天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……六魔の一人に襲撃されたバレルたちを助けることに成功したかな」

ディンガ「しかしだ、美しい花には棘があると言うけれど、エンジェルは正にその典型的な例だね」

マキナ「うん、でもネエちゃんに棘はねぇかな」

ディンガ「そうだね、カナは常にオープンだ」


第七十三話 天才くん、適材適所を指示する

「レティさん、ありがとな。助かった」

 

「は?勘違いすんなし。レティはマキナに言われたから、アンタを連れて来ただけだし」

 

「釣れない態度も素敵だ」

 

「バレル!そんなオンナにデレデレすんな!」

 

クリスティーナが撃墜されたのを目撃したレティはバレルとトリガーを連れ、ナツたちの魔力が集まる場所に瞬間移動した。その間、自分にアプローチを繰り返すバレルに対する態度は辛辣そのものだが、当の本人はより一層に彼女に対する興味を深めるばかりだ

 

「レーちゃん!それにバレル?とトリガー!」

 

「マナ!無事でよかったし!」

 

「落とされたのは無人の爆撃艇よ。でも……さすがは闇ギルドを統治するバラム同盟の一角ね」

 

異空間から姿を見せたレティにマナツが飛びつき、互いの無事を確認しあう中で闇ギルドに所属していた過去を持つイッシュは砂塵の向こう側に佇む六つの影に視線を向ける

 

「ほう……我々を知るウジがいるとはな……何者だ?お前は」

 

その中心に佇む男、名をブレイン。彼は冷静な態度のイッシュを前に彼女の身分を尋ねた。本来ならば、正規ギルドの人間は有象無象と認識しているブレインであったが、彼女だけは、イッシュ・フラクタルという女性だけは無視しようとはしなかった

 

「少しだけ、人よりも其方側()に縁があっただけよ。覚えてもらわなくても構わないわ」

 

「イッシュねぇ!一夜ってオッさんとジュラってハゲがやられた!悠長に話してる暇ねーし!てか!それ、敵だかんな!?」

 

「はしたないわよ、レティ。それに年配の人には敬意を払いなさい。まぁでも、はしなさはあの羽根みたいな服の人の方が上ね」

 

「バレル!今のはマジか!?先生が!」

 

「マキナに治療してもらってるが、前線に復帰出来るかは微妙だ。んなことよりも構えろ!」

 

レティの発言で、連合軍側に動揺が走るもバレルは冷静に答えを返した後、腰から抜いたリボルバーを構えた。その動作に触発され、動きを見せた者が数名、彼等はいの一番に大地を蹴った

 

「兎に角!先手必勝!!マナツ!」

 

「あいあい!」

 

「グレイ!足引っ張っんなよ!」

 

「こっちのセリフだ!!スコル!!」

 

誰よりも早くに飛び出したのは、やはりと言うべきか、言わずもがなでの竜兄妹(ナツとマナツ)。その後を追随するかのようにスコル、グレイが続く

 

「やれ」

 

短く、簡潔に伝えられた指示。其れに従い、最初に動きを見せたのはレーサーの名を持つ男。速度に特化した魔法はナツたちを翻弄し、その動きを撹乱する

 

「「マナ!……にゃに?」」

 

「リアンが二人!?」

 

「なーんちゃって!」

 

「にゃっ!?」

 

「リアン!!」

 

エンジェルの星霊であるジェミニが味方に化け、リアンとルーシィを狙い撃ち、その様子を主人のエンジェルは高みの見物。突然の出来事に一人と一匹は成す術も無く、蹂躙される

 

「愛など無くとも金さえあれば!!!デスネ」

 

「ちょっ!瞬間移動が間に合わねーし!!どうなってんの!?」

 

「地形効果!?厄介な能力ね…!」

 

「金よりも愛ですわ!!」

 

「張り合っている場合か!シェリー!」

 

次に動いたのは大柄な男、名をホットアイ。彼の魔法で大地が畝り、波打つ。其れに巻き込まれたフラクタル姉妹とシェリー、リオンは不安定な足場に平衡感覚が奪われる

 

「ちょこまかと……!!狙いが定まられねぇ!」

 

「トリガー!!お前はそのまま構えてろ!!ソイツは俺が……!?」

 

「バレル!!」

 

レーサーに気を取られ、油断していたバレルの腕にコブラの使役していた毒蛇が噛み付き、即効性の毒はバレルの意識を刈り取り、次にエルザにも噛み付こうと標的を変える

 

「キュベリオス!」

 

物質移動(アポーツ)!!」

 

「ぐっ……すまない、助かった……マキナ」

 

「ふぅ、なんとか治療が終わってよかったかな……一夜さん!みんなに痛み止めの香りを!」

 

毒蛇が噛み付こうとした瞬間、エルザの体は消え、入れ替わるようにマキナが姿を現し、毒蛇を地面に叩き付ける

 

「うむ、任せ---ややっ!バレル!どうしたのかね」

 

「おやっさん……すまねぇ……ドジったぜ……」

 

名を呼ばれ、痛みを和らげようと香水魔法(パルファム)を使用しようとする一夜。しかし、自分を慕うバレルは姿に驚き、動きを止めた

 

「マキナくん。解毒剤はあるかい?」

 

「毒の効果がわかんないから無理だね。作るとしても時間がかかるかな」

 

「治癒魔法でもあるなら別だけどね、あれは失われた魔法(・・・・・・)だ」

 

「あるわよ」

 

「そう、ある………ん?ある?どういうことだい?」

 

解毒剤に関する話から、治癒魔法の話に広がる話題。その時だった、まさかの言葉に驚いたディンガは発言したであろうシャルルに視線を向けた

 

「ウェンディはその治癒魔法の使い手よ」

 

「マジでかっ!すげーな!ウェ---あっ!ウェンディがいねぇ!!」

 

「ウェンディなら、六魔が連れてったわ」

 

「なっ!なんで言わないのよ!!クロネコ!!」

 

さらりと放たれたまさかの発言にシャルルは両目を見開き、リアンに怒号に似た声量で怒鳴りつける

 

「ハッピーが………ハッピーが連れてかれたの!!他のに構ってられないわよ!!」

 

「ふむ、ハッピーもか。それは仕方ないね」

 

しかし、負け時とハッピーが連れて行かれた現状を伝えようとリアンも怒号を張り上げる。その様子から、彼女はトリガーとだけではなく、シャルルとの相性も最悪な様子だ

 

「シャルル!!俺と来い!!ウェンディとハッピーを見つけんぞ!」

 

「私に命令するんじゃないわよ!バカオス!」

 

「ぐもっ!!なにしやがる!!」

 

言い合いをしながらもウェンディとハッピーの救出に飛び出すスコルとシャルル、かなりの良いコンビに見えるが相性は然程良くない様子だ

 

「ディンガ!!アンタも来なさい!あとそこのちんくしゃ!」

 

「何処までお供するよ」

 

「バレルを助けるためだ。今だけは力を貸してやる、アバズレ」

 

「博士はバレルに毒が廻るのを出来るだけ遅らせてもらえるかい?ウェンディを見つけても、既に死体では意味がないからね」

 

「あいあい」

 

火花を散らしあう二匹を追い、ディンガもその場を後にする。されど、大事な救出を猫四匹に少年一人という布陣に任せても構わないのだろうかと、一抹の不安が全員の頭を過ぎる

 

「スコルに行かせて大丈夫なの……?」

 

「心配しかねぇが……スコルなら、なんとかすんだろ」

 

「ああ、スコルはああ見えてもマキナのライバルだからな。それにだ、ディンガやリアンも付いている」

 

「そーそー!リアンはS級だもん!いざって時はどーにかするよ!ねっ!アニキ!」

 

「そうだ!リアンが一緒なら大丈夫だ!」

 

「アンタたちのリアンに対する絶大な信頼はなに!?」

 

不安に思うルーシィを他所にお気楽全開な竜兄妹はリアンに対する絶大な信頼があるらしく、能天気に笑っていた。その光景に不安は何処に?と言わんばかりに声量でルーシィの突っ込みが火を吹く

 

「一夜さん、痛み止めの香りってまだある?」

 

「モチロンだ」

 

「上出来かな。ヒビキさんはボクの代わりに全体の指揮をお願いしてもいいかな」

 

「任せてくれ」

 

マキナの的確な判断で、指揮を任されたヒビキは自らの魔法であるアーカイブを使用し、あらゆる状況を計算し、連合軍の面々を適材適所に送り込む

 

「マナツとルーシィ、フラクタル姉妹と一緒かな」

 

「いいよー。いこ、ルーねぇ!」

 

「はいはい」

 

「返事は一回よ、ルーシィ。はしたない」

 

「は?返事とか何回でもよくね?」

 

「黙ってろ」

 

「ぴえ……ご、ごめんなさい……」

 

「ぐもっ!転んだ!!もう!木とかいっぱいで邪魔だなー!食べてやる!」

 

(……………大丈夫なの!?このチームは!?)

 

何時も以上に纏まりが皆無な面々との組み合わせにルーシィは心の中で人知れずに突っ込みを放った

 

「マキナくん。バレルは大丈夫そうかい?」

 

「痛み止めの香りで一時的に痛みを緩和させてから、患部を冷やして、血流を止めたから暫くは大丈夫だよ。それでも激しく動くのはオススメしねぇかな。バレル、狙撃銃とかないの?」

 

ヒビキがバレルの状態を問えば、的確な治療を施していた白衣の少年は頭のゴーグルに触れ、処置内容を説明した後、荒い息を吐くバレルに問いを投げかける

 

「狙撃は俺の魔法と相性が良くねぇのさ……まぁ、扱えるには扱えるが、狙撃は俺よりもトリガーの方が的確だろうな……しかし、情けねぇ…毒にやられちまうとはな…」

 

「大したことじゃねぇかな。見てなよ」

 

「「ん?」」

 

謝罪するバレルに対し、マキナは軽く首を捻ると三本の指を立て、ゆっくりとカウントを取るかのように指を折り曲げ始めた。その行動の意図が分からずにバレルも、ヒビキも首を傾げた

 

「マキナ!!マナがなんか変なの食べて倒れたし!診察おねがい!」

 

「あいあい」

 

「うみゅ〜……変な木恐るべし……」

 

「ちょっと、マナツ!だから言ったじゃない!」

 

唸り声を挙げる幼馴染を前に、慣れた手付きのマキナは冷静な態度で彼女に聴診器を当てる

 

「マキナ!容態は!?」

 

「食あたりです」

 

「…………心配だな、おやっさんも拾い食いしてそうだぜ」

 

「ああ……老師は大丈夫だろうか」

 

「いや、呼び名くらい統一しろし」




ウェンディとハッピーの奪還に向かったスコルとディンガたち。しかし、既に時は遅かった!まさかのあの男の復活!そして……怒りはスコルを闇に誘う

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