ディンガ「そうだね。だけど、元の世界に帰らないとカナたちが心配するよ」
マキナ「それはダメかな、ネエちゃんに心配を掛けるとロクなことにならねぇかな」
マキナたちがギルドに入ってから、1週間ほど経過し、ギルドの雰囲気にも慣れ、仲間達と仲良く過ごせるようになっていた。
「第3万2506回!発明科学力大会!!イエーーイ!!!」
イエーーイ!!!
「毎日やってんじゃねぇか」
「いつも通りですわねぇ」
サイエンスギルドと言うだけあり、余程発明に自信があるのか1週間毎日のように発明大会を開催していた。
「イエーイ!!!」
「博士は今日もノリノリですね」
「博士にとっては自慢大会みたいなものだからな」
「優勝はボク以外にありえないよー、何故かって?天才だからかなー」
「甘いぞマキナ!今回のオレの発明はお前の何倍もすげぇからな!!」
「何言ってんだ!!オレが1番だ」
「いいえ!今日は私が優勝を貰うからね!!」
「甘いよー、わたあめよりも甘いかなー」
「元気だな」
ギルドの壇上でガヤガヤと騒ぐマキナとギルドのメンバー達は、我先にと発明を披露しようとする。
「リートは今日も不参加か?」
「だからオレは発明なんて出来ねぇっての、オレは魔導士だ」
「マキナも魔導士なんだろ?」
「あいつは別枠」
リートは傍から、呆れた目で大会を見物していた。
「ではまず私から!!」
気がついた時には、大会はもう始まっていた。
「私の発明はこのリュック!これは中に荷物がいくらでも入るブラックホールとなっているんだよ!!!欠点は自身も吸い込まれかねないこと!取り出せないこと!吸い込まれたら出られないこと!」
「ダメじゃん」
「次はオレだァ!!!オレの発明はなんでもぶち壊せるこのハンマー!ただ重すぎて使いこなせるやつがいない!!!」
「それただの力業」
大会は次から次へと進行されていき、リートはツッコミ所を見つけてはツッコんで行く。
マキナにとって、サイエンスギルドという環境は居心地が良かった。
無論、一番の居場所は姉が、幼馴染が、仲間たちがいる
「博士のあんな笑顔を見たのは何時以来だろうな……」
「そういや、最近はあんなに楽しそうに笑わなくなってたな」
「そうだね。昔よりも博士は本当の笑顔を見せてくれなくなった………なかなかどうして、難しいものだ」
「割と笑っているイメージしかねぇんだが……」
「物騒なことを言いながら、けらけらと笑ってますわよね」
共通の話題を持つギルドメンバーたちと盛り上がり、年相応の笑顔を見せるマキナ。その姿に
「博士の本当の笑顔を見せてくれるのはまだまだ先かもしれないが……僕は信じているよ、その未来は遠くないとね」
「ディンガはマキナのことが大切ですのね」
「無論だよ、
「そうですわね……リートは大事な相棒で私の家族ですわ」
「キミを見ていると、リアンと重なる時がある…。彼女は基本的に相棒の女の子とハッピーを溺愛していてね、紅茶のアテに物騒な事を好んだりする変わり者ではあるけれど……彼女も僕に生きる意味を教えてくれた存在の一人なんだ」
頭のガスマスクに触れ、毛色や仕草は異なるが想い人の姿をラリカに重ねるディンガ。その瞳は僅かに寂しそうにも見えた
「だからね、そのハンマーの柄をカーボン素材にするんだよ。そうすれば、持ち上げるのは簡単に出来るかな」
「な、なるほど!そいつは盲点だった!マキナはすげぇな!!よっしゃ街中のカーボンかき集めるぞ!!」
「多すぎるかな!!?」
「では私のリュックは!?」
「ブラックホールの原理を応用してるなら、その対になるホワイトホールの原理も取り入れてみると良いと思うよー。吸い込んだモノを吐き出したり出来るからね、攻撃にも役立つよ」
和気藹々とギルドメンバーたちと盛り上がるマキナ、発明大会は何時の間にか彼のアドバイスを元に改良を加える教室と化していた
「何時の間にか……博士のアドバイスコーナーになってますね」
「博士の知識は膨大だからな、下手すりゃあマグノリアだけには留まらねぇ知識があのちっこい頭に詰め込まれてる」
「義理とはいえ、カナの弟だってのが未だに信じられねぇな…」
「カナといえば、お酒のイメージしかないですわね」
「博士も酒豪ではあるよ。カナの飲み歩きに付き合えるからね」
「「あんなに小さいのに呑んでるのかっ!?」」
「カナのやつ、元の世界に帰ったら説教だな。未成年に呑ませやがって」
「私達の世界のカナは、身に覚えありませんわよ」
それからまた数日後、仕事を終えたマキナたちは、ギルドへと向かって歩いていた。
「今日も無事に終わったねー」
「無事…だけど、そろそろオレ達の帰る方法を見つけてくれてねぇかな?」
「もうそろそろ見つけてもいい頃だと思うかな」
「私達もそろそろ帰りたいですわね」
「ホームシック?」
「違いますわよ」
「帰ってからマスターに聞いてみればいいじゃないか、何か進展してるかもしれんぞ」
「そうだなぁ…ん?」
マキナたちが目にした光景、それは自分達が世話になっているギルドが半壊している光景だった。
「なんだ!!敵襲か!!?」
「これは一体…」
「マ…キナ…リー…ト」
「「ベリアル!!!」」
マキナたちを呼ぶ声に、視線を向けた先には傷だらけのベリアルが倒れており、全員が駆け寄る
「何があった!!」
「一体誰がこんな事を?!!」
「ロ…ロボット達が暴走して…オレ達人間を襲い始めやがった」
「ロボット!!!?ってことはナグオも」
「ということはゴローさんも?」
「どうしていきなり…」
「分からない……けど、アイツらを作ったのはマスターだ…頼む、マスターに頼んでアイツらを……止めて…くれ」
そう言い残すと、ベリアルは意識を手放す。あくまでも気絶しただけに過ぎないが、少なくとも仲間と呼んでくれた友人が受けた仕打ちにリートは歯噛みする
「くそっ!どうしてこんな!!」
「兎に角、ゴローさん達を止めないとだ………デウス、エクス。匂いは追える?」
「「博士の御命令とあらば…!」」
冷静さを失い、近くの瓦礫を殴るリートとは裏腹に怒りを表に出さないマキナは相棒の機械狼たちに指示を飛ばす
「ロボットに匂いがありますの?」
「正しくはロボットを作った人物の匂いだね。この場合はDr.ケミストリーの匂いということになる」
「あのおっさんが何かをしたってのか?」
「可能性は薄くないと思うよ。現に以前、ベリアルは僕たちにDr.ケミストリーには良くない噂があると教えてくれた。ということはだ、第一に疑うべきは彼ということになる。あくまでも仮説だけどね」
「その仮説は正しかったみたいかな………目的地は此処だよ」
デウスとエクスの嗅覚を頼りに移動しながら、仮説を立てるディンガ。今回の騒ぎを起こした元凶がDr.ケミストリーであると語る彼に、リートたちは首を傾げる。しかし、匂いを辿った先、マキナが頭のゴーグルに触れながら、視線を向けた場所は見覚えのある建物だった
「おっさんの屋敷………確かにナグオたちからしてた匂いがするな」
「あの科学者の方に直接、聞いた方がいいですわね……これは」
「百聞は一見にしかずというからね。確かめてみよう」
「うん……その前に……
制限を解除し、万物を斬り裂く滅竜の魔力に切り替えたマキナの両手に双刃剣が握られる。本能的に屋敷の中から感じる気配を感じ取ったのか、表情からは何時もの笑顔が消え、僅かに目付きが鋭さを増していた
Dr.ケミストリーの思惑、彼が語る野望とは……!