天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……捕まったエルザとハッピー救出の為に楽園の塔に向かうボクたち、その裏で暗躍する謎の青年ことジェラールが率いる一味を前にエルザは怒りを覚える。それは何故か、その一味がかつての自分たちの仲間だったかな」

ディンガ「エルザの仲間か……実に興味深いね。因みに前回の予告は今回の予告に持ち越されているよ、理由は作者の事情だね」


第四十七話 天才くんwith仲間たち+α、塔に潜入する

「ネコーー!!ネコだらけーー!!!」

 

目を覚ましたハッピーの視界に飛び込んで来た光景は、猫グッズで溢れた部屋。驚きの光景に開口一番から部屋中に声が響き渡る

 

「ここどこっ!?ナツは!リアンは!?ディンガたちはー!?」

 

辺りを見回し、相棒と姉貴分、兄貴分の姿を探すが周囲に姿は見当たらない。それどころか、何時もは騒がしい筈のマナツやマキナたちまでも影も形もない

 

「みゃあ」

 

「!」

 

刹那、ハッピーの目の前に猫を模した髪型の少女が姿を見せた。彼女の名はミリアーナ、エルザのかつての仲間の一人である

 

「元気最強?」

 

「元気…最強?」

 

「みゃあー!喋るネコネコだぁー!!」

 

意味の分からない言葉を放つミリアーナに、ハッピーが鸚鵡返しすれば、彼女は喋る猫に大喜びする

 

「ミリア…もっとダンディになりな」

 

「みゃあ?」

 

盛り上がるミリアーナを咎める影、彼はナツを襲った四角いヤツ基ウォーリー。彼もエルザのかつての仲間の一人である

 

「ネコが喋るんじゃねぇ喋るからネコなんだぜ」

 

「そっかー!!」

 

「鬼ウケる!!なにそれ〜!」

 

納得するミリアーナの背後で、ウォーリーの発言を笑うレティ。何時の間にか姿を見せた彼女は腹を抱え、げらげらと笑い始める

 

「ナツは!!みんなはどうしたんだっ!」

 

「ヘイ…キャーッツ、ボーイは今頃アスファルトに口づけしてるぜ」

 

「レティが相手にしたお猿さんみたいなヤツも今頃は海に沈んでんじゃね?きゃははは!!」

 

「ウソだ!ナツが!ナツやみんながあれくらいでやられるもんかっ!!」

 

「ミリアーナさぁ…ネコのしつけはちゃんとしなよぉ〜……ウザいんだけど」

 

先程までとは異なり、ぎろりとハッピーを睨むレティ。その瞳は氷のように冷たい眼差しだった

 

「もうっ!レティちゃんはネコネコの良さが分からないのっ!?」

 

「分かってたまるかバーカ」

 

「おいおい、口喧嘩なんざダンディじゃねぇ真似はやめときな」

 

「ウォーリー!ミリアーナ!レティ!エルザが脱走した!!」

 

勢いよく扉を開き、姿を見せたのは大男基シモン。エルザの事を誰よりも知っていたかつての仲間である

 

「エルザ?まさか!ここにいるのっ!?」

 

仲間の名を聞き、ハッピーは誰よりも早く反応するが捕まえた当事者たちであるレティたちは顔色を変えようとしない

 

「脱走ー懐かしいひびきー」

 

「シモン、ダンディになれよ。この塔から逃げられるわけないぜ」

 

「エルザ一人で何が出来んのぉ〜?レティたちから逃げられるワケねーじゃん!鬼ウケるんだけど〜!」

 

脱走という言葉に反応を示し、三者三様の反応を示した三人。彼等が纏う雰囲気にハッピーは唖然とする

 

「はしたないわよ…レティ。狙いはジェラールと見て間違いないわ、それとショウが牢屋で倒れてたわよ…回収しときなさいよね」

 

次に姿を見せたのはイッシュ、冷たい眼差しは何処を見ているのかも分からない程に燻んでしまっている

 

「えぇ〜っ!なんでレティがやんなきゃなんねぇの〜!?マジありえないんだけど〜!」

 

「あ?なんか言ったか」

 

「ぴえ……!ご、ごめんなさい!」

 

口答えしてきたレティを睨みつけ、黙らせると彼女は妹たちを連れて足早に部屋を立ち去った

 

「いったい………何が起こってるんだ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「エルザが脱走したらしいな……実に面白い、あいつほどの良い女は今までに見たことがない…」

 

楽園の塔上層部、玉座に腰掛けるフードの青年。その側に控える着流しの少年は静かに佇み、閉じていた瞳を開く

 

「評議院の決定が出るのも時間の問題なれば……いかがなされるおつもりで?ジェラール殿」

 

「決まってんだろ?楽しもう……生と死……そして過去と未来を紡ぐ楽園のゲームを」

 

ジェラール、そう呼ばれた青年はフードの下で笑う。その笑みは狂気に満ちていた

 

『それで?ジェラールはしっかりと動いてるかしら……ヤギュウ』

 

「御心配なさらずとも…貴女様の思惑通りゆえ……」

 

部屋から出たヤギュウの前に女性(・・)が姿を見せる。しかし、その姿は霞がかり、ゆらゆらと揺らめている

 

『ふふっ……流石はヤギュウね。貴方の働きを我が君(マスター)もお喜びになっている筈よ………引き続き、ジェラールの監視役を続けなさい。此方も準備を進めておくわ』

 

「承知したゆえ……ウルティア(・・・・・)

 

ヤギュウ、彼についての情報はジェラールも知らない。突然、彼の前に姿を見せ、力になると進言してきた謎めいた存在。その真の姿を知る者は今はまだ誰も存在しない

 

「全ては我等が終生の願いたる大魔法世界(・・・・・)実現のために…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見張りの数が多いな」

 

「気にする事ぁねぇ!突破だ!」

 

「真正面から行くのが当たり前だ!」

 

「そうだよ!インターホン鳴らさないとダメだよー!」

 

「殴り込みかっ!わくわくするぜっ!」

 

見張りの位置を確認するグレイの背後で、忍ぶ事を知らない竜兄妹とスコル、セイランの四人は正面突破を提案する

 

「ダーメ!エルザとハッピーが捕まってんのよ?下手な動きは命取りになるわ」

 

「ハッピー!お姉ちゃんが今行くわ!」

 

「落ち着くんだ、キミらしくもない。先ずは塔に行く為の作戦を立てるんだ」

 

「そうね…取り乱したわ。どうするの?マキ」

 

ルーシィが四人を制止し、先走ろうとするリアンをディンガが咎めると彼女は息を整えた後に作戦立案に長けた白衣の少年に視線を向ける

 

「今、ネエちゃんが塔までの道を占ってるよー。作戦はそれから立てても問題ねぇかな」

 

「よしっ!占いの答えが出たよ!地下に水脈が通ってるから、そっから忍び込むんだ」

 

「さすがネエちゃん!今日もナイス不思議(ワンダー)かな!正に奇術だね、予言だね、予知だね!」

 

「当然じゃないかい!だって私は奇術師(ディーラー)!つまりは奇術師だからね!」

 

何時もとは真逆に(マキナ)が褒め称え、(カナ)がけらけらと笑う。所謂、御約束のやり取りの派生版である

 

「ジュビアが道を確認してきました」

 

「流石はアネさんだ!仕事が早いね!」

 

「でかした!!」

 

「どうだ!ゴーグル!お前の姉貴よりもジュビアの方がスゲェだろ!」

 

「ネエちゃんよりも不思議(ワンダー)な人がいるワケねぇかな、おとといきやがれ」

 

「おや…チームワーク抜群だね」

 

「どこがよっ!!アンタの目は節穴かっ!!」

 

チームワーク以前に協調性皆無なマキナたち、その様子に的外れな解答を導き出したディンガにルーシィが吠える

 

「水中を10分程進みますが息は平気でしょうか?」

 

「10分くれぇなんともねーよ」

 

「だな」

 

「10分だぁ?はんっ…おめぇらはそんだけしか無理なのかよ…俺は最長で1時間息止められんぜっ!」

 

「甘ェな!モンキー!こちとら、4時間だぜっ!」

 

「そのまま溺れちまえかな」

 

「「「「んだとゴラァ!!」」」」

 

敵の根城を前に殴り合いを始めるマキナたち、緊張感とチームワークを皆無な男連中対し、女性陣は何をしているのかを見てみよう

 

「男って……なんでああいう意味ないケンカするのかしら……」

 

「やだねぇ、品がない証拠だよ。マキナは別だけど」

 

「エルザとハッピーは大丈夫かなぁ?」

 

「ちょっと、ディンガ。あれをどうにかしにゃさいよ」

 

「すまないね、管轄外だ」

 

「グレイ様の横顔ステキ……」

 

「侵入の意味をわかってんのか……こいつら…」

 

割と真面なのはルーシィとアマノだけであった。その後、喧嘩は何時の間にか素潜り勝負になり、ジュビアの魔法を使い、水中からの侵入という形に作戦は落ち着いた

 

「ぷはっ……二度とやりたくねぇかな……素潜りなんて…」

 

「泳げないのに頑張ったじゃないかい!えらいね!マキナ!」

 

「おやおや、カナは今日も博士に激甘だね」

 

濡れた白衣を絞りながら、素潜りを二度とやらない事を堅く誓うマキナ。それに対し、カナは彼を抱き寄せ、撫で回す

 

「それはそうと便利ね、コレ。敵の顔面に被せたら窒息死させられそうよ」

 

「発想がエグいわっ!!でもリアンの言う通りね、便利だわ」

 

「あら…ルーシィさんのだけちょっと小さめに作ったのに…よく息が続きましたね」

 

「なんでよっ!!」

 

「すまないね、ルーシィさん。アネさんは恋敵に容赦ねぇトコあるんだ」

 

「大丈夫だよ!アーちゃん!ルーシィは変だから気にしないよっ!ねっ!ルーシィ!」

 

「マナツはギルドに帰ったら、言葉の勉強ね。大丈夫よ?変なルーシィがしっかりと教えてあげる」

 

「ふぇ…な、なんか…ルーシィが怒ってる…なんでぇ〜!?」

 

瞳の奥が笑っていないルーシィの笑顔に、マナツは涙目で小動物のように震える

 

「なんだぁー!!今の声はー!だれかいるぞーっ!!」

 

「やべっ!」

 

「見つかった!!」

 

「おっしゃぁ!殴り込みだ!」

 

「ネエちゃん……今、なんだって聞かれたかな」

 

「そうだね……てこはとだ、名乗る必要があるね」

 

「わーい!アタシもやるー!アニキもやろー!」

 

「おっしゃぁ!」

 

「なんでそうなるのよーーっ!!」

 

名を聞かれたからには名乗る必要がある、そう判断したアルベローナ姉弟と竜兄妹。四人にルーシィの突っ込みが放たれるが彼等の耳には届かない

 

「天が呼ぶ!地が呼ぶ!誰が呼んだか!最強にして最高!巷で大評判の天才児!マキナだよー」

 

「酒に溺れても人には溺れないが私の座右の銘!その手から繰り出すは摩訶不思議なワンダーランド!私の前に敵はない!カナ様の御登場だよ!」

 

「「我等!不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)!!」」

 

「立ち塞がるヤツはぶっ飛ばす!俺の前に道がなきゃ作ればいい!俺の拳が真っ赤に燃える!!炎の竜の名は伊達じゃねぇ!ナツ!」

 

「いついかなる時も挨拶を忘れずに!挨拶はいつだって元気よく!おはようございますからのいってきます!今日も元気にこんにちは!魔法の都で人気急上昇の美少女ちゃん!マナツだぜ!」

 

「「我等!竜兄妹(ドラグニルブラザーズ)!!」」

 

「足して……」

 

「合わせて……」

 

「揃って…」

 

「いざ参らんっ!」

 

「「我等!妖精の尻尾(フェアリーテイル)!!」」

 

効果音が鳴り響きそうなくらいに決め台詞を放つ不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)並びに竜兄妹(ドラグニルブラザーズ)。しかし、それは今やるべきことなのか?とルーシィたちは唖然とする

 

「ハッピーの声がしたわ!あっちよ!ディンガ!」

 

「ふむ…久しぶりに本気を出さなければね。頭をかち割ってやろうじゃないか」

 

そして、二匹の猫はハッピーを目指し、一目散に駆け出して行った




囚われのハッピー、彼を救出する為に現れた姉貴分の黒猫ちゃんと兄貴分の天才赤猫!これが本当のキャットファイト!

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