天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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セイラン「前回のあらすじ、超絶最強武闘派魔導士のセイランこと俺は、梟に食われちまったがボコボコにしてやった!!」

マナツ「すごい端折った!!」

マキナ「相変わらずの端折り芸かな。でもまぁ、次はボクの出番かな!ワクワクするかな!」


第五十三話 天才くん、着流しの侍と斬り合う

「仲間たちの声が聞こえた……エルザの帰る場所は妖精の尻尾(ボクたちの家)だ。泣くなら、ボクたちの側で……笑うなら、ボクたちと一緒に……その為なら、ボクは妖精の女王(エルザ)の剣になる。来なよ、〝X(見えないもの)〟が見える時……全ては終わりを告げる。瞬きしてると見逃すよ……〝X(見えないもの)〟が見えるのはこっからだ」

 

体の表面には無数の傷、息をするだけで肺が悲鳴を上げ、歩くだけで骨が軋み、拳を握れば血が滴る。だが、啖呵を切り、決まり文句を口にしたからには引き下がれない。否、理由等は何でも構わなかった。仲間の過去を知り、仲間の声を聞き、涙の意味を知った。だからこそ、彼は〝()〟を握り締め、相対する相手が格上であると理解していても、彼は切先を向ける

 

「〝X(見えないもの)〟………これまた面妖な例え……如何なる斬撃も某には通じぬ事を理解出来ぬとは……やはり、天才とは名ばかりの浅はかな少年であったか」

 

生まれた時から刀に慣れ親しみ、凡ゆる戦場(いくさば)に於いて、自らの力だけで成り上がってきた刀の申し子、其れこそが〝ヤギュウ・シンゲツ(・・・・・・・・・)〟という侍だった。故に目の前の少年が口にした現象さえも、彼には、その場しのぎの言い訳としか捉えるしかなかった。だが、何故だろうか?少年は頭のゴーグルに触れ、意味深に笑ってみせた。まるで、今から起きるのが言葉通りの現象を物語っているかの様に、彼は笑っていた

 

「本当は疲れるし……魔力もヤベェくらいに消費するから、使いたくねぇけど……仲間の為だから、四の五のは言ってらんねぇかな」

 

「何をするつもりかは知らぬが……その前に叩き伏せるのみ……!!居合い・八咫烏!!」

 

刀に手を添えたヤギュウが技名を叫ぶ。三つ足の鴉の姿に変化した斬撃は真っ直ぐと対象に向かう筈だった

 

形態変則(リベレイションフォルマ)

 

「リベレイション……解放……?何が起きた……」

 

静かに口にされた意味深な言葉、其れを聞いた瞬間、ヤギュウの放った斬撃は跡形も無く……否、最初から存在しなかったの様に消え去った。その中心には白衣を靡かせた少年が佇む。一瞬の現象に何が起きたかを理解出来ずに呆気に取られる

 

「本来は解放を意味するけど、厳密には違う……この形態変則(リベレイションフォルマ)が意味するのは変則的な形態変化……現時点のボクが持ちうる最強の刃で相手をしてやる………アンタが居合いなら、ボクは全てを真っ二つに斬り裂く二刀流(・・・)だ」

 

そう告げる、マキナの手には二振りの刀が握られていた。双剣でも無く、双刃剣でも無い、変則的な武器。大太刀と小太刀の変則型の二刀流、其れがマキナが持ちうる最強の刃である

 

「二刀流………変則的な刀の組み合わせではあるが、確かに今までとは異なるのは事実ゆえ……なれば、某も応えねばなるまい……普通の刀()で耐えれるかは否であるが…」

 

「なんだ………雰囲気が変わった……?」

 

何かを決したのか、ヤギュウはゆっくりと息を吐き、体から力を脱力させ、全ての力を刀を握る手に込める。目の前の少年から唯ならぬ気配を感じたマキナは本能的に何かを感じ取った

 

「神速の居合いを喰らえ!!神居(かむい)・怒髪天!!」

 

「博士!!」

 

「大丈夫かな……ボクにとって、斬撃は!」

 

飛来する斬撃、ディンガの呼び掛けに対し、マキナは意味深な笑みを崩さない。その理由は明白、そうだ、そうだった、自分の相棒には如何なる斬撃も通じない。否、最高のごちそうだ

 

「………もぐもぐ……ふぅん?あの斬撃はこういう味か…エルザのと比べるとスパイシー…あと、ちょっとだけ和風な感じもするかな。うーむ、斬撃の味は奥が深ェかな」

 

最強技である神居は跡形もなく消え、残っていたのは口に何かを含みながらも意味深に笑うマキナの姿。斬撃の味を語るように味わう姿は取材記者の如く、そして、何が起きたのかを理解出来ないヤギュウは呆然としていたが直ぐに我に返る

 

「…何をした…?」

 

「何をって……食べた(・・・)

 

「なるほど…滅竜魔導士特有の魔力回復方法……実物を見るのは初めてなれば…」

 

衝撃的発言に対し、一度は面を喰らった気分になったが、冷静さを取り戻したヤギュウは滅竜魔導士の特性を理解しているかの如く告げる

 

「ふぅ……ごちそうさま…食べたら力が湧いてきた!見せるよ…最強の技を!!滅竜奥義・双焔竜天(そうえんりゅうてん)!!!」

 

変則二刀の刃同士を擦り合わせ、摩擦を起こした刃は蒼き焔を生み、燃ゆる斬撃は竜に姿を変えゆく。魔法と科学、二つの知識を持つ彼だからこそ可能な最強の秘技。是即ち魔科学である

 

「ぐっ…………某に傷を付けたのは貴殿が初めてなれば………見事なり……マキナ・アルベローナ……」

 

燃ゆる蒼き斬撃に焼かれ、ヤギュウは地に倒れ行く。最強の侍が味わう敗北、其れを前に天才と呼ばれる少年は白衣を靡かせ、彼を見下ろす

 

「次に会う時はアンタの本気を見せろ……ヤギュウ・シンゲツ。ボクの眼は誤魔化せない……お前の本気をボクが斬る。〝X(見えないもの)〟が見えるのは、その時だ」

 

その言葉にヤギュウは答えを返さずに、塵芥となる。まるで最初から誰も存在しなかったかの様に彼は消えていた。その行く末を知ってか、知らずか、マキナは頭のゴーグルに触れる

 

「博士……彼は何処に消えたんだい?」

 

「さぁね……でもまぁ、()が来れば、会うんじゃない?そう……()が来ればね………ぐっ……ヤベェ……傷が……」

 

「おっと…大丈夫かい?マキナ」

 

意味深に呟きながら、戦いを終えた瞬間に気力が抜けたマキナは前のめりに倒れそうになるが、その先にある柔らかな温もりが抱き止め、優しく名を呼ぶ

 

「ネエちゃん……勝ったよ……ボク……」

 

「ああ、頑張ったね。流石は私の自慢の弟だ。だから、後はナツに任せて、ゆっくりと休みな。ディンガ、悪いがマキナと私を運べるかい?」

 

「構わないよ。今の博士ではこれ以上の戦闘は危険だ」

 

「すまないね」

 

事切れた様に、寝息を立てるマキナを背負ったカナをディンガが掴み上げ、不思議姉弟(ワンダーアルベローナ)は戦線を離脱する。その去り行く小さな背を見送る影が一つ、その人物は折れた刀を手に腰に帯刀した本来の愛刀を手に真っ直ぐと彼を見据えていた

 

「次に会う時は………我が最強の前に叩き伏せる………神殺し(・・・)の名に賭けてな」

 

ヤギュウ・シンゲツ。悪魔の一人に名を連ねる者、彼が真の力を見せる日は少しだけ先の話である

 

『ヤギュウ?今、メルディを向かわせたわ。事が済み次第、私も合流するわ』

 

意味深に笑うヤギュウの前に姿を見せた霞がかり、ゆらゆらと揺らめく女性も意味深に笑い、彼の言葉を待つ

 

「承知……全ては我等が終生の願いたる大魔法世界(・・・・・)実現のために…。また会う日まで、暫しの別れゆえ……マキナ・アルベローナよ」

 

 

 




戦線を離脱したマキナが目を覚ますと、全てが終わったあとだった!?えっ!どんだけ端折ったの!?

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