私が走り抜けた思い出   作:ゆかりーぬ

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第1話 鈴と小鳥とそれから私

空を飛ぶ羽を持った鉄の鳥よりも

陸を切り裂くように走る夢の超特急よりも

私は表定速度時速91キロの歩調がちょうど良かった。

 

6/25阪神8R1勝クラス城崎特別1着

 

未勝利から勝ち上がるまでに四苦八苦していた私だったが、先月の京都未勝利戦であぶなげなくも勝ちをもぎ取った。

だからと言うか、次に選んだこの一戦は実力不足で負けるだろう。

そんな考えが不意に浮かびつつあるレース前夜のホテルで展開の予想をしていた。

芝の状況的にも前残りが起こる可能性がありハマれば良いな程度の考えを持っていた。

結論から言ってしまえば、ドンピシャな前残りが実際に起きてしまったのだ。

スタートを綺麗に決め先行策をとった私は前日考えた最高の位置取りを取ると、荒れた馬場地帯まできっちりと圧をかけ誘導しドツボにハマる前2人を交わしつつ4コーナーからスパートをかけ、悠々とゴール板を駆け抜けていた。

 

「勝てちゃったねぇ...うん」

トレーナーを待つ控え室で1人ぽつりと呟いく、勝てた実感はあるにはあるものの、ここまで展開に恵まれればそう思いたくもなるものだ。

 

そんな考えに耽る中、声が割り込んでくきた。

「おめでとう、最後よかったぞ!4馬身も引き離してたな!」

扉を開けたのは聞きなれた声、トレーナーだ。

「ありがとさん、まさか勝てるとはねぇ」

「展開予測を完璧に当てるのは俺も予想外だった、今月の運を使い切ったかもしれねぇ」

「そうかもねぇ、今回は流石だよ。次も期待してるよ〜」

そんな言葉を返しつつも私は、運が良かったし敗者に失礼だから帰ってから細かな勝因は考えよう。と能天気な結論に辿り着かせたのだった。

 

サッと体を拭き水分補給を済ませてウイニングライブへ向かう。

少し前までは常にバックダンサーを勤めていたのに、今や2戦連続センターだ

多分今後の人生でここまで名誉な事はそうそうない事だろう。

そう思いつつもマインドを変えて楽曲の振り付けを頭の中で何度も丁寧にしっかりと再確認を始める。

ミスは出来ない、様々な人に支えて貰った結果生まれた晴れ舞台だからこそ、1つのミスが命取りになる。

深呼吸し舞台脇からセンターに立った私は練習通りのパフォーマンスを出せるように踊り抜けた。

暗転し幕が降りた今、とりあえずだが競技者としての役目は果たせただろうか?

しかしながら矢継ぎ早に何人もの記者との質疑応答を含めた取材が待ち構えていた。

幸い2回目の記者対応なので慣れていた事もあり応答はスムーズに進んだ物の前に比べて人が多い。

とはいえ、宝塚記念という一大イベントも控えてるためトレーナーとのインタビューは早めに切り上げられたのが救いだ。

開放された私は車を取りに行くトレーナーの後ろ姿を見送りながらターフを見た。

 

そう、11Rのファンファーレが鳴り響く




読んで頂きありがとうございます
アカウントを作りn年、やっと初投稿です。
知り合いの作家達が血のにじむような思いで執筆している最中で私は「頭の中で展開されるキャラクター達が勝手に動いてくれるので他者に伝える意味もないし、そもそも100%の情報量を届けられる技量が身についてない今、書く必要あるのか?」と苦痛を感じ
筆をとる前に筆を折るというヒシミラクルもびっくりの怠惰な概念家として8年程弄れ続け生きてましたが、近鉄特急に乗った感動と自身の脳内記録、そして他者に伝える力を増やすため書くことにしました。

この子は生まれたばかりで名前が無いので名前を募集しています。
如何せん初投稿なのでハーメルンの使い方が間違ってたらゴメンなさい
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