TS憑依ソフィーのアトリエ 不思議な魂の錬金術師   作:不思議シリーズマン

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第9話

『ソフィーの来歴はなんとなく把握しました。実際にこのレシピ達を見て、明らかにこの時代水準の調合ではないということも分かります。完全に信じ切れてはいないですが、事実だという前提で話を進めてください』

 

「いや、オレについてはそんなもんだよ。あとは最初に言った通り、ラミゼルばあちゃんに錬金術を教えてもらって、ばあちゃんが死んだ後は商売しながら慎ましく生きてるだけ。まあこんなに早くプラフタを起こす予定もなかったんだけど……」

 

『こんなに早く?あの、ソフィーは今いくつで?』

 

「13歳だけど?」

 

『13歳!?……(13歳でこのレベルの錬金術、それに知識や人格形成が優れているとはいえむしろ十分過ぎるほどに優秀じゃないですか。それに知っているだけの、理論も理屈も分からない根絶の錬金術を独学で、アレンジまでして成功させることが出来る13才の錬金術士がどこにいるのですか!?)』

 

 

まあそりゃあビビるよなぁ。ほんとだったら3年後にプラフタ目覚める予定だし、小さい頃から錬金術やってるのにまだこんなもんだしなぁ。これからプラフタの教えでドンドン上達してくれたらいいんだけど、色々限度もあるしなぁ。

 

 

「まあ目下の課題はオレの錬金術の上達だよ。初めてエリクシルの素材を使ってもあんまり上手くいってなかったし、やっぱ下地を完璧にしないといけねぇんだよなぁ」

 

『分かりました。ソフィー、当分先の話になるのですが……』

 

「ルアードの事か?」

 

『……はい』

 

 

プラフタは本になる500年前に、幼馴染である根絶の錬金術士ルアードに勝利しているが封印するに留まっているからいずれは出会うことを気にしているのだろう。

 

 

「知識の大釜も真理の鍵も作るつもりはない。オレには必要ないし、もし万が一メクレットとアトミナが封印を解こうとするのなら……そうだな。説得して無理そうなら全部ぶっ飛ばしちまうか」

 

『……思い切りがいいところは【ソフィー】らしいですね』

 

「あっはっは……それ褒めてないよね?人のことを爆弾魔かなんかだと思ってるよね?」

 

『違うんですか?』

 

「いや、まあ……最終的には、そう!!最終手段なんだよ。ほら、爆発は芸術だって言うじゃん?」

 

『……ふふ、分かりました。頼りにしてますよ、ソフィー』

 

「っ、ああ、頑張るよ」

 

 

オレに出来るかなぁ……それまでに【ソフィー】を復活させられたら【ソフィー】に任せたい。そしてオレは【ソフィー】の中からぬくぬくと皆の人生を見ていたい。

 

 

「よし、じゃあ早速授業をお願いします!!」

 

『はい、といっても何から教えましょうか……来客のようですよ。私は隠れていますね』

 

「ん?はーい」

 

 

気合を入れてご教授願おうとしたんだが、コンコンとドアをノックする音が聞こえて来た。誰だろうか?

 

ドアを開けて誰か確認してみると、ロジー兄ちゃんがいた。

 

 

「ようソフィー。元気そうで良かった」

 

「ロジー兄ちゃん、ウチに来るなんて珍しいな。どうした?」

 

 

ロジー兄ちゃんはこの街の鍛治職人であり、ばあちゃんが生きてた頃からの知り合いだ。とんでもない旅好きで、まあまあな頻度で修行とか言って旅に出る。ここ何年かはこの街に居たはずだけど最近は会ってなかったなぁ。

 

 

「旅に出ようと思ってな。留守にするから挨拶回りをしてたんだ」

 

「またぁ!?旅好きも極まってんなぁ」

 

「あはは……んじゃ、そういうことで。今回は結構長旅をするから、作って欲しいものがあったら今のうちに聞くが?」

 

「あー……あ、じゃあ暖炉と錬金釜のメンテナンスしてくれない?あとピッケルとクワが欲しいかな」

 

「分かった……って、ピッケルなんか何に使うんだ?」

 

「素振りついでに裏のカーエン石を採取したいんだよ。今までスコップでやってたんだけど効率が悪くてさ」

 

「なるほど。来週から旅に出る予定だから……よし、明日持って来るついでにメンテナンスするか」

 

「明日?めっちゃ早いじゃん。流石はロジー兄ちゃんだな」

 

 

来週から出ていくのか。じゃあ餞別ついでに山師の薬とうに袋を作っとくか。

 

 

「じゃあなソフィー。あんまり無理するなよ」

 

「はい……じゃあまた明日〜」

 

 

会話が終わり兄ちゃんが去っていくのを見送ってからオレはプラフタを呼んだ。

 

 

「お待たせプラフタ。じゃあ改めてお願いします」

 

『分かりました。では今更かと思いますが、錬金術の基礎から教えましょう。復習だからつまらないなんて言わないでくださいね?』

 

「もちろん、偉大な錬金術士の教えだからな。全力で付いていくぜ」

 

『ね、熱意は伝わりました……』

 

 

オレが本棚からのノートを持って来ると、若干引きながらも授業が始まったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ皆、行ってくるよ!!」

 

「「「「「「いってらっしゃい!!」」」」」」

 

 

1週間が経った。オレは全快したので、日課だった畑の世話と素振りに加え、プラフタの指導を受けながら錬金術を練習していた。ちなみに暖炉はちょっとヒビが入っていた。マジで兄ちゃんに感謝。

 

そして今日はロジー兄ちゃんの旅立ちの日。広場でたくさんの人が兄ちゃんの旅立ちを見送ろうとしていた。

 

 

「ロジー兄ちゃん、はいこれ餞別」

 

「ソフィーか。中身は……おお!!薬に爆弾、こんなにいいのか?」

 

「おう、元気でやれよ」

 

「ありがとう!!助かる」

 

 

オレ達は兄ちゃんを見送り、またいつも通りの日常に戻った。

 

 

『良い街ですね、このキルヘンベルは』

 

「だろ?兄ちゃんも、旅には出かけるけど絶対に帰って来る。この街が好きだからな」

 

 

実は、鞄の中にプラフタの本を入れて来たんだ。流石に浮いてる状態だと目立ち過ぎるし、冒険者や商人を通じて噂が広まるのも良くない。早めにメクレットとアトミナが来ても対処に困るし。

 

 

「おーい、ソフィー」

 

「オスカー?」

 

 

アトリエに帰ろうとしていたところ、オスカーが走ってやって来た。

 

 

「ちょっと聞いてくれよ!!ソフィーの言う通りミナさんの血を少しもらって植物を育ててみたんだけどさ、すっごい元気に育ったんだ!!」

 

「へぇ?……本当に効果あったのかよ」

 

「だからさソフィー、万能促進剤作ってくれないか?ドンケルシュッツァーとまでは行かないだろうけど、すっげぇ植物が育つかも!!」

 

「なるほど、面白そうだなそれ。オッケーって、そういやミスティックハーブ切らしてたな。聖水は教会から仕入れるとして……あ、峰綿花も足りないな。うーん、依頼出さないとだなぁ」

 

「あちゃー、じゃあ諦めるよ。流石にソフィーに悪いし。今度野菜を買いに来る冒険者にも聞いてみるよ!!」

 

「わりぃな」

 

 

素材不足は本当に死活問題になって来たな。ここ1週間は簡単なものしか調合してなくて在庫処分が出来てたんだけど、足りないものも増えて来たからなぁ。

 

 

『素材の採取には行かないのですか?』

 

「行けなくはないんだけど、オレまだ13歳じゃん?周りの大人が許してくれないんだよな」

 

『なるほど、それもそうでしたね。ではしばらくは購入ができる素材で調合ができる物で訓練していくことにします』

 

「つまりいつも通りって事か」

 

『そういうことです』

 

 

そういうことなんですよねー。多分、ぷにを杖で殴りつけたら倒せるくらいの筋力はついたと思うんだけど……最近のオレって問題行動が多くて、こっそり行ったりしたら大目玉食うことが目に見えている。それにハロルの兄貴にアトリエの封鎖をされたら泣く。

 

 

「プラフタ、どこか行きたい場所はある?」

 

『そうですね……やはり素材を売っている所でしょうか。ついでに良い品質の素材の見分け方を教えます』

 

「なんだって?それは今すぐにでも行こう!!

 

 

クリティカルとかの効果は見えるけど、品質に関してはメリクリウスの瞳がないからあんまり分からなかったんだよな。今まで直感というか見た目でなんとなく判断するしかなかったから助かる。マルグリットさんの八百屋とか、生物だから触って確認が出来なかったから目利き出来るようになるのはすごい助かる。

 

 

というわけでやって来たのはマルグリットさんのお店。オスカーと別れたばかりだから一緒にくれば良かったとか思ったけど、どうやらまた植物の方に行っているみたいなので不在だ。

 

 

『植物を見る際に大事なことはやはり新鮮さですね。分かりやすいのは艶ですね、他にも匂いや虫食い跡など、普通に食材として購入する時のような見方で構いません』

 

「ふむふむ……植物は分かるかも。普段料理するからよく見てるし、何よりマルグリットさんの商品はどれも品質がいい!!」

 

「嬉しいこと言ってくれるねぇソフィー。今日はキルヘンミルクをオマケしてあげるよ」

 

「マジ!?じゃあこれとこれ……ああ後これも!!」

 

「毎度あり。アンタ最近頑張りすぎだからちゃんと休むんだよ」

 

「分かってるって。オレが無理する時はなんかあった時くらいだからさ」

 

 

次はエリーゼの書店。書店だけど、紙を売ってくれるから重宝してる。

 

 

「あら、ソフィーちゃんいらっしゃい。今日はどうしたの?この前頼んでた本はまだよ?」

 

「今日は他の売り物が見たいんだ。仕入れてる?」

 

「ええ。ゆっくりしていってね〜」

 

 

エリーゼはオレのために商品を並べてくれて、読書に戻った。

 

 

『……凄いですね。書店でこれほどの紙を取り扱っているとは。分かりにくいかもしれませんが、紙の繊維は品質に重要です。よく見てください。ここが……』

 

「ふむふむ……うん?うーん……わ、分からん……」

 

『少し購入して、後で調合したゼッテルと見比べてみましょうか。自分で調合したものなら品質は分かるはずですから、比較するのも色々な発見があって面白いですよ』

 

 

紙の繊維ねぇ……流石に目に見える違いじゃないから分かりにくい。というか紙について饒舌すぎやしないかいプラフタ。やはり自分の魂を入れる本の紙や革にはこだわりがあったんだろうか。

 

 

「いつもありがとうねぇソフィーちゃん」

 

「こちらこそだぜエリーゼ。あっ、ゼッテルの在庫がそこそこ溜まって来たから今度卸しに来るよ」

 

「まぁ、本当?助かるわぁ」

 

「じゃあまた〜」

 

 

少し素材を買ってから店を出たところでプラフタが声をかけて来た。

 

 

『ソフィー……ここの素材、貴女が売ってたんですか?やけに品質が良いと思ったら……貴女が調合した物なら、比較しようがないじゃないですか』

 

「あっ」

 

 

えーと、はい。おっしゃる通りです……ま、まあ!?独学で作ったものと、プラフタに教えてもらって作った物なら差が出るだろうし!?きっと大丈夫さ!!あはは……はぁ。やらかした。

 

一通り店を散策し終えてから、オレ達はアトリエに帰った。買った荷物を整理して、ソティーを飲んで一息ついた。

 

 

『やけに品質のいい紅茶があると思ったら、錬金術で作っていたんですね。それにしてもソティーって、ふふふ……』

 

「何笑ってんの!?いや、オレのセンスじゃないから!!【ソフィー】のネーミングセンスだからぁ!!」

 

『いえ……ふふ、昔から変わってないなぁって……ふふふ……ふふ、ふふふ』

 

「プラフタさん笑いすぎじゃないですかねぇ!?」

 

 

……ああ、楽しいなぁ。誰かとこうやって暮らす日常なんて、久しぶりだよ。ばあちゃん、プラフタの本を頑張って探してくれてありがとう。モニカやオスカーともよく話すけど、家っていうプライベートな空間で誰かと笑い合える時間って、こんなに幸せに感じるとは思わなかった。

 

 

『ソフィー?どうかしましたか?』

 

「……いや、なんでもないよ。プラフタ」

 

『はい?』

 

「ありがとう。これからもよろしくな」

 

『……?よくわかりませんが、どういたしまして』

 

 

よし、錬金術頑張ろっと。プラフタの事も頑張っていつかは人間に戻してあげたいな。




【ソフィー】

「……【彼】楽しそう。良かったぁ、もしかしたらお節介すぎたかも?とか思ってたけど、幸せそうで本当によかった。【彼】に必要なのは、信頼できる親友だったし……でもちょっと心配になるなぁ。【ソフィー】よりプラフタさんの事を大事にするようになるかも。うーん……依存しないといいけど」
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