天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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スコル「前回のあらすじ、最強のファンキー魔導士のスコルこと俺は……フリードのヤローを最強にファンキーな技で吹き飛ばしてやったぜ!なっーはっはっはっ!やっぱり、俺に不可能はねぇぜ!」

マキナ「フリードにとっては最大の汚点だと思うかな。敗北相手がお前みてぇなバカ猿だなんて」

スコル「あんだとゴラァ!未だに見せ場もねぇのに出しゃばるんじゃねぇぞ!!もやしゴーグル!!」

マキナ「うっせぇかな、バカ猿。山に帰れ」

セイラン「ふごふごふごご」←丸焦げ

マキナ/スコル「「なにいってかわかんねぇよ!!」」


第六十三話 女狐お姉さん、親友と妹と暴れる

「九つの尾に宿る私の怒りを思い知りなさい。悪い子はお仕置きよ」

 

九つの尾はイッシュの心にある怒りを体現したかのように、ゆらゆらと揺らめく。その姿は異形に思えるが、見方によっては天女に見間違える程に威風堂々たる佇まいだ

 

「お仕置き?はっはっは!!いいねぇ!気に入ったぜ!俺と遊ぼーぜ!狐耳のねーちゃん!」

 

「はしたない言葉遣いね、うちの妹(レティ)に近付けたくないわ」

 

「はしたない?はっはっはっ!オメェの格好もなかなかだろーがよ。やっちまいな!ベイビー!!」

 

刹那、ビックスローの周りを回っていた人形が飛来し、無数の光弾を放つ。所狭しと放たれる光弾をイッシュは紙一重で躱していく

 

「厄介な人形ね……焼き払ってあげるわ。一尾・狐火不知火!」

 

「んあっ!?尻尾から火ィ!?なんだそれっ!?」

 

人形を呑み込まんとするイッシュの九尾の一本から放たれた狐の形をした炎は巨大な火球に姿を変える

 

「確かに……私は妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入って、日が浅いかもしれない。それでも、私や妹みたいなはみ出し者を受け入れてくれたマスターには恩義を感じてるわ。だから、そのマスター(恩人)に足を向けるような失礼な真似はしたくない………ごめんなさい、ボウヤには難しい話だったわね」

 

「ボウヤァ!?オメェの方が歳下だろうがよっ!!やっちまいな!ベイビー!!いくら、俺のベイビーたちを倒しても、次から次へと湧いてくる!何故かって?そりゃあ!この下がホビーショップで、人形の宝庫だからよっ!」

 

「聞き分けのない子は嫌いよ」

 

「はっ!好かれようと思ってねぇなぁ!バリオンフォーメーション!!!」

 

「三尾……くっ!間に合わな--!」

 

突如、放たれたビックスローの指示に寄り、人形たちは五角形に広がり、イッシュの頭上に光線を放つ。即座に三つ目の尻尾で防御体制に入ろうとするが、間に合わず、直撃は免れないと思った瞬間、何処からか首を掴まれ、間一髪の所で回避に成功する

 

「もぉ〜!!レティが居なかったら、どうなってたと思ってんのー?鬼反省しろしっ!イッシュねぇ!」

 

「助かったわ、レティ。言葉使いがはしたないけど、今は大目に見てあげる」

 

生意気な言動と共に姿を見せたレティは、ぷくっと頬を膨らませるとイッシュを叱り付ける。何時もとは立場が逆転しているが、力関係的にはイッシュの方が上であることに変わりはない

 

「は?今そんなこと言ってる場合じゃなくね?レティに感謝しろしっ!」

 

「調子に乗んなよ」

 

「ぴえ……!ご、ごめんなさい!でも!レティが来たからには、あの変なのは当たんないよ!」

 

「そうね。ボウヤに見せてあげるわよ、私たちのやり方(姉妹の戦い方)を」

 

「あいよ!」

 

何時ものように涙目になるレティだったが、直ぐに切り替えるとイッシュの隣に並び立つ。未だかつて、ここまでの頼もしい味方が居ただろうか?それに、その相手は気の知れた身内。不思議とイッシュは目の前の強敵を前に負ける気が起きなかった

 

「一尾二尾複合・狐火雪景色!!」

 

「今度は火に氷!?なかなかやるじゃねぇか!だがなぁ!そんなんで、俺のベイビーたちはやれねぇぜ!行きなっ!」

 

「レティ」

 

突然、辺り一面が氷の世界に変化したかと思えば、蒼くゆらめく蒼炎がビックスローを取り囲む。しかし、物怖じしない彼の指示で人形が不規則な動きで飛来し、イッシュに襲い掛かるが、味方を得た彼女は冷静に妹の名を呼ぶ

 

「にっひっひっ〜!あいよっ!瞬間移動(テレポート)!!」

 

「あ?ぐおっ!?」

 

其れに応えたレティの動きは素早く、瞬間移動を発動させ、ビックスローの背後から飛び蹴りを放つ

 

「三尾六尾複合・怒涛雷鳥!!」

 

更に追い討ちを掛けるかの如く、雷を伴う暴乱の嵐が吹き荒れ、ビックスローの人形たちを次から次へと無力化していく

 

「舐めんなっ!魂に攻撃は効かない!!!いくら壊されても新しい〝人形()〟に憑けんのよォ!」

 

「だったら、その度に薙ぎ払うまでよ!レティ!!」

 

「あいよっ!!今度はどっから来るか分かる〜?まぁ、分かんないよね!瞬間移動(テレポート)!!」

 

「くっ……!?」

 

不規則な動きのレティと規則的な動きのイッシュ、互いが互いを補い合うが故に成立する最高の布陣(コンビネーション)には浸けいる隙が無く、ビックスローは防戦一方かに見えた

 

「こうなりゃ……アレをやるしかねぇなァ!!」

 

刹那、ビックスローが仮面を外し、素顔を晒すと同時にその下にある瞳を妖しく光らせた

 

造形眼(フィギアアイズ)

 

「イッシュ!レティ!奴の目を見るな!!」

 

その瞳に宿った魔法を喰らう直前、その逞しくも優しく、聞き慣れた声が響き渡った。ビックスローと二人の間に飛来した緋色の影、剣を片手に佇む彼女は其処に佇んでいた

 

「て……テメェはエルザ!?どっから来やがった!!」

 

「エバーグリーンを倒し、ラクサスを探していたのだが……偶然にも、ルーシィとハッピーに会ってな。聞けば、私の親友がピンチだと言うじゃないか……やらせんぞ……やらせはせんぞっ!!」

 

その人物、エルザは凄みを感じさせる表情でビックスローを睨み付ける。突然の親友の乱入にイッシュは緊張の糸が切れたのか、穏やかな表情で彼女を見ていた

 

「エルザ、私を心配してくれたの?嬉しいわ………一緒に戦いましょう」

 

「ああ……あの日の約束を現実にする時だ。行くぞ!イッシュ!」

 

「ちょっ!レティもいるからねっ!?エルねぇ!」

 

「分かっている。レティも一緒にだ」

 

ビックスローを相手に生まれた昔馴染みトリオ。その並び立つ三人は絵に描いたように美しく、可憐だったと後に収穫祭の観客たちは語った

 

「エルザが来ようが関係ねぇ!!この「人形憑(ひとつき)」と造形眼(フィギアアイズ)のコンボに勝てる奴なんかいねえぇぇんだよ!!」

 

「その言葉だけど………そっくりそのまま返しさせてもらうわ。ねぇ?エルザ」

 

「そうだな……イッシュ。舞え!剣たちよ!!循環の剣(サークルソード)!!」

 

「五尾六尾複合・水面鳴動!!」

 

エルザの放った無数の剣たちが飛来し、五本目と六本目の尾が重なり、発生した地面から湧き上がる無数の間欠泉がビックスローの視界を塞ぐ

 

「ぐわっ……わぷっ!!なんだこれっ!!うわっ!!あぶねーなっ!!」

 

「油断大敵!必殺の〜!レティアッパー!!」

 

「ぐおっ!!」

 

「エルザ!」

 

「ああ!!換装・巨人の鎧!!」

 

「一尾・狐火不知火!」

 

下から出現したレティにかち上げられたビックスローが飛び出した瞬間、巨人の鎧に換装したエルザが破邪の槍を投擲、其れに追随する形でイッシュが火の玉を放ち、火力を増した槍は巨大な花火を打ち上げた。二位一体、息のあった彼女たちだからこその合体魔法(ユニゾンレイド)はマグノリアの空に打ち上がる

 

「「妖精花火・(かさね)!!」」

 

「ぐぉぁぁぁぁぁぁっ!!?」

 

三人のチームワークの前にビックスローは撃沈し、叫び声と共に落下していく

 

「エルザ。ありがとう」

 

「なーに…私とお前の仲じゃないか」

 

「いだっ!!」

 

礼を述べるイッシュを抱き寄せたエルザであったが、鎧着用中であったが故に物言わぬ屍と成り果てたのは御約束である

 

「鬼ウケる〜!!イッシュねぇってば、気絶してやんの〜!」

 

「聞こえてるわよ……あとで分かってんだろうな?レティ」

 

「ぴえ……!ご、ごめんなさい!うわ〜ん!エルねぇ!イッシュねぇがいじめるぅ〜〜!!」

 

「泣くんじゃない……全く…仕方ないヤツだな」

 

【イッシュ&レティwithエルザ勝利。ビックスロー戦闘不能に寄り、雷神衆全滅。残りラクサス&ガルム】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ……マキナ……待ってな……今、姉ちゃんが行くからね……!」

 

石化が解除されたカナは単身で弟が向かったであろう方向に足を走らせていた。自業自得ではあるが二日酔いであるが故に体は重いが、彼女にとっては弟の無事が最優先である為に、それは二の次となっていた

 

『カナ。良い酒があるんだが、飲まねえか?』

 

『良いのかい?ラクサス。言っとくが、私は酒にはうるさいよ』

 

『ニィちゃんの選んだお酒なら、ネエちゃんの舌を満足させられると思うかな。だって、ネエちゃんの好みを誰よりも知ってるのはニィちゃんだからねー』

 

三人で食卓を囲み、笑い合った日を今でも忘れたことはない。其処にはディンガも、フェルマも、デウスとエクス、ガルムも居た。賑やかな景色に囲まれ、楽しそうにけらけらと笑う幼い笑顔は、カナにとって、何よりの安らぎだった。長い旅路の果てに掴んだ幸せ、それが一番の宝だった

 

「ラクサス………アンタを……止めるのは私だ……」

 

「カナ」

 

「………っ!誰だ!」

 

不意に名を呼ばれ、戦闘体制を取ろうとするカナ。その視線の先に佇むは覆面の青年、見たことはないが不思議と知っている様な気がしてならない彼を前にカナは両眼を見開いた

 

「私は」

 

「ミストガン。そうだろ?」

 

「そうだ。早急にラクサスの元に行かねば、マグノリア全体が恐ろしい目に遭う」

 

「恐ろしい目?なにがどうなるってのさ」

 

「それは」

 

「ハッピー!!あれなにっ!?なんか空にあるわよっ!」

 

魔水晶(ラクリマ)だと思う……マキナの発明かなぁ?」

 

刹那、聞こえてきた聞き覚えのある声にカナは空を見上げる。其処にはマグノリアを取り囲むように配置された無数の魔水晶(ラクリマ)が浮かんでいた

 

「なっ………まさか………アレは!!」

 

「わっ!カナ!?なにアレを知ってるの?やっぱり、マキナの発明なワケ?」

 

「違う……アレはマキナの発明なんかじゃない!!それよりもヤバいモンだっ!!アレは…!!」

 

神鳴殿(・・・)

 

カナが言うよりも早くにミストガンが口にしたのは、神鳴殿(・・・)という聞き慣れない言葉。その恐ろしさをルーシィとハッピーは知らないが、カナの表情に一切の余裕が見えないのは察しが付いたらしく、呆然としていた

 

「…………どちらさま?」

 

「ミストガンだ。キミは確か………傭兵ゴリラを倒したメイド姿で人にご飯を奢る新人魔導士だったか。確か、特技はツッコミだと聞いている」

 

「何処の情報!?間違ってないけど、間違ってるわよっ!!」

 

滅多にギルドに姿を見せないミストガンでさえも、知っていた自分の情報にルーシィの伝家の宝刀が火を吹く

 

「マキナとの交換日記に書いていた」

 

「あんのお子ちゃまバカ科学者!!というか、交換日記してんのっ!?」

 

元凶がまさかのけらけらと笑う幼い科学者だったと知り、更に交換日記までもしていたという事実に驚きを隠せないルーシィは今日も元気に吠えていた

 

「マキナって謎に交友関係広いよね」

 

「仲間想いだねぇ」

 

「わぁ〜知らない人だぁ!だれだれだぁれ〜?」

 

「あたしがおかしいのっ!?てかマナツは何時の間に!!」

 

和やかに話すハッピーとカナ、其処に何の前触れもなしに姿を見せたマナツはミストガンを前に首を傾げていた

 

「ミストガンだ」

 

「なぁ〜んだ、ミストガンかー!初めて会うけど、知ってるよ!」

 

「私もマナツのことは知っている。それよりもだ、今は神鳴殿を止める為にラクサスの元に向かわねば」

 

「うみゅ?それなら大丈夫だよ?」

 

ミストガンに追随しようとカナたちが走り出そうとした時、マナツがまさかの発言を繰り出し、全員の歩みが止まった

 

「マナツ?あんたは状況を理解してる?今はね、そんなトンチキなことを言ってる場合じゃないのよ?」

 

「分かってるよー!そんくらい!でも大丈夫なの!だってね、アニキとガジルが大聖堂に向かってて、マキナがいるんでしょ?だったら、大丈夫!なんとかなるよっ!」

 

何も理解していなさそうなマナツを言い聞かせるようにルーシィが諭せば、彼女也に理解していたらしく、根拠を口にし、カナは彼女の頭に手を置く

 

「ありがとね、マナツ。マキナを信じてくれて」

 

「うん!だって、マキナは強いもん!あっ、でも……セイランは神鳴殿を壊そうとして、ダメージ受けたからアーちゃんに看病されてるよ!」

 

((最後のだけはいらない情報だった…!!))

 




カルデア大聖堂。マグノリアの象徴に、その男は居た。そして、其処に辿り着いたのは白衣の少年。少年は今、過去を乗り越える為に兄と慕った男と対峙する

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