天才は妖精の尻尾にいる。   作:田中滅

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マキナ「前回のあらすじ、妖精の尻尾の魔導士にして天才科学者であるボクことマキナは……ウェンディとハッピーの救出に向かった先でヤバそーなお兄さんと戦ったかな」

ディンガ「コブラか、手強そうだね」

マキナ「でもなんだろ?なーんか、あの人からは妙な気配を感じるんだよね」

ディンガ「ふむ、それは調べてみたいね。頭をカチ割るかい?」

ルーシィ「発想がエグいわっ!!」


第七十六話 天才くん、傭兵くんの荒ぶる心を斬る

「バレルも滅竜魔導士かな、ボクとおんなじ特殊系(・・・)のね」

 

「「えぇーーーーーっ!!?」」

 

まさかの発言に件の人物であるバレルと相棒のトリガー、同じギルドメンバーのヒビキ以外が驚愕する。一方で冷静なマキナは頭のゴーグルに触れながら、更に話を続ける

 

「特殊系、つまりはボクみてーな斬撃とおんなじ。まぁ、バレルの場合は銃撃だから根本は違うけどね」

 

特殊系、マキナの斬撃、セイランの打撃等が該当する滅竜魔法。それは自然的な力とは異なったモノを根幹とした魔法である

 

「狙った獲物は数知れず、闇夜に降り注ぐは弾丸の雨。俺に狙い撃てない的はない……この銃撃の滅竜魔法の前では、如何なるモノでも、木っ端微塵のミジンコだ」

 

「うみゅ?なにそれ、意味わかんない」

 

「しっ…!目を合わせちゃダメよ?マナ。やっぱり、ロクでもにゃいヤツよ」

 

バレルの放った言葉の意味が分からずに首を傾げるマナツ。彼女が妙な興味を抱く前にリアンは彼女を庇うように立ち、注意を促す

 

「おうおう!ジャリガキにアバズレ!俺のバレルにケチをつける気か?あぁん!?」

 

「にゃんですって?このちんくしゃ。あたしの何処がアバズレなのよ、眼球ごと洗濯されたいの?」

 

「マキナ〜リアンが変だよぉ〜!やっぱりー!」

 

「何時ものリアンじゃな〜い!」

 

何が気に食わないのか、トリガーに冷淡な態度を見せるリアン。何時もは可愛らしくて、頼りになるお姉さんタイプである筈の彼女の変化にマナツとハッピーは困惑する

 

「博士。こういう場合はどのような対処をするべきだい?」

 

「だから、知ってるワケねーかな」

 

多少の困惑は否めないが、マナツやハッピーよりは取り乱した様子のないディンガは相棒である頭脳明晰な白衣の少年に問いを投げかけるが、色恋に対する興味が薄い彼はその対処法を心得てはいなかった

 

「マナツが可愛いこと以外はなんもわかんねーかな」

 

「ありがとー!マキナのそういうとこ大好きー」

 

「知ってるよー」

 

「へっ……ヤダヤダ、頭でっかちと胸無しの戯れ合いなんざ見てると胸焼けしちまうぜ」

 

何時の間にか、木の幹に胡座を掻いていた、スコルはマキナとマナツに悪態にも似た文句を吐き捨てる

 

「「あぁ?やんのか!!バカ猿!!」」

 

「上等だ!!」

 

「レティさん、離れた方がいい。大丈夫だ、俺が守るぜ」

 

「は?マナになんかしたら許さねーっていったの、もう忘れたし?ついでにマキナとスコルも」

 

「おお!言ってやれ!たぬきオンナ!」

 

「やっぱ、スコルはあとでシバく」

 

「レーちゃんを悪く言うな!おバカスコル!!」

 

「オメーがいると話が余計にこじれちまうから黙ってろかな」

 

「んだとゴラァ!」

 

「け、ケンカはダメですよ〜!」

 

売り言葉に買い言葉、喧嘩を始めてしまう年少組。その瞬間、森の奥に光が瞬き、全員の視線が其方に向く

 

「黒い光の柱…!」

 

「間違いねーかな……アレは…!!ニルヴァーナだ…!!!」

 

ウェンディが叫んだ後、その光の正体を文献から紐解いていたマキナがニルヴァーナであることを断定する。危惧していた最悪が現実となった事に流石の彼も驚きを隠せないが様子だ

 

「あの光……間違いねぇ…!!ジェラールの匂いがしやがる…!!」

 

「ああ……スコルの言う通りだ!あの光の先にジェラールがいる……!!」

 

「ちょっ…鬼ヤバじゃん!!」

 

「スコル!ナツ!ジェラールってどういうこと…!?」

 

しかし、ルーシィの問いに対する答えが返って来ることは無く、ナツは光の柱の方に駆けて行く

 

「わ、私のせいだ……私の…!!」

 

「スコル…!ウェンディを気絶させろ…!!」

 

「あ?」

 

それとほぼ同時、顔色を変えたウェンディの異変に気付いたマキナが叫んだ。その意図が理解できないスコルは疑問符を浮かべ、首を傾げる

 

「いーから早くやれ…!!」

 

「だから説明しろ!!」

 

「僕がやる…!わっ…!?」

 

鬼気迫った様子で指示を飛ばすマキナ、その意図が理解出来ないスコルが反論する中、動きを見せたヒビキの頬を何かが掠めた

 

竜弾・空砲(ドラゴンブレット・エアロ)…!」

 

その何か基空気の弾丸はウェンディを直撃。其れを放ったであろバレルの手には一丁のフリントロックピストルが握られていた

 

「ちょっ……!」

 

「うみゅ!?」

 

「アンタ!!いきなり何すんのよっ……!!!」

 

「てめっ……!!」

 

有り得ないと言わんばかりにシャルルが吠え、スコルに至ってはバレルの胸倉を掴み上げた。ルーシィやマナツも驚きを隠せないが、マキナだけは刹那そうな表情のバレルを見据える

 

「やめろ、スコル。今のはバレルが正しいかな」

 

「テメェまでなにをトンチキなこと抜かしてやがる……!!ウェンディを攻撃するよーなヤローの肩を持ちやがるのかっ……!!」

 

真面な意見を放つと思われていたマキナの口から放たれた耳を疑う発言に、スコルは怒気を放ち、彼を睨みつけた

 

「文献に寄ると、ニルヴァーナは発言したが最後…意識してはいけない(・・・・・・・・・)。そうだよね?ヒビキさん」

 

しかし、その怒気に物怖じしようともしない白衣の少年は頭のゴーグルに触れ、横目で事情に理解がありそうなヒビキに問う

 

「その通りだ、マキナくん。このニルヴァーナという魔法はとても恐ろしい魔法なんだよ、僕は事前にマスター・ボブに聞かされていて、其れをマキナくんは独自に解明していた。この魔法にだけは何があろうと……身を委ねてはいけない…!!」

 

先程までの冷静な態度とは裏腹に、ニルヴァーナの事を語るヒビキの瞳は事の重大さを物語っていた

 

()在るところに()が在る……この魔法はその二つを反転させる、それがニルヴァーナかな。その手始めに黒い光が上がり、光と闇の狭間にいる者を逆の属性となり、強烈な負の感情を持った光の者は闇に落ちる……その全てがジャッジ次第で善にも悪にもなる……。特にオメーみたいに怒りで動くよーなヤローは危ないってことだ、バカ猿」

 

ニルヴァーナに関する全ての説明を終えたマキナの視線は先程から当たり散らすスコルに向けられていた

 

「潰す………潰してやる……!!テメー等全員…!!」

 

「スコル!?ちょっ!どーなって…!」

 

「牙狼天眼!!」

 

「ぎゃー!!スコルがおかしくなったーーっ!!」

 

突然、獣如き豹変を遂げたスコルは拳、蹴り、頭突き等の暴力の嵐を周囲に放つ。余りの豹変にマナツは叫び、ルーシィも驚きを隠せない

 

「ヒビキさん!レティの魔法で遠くに逃げて…!このバカは僕が足止めする!こっちだ!」

 

「待ちやがれぇ!!」

 

「頼んだ….!レティちゃん!」

 

「任せろだし!」

 

マキナがスコルの気を引く間に、レティの瞬間移動に寄り、別の場所にマナツたちは転移し、その場にはマキナとスコル、ディンガだけが残された

 

「……ディンガ、なんで行かなかったかな」

 

自分以外を逃したと思っていたマキナは頭のガスマスクに触れ、隣に佇む赤い毛並みの相棒に問いを投げかける

 

「やれやれ、せっかくの残ってあげた相棒に対する言葉がそれかい?キミだけでは、明らかに不利だ。なにせ、スコルは強い……そうだろ?」

 

その問いに答えを返した彼は、自分と同じ白衣を棚引かせながら、呆れたように肩を竦め、状況に対する冷静な観察眼は働かせていた

 

「はぁ………わかったよ。けど、残ったからには協力してもらうかな」

 

「それでこそ、我が相棒だ。キミならば、そう言ってくれると信じていたよ」

 

「最高だよ、やっぱり…!ボクの相棒は!物質魔法(アポートマジック)!!発明No.000!デウス&エクス!!」

 

ディンガに笑いかけた後、マキナは両手を打ち鳴らし、発明品にして相棒たちでもあるデウスとエクスを呼び出す

 

「待ちくたびれたぜ」

 

「博士。敵はどこに?」

 

「敵はスコルだ。手加減はいらない……あのバカを止めるよ!形態変化(カンビオファルマ)!!」

 

「「ワォォォォン!!」」

 

高らかに宣言された言葉、デウスとエクスはマキナの両手に収まるように双剣に姿を変化させる

 

点火(イグニッション)・魔狼」

 

首にぶら下げた三つのドックタグの中でも眩いばかりの輝きを放つ銀色を口に含んだ瞬間、スコルの体に迸るかのように活性化した魔力の流れが視認可能となる

 

双刀竜(そうとうりゅう)・竜牙天!!」

 

「魔狼爆砕呀!!」

 

竜の牙の如き猛き斬撃と魔を喰らう拳が、空間全体を揺らし、地形を変える程に荒々しくぶつかり合い、その力は互いに拮抗し、巨大なクレーターを生み出す

 

「ちっ……!二刀流じゃあ、力が分散する….!!」

 

軌道の読めない本能任せのスコルに対し、理論派であるが故に真向勝負には不慣れなマキナ。刃で拳を弾きながらも、思考を巡らせていく

 

『博士!変則に型を変えましょう…!アレならばなんとか…!』

 

「ダメだ!変則は不規則な太刀筋になるから余計に…….待てよ?アレなら………」

 

「博士!僕のスパナを使いたまえ!」

 

「いや……今いー方法を思いついたかな!」

 

変則に型を変えるように提案するデウス、自分のスパナを使うように促すディンガ。しかし、その両方を拒否したマキナは手から二振りを投げ、元のデウスとエクスに戻す

 

物質魔法(アポートマジック)……来い!ドランバスター!!」

 

その手に握られたのは、一振りの大太刀。鞘には大量の札が貼られ、その力を抑制するかのように封じられている。まるで、マキナの滅竜魔導士としての力を抑制している拘束具の如き、意味有り気な大太刀。魔力を流し込むと、札は剥がれ落ち、その刀身が露わになっていく

 

「音よりも速く……そして……光よりも速く!!」

 

「グルルル……!!グガァァァァ!!」

 

魔力に意識を呑まれ、会話することもままならないスコルが怒気を力に変え、迫る。それに対するマキナは大太刀を持つ手を後方に引き、肩の力を脱力させていく

 

「一刀竜」

 

脱力した事に寄り、速度を異常なまでに底上げしたマキナは走り出し、スコルが攻撃を放つよりも早くに彼の懐に潜り込む

 

竜光天(りゅうこうてん)!!」

 

抜刀の瞬間、刀身の鈍い光がスコルの両眼を眩ませ、その懐を斬り付ける。すれ違い様に行われた僅か一瞬の出来事に過ぎない現象にディンガは勿論、デウスとエクスも唖然としていた

 

「…………がっ!」

 

「はぁ………よーやく、静かになったかな。デウス、このバカを乗せてくんない?エクスはボクとディンガの足代わりね」

 

肩で息をしながらも、ドランバスターを鞘に収めたマキナは唖然とする一匹と二体(相棒たち)に指示を飛ばす

 

「博士。やはり、キミはすごいね」

 

「とーぜん、だってボクは天才だからねー。さーてと……マナツたちは何処だろ、マーキングしてないから、地道に探さないとね」

 




マナツが転移した先に待ち構えていたのは、エンジェル!?果たして、アイドルの異名を持つ彼女は天使を倒せるのか…!

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