ディンガ「おや、猫のレディもいらっしゃるようだね。エスコートしなくてはだ」
マキナ「リアンに言いつけるよー」
「さぁ、食ってくれ!此処はオレの行き付けでな…特にこのケミカルサラダがオススメだ」
「わぁー、なんかよく分からないけど美味しそうかな。取り敢えずはそれとあとこの肉巻きおにぎり、わたあめ、チャーハン、リゾット、ラーメン、焼きそば、塊チャーシュー、それから……」
ゴローさん馴染みの食事処にやってきたマキナたち。腹が空いているという当初の発言通りに、メニュー表を見ていたマキナは次から次へと注文していき、その全てが運ばれた数秒後には空となり、山のように積み上げられていく
「博士の胃袋は相変わらずの底なしだね」
「つーか、ブラックホールだろ。相変わらずだな」
「奢りなんですから遠慮してくださいというのは馬の耳に念仏ですかね」
「はっはっはっ、よく食べるんだな。良い食いっぷりだ!もっと食っていいぞ」
遠慮という言葉を知らないマキナの食い意地に一匹と二体の相棒たちが苦笑するのに対し、ゴローさんは追加注文の許可を出す。かなりの優しい心意気を持つロボットだ
「オイオイ!こんな所に変なガキが居やがるぜ!!!」
刹那、悪党を絵に描いたような男たちがマキナの背後から声を掛けてきた
「オイガキィ、ここはオメェ見てーなチビが来るところじゃねぇんだよ。帰って母ちゃんのミルクでも飲んでな」
典型的なまでの三下台詞を吐く男。これがナツまたはスコルならば、即座に殴り掛かる所だがマキナは違う。頭のゴーグルに触れ、男たちに視線を向ける
「残念かな、ボクの家族はネエちゃんと次いでにトーちゃんがいるだけで、母親はいないんだよー。あっ、でも…ミルクが欲しいならボクがミルク作成機を作ってあげるかな。1時間で作るから別のミルクでも飲んで待っててよー」
「「飲んでいられるかぁ!!!」」
けらけらと笑い、男たちの神経を逆撫でする。彼を単なる子どもだと思ったが故の誤算、それに気付かない男たちは苛立ちを募らせる
「テメェ、オレ達を舐めてやがるな」
「ちょっと表に出ろや」
「あー……まだわたあめ食べてないかなー」
好物にありつけずに不満を漏らすマキナは軽さ故に両側から、男たちに掴み上げられ、店の外に連れ出される
「あ、博士まだお会計済んでないですから逃げないでくださいよ」
「喧嘩だろ?何時も通りじゃねぇか」
「仕方ないさ、博士は絡まれやすいからね」
「ヤケに落ち着いてるが、アイツらはこの街でも有名なデッドサイエンスというサイエンスギルドでも有名な2人組のチームだ。あんまり良い噂は聞かねぇな」
「おや、ここにもギルドがあるんだね。しかもサイエンスか……興味深い!見物しよう」
「おい、デウス。博士の勝ちにオイル3日分を賭けてもいいぜ?」
「それは賭けにならないだろ……博士が負けるワケないからな」
サイエンスギルドと聞いた瞬間、興味を示したディンガの後を追い、デウスとエクス、ゴローさんも店の外に出る
「取り敢えずだ、あの少年の様子を見ようか」
「ですわね。エクシードを連れていましたし、他人の気がしませんわ」
その様子を側から見ていた青い髪に白いコートの青年も隣に座っていた茶色の猫と共に店を出る
「今からでも謝れば許してやるぜ?チビ!」
「俺たちはあの泣く子も黙るサイエンスギルド!デッドサイエンス所属のマーベリック兄弟!吠え面をかかせてやるぜっ!」
「御託はいいから、さっさと来なよー。お腹空いてるんだよね……ボク」
「「「「あんなに食ってたのに!?」」」」
マーベリック兄弟と名乗った男たちを前に未だに空腹を主張するマキナであったが、騒ぎを最初から見ていた客たちは驚きを隠せない
「舐めんなっ!ガキがっ!このゴムガントレットは伸縮自在!お前が逃げても、縦横無尽に我が腕が駆け巡る!」
「そして!我がプラスチックソードは尖端を加工することにより、殺傷能力を高めた斬撃の刃!」
「ふ〜ん、ゴムにプラスチックか。サイエンスギルドを名乗る割には使ってる素材が一般的なんだねー」
「笑っていられるのも今だけだ!喰らえっ!!ゴムパッチン!!兄者!」
「おうよっ!弟!プラトニックスラッシュ!!」
ゴムの原理を利用したパチンコ打ちの要領で、プラスチックソードを手にした兄貴分を打ち出す弟分。マーベリック兄弟が得意とする必殺戦法に誰もが息を呑む
「つーか…ゴムとプラスチックの攻撃って…ちゃんと攻撃になるのか?」
「拷問にすらなりませんわ」
「その拷問基準やめね?」
「……かな」
然し、其れは目の前に立つ白衣の少年を見るまではの話だ
「笑ってるな……アイツ」
「敵を前に余裕のある態度……なかなかの大物の器の持ち主ですわね」
意味深な笑みに気付いた青髪の青年と茶色の猫。その様子を観察していたディンガは頭のガスマスクに触れる
「エクシード………ハッピーやリアン以外の個体を見るのは何時以来だろうか。どうやら、彼等は敵ではないらしいね」
「博士が笑ったということは…なにかを思い付かれたんだろうな」
「だろうぜ、あの笑みはロクでもない事を考えてる時だ」
思考を巡らせるディンガとは対照的に、デウスとエクスは主人の意味深な笑みから全てを感じとる
「
刹那、マキナが
「おや、博士の十八番だね」
「ということは次は無難に
「だろうな」
「へぇ、物体を召喚できるのかアイツ」
「何と!!!素晴らしい魔法ですわ!!!是非とも私の拷問実験時に欲しいですわね」
「今のお前の頭の中の8割が拷問器具だってのは分かった…」
「舐めんなっ!」
「やっちまうぞ!」
流石にやられてばかりはいられないマーベリック兄弟は肩に着いていた金属を変形させて、ガトリング銃へと変形させる
「なるほどー、この世界にも形態変化があるとは驚きかな……
頭のゴーグルに触れ、未知なる力に興味を持ったマキナの顔に二度目の意味深な笑みが浮かぶ
「随分とお気楽な子供だなぁ」
「あれは…魔法ですの?」
「さぁな、だが…相手の実力も見ぬけねぇやつらがどんな戦艦揃えたって、そいつに勝てる見込みはねぇよ」
青髪の青年は苦笑気味にマキナの事を観察している。如何やら、彼は何かを見定めようとしているようだ
「さてさて、次はボクの番かな……キミたちにも見せてあげるよー。デウス!エクス!
「「ワォォォォン!!」」
その呼び掛けに呼応した二匹否二体の発明は創造主足る彼の呼び声に答え、形を二対の剣に変える
「
「「ぐわぁぁぁ!!!」」
マキナの放った飛ぶ斬撃、彼の代名詞が放たれ、マーベリック兄弟を吹き飛ばす
「ジーニアス……」
「スラッシュ……」
「随分変わった技名だね。君達の世界ではああいう技名が好まれるのかい?」
「「絶対にない」」
その瞬間を見ていた青髪の青年と茶色の猫は声を揃え、技名がダサい事を告げる
「でも」
先程の斬撃が放たれた方向を見ていた青年の視線の先には、未だに土煙が上がっていた
「あーあ……お腹空いたー、わたあめ食べよーっと……かな?」
「喰らえっ!!」
土煙の中から、斬撃を耐えきったマーベリック兄弟の片割れがガトリングを辺り構わずにに放つ
「氷竜の壁岩」
刹那、マキナの目の前に氷の壁が出現し、ガトリングの弾は地面に音を立てながら、落下していく
「油断大敵なところはいなめねぇかな」
「オニイサンはどちらさんかな?でもまぁ、助けてくれてありがとねー」
窮地を救ってくれた青年に、マキナはけらけらと笑いながらも礼を述べ、頭を下げる
「何処の誰かは知らないけれど、博士を助けてくれてありがとう。なかなかどうして……博士は空腹になると注意が散漫してしまう悪癖があってね」
「なーに、礼に及ばねぇよ。それよりもわたあめ食べたかったんだろ?奢るよ」
「ホントー?重ね重ねありがとうかな」
「ついでに」
ズズウゥゥン
「「ギャァァァァ!!!」」
青年は先程、ガトリングを撃ってきたマーベリック兄弟の片割れの上に巨大な氷をたたき落とす
「トドメを刺し忘れるのも直しといた方がいいぜ」
「あ〜、忘れてたんだよ」
青年の厚意に甘え、マキナたちは店内に戻るために歩き出す
「まだ名乗ってなかったな、オレはリート、リート・イクシーズだ」
「私はラリカですわ」
「僕はディンガ、マキナ基博士と共に魔科学の研究に勤しむ天才科学猫だよ」
「最後はボクだねー、ボクはマキナ・アルベローナ。魔法と科学の両立を夢見る天才魔科学者だよー」
互いに自己紹介することで一気に距離を縮めるマキナたちとリートたち。しかし、その時だった
「アルベローナ……?」
「聞いたことありますわね……何処かで」
「アルベローナっつったら…確かカナの…」
「そうですわ!カナのファミリーネームですわよ!」
聞き覚えのあるファミリーネームに思考を巡らせるリートとラリカ、暫くすると一人の女性が頭に浮かび上がる
「リートはネエちゃんの知り合いなんだねー」
「あぁ、お前のネエちゃん………は?」
「今なんといいましたの……?」
耳を疑う発言にリートとラリカが固まる。しかし、マキナは首を傾げ、何を言ってるのかを理解出来ないと言わんばかりの表情だ
「カナ・アルベローナはボクのネエちゃんかな」
「「はぁぁぁぁぁぁ!!?」」
リート・イクシーズとラリカに出会ったマキナとディンガたち、彼等が出会った理由とは……
何話構成になるんだろうか……なかなかどうして、長編の予感(ドキドキ)