天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……ファントムの幹部である打撃竜の滅竜魔導士のセイランと造形魔導士のアマノと激戦を繰り広げたかな」

マナツ「だけど!アタシとマキナのコンビネーションで大勝利!」

リアン「頑張ったわね、えらいわよ。マナ」

ディンガ「博士の滅竜魔法は敵の血が飛び散るのが幻想的だね、素晴らしいよ」


第三十六話 天才くん、喧嘩友達が出来る

「セイラン………聞いてもいいかな」

 

「…………好きにすりゃいい……俺は負けたんだからな……」

 

瓦礫に腰掛けたマキナは風で白衣を靡かせ、倒れていた敵だった筈のセイランに声を掛ける。敗北した自分に拒否権は無いと、徐に立ち上がったセイランは好きにしろと答えを返す

 

「キミは何処で…滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を手に入れたのかな。ボクはトーちゃん……いや、ギルダーツ(・・・・・)に拾われた時から心臓に埋め込まれてたみたいなんだ。キミもそうなのー?」

 

かつて、マキナはカナの父親であるギルダーツに拾われ、養子という形で彼の息子になった。カナも彼を受け入れ、今では実の姉弟よりも深い絆を持つ最高の家族となっている。しかし、マキナ自身は知りたかった。自分が誰なのかを、本当は何者なのかを、だからこその問い。同じ理由で滅竜魔法を使用するセイランならば、手掛かりを握っているのでは?と感じたのだ

 

「…………この力は両親の形見だ、昔の俺は体が弱くてな……小さい頃はベットの上から動くことも出来なかった……そんな時だ、オヤジとオフクロがコイツを俺に埋め込んでくれたのは………それからは、体がウソみてぇに軽くなってな。外を自由に走り回れるようになったんだ」

 

左胸に手を当てながら、セイランは当時を懐かしむ様に想い出を口にする。求めていた答えとは異なるがマキナは耳を傾けていた

 

「でもなぁ……そんな幸せも長くは続かなかった……」

 

「どうしてー?」

 

染み染みと呟くセイランに、マキナは頭のゴーグルに触れると能天気な声で問いを投げかける

 

「滅竜魔法の魔水晶(ラクリマ)を狙った闇ギルドに襲撃されて、両親が死んじまってな。そっからは生きる為にファントムの門を叩いて、今に至る」

 

「最後の部分すげぇ端折ったかなっ!?」

 

深刻な話題に耳を傾け続けていたマキナであったが最後を盛大に端折ったセイランの良い加減さに突っ込みを放つ

 

「にしても……明日から、どうするかだよなぁ……ギルドはどっかのバカどもに壊されちまったしなぁ」

 

「………先に壊した奴等に言われたくないかな……アレを作り直す為にボクが駆り出されるのは火を見るよりも明らかかな…だからせめて、手伝うかな」

 

「ああ!?なんでだっ!だったら!ウチも直せやっ!!」

 

「イヤに決まってるかな!?というか壊しといて、その態度はおかしいかな!!やっぱりキライだ!お前!」

 

和やかな雰囲気は何処へ?と言わんばかりに、言い合いを始めるマキナとセイラン。その様子を見ていたマナツは軽くため息を吐く

 

「全くもう………マキナは……それで、アマノはどうするのー?」

 

「そうね……少しだけ……アンタの言ってた想いってヤツについての理解を深めることにするわ…だ、だから…次に会った時は……友達になってあげなくもないわ……」

 

「わあーっ!ホントにー!?同年代の友だちが前から欲しかったんだー!待ってるね!約束だからねー?」

 

「うん…」

 

花が咲いた様に笑うマナツの優しさにアマノの中に渦巻いていた闇が透き通るように晴れ、彼女は心からの笑顔を向けた

 

「約束を破るとどうなるかを決めておくべきかな。例えば、針千本を目玉に突き刺すとかねー」

 

「博士?それはエグいよ、さすがに。取り敢えずは折衷案として、針千本を丸ごと口に放り込むとかにするべきだよ」

 

「マキとディンガは相変わらずのエグさね」

 

「物騒な自覚がないんですよね……博士とディンガは…」

 

「いや、アホなだけだろ」

 

物騒な発想を口にするマキナとディンガに引き気味のリアン、デウスとエクスを見ながら、セイランは空を見上げる

 

(こういう甘いギルドも悪くねぇのかもな………)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こりゃあまた……派手にやられたのう……どうじゃ?マキナよ、前の様に元通りに出来るか?」

 

「一応は頑張ってみるけど、期待はしないでもらいたいかな。なかなかどうして……何時もの壊れ方とは違うから、時間は掛かるかな」

 

「そうか……それで?どうした、ルーシィ」

 

盛大に大破したギルドを前に修復作業を監督するであろうマキナの意見に首を振った後、マカロフは背後に立つルーシィに呼び掛ける

 

「あ、あたし………」

 

「ルーちゃん」

 

何かを言おうとしたルーシィの声を遮ったのは、聞き覚えのある声。大切な親友の声に彼女は振り返る

 

「みんなで掴んだ大勝利なんだよ?だから、ルーちゃんがそんな顔をしないで」

 

振り返った先に居たのは、傷だらけではあるが歩けるくらいには回復したレビィの姿。その隣にはジェット&ドロイ、リーダスの姿もあった

 

「そうだ、ギルドは壊れちまったけどな」

 

「大丈夫だって、ギルドの一つや二つくらいマキナがどうにかしてくれんだろ。天才だからな」

 

「ウィ………ルーシィ、守れなくて……ゴメン…」

 

「レビィちゃん……ジェット……ドロイ……リーダス……良かった…」

 

傷だらけになりながらも優しい言葉を掛けるレビィたちにルーシィは両眼に涙が溜まっていく。悪いのは自分、自分のせいで、そう思っていたのに、優しさを向けられては、謝るにも謝れない

 

「ルーシィよ……楽しい事も、悲しい事も、全てとまではいかないがある程度までは共有できる………それがギルドじゃ。一人の幸せはみんなの幸せ。一人の怒りはみんなの怒り。そして一人の悲しみはみんなの悲しみ。自責の念にかられる必要は無い。君にはみんなの心が届いてるはずじゃ。顔を上げなさい」

 

暖かく、優しく、胸に響く言葉。マキナの言った意味が今ならば理解できる、彼がマスターと呼ばれる理由が、親と慕われる理由が。そして、彼は振り返ると優しい笑みを浮かべる

 

「君は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一員なんだから」

 

その優しい言葉にルーシィは大声で泣く。ようやく見つけた自分の居場所、其れは名前に似つかわしくない問題児だらけの居場所かもしれない。しかし、ルーシィは初めての居場所に涙が止まらない、仲間たちが見守る中で、彼女は泣き続けた

 

「でも……暴れたからには其れなりのリスクは伴うことは明白………ネエちゃん、とんずらするのが一番かな」

 

「ナイスアイデアだ!流石はマキナ!じゃあ、私たちは今日からフリーの魔導士になろうじゃないかい!てことで…おさらばだ!」

 

「おやおや、またとんずらかい?」

 

「仲間云々はどうなったんですかっ!?」

 

「今更だろ」

 

騒ぎが騒ぎなだけに逃亡を図る不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)。誰もがルーシィと更に何故かは不明だが涙を流すマカロフに視線を向けていたが、その走り去る姿を見逃さない者がいた

 

「あっ!マキナとカナが逃げた!あとディンガたちも!」

 

「なっ!あんにゃろう!折角の感動を台無しにする気かっ!?追え!」

 

マナツが声を挙げた事で一気に魔導士たちの視線が彼等に向き、誰もが去り行く背を追いかける

 

「ホントに………退屈しないギルドね……」

 

「あら枝毛」

 

「あい、枝毛はしつこいです」




大破したギルドを立て直そうとしていたマキナたちであったがルーシィの姿が見当たらないことに気付き、探しに向かうが………

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