とっくに依存してる系原作主人公VSオレはあいつの人生に不必要だと言い張るオリ主   作:ボカロ厨

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原作主人公の子供の頃の話です。

オリ主も原作主人公も拗ねらせています。
荒牧楓は十五歳で死んで転生しました。
ノベルゲームの年齢制限とか無視する子です。
この話を差し込んでおかないとダメだなと思ったので急遽過去話を作成


「結局のところ、彼女も彼を通して主人公を見ていたのでしょう」

 いつか超えてやる、いつか認めさせてやる、その思いが生まれたのはいつだろうか。

 同じ年の同じ日に生まれた血の繋がらない兄弟、いつもいつも愛されるのは兄だった。

 これで兄が愚鈍な人間だったのなら、あの親たちの見る目がないと自分を慰められたのだろう。

 だけど兄は天才だった、僕では到底届かぬ程に。

 血筋も頭脳も才能も何もかもが劣っている僕は、何もかもを諦めて広い庭の端っこで寝っ転がっていた。

 広い家の庭は広い、庭園の隅にある芝生が僕にとってのベストスポット。

 そこで、彼女に出会った。

 

「おーい、起きてるかぁ?」

 

 ぽんぽんと僕の頭を叩きながら、それは僕に問いかけた。

 対応するのも面倒くさかったので寝たふりでやり過ごそうと思っていたのだが、次のそれほど言葉で飛び起きる羽目になってしまった。

 

「寝てるなら油性のマッキーで落書きするけど」

 

「起きてます!」

 

 目を見開いて跳ね起きる、そこには僕と同じくらいの歳の少女がニヤニヤしながら立っていた。

 ここは財前家の敷地内、勝手に入ってくる事は出来ないはずだ。

 少し考えて結論を出す、恐らく兄に会いに来た名家の令嬢だろうと。

 財前コンポレーションの跡取りと謳われ、既に並外れた優秀性を発揮している兄の元に訪れたのだろうと。

 

「悪い悪い、ようやくお前に会えると思ったらついテンションが上がっちゃって」

 

「……人違いですよ。僕は智成、兄の十也(かずや)なら恐らく書斎でしょう」

 

 こういった事は珍しくない、母親が違うというのに兄と僕の容姿は瓜二つのため間違える人間も多いのだ。

 父ですら僕らを見分けられないため、父は僕に兄と別の髪型にしろと言ってきた。

 何故かお揃いを好む兄によって、それは阻止されたが。

 

「いいや、オレのお目当ては間違いなくお前だよ財前智成」

 

「……あぁ、そういえばこれは一応部外秘でしたね。僕は妾の子です、万が一にも父の後継となる事は有りませんし要職を任される事もないでしょう。いや、そもそもの話中学を出れば勘当ですかね」

 

「……」

 

「相続関係も期待するだけ無駄ですね。どうせあの父の事だ。きっかりしっかりわざわざ遺言状で僕をハブる筈です」

 

 この家で働いていたメイド、その胎から産み落とされたのが僕だ。

 本来ならば堕される筈だった僕は、既に亡き母の尽力により生存を許された。

 母は相当なキレ者だったらしく、あの父から『中学卒業まで僕をこの家で育てる』という契約をもぎ取ったのだ。

 当然ながらこの情報は部外秘、とはいえこの情報社会で感ぜぬ隠し通す事なんて出来るはずは無い。

 知るものは知り、知らぬ者は知らないといった状態になっているのだ。

 

「……はぁ」

 

 呆れたような少女。

 当然だ、粉をかけても無駄な人間に時間を使ってしまったのだから。

 彼女は何処の令嬢だかは知らないが、それすら把握してないという事は大した家ではないだろう。

 反面、五歳児で今の情報を噛み砕いて飲み込めたという点で少女の才覚は凄まじいとは思う。

 まあ、兄には及ばないが。

 

「ですからさっさと兄の方へどうぞ。昼寝の邪魔です」

 

 途端、少女は抱きついて来た。

 状況を理解する前に頭をワシャワシャとイジられたのだ。

 

「知ってはいたけど拗ねらせてんなぁお前!どりゃ!デフォルメされた美少女のハグを喰らえ!」

 

「ちょっ、何してるんですか⁉︎セクハラで訴えますよ⁉︎」

 

「クックック、五歳児が使う言葉かよ。オレみたいなイレギュラーじゃない一回生とは思えないな」

 

「このっ」

 

「とりゃー」

 

「いい加減にして下さい!」

 

・・・・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・・・・

 

・・・・・・・・・

 

・・・・・・

 

 

「いやあの、マジすいませんでした。チョーシのってました」

 

 少女との出会いから5分、彼女は芝生の上に正座していた。

 

「いかに自らの容姿に自信をあろうが合意も友情もないハグは必ずしも喜ばれるとは限りません」

 

「はい……」

 

「スキンシップは親しい間柄だからこそ許される行為であって、初対面の人間にされてもそこには恐怖しかないでしょう」

 

「マジすいません」

 

「男女平等が叫ばれる現代社会に於いて。いや、それを抜きにしても今の行動は褒められたものとは言えません。思想や主義以前に人としての話です」

 

「お前五歳児だよな?」

 

 年齢に見合わない程優秀だとは、よく言われる。

 だかしかしその言葉は僕とって何の賞賛にもならなければ慰めにも満たない薄っぺらさ。

 すぐ側に五歳児で有りながら既に会社の経営に口を出せる立ち位置にいる人間がいるのだから。

 全く、あの兄は何処まで底知れないのだ。

 

「……それを言うなら貴方こそですよ。幼稚園の子供に今のハグをされようが軽く受け流すだけです。明らかに外見年齢とは逸脱した精神構造を持つ貴方だからこそこう言ってるんです」

 

「褒められてるのか?コレ」

 

「下手な大人よりも話しやすいという点では。で、貴方僕に何の用ですか。『知ってはいたけど』という事はつまり事前に僕の性格について知る機会があったという事ですよね」

 

 この家に来る人間が僕に話しかける事は殆どない、最初のうちは会社の人間が挨拶してくれたようにも思えたが、父の態度を見て次第に近寄って来なくなった。

 現金な奴らだと蔑む気はない、メリット無しでこんなクソガキを相手にするなんて時間の無駄だ。

 では、何故この少女は僕の素を知っている?

 

「ギクリ」

 

「擬音を口に出さないで下さい。まあ、この際それはいいでしょう。用事があるなら手早くどうぞ、僕は忙しいんです」

 

「あれ?でもお前寝てたような……」

 

「僕は忙しいんです」

 

「アッ、ハイ」

 

 人間観察の基本は兄から教わった、『えー、コレあった方が便利だよー』と強制的に教えてきたのだ。

 だからこそわかる、この少女の瞳に宿る僕へのプラスの感情が。

 未熟な僕にはその感情の種類がわからないが、少なくとも好意の類である事は窺い知れる。

 だからこそ、気持ち悪いし気色悪い。

 兄ではなく僕に向けられた感情が、むず痒くて仕方がない。

 

「あの……友達になりたいなって……思ってるんだけど……」

 

「何故?僕と貴方じゃ初対面ですが。僕を通して兄に。ひいては会社に働きかけようという魂胆なら無駄だと説明した筈です」

 

 なんだ、何を言っているんだ僕は。

 こんな感情的になるなんて普段の僕からしたらあり得ない。

 何を、何を苛ついているんだ。

 

「……ごめん、理由は話せない。言えるような事じゃない」

 

 申し訳なさそうにする少女を見て僕は喜んだ。

 ほらみろ、どうせ何かしらの目的があって近づいてきたんだ。

 そうだ、僕が誰かに好かれる事なんてあるはずが無いんだ。

 みんな僕を通して兄やら会社やらを見ている、僕を見てくれた人なんて一人もいない。

 

「そうですか。ならば僕はあなたを信用することはでき───」

 

「でも!お前と友達になりたいって感情だけは本当だから、これだけは嘘じゃないから」

 

 それは嘘か否かくらいは僕でも見抜ける。

 気持ち悪い、無償の好意が忌まわしい。

 僕はなにもしてないのに、僕は貴方に何も与えてないのに、どうして貴方はそんな感情を抱いているんだ。

 なんで貴方は、僕を通してじゃなく僕のことだけを見ているんだ。

 

「何日、何年経ってでもオレはお前と友達になってみせから」

 

「……なんですか」

 

「これから話しかける事は、許してくれないかな……」

 

 その顔は今にも泣きそうで、瞳は潤んでいて。

 その感情は意味がわからなかったけど、僕に仲のナニカや断るなと叫ぶので、僕は渋々こう答えた。

 

「まぁ、それくらいなら」

 

「ほんとか!」

 

 パァッと満面の笑みで、少女は笑う。

 それが嫌じゃなかった自分を嫌悪しつつも、僕らの関係は始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




拗ねらせてるし歪だけど美しい愛を目指したい。
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