天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……仲間のロキの秘密をマナツとルーシィに話し、彼が星霊である真実を改めて痛感……救えない命を前にマナツとルーシィの叫びに呼応した星霊王が姿を見せたかな」

ディンガ「僕は見てないけれど、かなりの巨漢だったとリアンに聞いているよ」


第四章 とある魔科学の天才少年I
第四十三話 天才くん、リゾートに行く


「星霊だぁ!?」

 

「んー………まぁ、そういうこと」

 

星霊王の一件から時は流れた翌日。帰還したロキは事の経緯を知る当事者のルーシィとマナツ、リアンの二人と一匹以外に自らの正体を明かした

 

「そうかっ!!通りで入れ替わった時になんかモヤモヤしてたのかっ!あと視界が暗かった!」

 

「いやいや、前者は兎も角として後者に関してはサングラスだろ」

 

「なにっ!?サングラスだぁ!?」

 

手を叩き、納得した様に頷くスコル。その発言に間髪入れずにグレイは冷静に突っ込みを放つ

 

「物を知らねぇバカ猿はこれだから困るかな。山に帰れ」

 

「あんだとゴラァ!!ぐもっ!?」

 

「もぉ〜!うるさいよ!スコル!」

 

相も変わらずに自らの隣に皿を積み上げるマキナが悪態を吐くと、スコルの矛先は彼に向くが飛び掛かろうとした瞬間にマナツの蹴りが命中した

 

「蹴り飛ばすよっ!!」

 

「「いやもう蹴り飛ばしてんだろっ!!」」

 

事後報告という名の文句を言い放つマナツに対し、ギルド内から突っ込みが飛ぶ

 

「しかし、ロキが星霊という話は博士に聞いていたけれど……種族は何になるんだい?見た目は人と変わらないように見えるね」

 

「確かに…ディンガの言う通りですね。前に見たタウロスは牛で、まだ見てはいませんが報酬の鍵が馬ですもんね」

 

「牛とか馬とか……サファリパークか?お前の周りは」

 

「言ってなかったね、僕は獅子宮の星霊だよ。つまりはライオンだね」

 

「「獅子ーーー!!!」」

 

獅子と聞いた瞬間に竜兄妹とハッピーの瞳がきらきらと光を放つ

 

「アタシ、知ってる!獅子って大人になった猫だよね!」

 

「あい!おいらもおっきくなったら、獅子になるんだよ」

 

「おっきい夢があるのね、ハッピーは。お姉ちゃん、応援しちゃう」

 

「違うわっ!!あとリアンは応援すんなっ!!」

 

「分かってないかな、獅子はライオン……つまりは遺伝子レベルでなんやかんやあったデケェ猫かな」

 

「何を言ってるんだい、博士は。獅子は東洋の島国に住まう神獣の類で頭を齧り、食い千切る化け物だよ」

 

「マキナの発想はともかくとして、ディンガはエグいのよっ!!」

 

流れる様に放たれる年少コンビと三猫にルーシィの伝家の宝刀(ツッコミ)が火を吹く

 

「つーか、今まで通りで大丈夫なのかよ?お前」

 

「グレイの言う通りだぜ、前はマキナのアホに薬をもらってたらしいけどよ。ソイツも効かねぇんだろ?どうすんだよ」

 

「これからはそうはいかないね、ルーシィが所有者になってくれたからね。ルーシィのピンチにさっそうと現れるさしずめ白馬の王子様役ってとこかな」

 

「獅子なのに白馬はおかしいかな。一説ではホワイトライオンってのがいるらしいから、ロキは其方を目指すべきだよ」

 

「博士?突っ込むところはそこじゃありませんよ」

 

「言うだけ無駄だろ」

 

的外れな突っ込みを放つマキナの隣には相も変わらず、大量の皿が流れる様に積み上げられていく

 

「さて、僕等は二人の今後について話し合おうか」

 

「こらこら!!おろしなさい!」

 

「わぁ!お姫様抱っこだぁー!マキナー!アタシにもやってー!」

 

「いいよー」

 

ルーシィを抱え、立ち去るロキの姿に憧れを抱いたマナツがマキナの背後から、飛び掛かり、問い掛ける。何時も通りの戯れ合いはギルドでは当たり前のありふれた日常的な風景である為に誰も気にする素振りは見せない

 

「へっ……ヤダヤダ、頭でっかちと胸無しの戯れ合いなんざ見てると胸焼けしちまうぜ」

 

然し、其れは唯一人の例外を除いてはの話だ。何時もの様に、スコルが悪態にも似た文句を吐き捨てた

 

「「あぁ?やんのかっ!バカ猿!!」」

 

「上等だ!!かかってこいやっ!!」

 

殴り合いを始める年少トリオ。この掛け合いも何時も通りであるが故に誰も気には留めない

 

「星霊かぁ〜俺もドラゴンの星霊と闘いてぇ!」

 

「ドラゴンの星霊なんているかなぁ?」

 

「まぁ、りゅう座は存在しているから居るには居るだろうね」

 

「いやいや、星霊は力比べの為に呼び出すものじゃないから」

 

「そうよ、縛り上げて紅茶のアテにするのよ」

 

「アンタも違う!てかロキはさっさと帰りなさいよ」

 

「ちょっと待って、これをあげるよ」

 

星霊談義に花を咲かすナツたちに突っ込みを放った後、ロキに帰る様に促す。すると彼はルーシィに何枚かのチケットを手渡す

 

「わぁー!それってなになになぁにぃ〜?」

 

「リゾートホテルのチケットだよ。マナツにもあげるね」

 

「ありがとー!リアン!チケットもらったー!」

 

「良かったわね」

 

「聞いたかい?マキナ……リゾートホテルだって」

 

「聞いたかな、ネエちゃん……リゾートホテルということはだ……ご飯が!」

 

「酒が!」

 

「「大量にある!!そうと決まれば善は急げだ!!」」

 

「海もあるのよねっ!」

 

「高いホテルだね、実に興味深い」

 

「おおおっ!!」

 

「こんな高ぇホテル泊まったことねぇ!!」

 

「わーい!」

 

「アカネリゾートっていやぁ、すんげぇファンキーなホテルじゃねぇか!!」

 

「喜んでくれて何よりだよ。エルザにも渡しておいたからね」

 

アカネリゾートと聞いた瞬間に湧き立つマキナたち。最後に置き土産という名の不穏な言葉を残し、ロキは星霊界に帰っていった

 

「貴様等………何をモタモタしている。置いていかれたいのか」

 

「「気ィ早ェよ!!!」」

 

準備万端かつ用意周到過ぎて、何時もの如く大量の荷物を詰め込んだエルザにマキナたちの突っ込みが飛んだのは言うまでもない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海だー!わーい!」

 

「あいさーっ!」

 

「マナ?それにハッピー、はしゃぐと転ぶわよ」

 

アカネビーチにやってきた瞬間、マナツとハッピーはいの一番に海に駆け出す。そんな二人を黒髪ポニーテールが特徴的な猫耳美少女のリアンが咎める

 

「リアンは人型になっても可憐だね」

 

「当たり前じゃない、あたしが可愛いのは世界の常識よ」

 

「見ろよ!この水!めっちゃ透明だぞっ!」

 

「うおおっ!!スゲェ!」

 

「グレイてめぇは海パン履けっ!」

 

「酒だぁ〜〜酒〜!」

 

海に来ようと何時も通りの仲間たち、それを見ていたルーシィは楽しみながらも苦笑を浮かべる。しかし、ある事に気付いた

 

「相変わらずね……あれ?マキナは?」

 

「ああ、博士はパラソルの下で涼んでますよ」

 

「えっ?アイツなら、海は研究の宝庫かなー!とか言って遊び回りそうなのに意外ね」

 

「なんだ、知らねぇのか……博士は泳げねぇんだよ」

 

「えっ!?マキナにそんな弱点がっ!?」

 

「あのさぁ……人の近くで勝手に弱点話に花を咲かせないでくれるかな…」

 

自らの目の前で展開する自分の弱点談義にマキナは物申す。天才を自称するが故に気恥ずかしいらしく、当の本人はジト目を向けていた

 

「にしても意外よね、マキナがカナヅチだったなんて」

 

「構造的に人間の体は浮くように出来てないかな」

 

「なんかすごく頭良さそうな事を言ってるけど、泳げない言い訳よね」

 

「良いんだよ!マキナ!泳げなくても、アンタが誰よりも不思議(ワンダー)なことは姉ちゃんが知ってるからね!」

 

「ネエちゃん!」

 

海辺で抱き合う(カナ)(マキナ)。相も変わらずなやり取りを繰り広げる姉弟、海で遊ぶマナツたち、その光景を見守る影があった

 

「マナツ………楽しそうだな……アネさん、アタイも混ざりてぇ」

 

「それはジュビアもだけど……心の準備が出来てないの……ちょっとだけ待っててください……アマノ…」

 

「仕方ねーか………あ?セイランはどうした?そーいや」

 

影からマナツたちを見ていたアマノとジュビア。そんな中、先程までは近くにいた中華服の少年が見当たらず、辺りを二人は見回す

 

「…………………ぐぉ〜」

 

「「食いながら寝るなっ!!!」」




リゾートホテルといえば、カジノ!ギャンブルと聞いたら、あの姉弟が黙っていない!さぁ、不思議に行こうぜ!

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