TS憑依ソフィーのアトリエ 不思議な魂の錬金術師   作:不思議シリーズマン

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第8話

「……ん」

 

 

おはようございます……えぇ、推定死に損ないのオレ、ソフィーです。

 

今何日だ?ミナさんはどうなった?根絶の錬金術は周りの自然に影響してないよな?

 

……疑問が尽きないが、とりあえずは体を起こそう。あれ、思ったよりダルさが無いな。もしかして結構寝てたか?

 

 

「パジャマ?モニカが着替えさせてくれたのか……後でお礼言っとかないとな。それにしても腹が減ったな、リハビリがわりになんか飯でも作る……うん?干し肉だ。ウチにあるってことは食べていいのか?いいでしょ、頂きます……うん、普通に美味い」

 

 

世界観的に冷蔵庫とか無いからなー。こういう干し肉とか日持ちする食料は大事なんだよね。このガッツリなしょっぱさが身に染みるぜ。今度完全栄養食みたいなレーションを錬金術で作ってみるか。根絶の錬金術で効率よく量産して、消耗したMPをレーションで回復。永久機関の完成だぜ!!なんつって。

 

 

「はぁ、街に降りよう。生存報告と現状確認だ。なんか部屋綺麗だしほっといていいや」

 

 

いつもの服に着替えて、杖を持って外に出る。

 

 

『おや、目が覚めたんですか?おはようございますソフィー』

 

「おはようさん……ん?」

 

 

誰の声だ?周りには誰もいないはず……え、いないよな?たまに近所のおばあちゃんが散歩に来るけど声が違うし……ってか聞き覚えがある声。

 

 

『どこ見てるんですか、上ですよ上』

 

「上……?おわぁぁぁぁぁ!?!?!?なんで!!プププ、プラフタが目覚めてる!?」

 

 

声の通りに上を見上げれば、そこにはパタパタと浮かんでいる本があった。プラフタである。

 

キャー、シャベッタァァァァァァァァ!?!?アイエェェェェ!?プラフタ!!ナンデ!?

 

 

『……本当に、私の知るソフィーでは無いのですね』

 

「なな、なんでプラフタが。厳重に保管してたし、まだ一個も書き込んで無いのに!?……ウッソだろおい、めっちゃびっしりかきこまれてるじゃねえか!!」

 

 

プラフタの本は開かれた状態で、鳥の羽ばたきみたいにパタパタしているので中身が見える。そこを覗いてみると、びっしりと文字が書き込まれていた。

 

 

『貴方が……っと、これは確か言ってはいけないんでしたね。改めて、私の名前はプラフタと言います。どういうわけか貴方は私の事を知っているみたいですが』

 

「あ、ああ……オレはソフィーだ。よろしくな……?」

 

『はい、よろしくお願いします。私もソフィーの事は知っていますよ。眠っている間もソフィーの事は見ていましたから』

 

 

そういや部屋中が見渡せるように棚の上に置いたんだったけか。え、本当にどういう事?

 

 

「あのー……色々と聞きたいんだけど」

 

『ふふ、そう焦らないでください。まずは用事を済ませましょうソフィー。話は後でゆっくりしましょう、ね?』

 

「……分かった。我慢するよ」

 

 

なんかお姉さん感すごいなプラフタ。あれ、そう言えば本にびっしり書き込まれてるって事は結構記憶戻ってる?プラフタはレシピの書き込み量によって記憶をどんどん取り戻していって、徐々に重要な事を思い出す、そして【ソフィー】達はそれを元に色々行動していくはずなんだけど……もしかしてあの文字って全部錬金術のレシピだったりする?えぇ……マジ……?誰がなんのためにぃ……?

 

 

『行ってらっしゃいソフィー。気をつけてくださいね』

 

「……行ってきます……?」

 

 

プラフタに見送られて、オレは街に繰り出した。

 

 

「おお!!ソフィーちゃんじゃないかい!!元気そうで何よりだよ」

 

「よっ、おっちゃん。見ての通りピンピンしてるぜ」

 

「あらっ、ソフィー。アンタは凄い!!ラミゼルさんも誇らしいだろうよ!!」

 

「あはは……あざっす!!」

 

 

な、なんかすれ違う人が皆絶賛してくる……ちょっと居心地悪いな。

 

 

そのまま教会前の広場までたどり着くと、モニカが居た。

 

 

「おーい、モニカー」

 

「っ!!ソフィー!!目が覚めたのね!!」

 

 

声をかけると駆け寄って来た。

 

 

「おう、オレが寝てる間に色々してくれてありがとな!!」

 

「……良かった、ちゃんとオレオレ言ってるわね。ええ、どういたしまして」

 

「それでさ、今日って何日?オレどれくらい寝てたん?」

 

「あの調合の日から3日経ってるわよ。カレンダーを進めておいたのに見てないの?」

 

「え……見てないです……」

 

「まったく……でも、元気そうで良かったわ。ちょうどいいし今からホルストさんのところに行きましょう。色々説明することもあるし」

 

「あいよ〜」

 

 

話が早くて助かるよモニカ。モニカと一緒に広場を抜けて商店街へ行く。見知った住人と冒険者に挨拶しながら喫茶店前に行くと、今度はマルグリットさんとオスカーが居た。

 

 

「ソフィー、元気そうじゃない。野菜買って行きなよ」

 

「後で買うよ。ちょっと先に用事済ませてくる」

 

「なぁなぁソフィー、あの植物調合に使っちゃったんだろ?種とか出てないのかよ。育ててみたいんだけど」

 

「んー……帰ってから確認しとくよ。ごめんな」

 

 

オスカーはオレの心配より先にドンケルシュッツァー君の方かよ。もうちょっとオレを心配しろって言いたいところだが、全面的にオレの自業自得なので何も言いませんし言えません。

 

 

「そういやモニカ、なんで喫茶店なんだ?」

 

「見た方が早いわよ、ほら」

 

「どゆこと?……あっ」

 

「いらっしゃいま……あっ」

 

「「あーーーーーー!!!!」」

 

 

モニカの言葉に首を傾げながら喫茶店の扉を開けると、お決まりのバニー服を来てお盆を持ってオレたちを出迎えて来た、ミナさんその人がいた。

 

良かった、目が覚めたのか。

 

……良かったぁ。てか、服えっっっっろ。

 

 

「良かった、本当に良かった!!ありがとう、貴方のおかげで……私は、私はぁ!!」

 

「おわー!?いきなり抱きつかないで!!服が薄いから感触がダイレクトにー!?…………イイね!!へぶっ!?」

 

「アホ言わない!!ミナさんも、気持ちはわかるけど離れてください!!」

 

 

モニカに引っ叩かれ、ミナさんもオレから引き剥がされた。くっ……もう少しだけ胸の感触を味わっていたかった……

 

両者とも落ち着いたので、ホルストさんにお茶を出してもらって改めて話を始める。

 

 

「まずはお礼を言わせてほしい。貴方のおかげで死なずに済んだ」

 

「オレはなんもしてないよ。アンタを助けたのは冒険者達だ。礼を言われる筋合いもない。第一、アンタ窃盗犯だし」

 

「うぐ……それについては、本当にごめんなさい。今日までにバイトで稼いだお金でどうか許してほしい」

 

 

そう言って彼女は500コールほどの小包を渡して来た。ふむ……受け取るべきか否か……

 

 

「受け取ってあげてください」

 

「ホルストさん……分かった。ホルストさんに免じて許すし迷惑料として受け取ろう」

 

「っ!!ありがとう、ありがとう!!」

 

 

それからの話によると、ミナさんはオレの薬で目が覚めた後丁寧に一人ずつ挨拶して回った後、せめてもの詫びにとこの喫茶店でバイトをする事にしたらしい。いやいつ帰るんだよって思ったけど、そこは本人が納得するまでだそうだ。まあ勝手にすればいいけど、結局根本的な不作は解決出来てないんだよな。きっとそのうち金を貯めて正式に栄養促進剤を注文して、護衛を雇って、帰郷するんだろうよ。

 

 

「んじゃ、帰る」

 

「あら、もう帰るの?ゆっくりしていけばいいじゃない」

 

「いやぁ……そうしたいんだけどさ。ちょっと可及的速やかに帰らないといけない用事があってな」

 

「そう、じゃあまたねソフィー、無理しちゃダメよ」

 

「分かってるって。じゃあな」

 

 

帰り道にマルグリットさんのところで食材を買ってから急いで帰宅する。ぶっちゃけプラフタが目覚めている時点で、ミナさんなどどうでもいいんだけど、関わった人間としては先に様子を見ておかないといけないからな。用事が終われば急ぐよそりゃ。

 

 

「ただいま!!」

 

『お帰りなさいソフィー』

 

 

うん、ぶっちゃけ根絶の錬金術の反動で幻覚でも見えてるんだと思ったけど全然そんな事はなかったです。

 

 

『ふふ、早く話したくて仕方がないと言ったところですね』

 

「そりゃあそうだよ。聞きたいことがありすぎてパンクしそうだ」

 

『分かりました。私も話したい事は沢山ありますからね』

 

 

オレは買い出しの荷物を整理してから椅子に座って一息ついた。

 

 

『思っていたより部屋が綺麗ですね。普段から掃除しているのですか』

 

「ああ、これでも商売人の端くれだからな。散らかってるところに客は来ないから」

 

『商売?』

 

「錬金術で作った薬とかうに袋を売ってるんだよ。あんまり良いものじゃないけどさ」

 

『へぇ……立派ですね、本当に、見違えます』

 

「いや、誰と???」

 

 

家を出る前にも思ってたんだけど、なーんか引っかかる言い方をしているんだよなぁ。まさかとは思うけど……

 

 

『もちろん、貴方ですよソフィー』

 

「だよなぁ……つまりプラフタは、エルデヴィーゲで出会った【ソフィー】の事を覚えているのか?」

 

『ッ!!なぜこの時代のソフィーがエルデヴィーゲの事を……知っているのですか?まさか、ラミゼルが?』

 

「いや、色々と事情があるんだ。少しずつ、お互いの認識を擦り合わせていこう」

 

 

それからオレたちは時間をかけて話す事にした。

 

まずプラフタは、オレの知っている通りのプラフタだった。今のオレとそう変わらない年齢の頃に、無幻世界エルデヴィーゲに入り、【ソフィー】と出会い冒険をして、エルデヴィーゲの消滅の際に【ソフィー】の記憶を忘れる事を選択したプラフタ。

 

ではなぜ、忘れたはずの記憶があるのか。その答えはおそらくプラフタの本に書き込まれたレシピのせいだろう。

 

 

「おいおい、マジかよ。【ソフィー】【フィリス】【リディ&スール】それに、【ソフィー2】まで網羅してあるじゃねえか」

 

『今の言葉がどういう意味かは理解できませんが、この後半に記されたレシピは正しくエルデヴィーゲの素材が使われたレシピです。それに【ソフィー】や【私】が閃いたレシピまで記してあるのです。きっとそれが原因で記憶の蓋が解かれたのだと思います』

 

「オレも同意見だ。にしても、誰が……」

 

『それについてですが心当たりがあります。私が目覚めたばかりの時、朦朧とする意識の中で少しだけ言葉が聞こえました』

 

「なんて言ってたんだ?」

 

『彼を助けて……と』

 

「【彼】?」

 

 

彼、って事は男のことだよな?どういう意味だ?だって身近な男性といえば、オスカー、ハロルの兄貴、ホルストさん……か?

 

 

『私は、ソフィーの事だと考えています。何故か一人称がオレ、ですし』

 

「あっ、あー……なるほどな」

 

 

そっか、そういやオレって前世男だったわ。でも、それ知ってんのってオレだけ……じゃ、ない。もう1人いる。【ソフィー】だ。オレの魂と【ソフィー】の魂は同居しているはずだ。って事は、何かがきっかけで【ソフィー】が目覚めた?という事は意識はしっかりしてるし条件次第で表にも出てこれるってことか?……いや、まだ分からん。でも多分そうなんだろうな。

 

はぁ……モニカが微妙な反応してたの、そういうことか。ウチの家事とか掃除とかやったの、【ソフィー】だったのか。そりゃ反応に困るよな。

 

たくっ、せっかく体が戻って来たんだからそのまま持ってけばいいのに。

 

 

『次はソフィーの番ですよ。どうやら貴方は私の知っている【ソフィー】とは似ても似つかない性格をしているようですし』

 

「そうだな、全部話すよ」

 

 

次はオレの番。オレの前世については説明せず魂が二つあることから今までのことを全部正直に話した。結果……

 

 

『馬鹿なんですか!?根絶の錬金術を使用したこともそうですが、その負荷を自分の体に収束させるなんて無茶を……死んだらどうするんですか!!』

 

「いや、死んだらそれで終わり……『黙ってください!!ソフィー!!説教です!!』……ハイ」

 

 

この後根絶の錬金術についてめちゃくちゃ怒られた。あの、プラフタさん。流石に正座を3時間もしてると足が限界……アッハイ、ナンデモアリマセン。

 

本なのにえげつないほどの怒気が伝わって来ました。挙句、根絶の錬金術の使用が、オレがもっと錬金術士として大成して負荷をものともしないようになってから考えると言われました。

 

 

「あのですね、オレって、プラフタが知ってる【ソフィー】より錬金術の才能がなくてですね。代わりに根絶の錬金術の才能がありまして……」

 

『それは分かっています。独学で、初回の調合で自分だけに負荷を抑えているなどという意味不明な出来事を引き起こせている時点で、その才能はとても素晴らしいものだと思います。

 

で、す、が!!

 

素人が使用していい技術ではありません!!一歩間違えれば命はおろか、周囲の環境へ甚大な被害が及ぶのですよ!?理解した上でやっているなら狂気の沙汰としか言い表せません!!』

 

「はい、おっしゃるとおりです……」

 

 

ぐうの音も出なかった。そりゃ、オレだってその危険性は考えたんだけどさぁ……他に方法がなかったし……

 

 

『…………はぁ、分かりました。あの時聞こえた声はそういう意味ですか。いいでしょう、私が貴方を鍛えます。もう片方の人格の方もそれを望んでいるようですし、幸い貴方もやる気はあるようですから』

 

「っ、いいのか!!」

 

『下手に鍛えなくて、焦ってまた根絶の錬金術を使用されるくらいなら真っ当に育てます。根絶の錬金術を知っているのなら……ルアードの事も知っているのでしょう?』

 

「ああ。確か今はメクレットとアトミナという2人の錬金生命体に魂を分割して活動しているはずだったかな」

 

『そんなことまで……ソフィー、貴方は一体……』

 

「あー、先にそっちを話すべきだったか。悪い」

 

 

そうだな、これからはプラフタが師匠だ。全部……うーん、ゲームの記憶をどうやって話すべきかはわからないけど、話すのは話すべきだろうな。

 

 

「まず、オレはプラフタが出会った【ソフィー】の16歳から25歳までの経歴を大体知っているんだ。話すと長くなるんだけど……いい?」

 

『もう何も分かりませんでしたがもちろんです。私を納得させてみてください』

 

 

ああうん、【ソフィー2】の自信満々だったプラフタっぽいな。表情見えないけど苦笑いされてる気がする。

 

 

「オレに2つの魂が同居している。まずはオレである【ソフィー】、そしてプラフタが知っているような【ソフィー】だ。生まれてからずっとこうで、基本的な主導権はオレ。今回分かったことだが先日のようにオレが長期間意識がない時に目覚めるのが……」

 

『私の知る【ソフィー】、というわけですか。にわかには信じ難いですが……私も魂を本に移し替えています。魂の取り扱いにも一家言ありますしエルデヴィーゲで【人形の私】を見ていますからね、一旦信じます』

 

 

【ソフィー】グッジョブ!!未来とはいえ自分の経験って1番信じれるよなぁ。

 

 

「まあなんでそんなことになったのかは知らねーけどさ。オレは生まれつきとある記憶があったんだ。前世とでもいえばいいかな。前世とか輪廻転生って概念分かる?」

 

『……分かります、が500年以上前に何かの書物を読んだ程度なのでうろ覚えですが、死んでもその人生の情報は漂白され新しい魂として新たな肉体に宿る、でしたか。つまりソフィーは漂白される前の魂の情報を受け継いでいるということですか?』

 

「そういうことだな。その前世で、オレは【ソフィーのアトリエ】というゲーム……ボードゲームのような物で遊んでいたんだ」

 

『【ソフィーのアトリエ】……ボードゲーム……名前から察すると、【ソフィー】の人生を体験していた?』

 

「そう。だからオレはエルデヴィーゲのことも知ってるし、ルアードや根絶の錬金術のことも知ってる。プラフタの本に書き込まれたレシピの数々はそのボードゲームで調合ができるレシピってわけだ。そのレシピが書けるあたり【ソフィー】はどうやらオレの記憶を覗いているらしい。まっ、レシピがあっても調合する実力がオレにないからな!!手に余るぜ全く」

 

『…………』

 

 

 




【ソフィー】

「はぁ……上手く説明し過ぎだよ……それじゃプラフタさんが気づかなくていい事まで気づいちゃう。これ、いつかまた私が出てちゃんと説明しないとなぁ。最近じゃ暇すぎてイメトレだけで錬金レベル上がるようになったし……はっ!?これも隠さないとぉ……!!」
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