ディンガ「だけど、マナツがお馴染みの食あたりで博士はそれどころではなくなってしまったんだよね」
マキナ「マナツの体調よりも優先すべきことはネエちゃんの晴れ舞台以外に存在しねぇかな」
「あんだぁ?今日はヤケに賑わってんじゃねぇかよ。なんかあんのか?」
マグノリアの収穫祭当日、賑やかな雰囲気に包まれた街を歩くのは、首に身に付けた三色のドックタグが印象的な少年。基本的に一匹狼体質の彼は、仕事以外で誰かと行動する頻度は極めて低く、今も道行く観光客を見ながら、一人で歩いている
「あの……えっと……すいません…あの」
その時、道端で辺りを見回し、誰かを探す青い長髪の少女。声を掛けようにも彼女の小さな声は誰の耳にも届かない
「なんだ?嬢ちゃん?迷子か?」
「かわいこちゃんだなぁ〜!俺たちがいいトコに連れてってやろうか?」
「えっと……わたし、友達を探してるんです…!」
見るからに怪しい雰囲気の二人組が声を掛けるが彼女は疑うことを知らないのか、普通に男たちと会話を始めた
「友達?ああ!それなら、あっちにいるぜ?というか!俺たちはその友達にキミを探してくるように言われたんだ!なっ!」
「おうよ!」
「えっ、そうなんですか?」
明らかな嘘、誰が聞いても理解可能な言葉に少女は意外そうに両眼を見開く。しかし、それはスコルからすれば、興味のないこと、少女がどうなろうと知らない。故に彼は歩き出そうと一歩を踏み出す
「ホント!ホント!なにせ!俺たちはあの
「えっ!あの有名な!?すごーい!シャルルにも教えてあげなきゃ!」
「おい……誰が
聞き捨てならない発言、仲間の証を愚弄する発言、其れは
「なんだぁ?テメェは」
「ガキはさっさと失せろ、俺たちはこのかわい子ちゃんと話してんだよ」
「テメェみたいにファンキーの欠片もねぇヤローが………」
奥歯をぎりっと噛み締め、獣の如き野蛮な目付きで男たちを睨み付けるスコル。少女は突然、姿を見せた彼に怯えたように涙目になっていた
「
刹那、男たちの顔面に蹴りが放たれる。瞬きもしないうちに倒れた男たちと佇むスコル、少女は何が起きているのかを理解出来ずに唖然としていた
「あの!仲間じゃないんですか?この人たちって…」
「あん?知らねぇよ、
落ち着きを取り戻した少女の問いに答えを返し、頭を無造作に掻き乱しながらスコルは逆に問いに投げ掛ける
「あ……そうだ!シャルル!あの
白い猫、聞き覚えのある種族。スコルの脳内に過ったのは四匹の猫、まさかと思いつつも、少女に視線を向ける
「白い猫だぁ?おい、まさかだけどよ……その猫って二足歩行したり、翼が生えてたりしねぇよな?」
「えっ?シャルルを知ってるんですか!?」
露骨に嫌そうな表情で確認を取るスコルに対し、少女は希望を見出したかのように身を乗り出す
「マジかよ……あんなのがまーだいやがんのかよ…」
「あの!お願いします!シャルルを一緒に探してください!」
「………しゃーねぇな、探してやるよ」
「ありがとうございます!あっ!わたし、ウェンディです!ウェンディ・マベール!」
律儀に頭を下げる少女基ウェンディ、周囲には今までは存在しなかった礼儀正しい彼女にスコルはどのように接するべきかと頭を悩ませる
「俺はスコル・ダスターってんだ、気楽にスコルで構わねぇぜ。ついでに堅苦しい態度も無しにしてくれっとありがたいぜ」
「う、うん!よろしくね!スコルくん!(はわっ!歳の近い男の子と初めて喋ったよ〜!)」
一応は自己紹介をしておこうと思い、ウェンディに名乗り、堅苦しさは気楽に接するように促す。其れに応じるウェンディは表面は嬉しそうにしていたが内心は初めて会話する同年代の異性との会話に穏やかな気分では無く、頭の中でデフォルメ化した複数の自分が騒いでいる様な気がして、落ち着かない
「そんで、何処でそのシャルル?ってヤローと逸れちまったんだぁ?なんか覚えてねぇか」
「えっと…確か…紅茶の専門店がどうのとか…シャルルは言ってたよ。この辺にあったりしないかな?」
「紅茶………確か、リアンが偶に利用してやがるのがどっかにあったな。案内してやっから、付いてきな」
「あ、ありがとう!(はわ〜!手が!手が!!)」
紅茶から連想される一匹の黒猫、彼女が頻繁に通っている専門店があった事を思い出し、ウェンディの手を引き、駆け出す。しかし、身近に異性と関わり合うのが距離感の近いマキナとマナツしかいないが故に、スコルは無意識にウェンディの手を掴んでおり、顔を真っ赤にしている彼女の変化には気付いていない。一方で、異性との触れ合いは初めてとも言えるウェンディは思考が絶賛爆発中である
「ほらよ!着いたぜ!ここだ!」
思考が飛んでいた間に目的の店に辿り着いたらしく、我に返ったウェンディは店内を見渡す
「あっ…!シャルル!」
「ウェンディ!勝手にどっかに行ったりして、心配するじゃないの!」
名を呼ばれ、反応したのは店内を歩いていた二足歩行の白い猫。毛色や佇まい等は異なるが、其れはスコルのライバルが連れている赤い猫、その幼馴染が連れている黒い猫、暑苦しいマフラーの青年が連れている青い猫と酷似していた
「………コイツはファンキーだぜ……ウチにいる猫共以外に歩いて喋る猫が居やがるなんてよ」
「誰よ、アンタ」
「シャルル、この人はスコルくん。シャルルを探すのを手伝ってくれたんだよ。スコルくん、この子がシャルルだよ。見つけてくれてありがとう」
「いーってことよ、こんくらいは昼飯前だ!ん?朝飯前だっけか?まぁ!どっちでもいーか!」
「ウェンディ。このオスはバカよ」
「失礼でしょ!シャルル!」
刺々しい態度の白猫基シャルルは、言葉を間違っているにも関わらずに笑いはじめるスコルを指差し、彼がバカであると見抜くが、恩人とも呼ぶべき彼を蔑ろに出来ないウェンディはシャルルを咎めた
「何はともあれだ、見つかったんならよかったじゃねーかよ。この後はどうすんだ?」
「ホントは収穫祭を見て回りたいんですけど……わたしたち、お仕事の帰りなので、今日はもう帰ろうと思います。色々とありがとう、スコルくん」
「まぁ、百歩譲って感謝してあげなくもないわ」
「そーか。んじゃあな!」
律儀に頭を下げ、シャルルと共に駅に向かっていくウェンディ。小さな背を見送り、スコルは再び、一人で街を歩き出し、祭の活気に溢れる街並みをBGMに軽快な足取りで歩む。その姿はまるで、尻尾を振る犬のように見えなくもない
「おや、誰かと思えば……なんだか、ごきげんな様子のスコルじゃないか。どうしたんだい?」
「にゃんか良いことでもあったの?アンタ」
「おん?ディンガにリアンか。もやしゴーグルと絶壁はどうしたんだよ、お前らこそ」
背後を振り向けば、煮干しの串焼きを片手にリアンと仲良く手を繋ぐディンガの姿があり、その側に彼等の相棒たちの姿が見えないことに気付く
「博士なら、何時も通りに食あたりを起こしたマナツの看病さ。僕たちはなるべく静かにした方がいいと思ってね、特別にリアンをエスコートさせてもらっているんだ」
「こればっかりは言うことを聞かないマナが悪いわ。あたしもたまにはお祭りを楽しむ側に回ってバチが当たるワケでもにゃいし……で?スコルは何をしてたのよ」
「あー……なんつーか…人探し?イヤ、猫探しを手伝ってた」
意外や意外、暴れる事が生き甲斐のスコルが放った発言にディンガは頭のガスマスクに触れ、リアンも口元に手を当てる
「……僕の聞き間違いだろうか?今、スコルの口から聞き慣れない発言が飛び出したような気がするのだけれど……」
「奇遇ね、あたしもきゃっと驚きそうになったわ。まさか、スコルが人助けだにゃんて、どういう風の吹き回しなの?」
「俺にもワカンねぇよ……ただなんか見ておけねぇというかほっとけねぇ感じがしてよ。だぁぁぁぁ!考えてもやっぱりワカンねぇ!!なんか食ってくる!」
知らない感情、抱いたことのない想いに戸惑う姿は正にであるがディンガとリアンは敢えての何も言わないを選択し、屋台の方に消えゆく背を見送る
「ディンガ。どう思った?猫がどうのってヤツ」
「可能性は無きにしも非ずだろうね。僕たちよりも後に
「そんなんじゃにゃいわよ。それに今更、顔も覚えてないような
意味深な発言を交え、問い掛けるディンガに対し、鋭い目付きで彼を睨み付けるリアン。側から見れば猫の戯れ合いのように映るが、二匹は正式な魔導士である
「これは失礼、キミに不快な想いをさせてしまったようだ。申し訳ない、マイレディ」
「気にしてないわ。それよりもまだまだ収穫祭を見て回りたいから、エスコートをお願いするわね?ジェントルマンさん」
「お安い御用さ」
そして、二匹はまた仲良く手を繋ぎ直すと屋台の方に歩み出す。其れが、決別という名の姉弟喧嘩に発展するとも知らずに二匹は一歩一歩踏み出すのであった
ミス・フェアリーテイルコンテスト開幕!トップバッターは奇妙奇天烈!奇々怪界のキャッチフレーズでお馴染みのあの人!マキナも応援に力が入る!しかし……遂に!
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