天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「だいぶ空いたけど、久しぶりの更新かな。前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……連合軍に参加した女の子がスコルの知り合いってことに驚いたかな」

ディンガ「しかもだ、猫を連れていたね」

マキナ「歩いて喋る猫だなんて、ディンガたちみてぇかな」

ディンガ「もしかしたら、僕たちの同族?かもしれないね」

マキナ「ふむ、似た種族がこんなにも居るとはね」



第七十二話 天才くん、怪しい人を取り敢えずは泳がせる

「そんな感じで、今の情報を頼りに六魔を壊滅させるのが今回の連合の意味かな。手段は問わんって、じっちゃんが言ってたから、見つけたら手当たり次第に八つ裂きにしてもらって構わねぇかな」

 

脇道に逸れまくっていた話を本筋に戻したマキナは開口一番に物騒な発言を繰り出し、幼い彼の口から放たれた言葉に妖精の尻尾(フェアリーテイル)を除いた連合メンバーは唖然と立ち尽くすしかなかった

 

「だから、アンタは発想がエグいわ!!というか、相手が闇ギルドでも八つ裂きはダメよ!八つ裂きは!」

 

然し、その静寂を打ち破ったのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)では名の知れた最強の突っ込み役とも名高いルーシィ。悪びれた様子も見せない白衣の少年に突っ込みを放つ姿は正に突っ込み役の中の突っ込み役と呼ぶに値する

 

「子どもだから難しいことは分かんねぇかな」

 

「都合が悪い時だけ、子どもを主張すんな!!このバカ科学者!!」

 

「ねーねー、アニキー」

 

「んお?どうしたー?マナツ」

 

ルーシィに叱られるマキナを尻目にマナツは野草を頬張りながら、兄に呼びかける。その声に気付いたナツは頭を悩ませていた疑問を忘却の彼方に消し去り、妹に視線を落とした

 

「おらしおんなんたらはどうやって見つけるの?」

 

「安心しろ!兄ちゃんが纏めて殴ってやる!それで解決だ!」

 

「おぉ〜!流石はアニキ!花丸満開な答えだね!」

 

「どこがよ!というか!マナツは草を食べない!」

 

物理という答えに行き着く兄を褒め称える妹分の手から、野草を取り上げ、ルーシィは彼女に言い聞かせる。尚、その背後では壁に減り込んだ小さな科学者が居るが今は触れる必要がない故に割愛しておく

 

「あ〜!アタシのメインディッシュかえしてよ〜!ルーねぇ!」

 

「マナ。草は前菜よ、メインディッシュにはならにゃいわ」

 

「ウェンディ。真似しちゃダメよ」

 

「しないよ!?」

 

野草を返せとルーシィに縋るマナツの襟を掴んだリアンはため息混じりに彼女を咎める。その様子を傍観していたシャルルはウェンディに真似しないようにと釘を指すが、流石に彼女もやるつもりはないらしく、今迄で一番の声量で突っ込みを放つ

 

「安心したまえ!我がギルドが大陸に誇る天馬……その名も『クリスティーナ』で拠点諸共葬り去る!」

 

「流石はおやっさんだ。今日も容赦がないぜ」

 

「バレルの方がカッコいいぜ!」

 

高らかに宣言されたのは青い天馬が所有している巨大魔導爆撃艇、その名を『クリスティーナ』。容赦がない一夜に誰もが引き気味の表情を浮かべるが、彼を慕ってやまないバレルだけはその発言を褒め称え、トリガーは相棒に羨望の眼差しを向ける

 

「ホントにうるさいわね、あのちんくしゃ」

 

「ふむ、マイレディがはしたないんだけれど、こういう場合はどのように対処すれば良いんだい?イッシュ」

 

「そうね、言って聞かない場合は教育的に指導するべきよ」

 

「難しいものだね、それは」

 

トリガーが気に食わないリアンは彼女を見ながら、軽くため息を吐く。未だに見たこともない想い猫の姿に頭のガスマスクに触れながら、ディンガは言葉遣い等に厳しいイッシュに相談を持ち掛けるが、返ってきた答えが彼には難しいものであったが故に軽くため息を吐いた

 

「へっ!そんなの待ってられっかよ!行くぞー!マナツ!」

 

「あいあい!」

 

「あっ!待ちなさい!マナ!」

 

「ナツになんか負けっか!!俺がファンキーに全員ボコボコにしてやらぁ!!」

 

「作戦聞いてねー!!鬼ウケる!」

 

「全く……はしたないわね」

 

「仕方あるまい!我々も追うぞ!」

 

「ったく!あのバカども!」

 

「うぅ……結局こうなんのね…」

 

「どいつもこいつも話を聞かねーヤツばっかりで困っちゃうかな」

 

「僕等らしいとも言えるけどね」

 

猪突猛進を地で行く竜兄妹を追随し、破壊された扉から出ていくマキナたち。その自由さに他の面々は本日何度目になるかも分からない驚きを隠せない

 

「妖精の尻尾に……基!グレイには負けられんな…行くぞ!シェリー!!」

 

「はい!!」

 

「リオン!シェリー!待たぬか!」

 

その後を負け時と追うのはリオンとシェリーの二人。ジュラの制止も聞かぬままに彼等はマキナたちを追随していき、直ぐに姿は見えなくなった

 

「俺たちも行くぞ!」

 

「うん!」

 

「エンジェルかぁ〜」

 

次に続くはトライメンズ。残るはウェンディとシャルル、ハッピー、ジュラと一夜、バレルにトリガーという微妙に偏りが激しい面々となる

 

「あわわわ……!スコルくんたちを追わないと!」

 

「あんなバカなオスに関わると碌なことないわよ、ウェンディ」

 

「大丈夫!オイラがついてるよ!」

 

「ぷいっ…行くわよ!ウェンディ!」

 

恐怖心から足が竦んでしまいながらも追随の姿勢を見せるウェンディ、その中に出てきた約一名の名に僅かな嫌味を交えながらもシャルルは彼女を咎め、その後ろから声をかけてきたハッピー等は眼中に無いと言わんばかりに外方を向き、集合場所を後にした

 

「待ってよ~!置いてかないでよ~!!」

 

「バレル?どーしたんだ?俺たちもいこーぜ」

 

最後にハッピーが後を追う形で集合場所に残されたのはバレルたちだけとなる。然し、ある一点に視線を注いだままの相棒に違和感を感じたトリガーは彼に呼びかけた

 

「匂うぜ……ジュラさん。おやっさん(ソイツ)から離れな」

 

「バレル殿?どうなされた」

 

突如、一夜に鋭い視線を向けたかと思われたバレルは腰に携えたホルスターから古めかしいリボルバーを抜き、銃口を一夜に向ける

 

「おやっさんはナイフを持たねぇ。お前は誰だ」

 

「一夜じゃねぇ?なに言ってんだよ、バレル」

 

「おやっさんと俺は苦楽を共にしてきた……だからかは分からねぇが、ちょっとした変化には気付いちまう……。さぁ、何処のどいつだ」

 

「ふっ……よもや、こんなに早く見破られるとはな」

 

刹那、バレルたちの周囲に煙が漂い始める。その先に佇むは一夜、まさかの出来事にジュラは僅かに反応が遅れる

 

「うっ……ぐっ!?な、なにを……」

 

「トリガー!ジュラさんを連れて、マキナのとこに行け!アイツなら解毒剤も持ってる筈だ!」

 

「わかった!」

 

力が抜け、身動きの取れなくなったジュラをトリガーが翼を生やした姿で連れ去っていく。残されたバレルは煙を回避しつつ、銃口を一夜に向ける

 

「今のは戦意を消失させる香りだな?ニセモノのくせに魔法だけはおやっさんと同じみてぇだな」

 

「ふぅん?表にも鼻が効くヤツがいるんだゾ」

 

「「ピーリ ピーリ」」

 

背後から聞こえた声に振り向こうとした瞬間、一夜の姿は白い二組の人形の姿に変化し、流石にこの状況にはバレルも度肝を抜かれ、両目を見開く

 

星霊(・・)……そうか、アンタがエンジェルだな?随分と美人じゃねぇか」

 

「生憎だけど、お子ちゃまに興味はないゾ。でもまぁ、あのキタナイ男をコピーさせてもらったおかけでアナタたちの作戦は全部わかったゾ」

 

「キタナイだぁ?おやっさんを悪く言うんじゃねぇよ。だがまぁ、此処は退いてくれるとありがてぇんだがな……女性(レディ)に銃口を向けるのは俺たち(天馬)のやり方に反する……頼む、俺に引き金を引かせないでくれ」

 

「ふぅん?意外と紳士で驚いたゾ。でも、その引き金が私に向くことはないゾ」

 

「なに?しまっ--」

 

刹那、声の主である女性との会話に気を取られていたバレルは反応が送れ、二人一組の星霊が再び一夜に姿を変えていたことに気付くのが遅れるが、全てを言い終える前にバレルは頭上に空いた穴から出現した手に引き摺り込まれる

 

「邪魔はさせないゾ、光の子たち。邪魔する子は天使が裁くゾ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もぉ〜!マキナは人使い荒すぎだしっ!レティの魔法にも色々と制約とかあんだかんな!」

 

「マーキングした場所にしか飛べねーボクよりも適任なのはレティだけだったかな。間一髪だね、バレル」

 

空間を通り抜けた先に待っていたのは、悪態にも似た口調で文句を垂れるレティと頭のゴーグルに触れ、意味深に笑うマキナの姿。その側には涙目のトリガーの姿も確認できる

 

「助かったのか…俺は……そうだ!おやっさんにジュラさんは!」

 

「其方は既に治療準備に入ってるかな。トリガーに聞いた時は驚いたけど、ジュラさんがやられたのは痛手かな。一夜さんがやられたのは予想通りだったけど」

 

「敵は女だった。油断したぜ」

 

「仕方ねーよ、バレルは紳士だからな。女に手をあげねぇのはバレルのプライドが許さねぇもんな」

 

バレル也の紳士理念に反する行為、女性に手をあげないという発言にトリガーは納得を示すがマキナは呆れた眼差しを向ける

 

「というかバカなだけかな。ボクは男女平等主義だから、躊躇いもしねぇかな」

 

「博士。それは男女平等とは言いません」

 

「言うだけ無駄だろ」

 

「つーか、物騒だし」

 

相も変わらずに物騒極まりない思考の魔科学者に発明品二体とレティの突っ込みが飛ぶ。男女平等主義者だと自らを信じて疑わない彼であるが、彼の中での女性は(カナ)幼馴染(マナツ)の二名しかカウントされない為にその思考は明らかに不平等以外の何者でないのだが今は気にしないでおく

 

「然し、博士。あの一夜さんがニセモノだとどの辺りで気付いたんだい?匂いも同じなんじゃないのかい?現にナツとマナツは気付いていなかったようじゃないか」

 

「一夜さんとは何度も仕事してるからねー、ちょっとした変化も見逃さないよー。疑問に思ったのは、一夜さん程の博識な人がニルヴァーナの説明をボクに問い掛けてきたからかな。知らないにしても、あの人は「知らない魔法だろうと私の香り(パルファム)の前では関係ないがね!」って、先ずは自慢するんだよね。でも、あの一夜さんは真っ先にボクが知らない魔法となるとかなりの厳重な封印が施されているようだって言ってたから、其処で一夜さんじゃないって気付いたんだ。それで、馬車に待機させてたデウスとエクスに一夜さんを探してもらって、今に至るかな」

 

「なるほどね。然し、それだけ理解していたのに、事前に防がなかったのは何故だい?」

 

「敵の戦力把握かな。そうでもしねーと、作戦を立てられない……でも…情報は得たよ、全ては魔法札(カード)が記憶した」

 

そう告げ、異空間から六枚の魔法札(カード)を呼び出し、掴み取るとマキナは頭のゴーグルに触れた後、意味深に笑う

 

「なんだい?それは」

 

「ネエちゃんの協力で作った発明の記憶魔法札(メモリーカード)かな。情報を武器……カードたち!みんなの元に飛ぶかな!」

 

「ふむ、さすがは博士だ」

 

「今日もナイス不思議(ワンダー)ですね」

 

「正に天才だ、博識だ、鬼才だ」

 

「なーっはっはっはっ!当然かな!だってボクは天才(ジーニアス)!つまりは天才だからね!」

 

一匹と二体(相棒たち)に褒め称えられ、気を良くしたマキナはけらけらと笑う。その間も手は治療を止めようとしないのは、流石と呼ぶに値する

 

「ん?なんか、落ちてね?」

 

刹那、レティが遠くに落下する浮遊物を視線に捉えた。天馬の姿を象った巨大な船、それは作戦の要である魔導爆撃艇に他ならない

 

「………クリスティーナが落ちたかな」

 

「なに!?バレル!一夜!起きろ!クリスティーナが!」

 

呑気に告げるマキナの発言にトリガーは傷を負った一夜を叩き起こし、気を失っていたバレルを優しく揺すり起こす。扱いの差が明らかに激しいがトリガーにとっては日常的に行っていること故に不思議なことではない

 

「クリスティーナが撃墜だと…?俺でも撃ち抜けない装甲を使ってんだぞ?どうなってやがる」

 

「作戦を聞かれたのが不味かったかな……なるほど、出端から躓いたねー」

 

「博士、呑気に笑ってる場合ではないよ。急いで向かわなければ」

 

驚きを隠せないバレルを他所にけらけらと笑うマキナを咎めたディンガは、直ぐに仲間たちの方に向かうべきだと意見する

 

「う〜ん…でもなぁ、一夜さんたちは動けないし…レティとバレルで向かってくれる?ボクも終わり次第向かうよー」

 

「仕方ねーし。バレルだっけ?行くよ」

 

「貴女となら地の果てまでも」

 

「おい!タヌキオンナ!バレルに触んな!」

 

「博士。僕とエクスも向かうよ、彼等だけでは心配だからね」

 

「分かったかな」

 

かくして、レティの瞬間移動でバレルとトリガー、ディンガとエクスはナツたちの方に向かう。其れを確認するとマキナは白衣を翻し、懐から小瓶を取り出す

 

「さてと、ちょっとだけ我慢してね」

 




レティの瞬間移動でバレルが行き着いた先には六人の魔導士に姿が!いずれもかなりの強敵!果たして、マキナによる治療は間に合うのか!?

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