ディンガ「不覚だ。まさか、あのような薬があるとは」
デウス「ホントに戻ってますね……」
エクス「お約束だ、いい加減になれやがれ」
「………やっぱり、なんか妙な視線を感じるわ……」
「どうしたのー?
最近、妙な視線を感じるようになったルーシィ。辺りを見回す彼女を不思議に思ったのか、植物図鑑を開いていたマナツが声を掛けた。余談だが、収穫祭の頃から距離が縮まり、更にルーシィに懐いたマナツは彼女を「ルーねぇ」と呼ぶようになった
「なんか最近、誰かに見られてるような気がするのよ」
「うみゅ?ルーねぇを見ても変なだけで、面白くないよー?」
「其れは単なる自意識過剰よ。遂に幻覚も見ちゃうくらいになったのね」
「アンタたちはあたしを貶すのが上手ね…ホントに」
違和感を感じる理由を語れば、返ってきたのはマナツの自覚が無い罵倒とリアンの辛辣な辛口評論。慣れてはいるが、怒ると余計に体力を使うのは目に見えているが故にルーシィは怒りを抑える
「以前にも言ったけれど、それが許されるのはリアンくらいに可憐なレディだけだ」
「ルーシィは今日も変かな」
「おだまり!バカ科学者どもっ!」
マナツとリアンは怒られなかったが、何故かマキナとディンガには吠えるルーシィ。彼女の中で、マナツが甘やかすべき存在だと認識されている事は明白だ
「でもさー、実際にルーシィを見てる人がいるんなら、誰なんだろー?」
「前に別次元に行った時は確か、ルーシィの家に幽霊が居たわね」
「ゆーれい?あっ!あのぷかぷか浮かぶおねーさんのことかー!」
「ちょっと待って……えっ?別次元のあたしの部屋には幽霊がいるの?はい?なんで?」
「ルーシィ。幽霊なんてのは実在しねぇかな」
「非科学的なことを言うのは関心しないね」
さらりと放たれた衝撃発言に困惑するルーシィに対し、実物を目の当たりにしたにも関わらず、未だに幽霊否定派の科学コンビは何故かは不明だがルーシィを諭していた
「兎に角……今日はちょっと家に帰るわ。ナツにも言っといてもらえる?」
「いいよー!おーい!アニキー!」
頭を悩ませながら、帰路に着くルーシィ。マナツは近くで暴れていたナツの側に駆け寄り、伝言を伝える
「さて、博士。実際はどう思う?ルーシィの話」
「う〜ん……街中で視線を感じるのはなかなかどうして、実際には有りがちな話ではあるけど……こればっかりは、科学では説明するのが難しいかな。心理的な問題だったりもするからね」
「ふむ……確かに。ここ最近は落ち着いてはいたけれど、ルーシィは本格的な魔導士になってからは日が浅く、ファントム関係での問題もあったからね。心理的な問題という可能性は否めない」
「それを理解してて、何故にボクの意見を求めたのかが
核心的な答えが出ているのに、意見を求めた相棒に悪態にも似た文句を吐くマキナ。最近では、ディンガに対しては時折、見え隠れしていた素が出ているらしく、これは些細ではあるが彼が僅かに前に進み出したということだ
「うみゅ〜……あたし、ちょっと行ってくるー!」
「待ちなさい!マナ!」
「マナツは考えるよりも行動だからねー、仕方ねぇかな」
「我々も向かおうか。暇つぶしに」
「ディンガ。本音が出ていますよ…ん?エクスは?」
本音を隠し切れていないディンガに突っ込みを放ちながら、デウスは
「彼ならば、マナツの後を面白そうじゃねぇかと言いながら追っていったよ」
「止めてくださいよ!?」
時既に遅く、既に走り出していたエクス。それを事後報告という形で聞いたデウスは驚きを隠せない
「マキ!マナを追うわよ!」
「あいあい」
「金だよ!!恥をしのんで頼んでいるんだ!!この私がっ!!!いいから金を渡すんだっ!!」
「ルーねぇが危ない!エクス!噛んじゃえ!!」
「不味そうなジジイだが仕方ねぇな。おう、ルーシィに触んなよ」
「な、なんだ!?この犬は!?離せ!!」
一足先にルーシィに追い付いたマナツは彼女に詰め寄っていた男性にエクスを嗾け、自分はルーシィに駆け寄っていく
「大丈夫ー?ルーねぇ」
「マナツ!?ついて来たの!?てかエクスも…!」
思いの外、元気そうな彼女を前にマナツは「よかったー」と笑いながらも、安堵する。そして、エクスを引き離した男性は舌打ちを残し、その場を後にする
「あれー?今のって、確か……ハートフィリアの社長さんかな」
「マキナ……そっか……アンタはパパと面識あるんだっけ……」
去り行く男性とすれ違ったマキナがその正体を口にすれば、ルーシィは今のが自分の父親であることを告げた
「パパ?わっー!!てことは!ルーねぇのおとーさん!?大変だ!アタシ、エクスを噛みつかせちゃった!」
「別に良いだろ、あんなオッさん」
「良くはないだろう。ルーシィさんの気持ちも考えなくてはな」
まさかの正体に慌てふためくマナツ、悪怯れもしないエクス。両者の反応は様々であるが、マキナは目に涙を浮かべたルーシィを見上げる
「ルーシィ、キミの家族の話は前に色々と聞いたかな」
「うん…サイテーな父親でしょ……娘にお金を借りようとするのよ?ありえない……」
「あーうん……それに関してはなんとも…ボクのトーちゃんは…偶にボクを借金の保証人したり、研究費をギャンブルに使ってたりするし……金銭関係は…力になれないかな…」
「カナに何時も怒られているよね」
「く、苦労してんのね……アンタも」
身近に金銭関係で親に苦労があるマキナの話を聞き、ルーシィは涙が引っ込み、彼に同情する
「でもさー、ルーねぇもマキナもおとーさんがいて羨ましいよー。アタシはおかーさんもおとーさんも知らないし、育ててくれたラベンダリアもどっかに行っちゃったもん。だから、誰かに会えるのって、すっごく良いことなんだと思うよ?」
「そうね。マナの言う通りよ、あたしも身内に関しては色々とある方だし、難しいことは言わないけど、ルーシィはどうしたいの?お父さんのことが嫌い?」
「そ……それは……」
「博士。どうやら、答えは決まっているようだよ」
マナツやリアンからの後押しもあり、自分の気持ちを自覚したルーシィ。その様子にディンガは笑い、頭のガスマスクに触れ、相棒に声を掛ける
「善は急げかな。いくよ、アカリファに」
「「うぷっ……き、気持ち悪い……」」
翌日。列車を乗り継ぎ、アカリファにやってきたルーシィたち。その背後では何時も通りに乗り物酔いで苦しむマナツの他にもう一人、死に掛けの少年がいた
「まさか……マキナまで乗り物酔いするなんて……」
「どうやら、この前のバトル・オブ・フェアリーテイルでラクサスの雷を食べたことで魔力が上昇したらしくてね。今までは限定的な解放しか不可能だったけれど、今となっては常時滅竜魔導士の状態でも問題ないらしいんだ。しかし…その副作用だろうか…最近は馬車や列車を嫌がるようになってね」
そう、少年とは他ならぬマキナである。今までは普通に乗れていた乗り物に彼は酔いやすい体質となり、診断する側が診断される側に成り果てたのだ。その理由が急な魔力上昇で滅竜魔導士としての力を限定する必要がなくなったと推測しているディンガだが、真相は定かではない
「酔い止めは呑ませたのよね?勿論」
「当たり前だよ。しかし、こればかりはなかなかどうして……はぁ…」
「でもまぁ……今は入れそうにないわね」
乗り物酔いでダウン中の年少組を木陰で休ませながら、目的の商業ギルドに視線を向けたルーシィが見たのは、入り口を固める憲兵に抗議する街の人々の姿。何かが起きたことは火を見るよりも明らかだ
「人質はどうなったんだー!?」
「助けてください!あの中には主人が!主人が!」
「みなさん!落ち着いて!!今、近くの魔導士ギルドに応援要請を出してます」
「危ないから離れてください」
「………アカリファに急いで正解だったかな。ここ最近、商業ギルドを狙った強盗が増えてるらしくて、依頼が来てたから、受注しておいたけど……ビンゴかな。因みに報酬は2000ジュエルだよ」
回復したマキナは懐から取り出した依頼書を見せ、次なる標的がアカリファだったのを予想していたと言わんばかりに頭のゴーグルに触れる
「あそこはお父さんのいたギルドみたいなの…もしかしたら…中に…」
「穴は既に掘っておいたよ」
「汚れ仕事は性に合わないけど、特別よ。感謝しにゃさい」
「早っ!?」
会話の合間に中に通ずる穴を掘り終えたディンガとリアンが顔を出せば、まさかの展開にルーシィは衝撃を受ける
「どーする?行くー?」
「善は急げ……でしょ?」
「うんうん、ルーシィも分かってきたねー。ほら、マナツもいくよー」
「うみゅ〜……」
未だに目を回すマナツを背負っマキナを先頭に穴の中に入り、商業ギルドに入り込む。割と狭いために足取りはゆっくりだが、着実に中へと迫っていることは確かだ
「てか……今更だけど、マキナの魔法で移動したら良かったんじゃないの?」
「前にも言ったでしょー?構造を把握してないとダメだって。アカリファのレストランになら移動出来るよー」
「うんまぁ……アンタはそういう子よね……」
マキナの得意魔法の使い道であるのだが制限があるが故に割と使い辛いのを忘れていたルーシィは彼が移動先にしているのがレストランであると知り、納得しながらもため息を吐く
「あっ!明かりだ!」
「ちょっ!?マナツ!?」
「マナ。はしゃぐのはやめなさい」
「突っ込むべきはそこじゃないのよ!!」
いの一番に明かりに気付き、飛び出したマナツに追随するようにマキナたちも慌ただしく穴から飛び出す
「なんだぁ!?」
「どっから入りやがった!このチビとねーちゃんは!?」
「うみゅ?だれだれだぁれ〜?」
「依頼の強盗かな。まさか闇ギルドだとは思わなかったけど……手加減はいらないよねぇ?
疑問符を浮かべるマナツに説明した後に、意味深に笑ったマキナは両手を打ち鳴らし、発明品にして相棒たちでもあるデウスとエクスを呼び出す
「待ちくたびれたぜ」
「博士。今日はどういった依頼ですか?」
「闇ギルドの殲滅。やるよ?デウス!エクス!
「「ワォォォォン!!」」
高らかに宣言された言葉、デウスとエクスはマキナの両手に収まるように双剣に姿を変化させる
「タウロス!!」
「MOーー!!」
「双刀竜・竜雷天!!」
ルーシィが召喚したタウロスが斧を振るうのに合わせ、マキナは双剣の摩擦で起こした電を伴う飛ぶ斬撃を放つ
「キャンサー!」
「今日のハサミは鋭すぎるぜ……エビ!!」
「スパナスラッシュ!!」
更に召喚されたキャンサーが強盗の頭を丸刈りにしていき、その衣服をディンガが巨大スパナの斬撃で切り裂く
「サジタリウス!!」
「もしもしー!」
「
サジタリウスが射抜いた強盗たちが飛んだ先にいた人型のリアンが流星の如き、美しくも華麗な高速の蹴りを浴びせる
「なァ!?」
「トドメだよー!ルーねぇ!」
「もちっ!いくわよ!マナツ!」
最後の一人となった強盗を相手にマナツとルーシィは走り出し、その足を振りかぶる
「花竜の鉄蹴!!」
「ルーシィキィーック!!」
((えぇーっ!!?))
「やっぱり、あの鞭はいらねぇかな」
「使い道がないようだね」
最後は蹴りで終わるというまさかの展開に人質が唖然とする中、マキナとディンガは未だに鞭の使い道が無いと突っ込みを入れていた。その後、色々とあり、ルーシィは父親と和解し、仲間がいる大切を学んだのだが、これは言わずもがなであるが故に此処では語らないことにしておこう
「ルーシィ………レイラ……私はまた一からやり直す……その時はまた、三人で……」
闇ギルドの一角を倒す為に集結したのは、四つのギルドの誠悦!その中にはマキナの友人の姿もあり……更にスコルの顔見知りも?
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