天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……な〜んかイヤな気配を感じて、森の中に向かったかな」

ディンガ「博士。前回は僕の晴れ舞台だったのだけれど?」

マキナ「そうらしいねー、見てないけど」

トリガー「それよりもだ!バレルは大丈夫なんだろうな!?」

マキナ「うん、死んではないよ?一応」

トリガー「物騒なこと言うんじゃねぇよ!!」


第七十五話 天才くん、旧友(気取り屋くん)の秘密を語る

「んあ?なんだ…この匂い…!」

 

「どうかした?スコル」

 

ウェンディ及びハッピーの奪還の為、森の中を走っていたスコル。漂ってきた妙な匂いに気付き、足を止めた彼に側を飛んでいたリアンが声を掛けた

 

「いやなんつーかよ、なんか前に嗅いだよーな匂いがすんだよ」

 

「ウェンディとアオネコの匂いでしょ」

 

「いや、二人の匂いじゃねーぜ。この匂いは……別のヤローだ」

 

「兎に角、先を急ぐわよ。匂いの先にハッピーたちが居るのは確かにゃんだから」

 

匂いの正体、その存在が誰であるかはさておき、リアンの優先順位はあくまでもハッピー。大事な弟分を救う為に、彼女が足を止めることはない。一歩ずつ確実にハッピーとウェンディが連れ去られた場所に向かっていた

 

「スコル!ハッピーはどこだ!」

 

「あん?ナツにグレイ?おめぇ、どっから沸いた」

 

「サルみてーなヤツらと戦ってたら、ここにアジトがあるってのを聞いてな」

 

突如、姿を見せたのはナツとグレイ。マキナの次に天敵とも呼べる彼等の登場にスコルは僅かに表情を顰める

 

「しかし、半信半疑ではあったけれど……なんとか追いつけたようで安心したよ」

 

「バカ猿にしてはいー働きかな」

 

「なーっはっはっはっ!俺くらいファンキーになりゃあ、そんくらいはどーってことねぇぜ!!ん?って!もやしにディンガ!どっから沸きやがった!!」

 

最初こそは普通に自分の嗅覚の良さを誇らしそうにしていたスコルだったが、会話の中で聞き覚えのある声に気付き、その声の主である揃いの白衣を靡かせた一人と一匹に吠えた

 

「なんでもへったくれもねーかな。イヤーな予感がしたら、来てみたら、大量の闇ギルドがうようよとしてるし……トリガーは引き返してくるしで、ボクのちょー完璧な作戦が台無しになったかな」

 

「どうやら、件の気配はあの洞穴に居るようだね。恐らくはハッピーやウェンディも居るはずだよ」

 

「そうと決まれば…!ナツ!」

 

「ああ!リアン!頼む…!」

 

「ちょっと!もう少し丁寧に扱いなさいよ…!」

 

「待ちやがれ!ナツ!」

 

翼を広げたリアンがナツを掴み、その脇にはシャルルが担がれ、その後をスコルが追随する

 

「………!グレイ!避けて…!」

 

「…あがっ!!」

 

刹那、入れ替わるように洞穴から何かが飛び出した。それをいち早く捉えたマキナはグレイに指示を飛ばすが、それよりも速く、その何かはグレイを吹き飛ばした

 

「お前の相手はこっちだ。チビ科学者…!!」

 

物体移動(アポーツ)……!」

 

突如、聞こえた声にマキナは危険を察知し、自分を転移させ、体勢を立て直そうと思考を巡らせようとする

 

「残念だったな。お前の動きは筒抜けだ、俺には聴こえている(・・・・・・)

 

「がっ…!?」

 

「博士…!」

 

しかし、移動した先には既に刺客が待ち構えており、紫色の鱗を持つ蛇に地面目掛けはたき落とされた。突然の出来事に何が起きたのかという理解が追いつかないディンガは、地面に転がったマキナに駆け寄っていく

 

「お前は確か……毒蛇のコブラ…!何時の間に…!」

 

「言ったろ?俺には聴こえている(・・・・・・)ってな。お前の呼吸、足音、考え、その全てが俺には筒抜けなんだよ。何をしようと、お前は俺には勝てねぇ」

 

「聴こえるからなんだってんだ…!ボクの斬撃は音よりも速い…!〝X(見えないもの)〟を喰らわせてあげるよ!!瞬きしてると見逃すよっ!!」

 

起き上がるや否、跳躍したマキナは両手を振り被り、自らの手を斬撃を飛ばす為の刃と化す。限定的な力に過ぎなかった滅竜の斬撃は、ラクサスとの激闘を切っ掛けに、完全にマキナの中に定着していた

 

無刀竜(・・・)

 

手に得物が無くとも、その両手自体が武器となり得る滅竜魔法。其れこそが、斬撃竜に他ならない。万物全てを斬り裂く〝X(見えない斬撃)〟、その斬撃に斬れないモノは存在しないとされる

 

「竜速天!!」

 

手刀から放たれた斬撃はコブラの視界を塞ぐように無数の斬撃が飛び交い、マキナを中心に砂塵が舞う

 

「マキ…!ウェンディとハッピーを見つけたわ!こっから、逃げるわよっ!ヤバいのが居るわ!!!」

 

奪還に向かっていたリアンが気を失ったウェンディを連れ、洞穴から飛び出す。ナツはハッピーと、スコルはシャルルと一緒のようだ

 

「ジェラールがいたんでしょー?」

 

「にゃっ!?どうして、知ってるのよ!」

 

「んなことよりも今は逃げるよ…!物体移動(アポーツ)……!」

 

顔色を変えずに、ヤバいのが居るという言葉から的確にその人物を言い当てるマキナ。砂塵が隠しているとは言え、コブラに見つかるのも時間の問題と考え、自分を含めた周囲の仲間たちを安全圏に移動させようと物体移動(アポーツ)を発動させる

 

「逃すかよっ!」

 

「コブラ!ソイツよりも優先すべきはジェラールだ!奴を追え!!奴の行く先に……ニルヴァーナがある!!!!」

 

「OK。其方を優先する……行くぜ、キュベリオス!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたかな」

 

物体移動(アポーツ)に寄り、マーキングしておいたヒビキたちが待つ森の入り口にマキナとスコルたちが姿を見せる

 

「おわっ!シャルルてめぇ!少しは優しく降ろしやがれ!!」

 

「うるさいわよ、バカオス。アンタなんかを運びたくはないけど、運んであげたんだから少しは感謝しなさいよ」

 

「あんだと…!!」

 

嫌味を言いながら、外方を向くシャルル。スコルとの相性は最悪で、火花が散っているようにも見える

 

「ちっ…コイツだけは瓦礫に埋もれればよかったかな…」

 

「あぁん!?ケンカなら買うぞゴラァ!もやし!」

 

呟くように放たれた悪態を聞き逃さなかったスコルはマキナに眼を飛ばし出す。売り言葉に買い言葉というモノが存在するが、この二人は態と互いを煽っているのではないかと思いたくなってしまう

 

「ウェンディだったか!?バレルを早く診てやってくれよ!毒にやられちまったんだ!」

 

「あと、マナは食あたりだし!」

 

「毒?それに食あたり……?」

 

「マキナくんの的確な処置で、大事には至ってないけど、あくまでも応急処置だ。バレルやマナツちゃんを助けてもらえないだろうか」

 

「マナのことお願いするし」

 

「お願い…マナを助けてあげて…!」

 

「あたしからもお願い…この子はあたしの大事な妹分なの」

 

「もちろんです…!マナちゃんはお友だちですから…!ついでにバレルくんもお助けしますね!」

 

「いやいや!バレルを先に助けろやっ!!」

 

自業自得ではあるが食あたりに苦しむマナツにウェンディは治癒魔法を掛け、その隣で毒に苦しむバレルは毒も解毒していく。治癒魔法、太古に失われたとされる魔法を目の当たりにするのはシャルル以外は初めてだったが、不思議と彼女に任せてみようと意見は一致していた

 

「治った~~~!わーい!」

 

「マナ………次からはちゃんと、前にもらった図鑑を読みなさい。手紙にもしっかりと書いてあったでしょ?それに…次に会うことがあったら、美味しい草を教えてあげなきゃよ」

 

「うみゅ〜……うん、気をつける!」

 

いち早く完治したマナツがはしゃぎ回っていると、リアンは彼女が腰にぶら下げていた図鑑を指差し、軽い説教を行う。それはマナツが異世界を訪れた際に知り合った友人からの贈り物、故に普段は勉強を嫌がるのだが、この事に関しては意欲的な態度を見せた

 

「バレル!大丈夫か!?」

 

「ああ……体が楽になってきた…心配掛けたな、トリガー」

 

「心配!?べ、別にそんなのはしてねぇよ!バレルなら大丈夫だって信じてはいたけどよ…!」

 

「そうか、ありがとな」

 

解毒が成功し、体が自由に動けるようになったバレル。その姿に溜まりに溜まっていた心配が溢れ出したトリガーは彼に飛び付くも、即座に離れるという謎の行動を見せる。その行動に多少の違和感は残りはしたが、自分を心配してくれた彼女の頭を優しく撫でる

 

「なんだし…この茶番」

 

「安っぽい恋愛小説を読んでるみてーかな」

 

「ああいうヒロインも悪くないわね……執筆中の小説に登場させたいわ」

 

そして、それを側から見ていたレティとマキナは呆れたように肩を竦め、ルーシィは自分の小説の新たなモデルを見つけ、想像を膨らませていく

 

「ですけど……回復が早過ぎますよ。私、まだ治癒魔法を掛けてからそんなに経ってないんですけど…」

 

「あー……それはマナツとバレルの体質が似てるからかな」

 

「似てる……ですか?」

 

治癒魔法を掛けてばかりにも関わらず、倒れる前よりも遥かに軽快に動き回るマナツと直ぐに準備運動を開始するバレル。余りにも早過ぎる回復にウェンディは驚きを隠せないが、この現象についての説明がマキナの口から語られると首を傾けた

 

「うん、マナツが滅竜魔導士なのはウェンディも知ってるよね」

 

「は、はい」

 

「バレルもなんだよ」

 

滅竜魔導士、それに続くように語られた意味深な言葉。その理解が遅れたウェンディは暫くの間、首を傾げたままだった

 

「へ?バレルくんも?どういうことですか…?ま、まさか!」

 

「うん、そのまさかかな」

 

漸く、捻り出した答え。それに対するマキナ呆れた反応は頭のゴーグルに触れ、意味深に笑っていた

 

「バレルも滅竜魔導士かな、ボクとおんなじ特殊系(・・・)のね」

 

「「えぇーーーーーっ!!?」」




遂に語られるバレルの魔法!それはまさかの滅竜魔法……!?

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