TS憑依ソフィーのアトリエ 不思議な魂の錬金術師 作:不思議シリーズマン
お待たせしました。
「できた」
「ソフィー、貴方なんてものを……」
「ふふふ、最強の兵器の完成だな。においだけで意識が飛びそうになるぜ」
やぁ諸君、オレだ。今ちょうどとある調合を試していたところでな。ついに成功したのだ。
「名付けて『苦楽の気付け薬』。これを飲んだら二分の一の確率でこの世のものとは思えない辛さと苦み、もしくは地獄のような甘さが口いっぱいに広がるはずだ」
「徹夜で何かしてると聞いてきてみれば……ついに頭がおかしくなったのね。どっちが来ても人が死ぬわよこれ」
「まあそんなこと言うなよモニカ。これでも一応気付け薬なんだからさ」
「ソフィーは一度気付け薬とはどういうものか辞書を引きなおしたほうがいいと思うの」
モニカからの評価がひどいことになっているがこれは最終兵器。本来試そうとしている方法でミナさんが起きなかった場合これを使うことになる。あと一応ジャンル的にはデバフ系の爆弾だ。ケモノにはよく効くだろうなぁ(愉悦)一応飲める。
「じゃあモニカ、ミナさんの様子を見てきてくれるか?」
「はぁ……わかったわ。実際今はソフィーに頼るしかないものね。後でホルストさんとハロルさんに怒られてきなさいよ」
そう言ってモニカはアトリエを出ていった。
◆
数十分がたち、色んな準備を終えたオレ。いつもよりしっかり準備して、秘蔵の金庫から1番大事なものも引っ張り出してきた。
「よし、じゃあドンケルシュッツァー君少しお話ししようか」
オレは椅子の上に置いたドンケルシュッツァーに笑顔で話しかける。
「まあオレはお前の声が聞こえないし一方的に話しかけるだけになるけどさ。コレ、どう使うつもりかわかるよな?」
オレは気付け薬の瓶を揺らしながら問いかけた。第三者目線、植物にオラついてるヤンキーなんだけど、オレは可愛いからノーカンだよね。ソフィーがオラついてるのは解釈違いですけど、中身オレだから。
「まあ端的に言うとな、あの人がひどい目にあいたくなけりゃテメェ自身であの人を助けれるようにオレを手伝え」
脅迫、まごうことなき脅迫である。だってこっちの言葉通じないし仕方ないと思うんだよね。どうせドンケルシュッツァー君もこのままだと水分足りなくて死んじゃうし。
それに植物に好かれるミナさんを盾にすれば大抵のことはなんとかなると踏んだ。
「……うむ。よきよき。じゃあ今から調合するか、レシピは出来てるしな。成功するか知らんけど」
体感10分ほど返事を待つけどまっっっっったく、声が聞こえない。素材の声を聞けるようになるまでまだまだ修行不足なんだろうな。だって【ソフィー】でさえ、【2】の中盤以降じゃないと聞こえるようにならないし。でも、植物にも意思があって話ができる存在だということを知っているだけでもアドバンテージはある。まあそれはそれとして……
植物の意志とかよく分からんし沈黙は肯定ということでいいだろう。モニカが戻ってくるまでに調合を開始しないとなー。
「覚悟は決めとけよ。オレはお前に全く配慮する気がねぇ」
ドンケルシュッツァー以外の素材を錬金釜にぶち込みながらオレはそう告げた。
「錬金術士として、今からオレは最低な行為を行う。お前の力を借りるんじゃない、奪うんだ。だからこそ今回はこれも使ってみせる」
錬金触媒レゾリア。
【ソフィーのアトリエ2】にてラミゼル・エルレンマイヤーの時代の錬金術士が錬金術を行使する際に補助具として使用していた触媒だ。現代でいうと錬金釜の種類で効果を変化させるものを触媒だけで行うといったところかな。
ばあちゃんからレゾリアとリミティアを譲ってもらったけど、『錬金術士として大成したと感じた時』もしくは『本当に必要な時』だけ使っていいと言われてる。
多分【ソフィー】がもらえなかったのは、各錬金釜はラミゼルによって錬金触媒を素材に作られていたからなのだと思った。だから【2】になるまで錬金触媒が出てこなかったんだろう。ゲーム性とかいうメタいこと言う奴にはアインツェルカンプな?
まあ……今がその時だよ。使い方はばあちゃんに怒られるどころかプラフタにも超怒られるだろうけど。
「ずっと考えてたんだ。今のオレじゃ正攻法で錬金術を学んでたってミナさんを助けられない。最短で、最速で……最高効率で助けるためなら……犠牲は必要だからさ。オレはオレだからって思いたいけど…………【ソフィー】に恥ずかしい錬金術士になりたくない」
そしてオレは満を持してドンケルシュッツァーを釜に入れた。最後にレゾリアを添えておく。
「独学だけど……感覚でやり方が分かるんだよ。この方法は【ソフィー】の才能じゃない。【オレ】の才能っぽいんだよな。最悪だけど」
ぐるこーん、ぐるこーん。
この調子でいけば2時間もあれば調合は出来るだろう。
オレが今回やっていることは、諸悪の根源である錬金術士ルアードが使用する【根絶の錬金術】。
大地の爪痕という土地は植物がほぼ存在しない不毛の大地となっているのだが、根絶の錬金術による自然への影響で引き起こされたといえば分かってもらえるだろう。
実際【ソフィーのアトリエ】終盤、ルアードが復活し根絶の錬金術を行使し始めると、キルヘンベル周辺では魔物の活性化や地震など自然災害とも言える現象が増えてきたのだ。錬金術を行う際の自然の力を借りるという工程を無理やり力を引き出すという形で効率よく(自然への影響を考えないものとする)使用している。
オレはそれを、自然から力を借りるのではなくオレ自身のエネルギーを使用して行おうとしている。
ゲームだった頃、MPという形で各キャラは魔力のステータスが存在する。スキルや魔法を使うのに使用するいわゆる精神力だが、錬金術士は自然からMPを借りて調合をするというのがオレの仮説。MPがあるのなら自然も生きている。生きている存在からMPを受け取れるのなら、オレのMPだって調合に使えるはずだろう?
『苦楽の着付け薬』を調合する際、試しにオレのMPを消費して調合してみたが驚くほどすんなり成功した。使用した素材からは考えられないほどの効果を得られたしオレにしては珍しくオリジナルレシピであり、オレが閃いたものだ。才能のないオレがあっさりと思いついた諸刃のレシピ。
これらの結果を基に、オレのMPを根絶の錬金術でさらに無理やり効率よく搾り取ることにした。
結果、今死にかけてる。
「あぅ……っ!!キッちぃ………けど、気張れよオレ!!」
体が重くなってきた。かき混ぜ棒を握る手がすっぽ抜けそうになるけど、根性で耐える。カタカタとかき混ぜ棒と釜が当たる音が鳴るけど気にする余裕もないぜ。
あぁ……今度は眠くなってきやがった……
「ソフィー帰ったわよ〜……ってソフィー!?」
「あ……?モニカ……?」
モニカが帰ってきた?あれ、もうそんなに時間経ったっけ……わっかんね。
思考がまとまらないからあんまり賢そうなこと言えないけど、オレのMPはとっくの昔に尽き果ててるんだろう。こんなに体が重いのも、眠気が来るのもきっとオレのHPからさらにエネルギーを絞ってるんだと思う。それでもオレは調合を成功させないといけない。
「すっごい顔色悪いわよ!?少し休んだら……?」
「ダメだ……ドンケルシュッツァーを使った調合だからな。一回しかできねぇんだ……だから休めないよ」
「で、でも……きゃっ!」
あれ……体が……まっずい。焦げ付いたら終わっちまう……
モニカが受け止めてくれたのかな?なんかいい匂いがする。うーん……やっぱお嬢様はいいシャンプー使ってるね。あと胸の感触がいい。
「モニカ、オレに『苦楽の気付け薬』を飲ませてくれ」
「え、でもあれって……」
「いいから、今大事なとこなんだ」
「えぇ……後で文句言わないでよねソフィー。ほら」
「うっ!?お、おぇ……あっま!?いや、にげぇ!?なんで両方来てんのこれ!?めっちゃ失敗作じゃん……」
よし、多分味覚死んだけど意識はしっかり覚醒出来たぜ。今から何食っても味しないんだろうなぁ()
「水も持ってきたわよソフィー。他に私にできることはある?すぐ用意するわ」
「ありがとう、そこのベーグルサンドをありったけオレの口に突っ込んでくれ。オレが調合したものだから回復効果も即効性があるんだ」
「分かったわ」
モニカのサポートのおかげでHPとMPをギリギリの状態で回復し続けながら錬金釜に突っ込んでいくことができている。根絶の錬金術のデメリットをオレ自身が請け負っているからクッッッソしんどいのと、気付け薬のせいでせっかくの飯がクソ不味いのを除けばおおよそいい調子だ。
そのまま1時間、根絶の錬金術のおかげで調合時間すら圧縮した調合が終わりを迎える。
「っっっっしゃ出来たぁ!!!!」
「錬金術って大変なのね……私じゃ集中力が続かないわ」
「よし、じゃあモニカ!!」
「どうしたの?」
「後任せた!!…………うっ」
「ソ、ソフィー!?」
意識がもたねぇ……体も動かないし、最後の力を振り絞ってベッドまで行ったけどもう、だ……m…………zzZ