天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……ルーシィの奪還に成功し、更に回復を果たしたレビィたちにも再会したかな」

ディンガ「やれやれ、一件落着だね。しかし……ギルドはどうなるんだい?」

マキナ「其れは設計図を書くから、待っててねー」


第三十七話 天才くん、設計士になる

「ナツはそっちの木材を運んでくれるかな。ナブは石材をあっちに、グレイはその木材をあの辺に、あとバカ猿はあれを全部」

 

ファントムとの激闘から一週間、評議員に事情聴取を受けはしたが評議は結果待ちという形に落ち着き、現在は魔導士全員がギルド再建に駆り出されていた

そして、言わずもがなであるが中心で設計図を片手に指示を飛ばすのは白衣を靡かせるゴーグルの少年、マキナ・アルベローナである

 

「ああっ!?出来るかボケェ!!遠慮をしらねぇのかっ!!」

 

「はんっ……その程度も出来ないかな。あっ!そうか〜バカには無理なんだぁ?」

 

「ああん?上等じゃねぇかっ!木材だろうが、石材だろうが運んでやろうじゃねぇかっ!!」

 

喧嘩を売られたスコルは周辺に置かれていた木材と石材を持ち上げ、所狭しと走り回る。その姿に触発されたナツがグレイに喧嘩を売り、大量の木材を持ち上げる

 

「どうだ!クソ炎!!」

 

「俺の方がすげぇぞっ!カチコチパンツ!!」

 

「よし、これでボクは動く必要がなくなったかな」

 

「ふむ…博士は誘導が上手いね。スコルを煽ったのも計算だったのかい?」

 

「当然かな、天才は爪も隠さない。ボクに不可能はないよー」

 

全てが計算通り、目的の為には手段も選ばない天才少年は何時もの様にけらけらと笑う。今更ではあるが、ファントムとの戦いで彼が敵側の立場に居なかった事に誰もが安堵感を示したのは言うまでもない

 

「う〜ん……この草は食べられるのかなぁ?」

 

「あのね?マナ。野草は食べちゃダメよ」

 

その中で、ギルド跡地に生えた野草に興味を示したマナツにリアンが念を押す。数えきれない前科がある彼女の食生活を正すべきだと痛感したのだろう、ジト目を向ける

 

「え〜……だって、野菜買えないんだもん!ちょっとは生活の足しにしたいよー!」

 

「ダメよ。またお腹を壊すわよ」

 

「むぅ………じゃあ、リアンの茶葉は食べていいー?」

 

「茶葉も直接はやめなさい」

 

「えー!お腹すいたよぉ〜!」

 

駄々を捏ねるマナツを前に流石のリアンも呆れ、頭を抱えていた

 

「マナツ。労働の後に食べる野菜は格段に美味いかもしれんぞ?」

 

「ホント!?じゃあ!がんばるー!リアンもやろーよ!」

 

「はいはい、走らにゃいの………で?エルザの格好はにゃに?」

 

空腹は最大の調味料とはよく言ったモノだ、マナツは急に元気になり、木材片手に走り出す。その姿に苦笑していたリアンは、土木作業の服装に身を包んだエルザに視線を向ける

 

「当たり前だ、我々の家を建て直すだからな。気合いを入れるのは当然だ」

 

「たまにエルザが理解出来ないわね……」

 

「今更だよ、彼女は昔から変なところがあるか----博士?白衣はどうしたんだい?」

 

気合いの入ったエルザに呆れるリアンの背を叩いていたディンガは、自分の相棒がトレードマークの白衣を着ていない事に気付く

 

「設計士!この角材は何処に?」

 

「ああ、其れは監督のトコ」

 

エルザに設計士と呼ばれたマキナの姿は作業着にヘルメットを着用し、普段は頭の上にあるゴーグルは目の位置に装着されていた

 

「監督って誰でしょうか……」

 

「マスターだろ」

 

「マキもたまに変よね」

 

「そうは言ってもマナツも着ているよ?」

 

「いつの間にっ!?」

 

作業着姿のマキナの隣には何時の間にか作業着に着替えたマナツの姿があった。まさかの相棒の行動に流石のリアンも両目を見開き、突っ込みを放つ

 

「てかよ、んだぁ?この設計図は」

 

「うふふ、せっかくだから改築したいってマスターがね。マキナも建て直すよりは良いかもって意外にも乗り気だったのよ」

 

「徹夜で書き上げたみたいね、にしても……流石は私の弟だね!建築学にも詳しいなんて!姉ちゃんは誇らしいよっ!」

 

事前にマキナがボードに貼り付けていた完成図を見ていたスコルが呆れた様に呟けば、其れを聞いていたミラとカナが事の発端を告げる。唯、カナだけは弟の博識振りを自慢したいが故の発言である

 

「あらあら、カナはマキナに甘いわね。でもわかるわ、弟って可愛いわよね?」

 

「流石はミラだ。どうだい?今夜は弟について語り明かすってのは」

 

「楽しそうね」

 

「エルフマンはその木材をあっちに」

 

「おうっ!任せろっ!ウォォォォ!漢ォォォォ!!」

 

姉たちが盛り上がる隣では弟たちが設計士と作業員の関係性を築いていた

 

「そーいやよ、オメェがぶっ飛ばしたあのセイランってヤローはどうしたんだ?」

 

「どうしたかは知らないけど……案外、仲間になってくれるかもねー、お前とおんなじくらいにバカだからキライだけど」

 

「ああんっ!?テメェよりも俺の方がキライだっ!なんなら、今すぐに埋めてやろうかっ!あとバカじゃねぇ!筋肉バカだっ!」

 

「ふっ……これだから学習能力のない奴は…」

 

「鼻で笑うな!もやしゴーグル!!」

 

「誰がもやしだっ!?やんのかっ!!」

 

「あーあ……またやってるよ」

 

「男ってバカね」

 

何時もの言い合いに発展するマキナとスコルを横目で見ていたマナツは苦笑し、リアンは冷たく吐き捨てる

 

「…マナツ……」

 

「あり?どしたのー?ロキ」

 

昼休憩の時間に差し掛かり、労働からの食事の有り難さを感じていたマナツに呼び掛けたのは、ロキだった

 

「コレをルーシィに渡しといてくれるかな?」

 

「鍵ー?」

 

「ルーシィのだ」

 

「わかった!まかせてよー!」

 

「あらやだ、すごい隈よ?マキに診察してもらいなさい」

 

差し出された鍵を受け取り、花が咲いた様に笑うマナツ。その隣で紅茶を嗜んでいたリアンはロキの異変に気付き、マキナに診察してもらう様に促す

 

「遠慮しておくよ………大したことないからね」

 

「そうなの?だっら、構わにゃいけど無理はしちゃダメよ」

 

「ああ……肝に銘じておくよ……」

 

体をよろめかせながらも去り行くロキの異変、其れにマキナは大量の料理を頬張りながらも気付いてはいたが見ない振りをした。仲間を見捨てないと言った手前、なぜ?と思うかもしれないがマキナは以前にロキを診察しようとしたことがあったのだ

 

「なかなかどうして……複雑なんだよねぇ……ロキは……さすがに〝星霊(・・)〟相手は無理かな、ボクも」

 

彼だけが知るロキの秘密、他言無用と口止めされていた手前、誰にも語らなかったがマキナは密かに研究を行っていた、未だに身を結んではいないが、何時かはロキを救いたいと考えていた

 

「おーい!マナツ!それなんだ?」

 

「あっ!ナイスタイミング!アニキもいこーよ!ルーシィの家!」

 

「おお!たまには良いな!遊びに行くか!」

 

「よし、お姉さんに付いてきな。マキナもね」

 

「ネエちゃん、話の脈絡が無さすぎるかな」

 

「ハッピーも来るわよね?」

 

「あい!」

 

「おやおや、これは僕も行く流れかい?仕方ないね」

 

「仕方ねーな、元気付けてやるか」

 

「そーいや前に食べたアイスが余ってたな、もらいに行ってやるか」

 

「貴様等!!どこに行くつもりだぁ!!!働けぇ!!!!」

 

次第にルーシィの家に向かう為に集まり出す何時ものメンバー、その様子に気付いたエルザが怒号を張り上げた瞬間に蟻の子を散らすように彼等は駆け出した

 

 

 

 

 

 

 

 

「あり?ルーシィはー?」

 

「見当たらないわね」

 

「もしかすると……ガジルに串刺しにされてるかもしれないねー」

 

「いやいや、セイランにボコボコにされた可能性も捨て難いよ」

 

「発想がエグいんだよっ!!オメェ等はっ!!」

 

ルーシィの家に到着したが彼女の姿は無く、マナツとリアンが辺りを見回す中、物騒な発想を口にするマキナとディンガにスコルが突っ込んだ

 

「ま、まさか風呂場にいるってパターンか!?お約束の展開なのかーーっ!」

 

「冷蔵庫にはいなかったよ、代わりにワインはあった」

 

「何処を探してるんですかっ!?カナはっ!」

 

「風呂にもいねぇ」

 

「ラッキースケベは無しみてぇだ」

 

「ナツとエクスも女性の部屋でなにをっ!」

 

「つーか!確認が早いわっ!!」

 

辺り構わずに探し回るカナ、ナツとエクスにデウスとグレイが突っ込みを放つ。最早、不法侵入も手慣れたものである

 

「ルーシィ〜どこー?うわっ!!」

 

「ハッピー!大丈夫?全くもう、お姉ちゃんに心配をかけちゃダメよ」

 

「あい……」

 

「ふむ……これは手紙かい?」

 

ルーシィを探していたハッピーが戸棚を開けた瞬間、大量の紙束と共に落下してきた事にリアンが優しく彼を抱き起こす。そして、ディンガは足元の紙束に興味を示し、拾い上げる

 

「宛先はレイラ・ ハートフィリアになってるかな……おかしいな、確か何年も前に彼女は亡くなったハズかな」

 

「えっ?じゃあ、コレは届かない手紙ってことかっ!?」

 

「なんでそんなのがたくさんあるのー?」

 

既に亡くなった人に宛てられた手紙、其れは返事が来ない手紙。其れを聞き、ナツは驚き、マナツは疑問符を浮かべる

 

「………ナツ、マナツ。誰にでも聞いてもらいたいことはあるもんよ。でもね、其れが生きている誰かにとは限らない……私も偶に亡くなったお母さんに手紙を書いてる時があるから、分かるんだ」

 

「初耳かな」

 

「勿論!書いてるのはマキナが如何に天才なのかってことだよ!」

 

「ネエちゃん!」

 

先程までの深刻な空気を遥か彼方に吹き飛ばすかの様に姉弟愛を確かめたカナとマキナは抱き合う

 

「あん?どうしたぁ?エルザ」

 

「ルーシィの書き置きのようだな………〈家に帰る〉だそうだ」

 

「「なにぃぃぃ!!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ママ………あたしね、ギルドに入ったの……沢山の仲間たちが……家族ができた……暫くは来れないかもしれないけど……安心して」

 

母の墓の前で花束を手にルーシィは呟く様に語りかける。此処に来るまでに父親に初めての反抗をしたが、彼女は後悔していなかった。何故なら、自分は出会えた、最高の仲間たちに、家族に出会うことが出来た

 

「「ルーシィ!!!」」

 

「えーーーーーーっ!!!?ナツにマキナっ!?それにマナツたちもっ!」

 

予想もしていなかったマキナたちの登場にルーシィは驚愕し、彼等の名を呼ぶ

 

「五体満足で安心したかな」

 

「八つ裂きを期待していたんだけどね」

 

「発想がエグいわっ!!」

 

「ルーシィのツッコミが安心するー!スコルはバカだから信用出来ないもん!」

 

「あんだと!?絶壁!!」

 

「絶壁じゃない!!おバカスコル!!」

 

「あ〜もう、ケンカしないの!ちびっこたち!」

 

先程までの深刻な空気が吹き飛ぶ賑やかさにルーシィの顔に笑顔を戻る。その様子にマキナたちも満足そうに頷く

 

「ママ………紹介するね、この人たちがあたしの仲間たち………妖精の尻尾(フェアリーテイル)の家族だよ」

 




半壊状態のギルドで遂に仕事が再開!しかし、其処に姿を見せたラクサスが非常な一言を言い放つ……兄貴分の言葉にマキナは何を想う?

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