天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……捕まったエルザとハッピー救出の為に楽園の塔なる場所に向かうことになったかな」

ディンガ「楽園の塔、響き的は素晴らしいけれど……何がどうなるやら…」


第四十六話 天才くんwith仲間たち、海を渡る

「だぁぁぁぁ!!もうちっと、早く進まねぇのかよっ!?この船!!」

 

「無茶を言うんじゃねぇかな。エンジンさえも積んでねぇのに、早く走れるワケがあるか」

 

「つーか、どこだよっ!!ここはっ!」

 

「ジュビアたち、迷ってしまったんでしょうか?」

 

現在、〝楽園の塔〟を目指すマキナたちは小舟に乗っていた。時は一刻を争う為に改造を施していない船を休まずに漕いでいたスコルは不満を露わにしている

 

「うっぷ………船……きらい……」

 

「お…おお…おお…」

 

「マナとナツさんは大丈夫なの?なんか死にそうだけど」

 

「気にしなくていいわよ、単なる乗り物酔いだから」

 

「おめぇらには気合いが足りてねぇ!ちっとは乗り物に慣れやがれっ!」

 

「どうすんだぁ?頼りはコイツ等の鼻だってのによ……ん?そういや、セイランだっけか?彼奴はどうした」

 

「何を言ってんのよ、いるじゃないかい。あそこに」

 

乗り物酔いに苦しむ竜兄妹に呆れるスコル。同様に呆れていたグレイはもう一人の当事者であるセイランの姿が見当たらないことに気付くが、それに酒瓶を手にしたカナが海を指差した

 

「あっひゃっひゃっひゃっ!!船よりも泳いだ方が確実だ!俺が一番乗りだ!」

 

「なんで泳いでんだぁ!?アイツは!」

 

「あのバカは気にしないでくれるとありがたいよ、乗り物酔いをしない為に移動手段が力任せになってんのよ」

 

「スコル以上に変なヤローかな」

 

呑気に笑いながら、海を泳ぐセイランの姿にグレイは驚きを示すが、アマノは慣れているのか、気にするなと告げる

 

「あぁ?ケンカ売ってんのか?こんのもやしゴーグルが」

 

「うるせぇ…ケンカを買う暇があるなら、さっさと手を動かしやがれかな」

 

船上で散り合う火花、相も変わらずな二人を咎めるべきエルザはこの場に居らず、険悪な雰囲気だけが漂う

 

「相手がエルザの知り合いなのは理解したけれど、ハッピーまでも連れ去ったのは何故だい?話を聞く限りでは理由が見当たらないね」

 

「そうよ!エルザの知り合いだろうと、あたしの可愛い(ハッピー)を攫っていい理由にはならないわっ!見つけ次第とっちめてやる!」

 

「エルザ・スカーレット……確か、妖精女王(ティターニア)だったね。実力は妖精の尻尾(フェアリーテイル)でも随一だって、聞いてるけど…何があったってのよ」

 

「分からないけど、エルザさんほどの実力のある方を倒してしまうなんて……あの連中はかなりの実力者なのでしょうね」

 

「やられてねぇよ……エルザの事知りもしねぇくせに」

 

一部始終を知らないアマノの発言にジュビアの答えを聞いたグレイは彼女を睨みつける

 

「ご……ごめんなさい…」

 

「アネさんにガン飛ばしてんじゃないよっ!!こんの半裸男!」

 

「あ〜ん?やんのか?ちびっ子!」

 

恐怖から謝罪するジュビアの姿にアマノは怒りを覚え、グレイに食って掛かる。それに反応したのか、船上の火花第二ラウンドが幕を開ける

 

「みんな!落ち着いて!今は争ってる場合じゃないでしょ!エルザとハッピーをどうやって、救い出すかを考えないと!」

 

「ルーシィの言う通りよ。今、優先するべきは目先のケンカよりも遠くの仲間だ。違うかい?」

 

「確かに…ネエちゃんとルーシィの意見が正しいね、今は身内で歪み合うよりも協力する方が効率が良いかな」

 

「流石はマキナ、理解力ある弟を持つと姉ちゃんは鼻高々だ」

 

「当然かな、ネエちゃんの意見が間違ってた事はないからねー」

 

「はいはい、アンタたちはお気楽で良いわね……それはそうと、エルザのことを知ってたつもりだったけど…あたしたちは何も知らなかった……ううん、知ろうとしなかった」

 

アルベローナ姉弟を軽くあしらいつつ、自分では知ったつもりだったエルザのことを知らなかった事実にルーシィは俯く

 

「必要ねぇだろ、エルザの過去に何があろうとアイツが仲間だってことに変わりはねぇんだ。俺たちに必要なのは今までのエルザよりも今のエルザなんだからよ」

 

「「意外なヤツからマトモな意見がっ!!」」

 

ルーシィを諭したのは、まさかのスコル。普段の普段の彼からは想像もつかない真面さに誰もが戦慄し、空いた口が塞がらないとは正にこの事である

 

「あん?なんだよ……俺がファンキー過ぎて、驚いたな?さては」

 

驚きの方が強く、声を出そうにも何を言えば良いかも分からない面々。しかし、約一名だけは違った

 

「バカ猿が消しカスみてぇな知性をひけらかしてんじゃねぇかな」

 

「あんだとゴラァ!?表に出ろやっ!!このもやしヤローが!!」

 

「ケンカかっ!?よしっ!だったら、俺と水泳勝負だ!」

 

「乗った!」

 

呆れた眼差しで吐き捨てるマキナ。それに何時もの様に食ってかかるスコルであったが、反応したのはまさかのセイラン。当初の相手と違うにも関わらず、筋肉馬鹿たちは海を全力で泳ぎ出した

 

「マキナ……あの二人に策を伝えないの?」

 

「ルーシィ、これだけは覚えておくと良いよー。バカは何処までもバカなんだよー」

 

「あとでセイランのヤツにはキツイの一発喰らわせておくよ」

 

「おや…なんだい?あれは」

 

去り行く筋肉馬鹿たちに誰もが呆れる中、船頭役を務めていたディンガが何かを発見したらしく、彼の声に全員の視線が前方に注がれる

 

「恐らくは……あれがエルザとハッピーが連れて行かれた楽園の塔とかいうのに間違いないかな…」

 

「名前の割に楽園らしくないね、裏がありそうだ」

 

「叩いたらホコリどころかえらいもんが出てきそうな雰囲気だ。いいかい?気を引き締めなっ!」

 

其々の頭のトレードマークに触れ、思考を巡らせるマキナとディンガ。そして、士気を高めようと声を張り上げるカナ、これこそが不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)の完成系である

 

「「うぷ……エルザ……」」

 

「アンタたちは先ず、酔いを覚ましにゃさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここは………」

 

「起きた〜?エルザ」

 

船での移動を終えたエルザは魔法で眠らされており、何処かの部屋に放り込まれたのと同時に目を覚ます。彼女の視界に映ったのはレティの姿、彼女以外には誰も居ない

 

「レティ……Rシステムで人を甦らせる事の危険性を理解しているのか?」

 

「面白いことを言うんだねぇ〜?エルザは。理解してないのにやるワケないじゃん……理解してるからやるんだよ。リバイブシステムがあれば、レティたちはその先にある〝楽園〟に導いてもらえる……だからこその生け贄なんだよっ!!アンタはっ!!」

 

「レティ…はしたないわよ。〝儀式〟の時間は明日の正午だそうよ……全く、シモンも自分で伝えなさいよね…。ほら、レティ。ここはショウに任せて、私たちは行くわよ」

 

「えぇ〜!レティはもっとエルザと話した〜い!イッシュねぇのケチンボ!」

 

「あ?なんか言ったか」

 

「ぴえ……!ご、ごめんなさい!」

 

不貞腐れるレティを睨みつけ、黙らせたイッシュは彼女と共に牢屋を後にする

 

「兎に角!姉さんは明日までここで大人しくしてて……そう、全てのものに恐怖と悲しみを与え、全てのものの自由を奪い、オレたちが世界の支配者となる時までなぁ!!」

 

刹那、ショウの顎をエルザが蹴り上げた。その顔は怒りに染まり、自分を縛っていた紐を噛み千切り、愛用の鎧に換装する

 

「ショウ……レティ……ミリアーナ……ウォーリー……シモン……イッシュ……」

 

記憶の中で笑い合っていた頃の、優しい心を持っていた筈の、かつての仲間たちの変わり果てた姿。怒りを力に変えるにはそれだけで十分だった。妖精の女王を字名に持つ鎧の女性は緋色の髪を靡かせ、楽園とは名ばかりの大地に立つ

 

「ジェラール……貴様のせいか………!!」

 

 




いざ、楽園の塔へ!!そしてハッピーの安否は如何に!?

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