天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……収穫祭のフィナーレにドデケェ花火を打ち上げて、街のみんなに称賛されたかな」

マナツ「アレすごかった!来年もやってね!マキナ!」

マキナ「いいよー、来年はマナツも一緒にやろうねー」

マナツ「わーい!」


第六十七話 天才くんwith仲間たち、ライバルパニック?

「むぅ………つまんなぁ〜い!!」

 

「あら、急にどうしたの?マナ」

 

収穫祭も終わり、一週間が過ぎ、落ち着きを取り戻したギルドに響き渡るのは少女の声。その声の主であるマナツに、相棒の黒猫はティーカップを片手に問う

 

「ラクサスがどっかに行ってから、マキナがちっとも遊んでくれないの!この前なんかね!一緒にご飯食べに行ったのに、ぜ〜んぶが空返事なんだよ!?それにあのマキナがおかわりを四皿だけしかしなかったの!」

 

「にゃんですって!?あの食べる事に一番の生き甲斐を感じてるマキが四回だけしかおかわりしてにゃい!?一大事だわっ!」

 

「いや、そんだけ食べれば十分でしょ!?」

 

歩く悪食科学者の字名を持つマキナが四回しかおかわりをしなかったと聞き、戦慄するリアン。ルーシィはそれだけ食べれば十分だと突っ込みを入れるが、マキナを良く知る者たちはリアン同様に驚きを隠せない

 

「マキナが四回しか食べてねぇだと……!?」

 

「ウソだろっ!?二秒後には腹減ったとか言うヤツだぞっ!?」

 

「そのまんまくたばりゃいいじゃ---ぐもっ!!」

 

戦慄するナツとグレイ、その横で何時もと同様に悪態にも似た文句を吐き捨て、カウンターの上に胡座を掻くスコルに蹴りが放たれる

 

「蹴り飛ばすよっ!!」

 

「「いやもう蹴り飛ばしてんだろっ!!」」

 

事後報告という名の文句を言い放つマナツに対し、ギルド内から突っ込みが飛ぶ

 

「う〜ん………」

 

「おや、どうかしたのかい?ルーシィ」

 

「なんかさっきから、挙動不審だよ?」

 

玄関を見ながら、首を傾げるルーシィに気付いたディンガとハッピーが彼女に声を掛けた。側から見れば、周囲を見回しているだけのようにも思えるが、普段が普段な為にルーシィの挙動は不自然に見える

 

「気のせいだとは思うんだけど……最近、誰かに見られてるような気がするんだよね……」

 

「ディンガ、ディンガ。ルーシィがいつも以上に変だよ」

 

「これが自意識過剰というものだよ。ルーシィ、それが許されるのはリアンくらいに可憐なレディだけだ、自重したまえ」

 

「なんで怒られたの!?いやまぁ……そういうんじゃないのよ?気のせいかも」

 

「…………もぐもぐ……」

 

その様子を横目にマキナは食べ物を口に運んでいるが、その速度は一秒間で十枚を積み上げる普段の彼からは想像も付かない程の遅さである

 

「マキナ……大丈夫かい?落ち込んでるなんて、アンタらしいくないよ」

 

誰もが触らぬ神に祟り無しと言わんばかりに、驚くだけだった状況下でマキナに声を掛けたのは、彼のことを誰よりも知っている最愛の姉(カナ)だった

 

「ネエちゃん……心配かけちゃってごめんねー。でも大丈夫だから、安心してくれると嬉しいかな」

 

「そうかい?アンタがそう言うんなら、心配はしないけど……無理はしないでおくれよ?アンタが元気なのが、姉ちゃんは一番嬉しいからね」

 

「ありがとー」

 

自分を抱き寄せ、頭を優しく撫でるカナにマキナは何時ものようにけらけらと笑いながら、感謝を述べる。その様子を見慣れたマナツたちではあるが、彼の中にある僅かな悲しみを感じ、声を掛けようとはしなかった

 

(ああ……グレイ様……今日もステキ……ジュビア…ドキドキしちゃう…)

 

「!!」

 

「あん?どうしたぁ?グレイ」

 

「いやなんかワカンねぇけど……寒気が……」

 

「オメェが寒いとかありえねぇだろ」

 

「確かにね。実に奇妙だ、氷の魔導士が寒いとは……頭をカチ割って、調べても構わないかい?」

 

「いいわけあるかっ!!」

 

自分に向けられる熱い視線に寒気を感じたグレイ。その姿を見ていたスコルが珍しく突っ込みを放てば、興味津々なディンガが瞳をきらきらとさせる

 

「なんだい、騒がしいね。少しは静かにできねぇのかい」

 

「いーじゃんかよ。うるさい方がレティは居心地良いもんね〜」

 

「そうだよー!アーちゃんは落ち着き過ぎだよー!もっと、しっちゃっけないと!あり?ぶっちゃけだっけ?」

 

「アマノもレティもはしたないわよ。あと、マナツ?それを言うなら、はっちゃけるの間違いよ」

 

今日も今日とて、姦しい三人娘を咎めるのはギルドのお姉さんポジションを確立しつつあるイッシュ。フォークでパスタを絡ませる姿は見ていて、気持ちが良く、何よりも品がある

 

「鬼余計なお世話だし!つーか!実はいっちばんはしたないイッシュねぇだけには言われたくねーし!」

 

「あ?なんか言ったか」

 

「ぴえ……!ご、ごめんなさい!うわ〜ん!エルねぇ!イッシュねぇがいじめるぅ〜〜!!」

 

「泣くんじゃない……全く…仕方ないヤツだな」

 

姉に睨まれ、涙目で震えるレティがエルザに飛び付くと、苦笑しながらも妹分の頭を優しく撫でる

 

「あっひゃっひゃっ!!退屈しねぇなぁ〜?このギルドは!」

 

「耳元で品のない笑い声を出してんじゃないわよっ!!こんのアホセイランっ!!」

 

「ぐもっ!?」

 

「スイカー!おいしそー!」

 

「ギヒッ……ウルセェ奴らだ…」

 

笑い転げるセイランの頭上に巨大なスイカが落下し、彼は物言わぬ屍と成り果てる。マナツは急に飛来した巨大スイカに歓喜し、飛び付く。その速さはマキナが皿を積み上げるのと大差がない速度だったとだけ言っておこう

 

(ああ……グレイ様……ジュビアを見て…)

 

刹那、物陰にいたジュビアが懐に忍ばせていた瓶を取り出し、口を開く。すると、瓶の中から湧き上がる無数の泡に彼女は息を吹きかけた

 

(ジュビアを見て……グレイ様ー!!)

 

意中の相手に泡が届くように願いを込めるジュビア。確かにその泡はグレイの口には入ったが、広がった泡はそれだけに在らず。マキナにマナツを始めとした凡ゆるギルドメンバーの口に入り込んでいた

 

「いつも………いっつも!自由気ままに空を飛びやがってーーー!!!俺は強えが空は飛べねえ!!お前は弱えが空は飛べる!!だから実力は同じ!!ハッピー!!お前はオレのライバルだーーーっ!!」

 

「うえええーーー !!?」

 

「何を言ってんだぁ?グレイ」

 

突如、意味不明な理屈と共に有り得ない発言を口走ったグレイ。その姿にウォーレンとマックスは疑問に思ったり、驚いたりと三者三様ならぬ二者二様な反応を見せる

 

「俺と勝負しろ!!ハッピー!!」

 

「ナツーー!!リアンーー!怖いよー!!グレイが変だよーーー!!」

 

相棒と姉貴分に助けを求めるハッピーだったが、一人と一匹は其れに応えられる状況ではなかった

 

「鏡!!アンタはあたしのライバルよ!!あたしの可愛さを十分に表現してる……だからこそ、アンタはあたしの投影!つまりはライバルよ!!」

 

「床!お前は俺のライバルだ!!いつもいつも、俺を受け止めやがって!!!舐めんな!お前なんか無くても俺は生きてけんだよ!」

 

「鏡と床がライバルってなんだよ!?生きてすらいねぇだろうが!!」

 

鏡にライバル宣言を放つリアン、床に喧嘩を売るナツ。何方も生物とは呼べない物体に啖呵を切っていた

 

「アタシのおなか!いつもいつも、アタシを苦しめて!ライバルだよっ!!!」

 

「おなかがライバルってなに!?どうしたのよ!マナツ!」

 

自分の腹部に喧嘩を売るマナツ、その行動にルーシィの突っ込みが今日も冴え渡る。何時もは元気が取り柄の彼女が誰かに喧嘩を売ることは極めて珍しく、ギルドの面々たちは空いた口が塞がらない

 

「マスター!!飲み比べだよ!!一度はアンタに挑もうと思ってたんだ!!」

 

「ワシのライバルはお前などではない!!まさに酒そのもの!!」

 

「カナ!ちょうど良いわ……私とアンタのどっちが姉キャラポジションに相応しいかを決める時よ…!」

 

「イッシュなんかに構ってられないよっ!!私は今、マスターと勝負してんだ!!」

 

「そこの柱!!何故いつも私の行く手を阻む!?私はいつもここをすんなり通りたいと思っているのに、何故だ!何故!?この私に勝負を挑む?!私のライバルだとでも言うつもりか!!」

 

「アマノ!アンタとレティのどっちがマナのマブダチポジかタイマンだかんな!!」

 

「望むとこだ!前々から気に食わなかったんだよ!アンタは!!」

 

「エルフマン!俺よりもファンキーな見た目しやがって!!オメーはライバルだ!!」

 

「本物の漢はどこにもいねえのか!?俺のライバル……出てこーい!!俺は悲しい……猛烈に悲しいぞーーー!!!」

 

「グレイ。我が弟に無粋な真似はやめてくれたまえ……これ以上の無礼はライバルである僕が許さないよ」

 

「なにがどうなってるの!?そうだ!こんな時こその魔科学!!マキナ!」

 

最早、終わりの見えない時代に驚き疲れたルーシィが行き着いた結論は、困った時の魔科学、一家に一人は居てほしいと評判の小さな天才に頼るという素晴らしい結論だった

 

「………ルーシィ、ちょっとだけ良いかな」

 

「なに?どうしたのよ」

 

名を呼ばれ、首を傾げるルーシィの前には彼女を見上げるマキナの姿があった

 

「あの時は結局、ルーシィしか読めなかったデイ・ブレイクの話を教えるかな!!キミはボクのライバルだ!!」

 

「アンタもかいっ!!」

 

未だに何ヶ月も前の依頼を根に持っていたマキナに今日一番とも呼べるルーシィの突っ込みが火を吹いたのは、火を見るよりも明らかである

 

「戻りますかね?これ」

 

「毎度のことだろ?次の話では何事もなかったかのようにってのが御約束なんだよ」

 

発明品であるが故に入れ替わり現象に巻き込まれなかったデウスとエクスは騒ぎ出す仲間たちを前に傍観していたのであった

 




視線を感じるルーシィ、誰かが見ている……その恐怖に彼女は打ち勝つことができるのか!

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