天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マナツ「今回もアタシが主人公!二話連続なんて嬉しいなぁ〜!あっ!あらすじを紹介しなきゃだ!えっと前回のあらすじ!実はロキが星霊だった事実が判明!でもどうして、星霊界にいないの?カレン・リリカとどんな関係!?」

リアン「じゃあ、続きをどうぞ」


第四十三話 花竜ちゃん、消えゆく命を救う

「アタシもいく!ロキは仲間だもん!マキナ!ロキのことを教えてよ!」

 

ルーシィが部屋を飛び出し、ロキの元に向かって直ぐにマナツはマキナに詰め寄り、ロキについての情報開示を求める。幼馴染の真剣な想いに、隠しても無駄だと判断したのか、頭のゴーグルに触れ、暫くの沈黙の後にマキナは口を開く

 

「ロキの本当の名前は〝獅子宮のレオ〟、かつては黄道十二門のリーダー格と呼ばれていた〝星霊〟だよ。彼は罪を犯し、星霊界を追われた咎人……言わば、空に戻れなくなった星………ルーシィは星霊魔導士だから、彼を救える確率は高いけど、マナツが動いてどうにかなる問題じゃないかな。ここは---ぐもっ!?」

 

語られた真実、其れは星霊魔導士であるルーシィにならば解決策を導き出せるかもしれない案件。滅竜魔導士であるマナツは力になれない、そう告げたマキナを彼女は蹴り飛ばした

 

「………関係ないよ!ロキは仲間だもん!仲間が消えそうな時に何もしてあげられないなんてイヤだっ!!!そんなの……おねえちゃんが……リサーナ(・・・・)がいなくなった時とおんなじだもん!!アタシは見たくないの!!誰かが泣いてる顔なんかっ!!そんなことも分からないマキナなんかだいっきらい!!リアン!行くよ!」

 

「分かったわ……マキ、何が正しいかを決めるのはアンタ自身だけど…これだけは言えるわ。今はマナの方が正しい」

 

相棒と共に飛び出す幼馴染(マナツ)の小さな背を見ながら、マキナは頭のゴーグルに触れる

 

「博士。キミがあんな言い方をするのは珍しいね?しかもマナツを相手に」

 

「ボクだって……あんな言い方をしたくは無かったかな……。でも、天才のボクに出来ないことをマナツが出来るとは思えない……」

 

「それは違うんじゃないかい?確かにキミは科学や医学を皮切りに様々な学問の知識を持ち合わせた天才かもしれない……だが、マナツはキミとは違った意味で天才だと僕は思っている。其れは誰よりも彼女を側で見ているキミが理解していると思っているけどね」

 

「ディンガ……」

 

確かにマナツは世間知らずで無知、更に純真無垢故に疑うことを知らない誰が見ても天然を地で行くような少女。しかし、彼女の周りには何時も花が咲いたように明るく、元気で、楽しい空気が広がっている。其れを才能と呼ぶならば、彼女は誰かを笑顔にする天才、その事を誰よりも理解しているのは他ならないマキナである。相棒からの言葉に彼は頭のゴーグルに触れ、空を見上げる

 

「行くかい?博士(マキナ)

 

「なかなかどうして……敵わないかな…相棒(ディンガ)には」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ルーシィ!ロキはまだ大丈夫!?」

 

「マナツ!?」

 

滅竜魔導士特有の嗅覚を頼りにルーシィの居場所を探し当てたマナツは、彼女の姿を見つけると駆け寄っていく

 

「あたしもいるわよ」

 

「リアンも!」

 

マナツの肩から、顔を覗かせたリアンにも気付き、ルーシィは笑顔を見せる。しかし、その間もロキの体は次第に消えてはじめ、ゆっくりと彼という存在を世界から消し去ろうとしていた

 

「ロキ!大丈夫!?きたよ!」

 

「やぁ……マナツ……今日も元気だね……」

 

消えそうになりながらも、ロキは何時もと同じ挨拶をする。彼自身が自分でも、こんな状況で何を言っているのだろうと思っていた。其れでもマナツを前にするとこの挨拶するのが当たり前になっていた

 

「当たり前だよ!アタシは何時だって元気だもん!だから消えないで!もっともっとロキとたくさん話がしたいよ!お願い!」

 

何時のように花が咲いた笑顔とは掛け離れた大粒の涙を流す彼女の瞳、優しい心を持つ彼女だからこその想い。すると、ロキは力無く笑う

 

「キミは……何時も…こんな僕に話しかけてくれたね……ありがとう……キミや仲間たちがいたから……妖精の尻尾(フェアリーテイル)の日々が…楽しかった……それから、ルーシィ……最後に君のような素晴らしい星霊魔導士に会えてよかった………ありがとう」

 

「あんたは星霊界にさえ帰れたら、生命力を回復できるのよ!!!絶対に帰らせてあげるから!!」

 

「マキナの魔法薬でも無理だったんだ……僕はもう助からないよ……それに罪を犯したからには裁かれなけばならない……」

 

「マキナの魔法薬?どういうこと!?」

 

思い出を語るようにゆっくりと語るロキ、消えゆく彼を救おうと必死のルーシィ。そして、マナツは耳を疑う単語に目を見開いた

 

「僕がギルドに来て直ぐに……マキナには…星霊だと見破られてね……そこからは他言をしない代わりに彼の調合する魔法薬の被検体を任されていたんだ……勘違いしないでもらいたいけど……彼が調合していたのは、魔力の安定剤だ……僕を救おうとしてくれていたんだよ……」

 

「マキナが……どうしよう……アタシ……酷いこと言っちゃった!謝らないと!あっ!でもでも!ロキはどうしよう!?」

 

「大丈夫よ、マナ」

 

知らなかったとはいえ、幼馴染にきつい言葉を浴びせてしまったと気付いたマナツ。慌てふためく彼女の背を、相棒が優しく叩いた

 

「……リアン」

 

「マキにはあたしも後で一緒に謝ってあげるわ。だから、今はロキを助ける方法を考えましょ?それに此処でマキの確率をマナがひっくり返してみなさいよ。きっと、笑って許してくれるわ」

 

「そうかな……」

 

「そうね、リアンの言う通りよ。だから、マナツも手伝ってくれる?あたしはロキを助けてあげたいの」

 

「うん!やろう!」

 

ロキを囲み、マナツとルーシィは手を繋ぎ、自らの魔力を極限までに高める。何が起きるかは分からない、其れでも目の前で消え欠けている仲間の命を救えないことの方が彼女たちには許せなかった

 

「ダメだ……!そんなことをしたら!キミたちまで!やめるんだ!やめてくれ!ルーシィ!マナツ!!」

 

「ダメ!やめない!!アタシはもう誰も失いたくない!ずっとずっと、アニキやマキナ、ルーシィにリアンたちと一緒に冒険がしたい!!そこにはロキもいなくちゃダメなの!!罪なんか関係ない!ロキはロキだもん!アタシたちの仲間だもん!だから絶対にやめない!!」

 

「そうよ……星霊界の扉なんて、あたしたちが魔力で無理矢理開けてみせる!!」

 

「開かないんだよ!!契約している人間に逆らった星霊は星霊界には戻れない!!やめてくれ!!星霊と同化し始めてるじゃないか!!!このままじゃ君たちまで一緒に消えてしまう!!!これ以上僕に罪を与えないでくれーーーっ!!」

 

星霊との同化、其れはマナツとルーシィの存在もロキと共に消え始めていることを意味していた。其れでも、彼女たちは魔力を注ぎ込むことを止めようとはしない

 

「アタシはバカだから分かんないけど……誰かを助けることは罪なんかじゃない!!!」

 

「そんなのがルールなら……あたしが変えてやるんだから!!!!」

 

刹那、辺り一面に風が吹き荒れ、滝の水が空中に舞い上がり、満天の星空が夜の空を埋め尽くす。幻想的な光景、マナツも、ルーシィも、リアンも、ロキも言葉を失った。其れは何故か?その目の前に姿を見せた巨大な存在に目を奪われたからに他ならない

 

「ま……まさか……そんな……星霊王!!!」

 

「だれだれだぁれ〜!?」

 

「星霊王………まさか、一番エラいってこと!?」

 

「すっごいヒゲね」

 

星霊王、そう呼ばれた存在への反応は様々。ロキは驚き、マナツは両目を見開き、ルーシィも驚きを隠せない。唯一人、リアンだけは着眼点が違うが今は触れないでおこう

 

「古き友、人間との盟約において我ら………鍵を持つ者ヲ殺める事を禁ズル。直接ではないにせよ間接にこれを行なったレオ。貴様は星霊界に帰る事を禁ズル」

 

「関係ないもん!!ロキはロキ!アタシたちの仲間だよ!!」

 

「そうよ!!3年も苦しんだのよ!!仲間の為に!!!アリエスの為に仕方がなかった事じゃないの!!!」

 

星霊の王足る星霊王を前にマナツとルーシィは物怖じすることもなく、異議を唱える

 

「余も古き友の願いには胸を痛めるが………」

 

「古い友だちなんかじゃないもん!!ロキは仲間で!家族なんだ!!!何も知らないクセにロキの悪口を言うなっ!!!」

 

「そうよ!古き友?違う!ロキは!今!!目の前にいる友達よ!!!ちゃんと聞きなさい!!ヒゲオヤジ!!!」

 

「もういい!!ルーシィ!!マナツ!!!僕は誰かに許してもらいたいんじゃない!!!罪を償いたいんだ!!このまま消えていきたいんだ!!!」

 

ぶつかり合う叫び、それは星空に木霊する。優しい言葉、本当は彼女たちと笑い合いたかった。仲間たちと騒ぎたかった。しかし、自分にはその資格がない、何故ならば、罪を犯したからだ。それなのに、何故だろう、彼女たちの言葉に、声に、生きたいと願う自分がいるのは、分からない。理解できない、なのに溢れる涙が止まらない

 

「「そんなのダメ――――――!!!!!」」

 

刹那、ルーシィとマナツの周りにアクエリアス、バルゴ、キャンサー、タウロス、サジタリウスが姿を見せる

 

「仲間を想う気持ちは罪なんかじゃない!」

 

「オジサンも星霊なら、ロキとアリエスの気持ちが分かるでしょ!!」

 

異例の事態にロキは驚き、星霊王も口を噤む。しかし、膨大な魔力の消費は荷が重く、マナツとルーシィの体が揺らぐ

 

「ルーシィ!」

 

「マナ!」

 

ロキとリアンが目の前に倒れそうになる二人に駆け寄ろうと瞬間、空間が歪み、白衣が夜風に棚引いた

 

「全く………無茶するにも程があるよ」

 

頭のゴーグルに触れ、二人を抱き止めた白衣の少年は呆れたように苦笑する

 

「マキ……来てくれたのね」

 

「来ないとマナツに嫌われたまんまだからね。それで?星霊王、答えを聞かせてもらえるかな……ロキはどうなるのかな」

 

白衣の少年基マキナが意識を手放した二人に代わり、星霊王に問う。その腰には双剣が帯刀されており、事と次第によっては戦闘も覚悟していると言わんばかりの空気を醸し出している

 

「古き友にそこまで言われては………間違っているのは『法』やもしれぬな……同胞アリエスの為に罪を犯したレオ……そのレオを救おうとする古き友………その美しき絆に免じ、この件を『例外』とし、レオ……貴様に星霊界への帰還を許可スル』

 

「だってさ、ロキ。意外に話せるよ?このヒゲオヤジ」

 

「ニカッ!……最後に問う、御主は何者だ?」

 

消えゆく星霊王を指差し、ロキに何時ものようにけらけらと笑うマキナ。その姿に星霊王は問う。すると彼は頭のゴーグルに触れ、白衣を棚引かせ、身を翻す

 

「通りすがりの天才魔科学者だよ、覚えておくといいかな」

 

その言葉に、星霊王は笑うと現れた時と同じ要領で光となり消えていく。最後に「免罪だ、星の導きに感謝せよ」と言い残し、ロキの罪を許し、姿を消した

 

「マキナ………」

 

「マナツはボクに任せてよー。だから、ロキはルーシィをお願いするかな……いくよー、リアン」

 

「そうね、あとは若い二人に任せましょ」

 

背中に寝息を立てるマナツを背負い、リアンと共にマキナは歩き出す。その小さくも大きな背中をロキはルーシィが目を覚ますまで、何時までも見送っていた

 

「マキナ………ごめんね………大好きだよ……」

 

「知ってるよー」

 

「ふふっ、仲良しね」

 

寝言ではあるがマナツからの謝罪にマキナは優しく笑い、帰路に着き、自宅に向かう

 

「おや、博士にマナツ、それにリアン。おかえり」

 

「「ただいま」」

 

「ん………ただいま……すぴ………」




ロキの消滅騒動の翌日、命を繋いだロキから受け取ったのはアカネビーチのチケット!バカンス!アバンチュール!

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