天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……ロキにもらったチケットで海にやってきたボクたち、リゾートを満喫するボクたちを見守る三つの影……それに気付かなったボクたちは!!」

ディンガ「博士、それは違う物語の冒頭だよ」

マキナ「ああ、間違えちゃったかな」

デウス「絶対にウソですよねっ!?」

エクス「突っ込むだけ無駄だろ」


第四十四話 天才くんとお姉ちゃん、大敗を喫する

「マキナ……聞いたかい?地下にカジノがあるらしいわよ」

 

「ネエちゃん……そいつは一攫千金のチャンスかな」

 

「「不思議(ワンダー)に行こうっ!!」」

 

夕食と酒盛りを終えたアルベローナ姉弟は大金が絡む賭け事を前に目の色を変え、リゾートホテルの地下カジノに走り出す

 

「うぅ………おなかいたい………」

 

「リゾートだからって油断しすぎよ?マナ。海辺に生えてる草とかが一番危険にゃんだから、これに懲りたら反省しなさい」

 

マキナたちがカジノに向かった頃、マナツは例によって自室で食あたりに苦しんでいた。既に診察を終えたらしく、彼女の側には呆れたようにため息を吐く人間体のリアンの姿があった

 

「めんぼくない………でも……アタシもカジノいきたい……」

 

「ダメよ」

 

「その通りだ。体調を崩しているのだから、今は安静にしておいた方が正解だよ。しかし、キミの食あ----ん?」

 

体調を崩しているにも関わらず、カジノに行きたがるマナツを諭すリアンとディンガ。その時、部屋の扉を叩く音が聞こえた

 

「あの〜………マナツがここにいるって…マキナに聞いたんだけど……」

 

恐る恐る、扉を開け、顔を覗かせたのは銀髪の少女。その少女をリアンとディンガは知っていた、それはマナツも同様だ

 

「アマノだー!」

 

ベットから飛び起きたマナツは部屋に入ってきた銀髪の少女基アマノを見た瞬間に飛びつく

 

「わっ!?いきなり抱きつくなっ!体調悪いんだろっ!?」

 

「えへへー!アーちゃんに会ったら治ったよー!一緒に遊ぼ!」

 

「うん……って、アーちゃん?」

 

距離感が近く、直ぐに気を許した者には懐くマナツ。アマノは唐突に呼ばれたあだ名に驚き、両目を見開く

 

「アマノだからアーちゃん!アタシのこともマナで良いよー!って言っても、リアンとおねえちゃんしか呼んでないけど!」

 

「ふふっ……そっか、アーちゃんか……悪くないね。良いよ、一緒にトランプしようか?マナ」

 

「やったー!」

 

花が咲いた様に笑うマナツ、その笑顔につられる様にアマノも自然に笑う。その光景にリアンは優しい眼差しを向ける

 

「おや、どうかしたかい?」

 

「マナのあんにゃに嬉しそうな顔は久しぶりに見たわ」

 

「確かに……マキナも何時かはあんな風に笑ってくれるだろうか…」

 

「珍しいわね?アンタがマキを呼び捨てにするにゃんて」

 

「なーに……親心?というやつさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マキナ……丁と半……どっちだい?」

 

「ネエちゃん、安心するかな……ギャンブルは確率がものを言う勝負……つまりは天才のボクに任せれば万事オッケーかな!」

 

「流石はマキナだね!今日もナイス不思議(ワンダー)だよ!正に天才だね、博識だね、鬼才だね!」

 

「当然かな!だってボクは天才(ジーニアス)!つまりは天才だからね!」

 

一瞬で全てを失う可能性があるギャンブルを前にしても、けらけらと笑うマキナ、其れを褒め称えるカナ。今日もアルベローナ姉弟は絶好調である

 

「ナツ!今の見たかっ!?ぜってぇに17だよなっ!?」

 

「ああ!17に入ったのにズレたぞっ!イカサマだ!」

 

「あい!」

 

「お……お客さま…困ります!あとテーブルに乗らないでください!」

 

自分たちの負けが気に食わないスコル、ナツ、ハッピーはディーラーに文句という名の因縁を付けていた

 

「グレイ様……ジュビア、来ちゃいました」

 

「ぶほっ…!な、なんでお前が!?」

 

まさかの人物の登場にグレイは驚きながらも問いを投げかける

 

「あっ、因みにアマノはマナツさんのところで、セイランはバイキング会場で食べ漁ってます」

 

「聞いてねぇよ!!んなことは!!」

 

しかし、質問に対する答えとは異なる妹分と弟分の所在を告げるジュビアにグレイは突っ込む

 

「すごーい!!エルザ!」

 

「ふふ……今日はついてるらしいな」

 

「マキナ。よくは分からないけど、エルザもすごい勝ってるらしいね」

 

「みたいかな。まぁ、ボクたちは既に粗方のギャンブルを制覇したし、夜食の時間かな」

 

「それもそうね……寝る前にもっかい呑んでおかなきゃね。行くよ!マキナ!」

 

「あいあい」

 

カードゲームに大勝ちするエルザ、それを喜ぶルーシィ。彼女たちを見ていたカナとマキナの背には大量の紙幣が包まれた風呂敷が背負われていた、あの僅かな時間で全てのギャンブルで儲けたようだ

 

「…………貴殿等がこの先を潜るのは叶わぬ夢なれば……」

 

カジノから出ようとしたアルベローナ姉弟は、背後に迫る殺気に気付き、表情を変える

 

「誰だい?アンタ」

 

「ボクたちが不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)と知っての言葉かな」

 

「申し訳ないが某は世間に疎く、貴殿等のことは知らぬ。唯、我々の頭目である()の方の標的はエルザ・スカーレットのみ……貴殿等は斬り伏せて構わぬと仰せつかっている」

 

カナ、マキナからの問いに答えたのは黒い着流しの少年。腰に刀を帯刀しているのを見る限り、彼は剣客のようだ

 

「それを聞いて、黙ってられないなぁ……ネエちゃん!」

 

「あいよ!」

 

怒気を放ち、ぎろりと視線を少年に向けた不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)。彼等にとって、エルザは仲間であると同時に家族、その彼女が狙いと聞いた瞬間にマキナが地を蹴る

 

物質魔法(アポートマジック)!!発明No.009!爆裂魔水晶(ボムラクリマ)!!」

 

札魔法(カードマジック)!!爆破(エクスプロージョン)!!」

 

カナが掲げた(カード)、マキナが両手に出現させた爆裂魔水晶(ボムラクリマ)、二つの爆発は重なり合い、巨大な爆風と化す

 

「「不思議爆閃光(ワンダーインフェルノ)!!!」」

 

十八番にして姉弟最強の合体魔法。未だかつて、此れを破った魔導士は存在しない。二人の連携は完璧かつ最強、奇想天外にして摩訶不思議、それが不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)と彼等が呼ばれる由縁だった

 

「くだらぬ……居合い・隼影(しゅんえい)……」

 

「かな?」

 

「は?」

 

「「えぇーーーーーっ!?」」

 

一言だけ発した後に少年の前で爆風は斬り裂かれた。まさかの光景にマキナとカナは面を食らい、数秒後に声を揃え、驚愕の叫びを挙げた

 

「油断大敵にゆえ………居合い・荒鷲…!」

 

「ぐっ!?」

 

瞬きもしない内に、眼前に迫っていた少年の放った刃に触れた瞬間、マキナはカジノの奥に吹き飛ばされる

 

「マキナ!!ウチの弟に何すんだいっ!札魔法(カードマジック)!!雷桜将来!!」

 

弟の身を案じながらも、傷つけられた怒りを力に変えたカナはホルダーから取り出したカードを地面に投げる

 

「雷………なかなかの手練れと御見受けいたす」

 

刹那、室内であるにも関わらず、轟音と共に大量の落雷が発生する

 

「エルザを狙ってるだけじゃなく、弟を傷つけられたんだ……出し惜しみはしないよ。S級を舐めんじゃないよっ!!」

 

「しかし……某に斬り伏せられぬものは存在せぬ……居合い・旅鴉!!」

 

「ぐあっ!?」

 

更に追随しようするカナであったが、少年の動きはそれよりも速く、気付いた時にはカナは吹き飛ばされていた

 

「終わったか……ヤギュウ(・・・・)

 

ヤギュウと呼ばれた少年が振り返ると大男を筆頭に何人かの青年たちが姿を見せた

 

「流石はヤギュウだ。良くやったな………ダンディだゼ」

 

「みゃあ!ヤギュウちゃんの相手ってすっごく強い二人組だったのにすごーい!」

 

「ジェラールが一目を置くだけはあるね」

 

「ねぇ、この食堂に落ちてたのもエルザの仲間?」

 

「つまんなーい!もうちょっと歯応えあってもよかったのに〜!」

 

ある者は体全体が四角、ある者は猫耳ヘア、ある者はゲスを体現した笑み、ある者は中華服の少年を投げ捨て、ある者はタンクトップの少年の上に腰掛けていた

 

「シモン殿……エルザ・スカーレットは捕らえたのか」

 

「ああ…」

 

「とーぜんじゃん!シモンに不可能があるワケねぇ〜!あっ、ヤギュウはそんなことも分かんないの〜?レティ(・・・)でもわかるんだけど〜」

 

「はしたないわよ、レティ。女の子が」

 

「むぅ……イッシュねぇはうるさいなぁ〜」

 

「あ?なんか言ったか」

 

「ぴえ……!ご、ごめんなさい!」

 

かくして、マキナたちは敗北を喫した。しかし、それはこれから起こる事件の前兆でしかなかった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダウト!」

 

「残念ながら、アタイが出したのは七だよ」

 

「ぎゃーー!!また負けたー!」

 

その頃、マキナたちが危機とは知らないマナツはアマノとトランプに興じていた

 

「マナツはダウトに向いてないね」

 

「仕方にゃいわよ、ウソがつけないもの。それにしてもハッピーはこんな時間まで何をやってんのかしら、寝る時間は過ぎてるわよ」

 

「折角の旅行だ、今日くらいは大目に見てあげてはどうだい?」

 

「ディンガはホントに甘いわね」

 

「可愛さ故にだよ。ハッピーはキミの弟分である前にボクの弟分でもあるからね」

 




突然、現れた強敵を前に敗北したマキナたち。目を覚ました時、エルザとハッピーが消えていた……そのことはもちろん、マナツたちの耳にも入り……

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