「わぁ……大っきいね!」
そう述べるルーシィが見上げる先にはギルドマークの旗を掲げた妖精の名を冠する建物。豪華という訳ではないが、マグノリアの街の中心に位置する建物はこの街の象徴と呼ぶのが適切である
「ようこそ!
「三日振りだけど、まだギルドがあってよかったねー」
「なにその意味深な発言は!?」
新たな仲間であるルーシィを歓迎するハッピーの隣で、不穏しか感じない発言をするマキナに思わず突っ込みを放ちながらも、中に入る二人と三匹に追随する
「「ただいまー!!」」
「ん……なんだ、ナツにハッピーか。ハルジオンの件で街は持ちきりよ。これだから、品のない男は…………マキナ?マキナじゃないか!」
「ネエちゃん!」
勢いよく扉を開けたナツとハッピーを待ち構えていたのは、酒樽片手にハルジオンの騒ぎを言及する女性。名をカナ・アルベローナ、マキナが愛してやまない姉である
二人は互いの存在を確認すると、離れ離れになっていたかの様に抱き合う
「あの人がマキナのお姉さん………って!まさか!カナ・アルベローナ!?
「誰だい?アンタは」
「ネエちゃん、この人は怪しいオッサンに騙されそうになりながらもボクたちにご飯を食べさせてくれた優しくて変な人だよ」
「マキナはあたしに恨みでもあるの?えっと、ルーシィです」
「弟が世話になったわね。私はカナよ」
「知ってますよ!あの
マキナからの理解に苦しむ説明を気にする事なく、カナはルーシィに名乗る。すると憧れの魔導士の一人である彼女が目の前にいる現実に彼女は興奮気味にカナの異名を口にする
「
「マナツならいるだろ?ほら、彼方のカウンターに」
「マナツ?」
聞き慣れない名にルーシィが首を傾げているとマキナはカナが指差した方向に駆けていき、カウンターに項垂れていた翡翠色のポニーテールが特徴的な少女の肩を叩いた
「マナツー。帰ったよー」
「マキナ!おかえり!待ちくたびれたよー!」
呼び掛けに気付いた少女基マナツはマキナの姿を見ると花が咲いた様に笑い、彼に抱き付いた
「ごめんね?その代わり、お土産に野菜を買って来たよー」
「マジで!?さんきゅ!」
「ネエちゃんにはお酒だよ」
「ちゃんとおつかい出来てえらいなぁ!マキナは!お姉ちゃん感動しちゃう…!」
マナツには野菜、カナには酒瓶、其々に土産を渡すと嬉しそうにする二人に満足した様にマキナも笑う
「あら、新入りさん?」
「ミラジェーン!キャー!本物〜〜!?」
騒ぎを聞き付けた女性ミラが蚊帳の外であるルーシィに声を掛けると、有名人の登場に彼女は黄色い声援を挙げる
「マキナ〜、ちょっとこの魔道具見てくれるか?壊れちまったみたいでよ」
「またぁ?ワカバは直ぐに物を壊すねー。貸してみ」
「俺じゃねぇ!嫁が壊したんだよっ!」
周りが喧嘩を繰り広げる中、マキナは自分に声を掛けてきたワカバから魔道具を受け取ると慣れた手付きで修理を始める。その姿は正に天才と呼ぶに相応しい
「ここがこうなって……こうだから………よし!修理完----ぐもっ!?」
修理を終え、魔道具に傷が無いかを確認しようとした瞬間だった。マキナの後頭部に飛来した木片が命中し、彼は吹き飛ばされた
「マキナ!誰だ!今、私の弟に木片を投げたヤツは!折角の酒が不味くなっただろうが!」
「ぎゃー!?アタシのプリンが潰れた!なにすんのさっ!アニキ!」
「うるせぇ!マナツ!お前はすっこんでろ!」
弟が被害を受けた事に怒るカナの隣では、好物のプリンが潰れた事で騒ぎ始めたマナツがナツを兄と呼ぶ。そう、何を隠そう二人は兄妹同然に育った義兄妹の関係性なのである
「よくも……天才のボクに攻撃したなぁ……許さない!デウス!エクス!
「「ワォォォォン!!」」
「どいつも此奴もいい加減に……しなさいよ」
「アッタマきた!」
「ヌォォォォ!!」
「困った奴等だ」
「かかって来い!!」
「プリンの仇!!」
マキナが双剣を構え、カナがカードを取り出したのを皮切りにナツ、マナツ、喧嘩に参加していたグレイ、エルフマン、ロキたちが其々の魔法を放つ態勢を取り出す
「あらあら、これは困ったわね」
「困る以前にミラちゃんは血を止めたら?頭が血みどろよ」
困り顔のミラに声を掛けたのは一匹の黒猫。ふりふりと鍵尻尾を揺らし、彼女は額から伝う血を止める様に促す
「あい!リアン!久しぶり!」
「あら、ハッピー。三日振りね」
「黒いハッピー!?」
「誰がよ、あたしはリアン。可愛い黒猫ちゃんよ」
リアン、そう名乗った黒猫はハッピーと同じ扱いをされた事が気に食わず、自らを可愛い黒猫だと告げる。かなりの自信家である
「そこまでじゃ!やめんかぁ!バカたれどもぉーーーーー!!!!!」
「でかーー!!」
ギルドの天井に届こうかというぐらいの背丈がある巨人の一喝。その怒号に乱闘していた全員がピタリと動きを止め、振り返った
「あら、いたんですか?マスター」
「今日は一段と大きいわね。おじいちゃん」
「まっふぁっくふぁね」
「マスター⁉︎」
マスター、そう呼ばれたのはギルドを束ねる長であるマカロフ。冷静に彼の大きさに感心するリアンの隣ではハッピーが魚を貪り、ルーシィが驚愕する
「だーはっはっは!!みんなしてビビりやがって!!この勝負は俺の勝---」
一方で、唯一人だけ高笑いしていたナツは進撃するマカロフの下敷きとなり、踏み潰される
「む。新入りかね?」
「は、はい…」
「ふんぬぅぅうぅ…」
先程までの巨体が嘘の様にマカロフはルーシィの膝辺りまで縮む
「えぇーーーっ!!」
「よろしくネ」
差し出された小さな手の主、マカロフの本当の姿にルーシィは驚いて声を上げた
「とう!!」
掛け声と共にマカロフはその場で跳躍し回転をしながらギルドの二階の手すりに飛び乗ろうとしたが、頭を盛大に打ち付けた
そして、何事もなかったかの様に振る舞い、懐から紙の束を取り出した
「……ま~たやってくれたのう貴様等。見よ、評議会から送られてきたこの文書の量を!まずはグレイ!!」
「あ?」
「密輸組織を検挙したまではいいが……その後街を素っ裸でふらつき、挙句の果てに干してある下着を盗んで逃走…」
「いや、だって裸じゃまずいだろ」
「まずは裸になるなよ…」
「次はエルフマン…貴様は要人護衛の任務中に要人に暴行…」
「男は学歴よなんて言うからつい…」
「カナ・アルベローナ、経費と偽って某酒場で呑むこと大樽15個…しかも請求先が評議会…」
「バレたか…」
「ネエちゃん……駄目だよ?請求先はマスターにしないと」
「やかましい!お前もじゃ!マキナ!重要文化財にしていされておる遺跡を破壊!更に闇ギルド討伐に出た先で街全体を消し飛ばし、麻薬商人を捕まえに行けば、評議会の調査員もろとも重症を負わせる…」
「知らないの?発展には犠牲が必要なんだよ」
「アホかぁ!次にロキ!評議員レイジ老師の孫娘に手を出す。某タレント事務所からも請求書がきておる!それからマナツ!」
「ふみゅ?」
「チューリイ村の歴史ある時計台倒壊に加え、シトラス港の船、45隻を破壊!」
「マナツ!まーた派手にやらかしたなぁ〜!」
「一番は貴様じゃあ!ナツ!デボン盗賊一家壊滅するも民家7軒も壊滅。フリージアの教会全焼…ルピナス城一部損害。そしてハルジオンの港半壊!」
「ハルジオンは俺じゃねぇ!マキナだ!」
「風通しを良くしてみました」
「流石はマキナ、気配り上手な弟を持つとお姉ちゃんは鼻高々だ」
「アホかぁ!全く……アルザック、レビィ、ジェット、リーダス、ウォーレン、ビスカ、スコル…etc…、貴様等ぁワシは評議員に怒られてばかりじゃぞ…」
そのマカロフの言葉に全員が沈黙したが直ぐに彼は口を開く
「じゃが…、評議員などクソくらえじゃ…」
そういうとマカロフは評議会から送られてきた文書を燃やし、ナツに食わせる
「よいか。理を越える力は理の中より生まれる。魔法は奇跡などではない…、我々の内にある“気”の流れと、 自然界に流れる“気”の波長が合わさりはじめて具現化するのじゃ。それは精神力と集中力を使う。いや、己が魂のすべてを注ぎ込むのが魔法なのじゃ。上から覗いてる目ん玉気にしてたら魔法は進めん。評議員のバカ共を怖れるな。自分の信じた道を進めェい!!!それが妖精の尻尾の魔導士じゃ!!!」
マカロフの言葉と共にギルドの魔導士から歓声が湧き上がり、先程まで喧嘩を繰り広げていた者たちも歓声を挙げる
「ネエちゃん。夕飯はどうしようか」
「酒に合うつまみが欲しいね」
「ん〜……じゃあ、買い物だね」
「よし!姉ちゃんとデートだ!」
(この二人はマイペースすぎるわ………)
遂に念願のギルド入りを果たしたルーシィ、然しながら彼女の初クエストはまさかの雪山!?
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