天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナを活躍させたいが故に原作との違いがあります、ご容赦ください。尚、ヒロインの登場は次回に持ち越しとなります


第二話 天才くん、パーティーに乗り込む

「博士。情報によれば、火竜(サラマンダー)を騙る輩は妖精の尻尾(フェアリーテイル)の看板を勝手に名乗っているみたいです」

 

「あと最近、この港町から女が姿を消したりしているみてぇだ」

 

「御苦労さん……」

 

夜風に白衣を靡かせ、頭のゴーグルを触るマキナ。その姿は昼間とは打って変わり、小柄な体型に削ぐわない大人っぽい雰囲気を醸し出していた

 

「マキナ………今のはホントか?」

 

「らしいね。どうする?」

 

話を聞いていたナツが問い掛ければ、彼は意味深に笑みを見せ、逆に問い返す

 

「行くぞっ!………うぷっ……」

 

「はぁ………お願いしても?ハッピー」

 

「あい!」

 

決意新たに飛び出そうとするナツであったが場所が船上であると知り、先行きは前途真っ暗になる気がしながらも、マキナはナツを引き摺り、夜空に飛び立った

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルーシィか……良い名前だね」

 

その頃、何も知らないルーシィは火竜(サラマンダー)主催の船上パーティーに参加していた。大勢のドレスを着た女の子たちが、食事や酒を楽しんでおり、ルーシィは特別部屋で火竜(サラマンダー)と酒を酌み交わそうとしていた

 

「先ずはワインで乾杯といこう。口をあけてごらん。ゆくっりと……葡萄酒の宝石が入ってくるよ」

 

(ウザいんですけど!!)

 

注がれたワインが空中で粒状になり、ルーシィの口に触れようとした瞬間。何かに気付いた彼女はワインを払い除けた

 

「冗談ではすまされないわよ?これは睡眠薬よね」

 

「ほう?よくわかったね」

 

「勘違いしないで……あたしは妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入りたいけど、アンタの女になる気はないのよ」

 

敵意を持ち、自分を睨み付けるルーシィに火竜(サラマンダー)の顔が歪む。まるで品物を品定めする様に下世話なモノに変貌していく

 

「大人しく寝ていれば痛い目にあわずにすんだのに……此処はな、奴隷船だよ。ボスコに着くまで大人しくしてな……おい、お前等!その女を取り押さえろ!おい!聞こえないのか!」

 

「あー無理無理。アンタの仲間たちなら、とっくの昔に戦える状態じゃないよー」

 

火竜(サラマンダー)がルーシィを捕らえる様に部下に指示を出すが、返ってきたのは幼さを感じさせる声。何事だ?と思い、視線を動かせば、其処には白衣の少年が佇んでいた

 

「ひ……昼間のガキっ!?」

 

「そだよ。其れからもう一人……あれ?ナツは?」

 

「あい!船酔いです」

 

「おぷ………駄目だ……やっぱ無理」

 

「えーっ!かっこわるー!!というか!マキナ!こんなとこに来たら、危ないわよ!」

 

「説教はあとにしてよ。ハッピー」

 

「あいさっー!」

 

船酔いに苦しむナツに突っ込みを放ちながらも自分を心配するルーシィにマキナは軽口を叩きながらも、彼女の脱出を促す為にハッピーに呼び掛ける。するとハッピーの背から、翼が生え、彼女を掴み、船の天井を突き抜け、飛び上がった

 

「ハッピー!?羽なんかあった!?アンタ!」

 

「細かい話は後回し!今は逃げるよ!」

 

ハッピーの変化に驚くルーシィに対し、冷静な彼は彼女を掴み、港町まで飛び去る。一方で残されたマキナは船酔い中のナツを宥め、目の前の男を睨み付ける

 

「アンタが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士って話だけどさ………つまんないウソはやめなよ」

 

「ああ!?ガキが一丁前に何を言ってやがる!俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)火竜(サラマンダー)だ!」

 

「だってさ、ナツ」

 

「…………よォくツラみせろ」

 

頑なに自分は火竜(サラマンダー)と騙る男に呆れたマキナが匙を投げ、ナツに呼び掛けると彼は上着を脱ぎ捨た後、彼の顔面を殴り付けた

 

「俺は妖精の尻尾(フェアリーテイル)のナツだ!!お前の顔なんか見た事ねェ!!」

 

「同じくボクはマキナ……妖精の尻尾(ウチ)の看板を騙るってことはだ、ボクたち全員を敵に回す覚悟があるんだよね?」

 

怒り顔のナツ、笑顔であるが瞳の奥が笑っていないマキナ。その様子を上空から見ていたルーシィは驚いた

 

「ナツとマキナが妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士!?」

 

「ぼ、ボラさん……こいつら本物だ………!!」

 

「あの紋章…確かに……妖精の尻尾だ……」

 

ナツの肩に、マキナの首筋に刻まれた魔導士ギルドの紋章。しかも、其れはフィオーレ王国でも最強と呼ばれる妖精の尻尾(フェアリーテイル)の紋章だった

 

「ば、その名前で呼ぶな……!」

 

「ボラ……ボラ……ああ、盗みを繰り返した小物魔導士かぁ〜。確か、巨人の鼻(タイタンノーズ)を追放されたのがそんな名前だったのを思い出したよ」

 

「オメェが悪党だろうが……善人だろうが関係ねぇがよ」

 

「これだけは言わせてもらうね〜」

 

対照的な態度の二人はボラを見据え、彼を睨み付ける

 

「「妖精の尻尾(フェアリーテイル)を騙るのは許さねェ!!」」

 

「ごちゃごちゃとウルセェ!!ガキ共!」

 

ナツとマキナの発言に逆上したボラが、魔法の炎を彼等に放つ。ゆらめく炎を前にルーシィはハッピーを振り解こうとするが、其れよりも前に二つの影が飛び込んだ

 

「博士、それにナツさん。ご無事で?」

 

「バーカ。ナツに炎が聞くかよ……其れにだ、博士がこんくらいでくたばるかよ」

 

「人をなんだと思ってんの?エクスは。それで?ナツ、この炎はどんな味?」

 

ゆらめく炎の中から姿を見せたのは、無傷のマキナと彼に付き従う二匹の狼。その背後には自分たちに放たれた炎を喰らうナツの姿があった

 

「不味い……本当に火の魔導士か?こんな不味い火は初めてだ。マキナの作った発明品の火の方がまだ美味ぇ」

 

「ありがたいね。其れはそうとナツは食事中だから、此処はボクがどうにかしようかな………物質移動(アポーツ)!!」

 

火を喰らうナツに誰もが驚く中、冷静なマキナは船の床に手を置き、体内の魔力を船全体に行き渡る様に流し込む。刹那、海原に浮かんでいた筈の船は港町に押し戻され、揺れていた筈の船内も安定を取り戻す

 

「な、なにしやがった!!」

 

「なにって移動魔法だよ。いやぁ…実を言うと、ボクはこれしか使えないんだよねー。まぁ?それを補う為に此奴等を発明(・・)したんだけど………デウス!エクス!形態変化(カンビオファルマ)!!」

 

「「ワォォォォン!!」」

 

自分が唯一、使える魔法を暴露するマキナ。然しながら彼にはその欠点を補えてしまう頭脳があった。故に彼は呼ぶ、最高傑作である二匹否二体の発明は創造主足る彼の呼び声に答え、形を二対の剣に変える

 

「デウスとエクスが剣になった!?魔法なの?これって……」

 

「魔法というよりかは科学かな。魔法を科学的な観点から理解し、解析し、生み出す新たな技術………ボクは此れを魔科学って呼んでるよ。さてとナツの方も直ぐに決着が着きそうだから………ボクも一瞬でケリを着けるねー」

 

「「な、なっ……やめっ!!」」

 

「やめないよー」

 

白衣を靡かせ、爽やかに笑う彼の姿は正に白衣の悪魔。逃げ惑うボラの部下たちを追いかけながら、次々と斬撃を飛ばす彼は正に少年の皮を被った悪魔である

 

天才斬撃(ジーニアスラッシュ)!!」

 

「技名がダサい………」

 

「あい!マキナはネーミングセンスがないんです」

 

「…………というか!ナツの方は!?」

 

見慣れない魔科学に興味を持っていたルーシィであったが、ボラと対峙していたナツが気になり、彼の方に視線を向けた

 

「こいつが本物の火竜の!!」

 

その言葉と共にナツの口から炎が吹き出す。ボラの火よりも明らかに大きく、力強く、激しい炎は全てを呑む込む

 

「ボラさん!見たことあるぞ!此奴等!片方は桜色の髪に鱗みてぇなマフラー!もう一人は白衣に深紅の癖毛!間違いねぇ!コイツらが!」

 

「本物の…火竜(サラマンダー)天才(ジーニアス)

 

ボラの部下が全てを言い切る前に、悟ったルーシィは彼等の正体に気付いた。誰かが言った火竜(サラマンダー)は手のつけられない暴れ者だと、誰かが言った天才(ジーニアス)は奇妙奇天烈な変わり者だと、然し現実は違った。片方は自分と変わらない年齢の青年、そしてもう一人は年端もいかない少年、彼等を前にルーシィは見惚れていた

 

「よーく覚えておけ!」

 

「これが……妖精の尻尾(フェアリーテイル)の」

 

「「魔導士だ!!」」

 

炎を纏った拳が、斬撃で生み出した旋風が、ボラに命中し、彼は意識を手放す。宙を舞う彼見ながら、ルーシィは唖然としていた

 

「何なの…この魔法…火で殴ったり、火を吹いたり…」

 

「竜の肺は焔を吹き、竜の鱗は焔を溶かし、竜の爪は焔を纏う…これは自らの体を竜へと変換する太古の魔法(エンシェントスペル)…滅竜魔法はイグニールがナツに教えたんだ!!」

 

「まぁ、竜が竜退治の魔法を教えるとか不可解極まりないんだけどねー」

 

「言われてみれば…!」

 

「気付いてなかったんかい!!」

 

相棒の魔法を誇らし気に解説するハッピーの隣で、何時の間にかけらけらと笑うマキナの突っ込みに矛盾に気付いたハッピーが驚愕する

 

「にしても派手にやらかしたね」

 

「怒られるでしょうね」

 

「ネエちゃんはよくやった!って褒めてくれるよ?多分」

 

「彼奴はお前に甘いからな」

 

元の狼に戻ったデウスとエクスと会話しながら、眼前に広がる崩壊した街並みにマキナは笑みを崩さないが、其処に軍隊が姿を現すのを見た瞬間にナツとハッピー、そしてルーシィの手を掴む

 

「ルーシィはボクとデウスに、ナツとハッピーはエクスに乗って」

 

「逃げるんだな!」

 

「あいさっー!」

 

「あ、あたしも!?」

 

デウスの背に跨り、ルーシィも共に逃げようと告げるマキナに彼女は驚きながらも問い掛ける

 

「だって妖精の尻尾(ウチ)に入りたいんでしょ?だったらさ、行こうよ!やりたいことはやっちゃわないとね!」

 

「だな!来いよ!妖精の尻尾(フェアリーテイル)に!」

 

「うん!!」

 

これが後に始まる伝説の序章(プロローグ)である事はまだ誰も知らない




遂に念願の妖精の尻尾(フェアリーテイル)にやって来たルーシィ。然し、メンバーはいずれも癖のある面々ばかりで………

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