天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……ああ、でも今回はあんまり関係ないかな…話的にも繋がりは無いわけだし」

ディンガ「おやおや、メタ発言かい?博士」


第四十一話 天才くん、夜空の星を見上げる

「「不思議爆閃光(ワンダーインフェルノ)!!!」」

 

チームを組んでからのある日、今日は盗賊退治の依頼を受け、デボン一家のアジトをマキナたちは襲撃していた。相変わらずのコンビネーションを発揮する不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)と圧倒的な強さを見せつけるナツたち、盗賊たちは既に虫の息である

 

「流石はマキナだね!今日もナイス不思議(ワンダー)だよ!正に天才だね、博識だね、鬼才だね!」

 

「当然かな!だってボクは天才(ジーニアス)!つまりは天才だからね!」

 

「みてみてー!リアン!なんか拾ったー!」

 

「あい!おいらもー」

 

「マナ?それにハッピー。ばっちいから触っちゃダメよ」

 

相も変わらず、(マキナ)(カナ)が褒め称えると彼は何時も通りにけらけらと笑う。その背後でアジトを物色していたマナツとハッピーが何かを拾うが、リアンは汚いから触るなと一人と一匹を咎める

 

「俺たちこんなことして……タダですむと思うなよ……デボン様が黙ってねぇぞ」

 

「あん?デボンだぁ?ソイツなら、とっくにぶっ飛ばしてやったぜ?どーってことなかったぜ!」

 

「正しくはエルザがぶっ飛ばしているが適切だけどね」

 

息を絶え絶えになりながらも、アジトを破壊された事に盗賊がボスの名を口にするが、スコルの口から放たれた一言に彼等は血の気が引き始める

 

「「「ひぃ……!!」」」

 

「逃がさないよー。物質魔法(アポートマジック)!!発明No.0077!伸縮自在の手(ワンダーハンド)!」

 

札魔法(カードマジック)!!!拘束(バインド)!!」

 

「よくやったな、マキナにカナ。こちらも片付いた所だ」

 

逃亡を図る盗賊たちをマキナの発明品であるマジックハンドが掴み、更にカナの(カード)から出現した縄で縛り上げる。その流れる様なコンビネーションを盗賊の頭を引き摺ってきたエルザが褒め称えた

 

「あっ!宝石だ!リアン!売ろう!」

 

「ダメよ?マナ。売るんじゃないわ、売りつけるのよ、その方が高値になるわ」

 

「どっちもダメに決まってんでしょ!!」

 

「うおおおっ!!暴れたりねぇ!!!」

 

「なんか壊してぇぇ!!もっと暴れようぜ!!」

 

「十分過ぎるくらいに暴れたろうがよ、オメェ等は」

 

「盗賊のアジトは修復依頼とかが来ないから、安心して粉々に出来るかな」

 

「確かに…いくら、博士が稀代稀に見る御人好しの権化とはいえ、こればかりは管轄外だね」

 

アジトを物色という名の家探しを始めるマナツとリアン、暴れ足りないと喚くナツとスコル、物騒なことを言い放つマキナを咎めるかの様に貶すディンガ。反応は様々だ

 

「ディンガは一言余計かな」

 

「まぁまぁ、宿はあと一日分の代金を払ってんでしょ?せっかくののんびりとした村だ、一泊しても罰は当たらないよ。マキナもそう思うだろ?」

 

「さすがはネエちゃん、出来る女とはネエちゃんのことだねー」

 

「あっはっはっはっ!口が達者だねー!流石は私のマキナだ!」

 

互いを褒め合うマキナとカナ、相変わらずな二人の微笑ましい関係性は今日も健在である。しかし、これで血の繋がりが微塵もない義理の姉弟であるというのだから、不思議である

 

「あー!ロキだー!おーい!ロキー!」

 

アジトを後にしたマキナたちが宿屋に続く道中を歩いていると、道の先に見慣れた背格好の青年を見つけたマナツが元気良いの声で、彼の名を呼ぶ

 

「やぁ、マナツ。今日も元気だね」

 

「うん!ロキも仕事なんだねー」

 

「仕事先で誰かに遭遇する確率は極めて低いから、珍しいかな」

 

「確かにね。その口振から察するにマキナたちも仕事?」

 

「おうよ!いまいちファンキーさには欠ける仕事だったけどな!」

 

基本的に距離感の近いマナツを皮切りに年少トリオはロキと親し気に会話に花を咲かせてた

 

「ロキ、あたしもアンタに言いたいことがあったのよ。この前は鍵を---」

 

「ルーシィ!?すまない!僕は仕事の途中だから失礼するよっ!」

 

呼び掛けも虚しく、ルーシィの姿が視界に入った瞬間のロキの逃げ足は逃亡を図る際のアルベローナ姉弟よりも早く、正に脱兎の様だったと後にディンガは語る

 

「何よアレェ〜」

 

「おいかけっこだ!よーし!負けないぞ〜!」

 

「違うと思うわよ?マナ」

 

自分を見た瞬間に逃げ出したロキの後ろ姿にルーシィは不服そうに表情を顰める。一方で状況を理解していないマナツをリアンは咎める

 

「きっと、ルーシィはロキの体に永久に消えない刻印的なものを熱した棒で刻みつけたに違いないかな」

 

「いやいや、そんなワケないじゃないか。恐らくは一夜を共にした時に目玉を抉り取ろうとしたんだよ」

 

「相変わらず、マキナとディンガの発想はエグいね。流石にルーシィが変な子だからって、そこまではしないんじゃないかい?」

 

「あたしって変なのっ!?」

 

口を開いた瞬間、安定の物騒な発言を放つマキナとディンガ。そして、カナに至っては弟たちを咎めると同時にルーシィを貶すが、自覚していないだけに彼女の方が悪質である

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんなのよ……ロキのヤツ…ムカつく〜!」

 

温泉街の宿場町として、有名な鳳仙花村。露天風呂に浸かりながら、ルーシィはロキの態度に未だに腹を立てていた

 

「ルーシィは引き摺るタイプだね……男には色々とあるのよ。私なんか付き合ってた元カレが俺様主義の碌でもないヤツだったけど、今は吹っ切れたわ……あんな男を好きになるなんて、私もあの頃は若かった」

 

「カナって……あたしと一歳くらいしか違わないわよね?確か…」

 

「細かいことは気にすんじゃないよ」

 

誰の事を言っているかは定かではないが妙な説得力を持つカナ。僅かな歳の差ではあるが男性と付き合った経験がある故に大人っぽく見えるのは気の所為ではない

 

「温泉っていいよね〜……満開だよぉ〜」

 

「ほーら、マナ。口に泡が入るとまたお腹壊しちゃうわよ?じっとしにゃさい」

 

「はぁ〜い…」

 

温泉の湯気に当てられ、のんびりとした雰囲気で項垂れるマナツの頭を人型に変化したリアンが洗髪する。姉妹にも見える微笑ましい光景は正に目の保養である

 

「始めんぞーーーっ!!」

 

「始めるってなになになぁにぃ〜?」

 

部屋に戻ったマナツたちを待ち受けていたのは、枕を抱えたナツの姿。兄の発言に何かを察知した妹は興奮気味に彼に詰め寄る

 

「何を言ってんだ!マナツ!旅館といえば枕殴りだろうが!んなこともしらねぇのかよ!」

 

「目から花弁!そっかー!枕殴りかー!」

 

「博士、枕殴りってなんだい?聞いたことないよ」

 

「言わぬが花だよー」

 

「マナもナツも子どもね。良い子は寝なくちゃダメよ?こっちに来なさい、ハッピー」

 

「あい!」

 

「くかー………ぐごー……ごがー!」

 

「スコル!いびきがうるせぇぞ!」

 

「ふごっ!?」

 

騒ぐ竜兄妹を他所にディンガとマキナは煮干しを御茶請けに茶を啜り、リアンはハッピーを寝かし付けていた。一方で激しい寝息を立てるスコルの顔面にグレイが投げた枕が命中する

 

「ふふ………質のいい枕は私が全て押さえた。貴様らに勝ち目はないぞ」

 

「質の良い枕ってなにかな……聞いたことないよ」

 

「おやおや、騒がしいね」

 

「寝る前に晩酌といくか……えーと確かこの辺りに……ぐもっ!?」

 

エルザの登場に益々の賑わいを見せる枕投げ、傍観者に徹していたアルベローナ姉弟であったが流れ弾に当たったカナが吹き飛ぶ

 

「ネエちゃん!?しっかり!誰かなっ!ボクのネエちゃんに枕を投げたふてぇヤカラは!No.00178枕投げマシーンの真髄を見せてやるっ!!」

 

「マキナ!てめぇ!発明品を使うのは反則だろうがっ!!だったら、俺も魔法を使ってやらぁ!!」

 

「卑怯だぞ!チビどもっ!こうなったら、俺も!」

 

「おめぇは服を着ろ!マナツが真似したら、どうすんだコラァ!」

 

結局は何時も通りに殴り合いに発展するマキナたち。混ざろうかと考えていたルーシィは余りにも激しい騒ぎに苦笑するしかなかった

 

「…………」

 

その騒ぎを見守る影、其れに気付いたマキナは瞬時に自らを物質移動(アポーツ)で移動させ、その影の主に側に移動すると声を掛けた

 

「…………ロキ。どう?体は」

 

寝る前の姿であるが故に外しているトレードマークのゴーグルが本来は存在する部分に触れながら、マキナはロキに問う

 

「ああ……そろそろヤバい……すまない、キミが調合してくれた魔法薬(・・・)でも、これ以上の結果は望めないみたいだ……実験材料になれなくて、申し訳ない…」

 

「材料だとは思ってないよ。ボクはキミが、仲間としてのキミが、家族としてのキミが好きだから、協力してるかな……いずれ、キミを救う人が現れるよ…近い未来にね」

 

意味深に笑うマキナの手には未来を意味する一枚の(カード)、それが何時を意味するのかは不明だが、ロキは「ありがとう」と告げると、何処かに姿を消す

 

「博士。夜の星を見上げていたのかい?」

 

「まぁね……好きなんだよ、特に獅子座が……」

 

「なるほどね……深くは聞かないでおくよ」

 

「ありがとう…ディンガ」




ロキの秘密、ルーシィの想いにマナツは何かを察知する。そこで彼女が取った行動とは……

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