天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……適材適所に仲間たちを送り込み、治療に専念することにしたかな」

ディンガ「博士、自分だけは安全圏かい?キミらしいね」

マキナ「戦いの最中に安全圏もへったくれもねーかな」


第七十四話 天才くんの相棒と雪豹ちゃん、殿を買って出る

「そーいや、気になってたんだけどよ。ウェンディって治癒魔術士かなんかなのか?」

 

「厳密には違うわ、あの子は天空の滅竜魔導士。アンタたちのとこにいる竜兄妹(ドラグニルブラザーズ)だっけ、アレと同じ類いよ」

 

ウェンディ&ハッピー奪還の為に彼女たちの行方を追っていたスコルが些細な疑問をシャルルに打つけると、返ってきたのは驚くべき解答。まさかの答えに驚き、歩みを止めた

 

「なに!?あんなバケモンがナツに絶壁、もやしヤロー以外にもいんのか!?」

 

「世間は狭いね、ラクサスやセイランもそうだし」

 

「でもマキやラクサス、セイランは魔水晶(ラクリマ)を埋め込まれた別枠……ウェンディって子も純粋な滅竜魔導士とは限らないわ」

 

「そいつらがどうかは知らないけど、ウェンディはドラゴンから滅竜魔法を教わったらしいわよ。確か名前は……『天竜』のグランディーネだったかしら」

 

「そのドラゴンは今もどっかにいるの?マナを育てたラベンダリアにナツを育てたイグニールの居場所を知ってるかもしれない……今そのグランディーネはどこに?」

 

「生憎だけど、ウェンディの前から姿を消したらしいわ。七年前にね」

 

「七年前……!」

 

聞き慣れないドラゴンの所在を相棒たちの為に問えば、その所在は行方知れずとなっており、更に姿を消したのは、七年前。それが何を意味するかは分からないが、偶然にしては明らかに出来過ぎているとしか思えない。リアンは人知れず、頭の中で思考を巡らせる

 

「待ちたまえ…!なにかが奇妙だ!イヤな気配を感じる!」

 

突然、ディンガが待ったを掛け、リアンは我に返り、スコルたちも彼に視線を向ける。当の本人は頭のガスマスクに触れ、前方を見据えている

 

「んだ……木が黒いぞ…!どうなってやがる…!」

 

「イヤな気配だぜ……おい、アバズレにシロネコとボーズは先に行きな」

 

「は?なにを言って…ディンガ?」

 

「トリガーの言う通りだ。キミたちの最優先事項はウェンディとハッピーの奪還、僕とトリガーだけでどうにかする」

 

「分かったわ。任せたわよ」

 

「ディンガ!やられんなよ」

 

「ちょっ!!」

 

二匹を残し、異様な雰囲気が立ち込める場所を迂回することを選んだスコルとリアンを追い、シャルルもその場を後にする。残されたディンガは軽く息を吐き、頭のガスマスクに触れた後、愛用の巨大スパナを取り出したディンガは自分の体に魔力を流し込んでいく

 

「さて、掃除と行こうか」

 

変身魔法で青年に姿を変えたディンガは、巨大スパナを肩に担ぎ、相棒にも似た不適な笑みを浮かべる

 

「変身魔法か……流石はS級候補に数えられだけはあるじゃねーかよ、ディンガ。そんな隠し玉があるなんてな」

 

「普段は魔力消費を抑える為に使用してないとっておきの秘策なんだけどね。こういう状況で出し惜しみをするのはよくないからね」

 

「そうかよ……そういうことなら、俺も出し惜しみはしねぇで、とっておきを使ってやるぜ」

 

出し惜しみはしていられない、その発言を聞いたトリガーは羽織っている黒いトレンチコートの内ポケットに手を入れ、分解された銃の部品を取り出す

 

「それは?」

 

魔水晶(ラクリマ)を軸にしたスコープとバレルが組み込まれた銃だ。普段使いには向かねぇじゃじゃ馬でな、よっぽどのことがない限りは分解した状態にしてあんだよ」

 

説明しながら、分解状態にある銃を手際良く組み立てていく。その動きは素早く、瞬く間に狙撃用の銃が完成し、トリガーは身の丈よりも明らかに巨大な其れを手に笑う

 

「なるほどね、それは興味深い………さて、それでは道を阻む輩を一掃しようか」

 

「ああ……一発で決める……引き金は二度引かねぇ…!喰らえっ!」

 

妖しさを絵に描いたような森の中から蠢く無数の気配。その気配を目掛け、トリガーは手にした銃の引き金を引いた

 

「「ぐっ……!?」」

 

すると、木の上から大量の影が落下してきた。その隙を好奇と言わんばかりにディンガが動きを見せる

 

一刀猫(いっとうびょう)

 

巨大スパナを腰に携えると柄の部分に手を掛け、有りっ丈の力を込め、思いっ切り振り抜く

 

「乱猫阿修羅!!」

 

ディンガの放った六つの斬撃が一つとなり、荒々しくも大きい巨大な斬撃を生み出す。大量の影基六魔将軍傘下の魔導士たちを斬り付けていく

 

「ふぅ……何とか片付いたね」

 

「えげつねーな……お前……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウェンディ、お前にはこの男を治してもらう」

 

一方、連れ去られたウェンディは六魔将軍のリーダーであるブレインにある人物を治療しろと言われていた。目の前に置かれた巨大な棺桶、厳重に鎖を巻かれており、中にいる者は如何なる者なのかと、怯えながらもウェンディは首を横に振る

 

「わ…私……そんなの絶対に治しません!!!」

 

「そーだ!!そーだ!!」

 

「いや、お前は治す…治さねばならんのだ」

 

頑なに拒否するウェンディ、それに便乗したハッピーも声を挙げる。しかし、ブレインは何かの確信があるらしく、意味深に呟きながら、棺桶の拘束を徐々に解いていく

 

「「……!!?」」

 

棺桶の中から姿を見せた青髪の青年、その青年をハッピーは知っていた。そして、この場には彼を知る者がもう一人。ウェンディは顔見知りを見つけたかのように両眼を見開き、驚きを隠せない

 

「この男はジェラール、かつて評議院に潜入していた。つまり、ニルヴァーナの場所を知る者」

 

「どうして……ジェラールが!?」

 

ブレインが名を口にした瞬間、食い気味にウェンディが反応を示した。どうやら、見知った関係にあるらしく、その驚き方は尋常ではない

 

「知り合いなの!?」

 

まさかの展開にハッピーも驚きを隠せず、ウェンディの方に視線を向けた

 

「エーテルナノを浴びてこのような姿になってしまったのだ。元に戻せるのは、うぬだけだ…恩人……なのだろう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………なんか今、イヤな気配を感じたかな……」

 

「どうしたんだい?マキナくん」

 

「ん〜……なんか…前にも感じたよーな……なんだっけ?」

 

森の入り口付近。毒を浴びたバレル、食当たり中のマナツを治療していたマキナは何かの気配を察知し、表情を顰めた。だが、その気配に当たるのが何かを理解していないが故に首を傾げていた。それと言うのも無理もない、その気配に該当する者に遭遇しかけた時、マキナは気を失い、全てが終わった後にその人物に関する情報を得たのだ。故に、その該当する者との直接的な面識が無く、疑問に思うのは致し方ない事である

 

「ヒビキさん、ここは任せてもいーい?」

 

「構わないよ。本調子じゃないにしてもこっちにはバレルとマナツちゃん、レティちゃんに噂のルーシィさんもいるからね」

 

「えっ?あたし?」

 

徐に立ち上がり、その場を離れるような雰囲気を見せるマキナ。彼の発言を快諾したヒビキは戦闘不能中のバレルとマナツ、呆れながらも二人を看病するレティに視線を向けた後、ルーシィに視線を向ける

 

「噂は聞いてるよ、3Mのゴリラを倒したとかファントムのマスターを再起不能にしたとか、アカリファでは一人で千人と戦ったってね」

 

「尾ひれつきすぎ……」

 

流石の尾ひれが付きまくりの噂にルーシィはため息混じりに呆れた顔を見せる。しかし、この場には純真無垢な疑う事を知らない少年少女がいた

 

「ルーシィやべぇかな」

 

「うみゅ〜……ルーねぇ…こわい……」

 

「イッシュねぇとエルねぇよりもエグいし」

 

「ウチの姉さんが優しくて良かったぜ…」

 

恐怖に震える少年少女はルーシィの知らない一面に恐れ慄き、恐る恐る彼女に視線を向ける。その姿は蛇に睨まれた小動物のようにも見えるが、気のせいであると思いたい

 

「アンタたちも信じないのよ?おチビちゃんズ」




ディンガたちと別れ、奪還に向かうスコルとリアン、シャルル。だが待ち構えていたのは涙を流すウェンディ……その涙の意味とは…?

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