天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……連合軍に参加することになったボクたちの撃ち込まれた一発の銃弾!その相手はまさかの旧友だったかな」

ディンガ「やれやれ、物騒な歓迎だよ」

マナツ「マキナー、怪我してないー?大丈夫ー?」

マキナ「大丈夫だよー」


第七十話 女狐お姉さんとたぬき妹ちゃん、一目惚れされる

「「「だれだれだぁれ〜!?」」」

 

突如、姿を見せたバレルとトリガー。頭のソフト帽を被り直す少年と一匹を前に、マキナとディンガも頭のトレードマークに触れる

 

「俺は闇夜のバレル。マキナの昔馴染みで、所属は青い天馬(ブルーペガサス)だ」

 

「同じく月夜のトリガー。バレルの相棒で、所属は青い天馬(ブルーペガサス)。バレルに近付くヤローはタダじゃおかねぇ」

 

揃いの帽子を人差し指で上げ、クールな出立ちで名乗るバレルとトリガー。ルーシィは思った、自分の周りに普通に名乗れる人間はいないのだろうかと心の底から思っていた

 

「闇夜に月夜だと!?マキナ!奴等と知り合いだったのか!」

 

「まあね。二、三年前だったかな?魔導士になりたての時期に絡んだことがあるんだ、色々とあってね」

 

「しかし、暫く見ない間に随分とまた……影響されているね」

 

一人と一匹の名に聞き覚えがあるらしいエルザが驚きを示すと、問い掛けに答えたマキナはけらけらと笑い、ディンガは頭のガスマスクに触れ、呆れたように肩を竦める

 

「闇夜のバレルっていやぁ……確か、魔導士射撃大会で常連中の常連じゃねぇのか?アルザックとビスカに聞いたことあんぜ」

 

「大したことない。そのくらいはお茶の子さいさいだ」

 

「お茶漬けがどしたの?変な人ー」

 

「しっ…!目を合わせちゃダメよ?マナ。きっと、ロクでもにゃいヤツよ」

 

バレルの放った言葉の意味が分からずに首を傾げるマナツ。彼女が妙な興味を抱く前にリアンは彼女を庇うように立ち、注意を促す

 

「おうおう!其処のジャリガキにアバズレ!俺のバレルにケチをつける気か?あぁん!?」

 

「は?誰がアバズレですって?フィオーレNo.1の可愛さを持つあたしを舐めてんの?」

 

未だかつて、言われたことのなかった罵倒にリアンの中で何かが切れたらしく、トリガーに対する怒りを露わにする

 

「ダメじゃないか、バレル。こんなにも美しい方々を前に失礼な真似をしては」

 

「そうだよ、トリガーまで。言葉遣いは丁寧にだよ?折角の可愛い顔が台無しになると悲しいよ」

 

「つーか…女のくせに俺とかヤバすぎだろ」

 

「ベタベタすんな。俺に触っていいのはバレルだけだ」

 

「トライメンズ。さっさと降りてこい、客を待たせるのは青い天馬(ブルーペガサス)の護憲に関わる」

 

((…………女?えっ?だれが?))

 

突如、姿を見せたホスト風の三人組。バレルとトリガーに注意をしているようだが、マナツたちはある言葉に疑問符を浮かべていた

 

「なんだ、気持ち悪ぃ。人様の顔を盗み見るなんざ、身の程をわきまえろよ?そのドタマに風穴が空くことになるぜ」

 

「品がないだけじゃにゃい」

 

「お前は嫌いだ」

 

「奇遇ね?あたしもよ」

 

「マキナ〜リアンが変だよぉ〜!」

 

何が気に食わないのか、トリガーに冷淡な態度を見せるリアン。何時もは可愛らしくて、お姉さんタイプの相棒の変化にマナツは困惑する

 

「リアンにも認めたくねぇタイプがいるってことかな」

 

「なるほど、博士でいうスコルだね」

 

「そんなバカ猿は知らねぇかな」

 

「おい!今バカって言ったか!?もやし!!」

 

「誰かは知らないけど、話に入ってくるんじゃねぇかな」

 

「喧嘩なら買うぞゴラァ!」

 

話の流れで罵倒されたことに気付いたスコルはマキナに詰め寄るが、当の本人は悪びれもせずに悪態を吐き捨てている

 

「ウチのバカたちに比べたら……彼方の方がまだマシね」

 

「そうかなぁ?マキナの方がカッコいいよー」

 

「ディンガの方が百倍はマシよ」

 

「おや、お褒めに預かり光栄だ」

 

歪み合うマキナとスコル、服を脱いでいるグレイ、乗り物酔い続行中のナツ。トライメンズやバレルとは雲泥の差がある男性陣に呆れるルーシィだが、マナツとリアンは其々の大事な人の方が高評価に値するらしく、褒めていた

 

「失礼!我が仲間たちが迷惑をかけてしまったようだね……」

 

「な、なに!?この甘い声は!?」

 

刹那、階段の上から響いた甘い声。いきなりの声にルーシィは次なるイケメンに心を躍らせる

 

「一夜様!」

 

「おやっさんか」

 

「一夜様?おやっさん?」

 

「……………」

 

「一夜」の名を聞いた瞬間、エルザの表情に変化が現れる。青ざめ、嫌悪感丸出しの表情で階段上を見上げる

 

「久しぶりだ、エルザさんにマキナくん。おや、カナさんはいらっしゃらないのかい?」

 

「ネエちゃんは別件かな。一夜さんは今日も顔が濃いねー」

 

「はっはっはっ、キミは相変わらずの手厳しさだ。おや?其方のレディたちは初めて見る顔だね。挨拶しておこう……あなたの為の一夜でぇす」

 

嫌悪感丸出しのエルザとは異なり、マキナは階段上からゆっくりと降ってきた濃い顔の小柄な男性を「一夜さん」と親し気に呼び、一夜はマナツたちに視線を向けるとキメ顔で名乗る

 

「マナ。見ちゃダメよ」

 

「ほ〜ら、マナツ。野菜スティックよ〜」

 

「うみゅ?」

 

「マナに過保護すぎね?」

 

「エルザ……男は選びなさい、はしたないわよ」

 

「イッシュ。私を誤解していないか?」

 

保護者及び姉貴分に保護されたマナツが一夜を直視することは無く、その様子にまさかのレティが突っ込みに回り、イッシュに至っては如何なる結論に落ち着いたのかは不明だが、エルザに男を選べという発言をしていた

 

「素敵な香り(パルファム)だ」

 

香り(パルファム)ってなんだ?」

 

「香りのことさ。一夜さんは香り(パルファム)のプロフェッショナルなんだ」

 

「ディンガ。そのバカには説明するだけ無駄だよ」

 

「あんだとゴラァ!筋肉をつけろや!誰がバカだ!!」

 

再び歪み合うマキナとスコル、その様子に苦笑するマナツとレティ。最早、この構図を見慣れてしまったが故にルーシィは止めようともしなかった

 

「どの女もウチの姉さんに比べたら、大したことない」

 

「そうだぜ!バレル!ジェニー姐さんよりも美人がいる訳ねぇさ!」

 

「は?聞き捨てなんねぇし。イッシュねぇとエルねぇが一番に決まってんじゃん?超ムカムカなんだけど」

 

バレルとトリガーの発言が癇に障ったレティは対抗意識を燃やし、自らの姉と姉貴分が一番であると口にする

 

「はしたないから、やめなさい」

 

「レティ。連合相手に喧嘩を売るのは関心せんぞ……気持ちは分からなくもないが…」

 

「だって!レティのねーさんたちがバカにされんのはムカつくし!絶対絶対、二人の方が美人だし!」

 

「それはない、何時だってネエちゃんが一番かな」

 

「ルーねぇは変だよ!」

 

「はーい、マナツはちょっと黙ってましょうね〜」

 

満更でもない様子のイッシュはレティを咎め、エルザも気持ちは同じではあるが連合軍という建前上故に彼女を咎める。一方で姉大好きな白衣の少年は自らの姉が一番だと発言し、姉貴分を褒めているようで褒めていないマナツはルーシィに野菜スティックを与えられていた

 

「…………」

 

「バレル?どうした?」

 

その時だった、急に動きが止まり、レティの方に視線を向けていたバレルの変化にトリガーは気付く。相棒の違和感を探ろうとスーツの裾を引っ張るが反応が見えない

 

「あん?なに?レティになんか文句でもある系?」

 

「文句はねぇ……いや、文句というよりも俺の素直な気持ちを伝える。姉さんよりも美人な人に出会ったのは初めてだ……結婚してください」

 

「ごめんなさい」

 

(((なんか驚く前に終わった!!!))

 

さらりと放たれたプロポーズに全員が驚くよりも前にレティは食い気味で返事を返す。バレルは放心状態となり、トリガーは「メス狸がぁ!ざけんな!」とレティに喧嘩を売っている

 

「レティに恋はまだ早い、私が許さん」

 

「はしたないわよ?エルザ。そうね、レティを娶りたいなら、私とエルザに認められるくらいにはなりなさい」

 

「ああ、そのつもりだ」

 

「俺は認めねぇからな!小娘!!お前にバレルはやらねぇ!」

 

「は?いらんし」

 

小姑と化した姉たちとは裏腹に毛を逆立てるトリガーを前にレティは真顔で断っていた。本当にバレルに興味がない様子だ

 

「レーちゃんはモテモテだねー」

 

「あのちんくしゃ、うるさいわ」

 

「はしたないよ?マイレディ」

 

「マナツも可愛いよー」

 

「ありがとー!マキナのそういうとこ大好きー」

 

「知ってるよー」

 

「へっ……ヤダヤダ、頭でっかちと胸無しの戯れ合いなんざ見てると胸焼けしちまうぜ」

 

何時の間にか、定位置と言わんばかりにバーカウンターの上に胡座を掻いていた、スコルはマキナとマナツに悪態にも似た文句を吐き捨てる

 

「「あぁ?やんのか!!バカ猿!!」」

 

「上等だ!!」

 

「バレル!あの変な奴らから、マナツさんを守るんだ!」

 

「イブ、クールに行こうぜ。レティさん、暫く離れるが安心してくれ」

 

「は?マナになんかしたら許さねぇけど?ついでにマキナとスコルも」

 

「おお!言ってやれ!たぬきオンナ!」

 

「スコルはあとでシバく」

 

「レーちゃんを悪く言うな!おバカスコル!!」

 

「お前は帰るかな」

 

「んだとゴラァ!」

 

年少組に寄る割と息の合ったやり取りを皮切りに妖精と天馬の雰囲気は正に一触触発。刹那、再び扉が開いた

 

「出迎えもなしか……相変わらずだな?グレイ」

 

「ああ?………て、テメェは!?」

 

名を呼ばれ、振り返ったグレイの視界に映ったのは少し前にガルナ島で死闘を繰り広げた兄弟子の姿。そう、リオン・バスティアは其処に佇んでいた

 

「氷仮面の人かな」

 

「アイスマンだー!久しぶりー!」

 

「マキナにマナツだったか……俺はリオンだ」

 

勝手に名付けられたあだ名は不評だったらしく、リオンはしっかりと二人に自分の名を告げる

 

「名前が似てるわね、改名しなさいよ」

 

「大丈夫だよ。名前が似ていようと、僕だけはリアンの味方だ」

 

「ディンガって、ちょっと天馬の影響入ってない?今更だけど」

 

「失敬だな。僕はマイレディ一筋だ」

 

語感が似ていると発言し、不機嫌なリアンを咎めるディンガ。その姿に天馬の影響を見たルーシィだったが、あくまでもディンガはリアン一筋であると宣言する

 

「あら、懐かしい顔触れですわ。お久しぶりですわね?ルーシィ。私を忘れたとは言わせませんわ。そして過去の私は忘れてちょうだい」

 

「うみゅ?ルーねぇの友だちー?」

 

「友だちというかなんというか………てか、忘れてほしいの?忘れてほしくないの?」

 

「私は愛の為に生まれ変わったの」

 

ルーシィの名を呼ぶ女性はシェリー、マナツたちの合流前にガルナ島でルーシィが戦った魔導士である

 

「まさか、天馬の他が妖精だとはな……我等が蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の足だけは引っ張るな」

 

「よさぬか!リオン!連合の相手と荒そうべきではない!頭を冷やせ!」

 

「ジュラさん!?すまない、取り乱したようだ。ところで、其方の美しい方……お名前は?」

 

高圧気味な態度をジュラと呼ばれた男性に咎められたリオンは即座に謝罪した後、エルザの傍に佇むイッシュに視線を向けた

 

「イッシュだけど」

 

「イッシュさん。この出会いは運命だ、俺と文通しよう」

 

「はしたないから断るわ」

 

((まただ!!フラクタル姉妹はフラグ折るの早すぎる!))

 

僅か一瞬、レティ同様に秒速で断るイッシュに本日二度目の衝撃がマキナたちを襲ったのは火を見るよりも明らかだ

 

「そーいや、連合はあと何人だ?」

 

「確か、じっちゃんの話だと化け猫の宿(ケットシェルター)から一人だったかな」

 

「一人だと!!こんな危ねー作戦に、たった一人だけをよこすってのか!!」

 

「ちょ!どんだけヤバいのが来んのよ!?」

 

「ゴリラだ!きっと!ゴリラが来るんだ!」

 

「鬼ウケる!えっ?化け猫なのにゴリラ?なにそれ〜!」

 

驚くグレイを皮切りに他の面々も驚きを隠せないが状況を把握していないマナツの的外れな意見にレティは大爆笑していた

 

「おん?この匂い……前にも……」

 

「きゃあっ!」

 

「おっと…大丈夫か?オメェ」

 

この面々の中では誰よりも匂いに敏感なスコルが入り口から漂う匂いに首を傾げていると、姿を見せた少女が躓き、自分の胸の中に飛び込んできた

 

「あ……あの……ありがとうございます……それから……えっと……遅れて………あ、あれ?スコルくん?」

 

「…………お前!ウェンディか!?」

 

そう、最後の一人。それはスコルが収穫祭の日に出会ったウェンディだったのだ、意外過ぎる再会に二人は驚きを隠せない

 

「「「だれだれだぁれ〜!?」」」




スコルとウェンディ、予想外の再会に二人の運命が動き出す?しかし!其処にハッピーの運命も絡まり、お姉ちゃんは複雑!お兄ちゃんはどうする?

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