越しに響き渡るファントムのマスターであるジョゼの声にアルザック、ビスカ、マカオが吠える

 

「ルーシィ………行かなくていいよー……ボクたちは…仲間(家族)を絶対に見捨てたりしない……だから、キミを死んでも渡さないっ!!」

 

「マキナの言うとおりだ……仲間を売るくらいなら、死んだ方がマシだぁっ!!」

 

「オレたちの答えは変わらねぇ!!お前等だけは………!!」

 

仲間、家族、そう呼ぶマキナとエルザ、ナツの優しさにルーシィの瞳から涙が溢れる。大切な居場所、誰も自分を見捨てない、仲間と呼んでくれる、それだけでルーシィは嬉しかった

 

「「心火を燃やしてぶっ潰す!!」」




妖精とファントム、二つ二大勢力は打つかる時、新たな化学反応が生まれる……その顛末とは!

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