フェルマ「誰が不肖の姉よ。愚弟」
リアン「あら、にゃに?負け猫の鳴き声は誰も聞かにゃいわよ」
フェルマ「リアン、アンタのそーいうのがムカつくのよ。あとでギタギタにしてやるわ」
リアン「出来るの?あたしに負けたくせに」
フェルマ「やっぱり、嫌いよ」
ディンガ「仲良くしてくれるかい?キミたち」
リアン/フェルマ「「無理」」
「スコル。お前程度の実力で俺に挑むつもりならば、身の程を弁えろ。仮にも俺は〝雷神衆〟の一人、お前が敗北するのは目に見えている」
〝雷神衆〟、ラクサスを取り巻く親衛隊にして、
「ガタガタとうっせぇ!!身の程だぁ?悪りぃが俺はんなもん関係ねぇんだよ……もっぺんだけ言ってやるから、よぉ〜く聞きやがれ!俺は誰からの指図も受けねぇ!俺は俺だ!」
「哀れだな……実力も分からないか……闇の
フリードが抜刀した剣を文字を書くかのように振り、スコルの体に何かを刻む
「がぁぁぁぁぁぁ!!?」
「その文字は現実となり、お前に感覚を与える。所詮はまだ子ども…お前の実力はその程度だ」
「うるせぇ……って言ってんのが聞こねぇのか…!!いいか、テメェんとこのボス猿がやろうとしてんのは、マスターの意志に背く反逆だ。俺はあの人に恩義がある……だから、野放しにはしねぇ!!牙狼天眼!!!」
体に走る痛みに耐え、十八番とも呼べる乱撃の嵐を叩き込むスコル。しかし、体に走る痛みは激痛に変わり、その小さな体は次第に悲鳴を挙げる
「まだやるか?正直、立つのもやっとだろう」
「うる……せぇ……さっさと……術式……解け……マスターたちに……なによりも……あのバカに……マキナのヤローに……顔向け出来ねぇ真似は……しねぇ……俺が……テメェを止めてやらぁ……」
「ならば、贈ろう。お前に最期を……闇の
(死………情けねぇな……死ぬのか………)
死滅、その文字が意味するのは最期。頭の中に駆け巡るのは死を覚悟した者が思い出すとされる走馬灯と呼ばれる数々の思い出。呆気ない最期に、スコルは死を受け入れようと掠れる意識に身を任せていた
『スコル………ボクはお前が嫌いだ。それに関しては誰にも負けねぇくらいに』
(知ってらぁ、俺もだからな。お前のツラなんざ一秒足りとも見たかねぇぜ)
『それでも…コレはお前だから頼める。頼む………ネエちゃんとマナツたちの為にばっちゃんに薬をもらってきてくれ……お願いします』
(そうだ………アイツに……マキナに……頼まれたんだ……まだ……まだだ!!俺は!!)
刹那、頭に過ったライバルとの会話に奮い立った心に灯が灯る。薄れていた魔力は高まり、大気を揺らすほどの空気の流れを生み出す
「な……なんだ!?この魔力は!!ヤツのどこにこんな力が!!」
「
首にぶら下げた三つのドックタグの中でも眩いばかりの輝きを放つ銀色を口に含んだ瞬間、スコルの体に目に見える変化が現れる
「魔狼だと……?」
その体に迸るかのように駆け巡るのは視界に捉えられる程に活性化した魔力の流れ。何よりも驚くべきは、その流れの中心に佇むのが一人の少年であることだ
「ギアを上げた、こうなったからにはファンキーよりも激しい俺を見せてやるよ」
ギアを上げた、その言葉が何を意味するかはフリードには理解出来ない。だが、明らかに数分前までの彼からは感じられなかった気迫は今までを遥かに凌ぐ程に荒々しく、獣に匹敵する程に恐ろしく見えた
「闇の
「遅ェよ」
文字に寄り、翼を自らに付与したフリードは空高くに飛び上がり、制空権を得たと思っていたのも束の間、見当違いの方向から、その声は聞こえた
「何時の間に……っ!?」
「言ったろ…ギアを上げたってな。こうなっちまったからには、並大抵のスピードで俺に追いつけねぇ!俺を舐めんなっ!!」
「ぐっ……!?」
明らかに数分前とは異なる異様なまでの獣染みた雰囲気、今までも獣に近しいものはあったが今の彼は其れを遥かに凌ぐ程に獣と動き、仕草等が酷似していた。まるで、それは獣に近付き、獣そのものと呼ぶに値する程に荒々しい雰囲気を感じる
(なんだ……!この異様な気配!まるで悪魔……!ならば!禁じ手だが仕方あるまい)
(これ以上の消費は体に負担を掛けちまう……今の俺には牙狼を制御するだけで精一杯だ。魔狼は持っても一、二分がリミット……だから……最速で蹴りを付ける……!!)
禁じ手を使用しようとするフリード、自分の魔力に負荷を掛けるが故に早期決着を試みるスコル。互いの思考が交差する中、勝負には次第に動きが生じる
「〝魔〟には〝魔〟をもって制す。闇の
「魔を喰らう荒ぶる獣よ……我が身に宿りて、その威を示せ……」
その身に闇の
「〝暗黒〟!!」
「〝魔狼爆砕呀〟!!」
魔を宿した拳と魔を喰らう拳が、空間全体を揺らし、地形を変える程に荒々しくぶつかり合う。その拳が触れる度にスコルの中にある意志とも呼ぶべき記憶がフリードに流れ込む
『名は?』
『……………そんなのねぇよ、俺はただの実験動物だ』
『ならば、ワシがお前に名をやろう。スコルはどうじゃ?かつて、魔を喰らい、天にも届くほどに高らかな咆哮を挙げたとされる、狼の名じゃ。お前は今日からスコルじゃ、歓迎しよう………我がギルドに』
名無しの獣はその日から、スコル・ダスターという一人の魔導士になった。家族、ライバル、様々な面々に囲まれながらも彼は成長し、この瞬間まで歩いてきた
「俺はバカだ。マキナのヤローみてぇに頭も良くねぇし、マナツみてぇに誰かのために怒ってもやれねぇ………それでも!仲間を!家族を!守りたいと想う気持ちは負けてねぇ!!ラクサスのためだぁ!?ふざけんなっ!!それの何処にテメェの意志があるってんだ!!」
「う……うるさい!!俺の仲間はラクサスだけだ!!アイツの意志は俺の意志だ!!」
「うるせぇのはテメェだ!!!仲間がラクサス一人だぁ!?俺たちも仲間だろうがっ!!テメェの眼は飾りかっ!?違ェだろ!!遠くにある理想よりも、近くにある現実をみやがれっ!!!フリード!!」
「うぐっ……!!」
拮抗していた拳は、スコルが押し勝ち、フリードは地面に叩き付けられる。今までは自分の生きる意味はラクサスの存在だけが唯一無二だと思っていた。しかし、それは大きな間違いだった。少なくとも、間違った時には引き戻してくれる仲間が居た、その少年は倒れる自分に手を差し出した
「泣きてぇなら泣け。俺はマスターにそうやって、育てられた……」
「こんなこと……したくなかったんだ……本当は……すまん……すまない…スコル……ラクサスを止めてくれ……」
「そうしてやりてぇけどな……ちっーと無理をしすぎた……あとは任せたぜ………マキナ…」
【フリードVSスコル、共に戦闘不能。雷神衆残り1人及びラクサス&ガルム】
「イッシュはエルザのとこに行かなくてもよかったの?」
「今のあの子に必要なのは機動力よ。つまりは瞬間的に場所を移動可能なレティの方が適任……私は私でやらせてもらうわ。それともなに?元が敵だった私は信用に値しないのかしら?ルーシィ」
「い、いや……そうじゃないけど……」
石化を解除されたルーシィはラクサスが居そうな場所を探す為にカナたちと手分けし、街の中を見回っていた。しかし、その同行者がミステリアスな雰囲気を持つイッシュであるが故にやり辛い空気が流れていた
「……………そろそろ、姿を見せたら?覗き見なんて、はしたないわよ」
「え?どうしたの?イッシュ」
「ルーシィ!あそこ!」
何かを感じ取ったイッシュは振り返ることもなく、背後に呼び掛ける。その意図が理解出来ないルーシィが首を傾げていると、ハッピーが声を挙げた
「きゃわっ!?」
「青猫さん……ルーシィをお願いするわね」
刹那、飛来した人形が襲い掛かろうとした瞬間、ルーシィをハッピーの方にイッシュが放り投げた
「あいさーっ!!ルーシィ!ここはイッシュに任せよう!ビッグスローは危険だよ!リアンとディンガなら、マキナの居場所を知ってるかもしれない!」
「へ?なんで?マキナ?」
「ラクサスはマキナの兄貴分だってことは知ってるよね?」
「う、うん。カナに聞いたから」
「マキナはあらゆる術式を掻い潜って、絶対にラクサスを目指すと思うんだ。となると、マキナの居場所が分かるのは誰だと思う?」
「そうか!ディンガ!」
「その通り!!いくよっ!」
翼を広げ、ルーシィと共に去り行くハッピー。その声が聞こえなくなるとイッシュは身構える
「はじめまして……で良い?不躾なサーカスの団長さん」
「はっ……お前も新人か?」
「そうよ。さっきまで居たルーシィよりも新参者のルーキー………まぁ、キャリアに関しては……曰く付きではあるんだけど。
ビッグスローと呼ばれた仮面の青年を前に妖艶な笑みを浮かべた後、イッシュはその姿を頭からは狐耳が生え、腰回りには九本の尻尾が生え、着物姿の妖狐に変える
「
「九つの尾に宿る私の怒りを思い知りなさい。悪い子はお仕置きよ」
イッシュVSビッグスローによる激戦が繰り広げられている頃、カナは単身でマキナを追っていた。弟の向かう先に待ち受けるは、かつての大事な人。何故、こうなってしまったのだろう、何故、大事な二人が争わなければならないのだろう。様々な葛藤を胸に彼女は走る
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