ギターを鳴らす音が部屋中で響く。そこには二人の子供が居て、一人はギターを弾き、もう一人はその音を聴く。演奏が終わると手を叩き、拍手をする。少女は一言だけ、素直な気持ちを彼に伝える。
「凄い!」
それに対して男の子は、一杯練習したんだと返した。
「自分が好きな歌とかあるなら、練習して弾いてあげるよ」
「ホントに?」
「ホントホント」
「そうだなぁ...」
考え込む少女だが、なかなか思い浮かばない様だ。
「思い浮かばないなら好きな歌か曲が出来たらで良いよ“星野”」
「君がそう言うならそうしようかな」
苦笑いをしながらそう言った。
別にすぐにとは言ってない。人生は長いんだから気長に待つよ。第二の人生だ。前世と変わらない日常を俺は過ごすと思うから、まったりと楽器を弾きながら待つよ。
時計を見たら16時と、針がそこを指して星野が帰る時間だった。
「帰る時間だぞ」
「えーまだ私聴きたいなー」
「ダメー俺がしばかれるからダメです」
「大丈夫大丈夫」
ベッドの毛布に包まって、私はまだ帰らないと表現する。そんな彼女に呆れながら毛布を取ろうとするがなかなか剥せない。俺が頑張っても星野は力を弱めない。
「俺が言うのも何だけどさ、段々と力強くなってるよね」
「私が言うのもなんだけど、ちゃんと運動とかご飯食べてる?」
「食べてるよ」
「給食の時いつも君が残した物誰かが代わりに食べてるよね」
「気のせいじゃない?腹が減ってるクラスの子に、おかわりあるぞって配ってるだけだよ。運動は面倒だし」
女の子に負ける君って....言うんじゃない!前世がその生活だったから仕方ないだろ。食に対して興味がないし、運動は疲れる。音楽だけはやってて楽しいから疲れても別に良い。好きな事に対してはいくらでもって感じだけど、別にって感じたら何もやる気が起きないんだから。とある小説?か忘れたけど、” 努力は夢中には勝てないって言葉“ をみた時は俺の為だけに存在してる言葉だと感じたんだから。
「ほら良い加減に帰りなさい」
「むぅ〜学校が休みの日に、また来るからね!」
「はいはい」
仕方ないっと表情をしながらベッドから出て、星野と一緒に外に出る。途中までだが送ってく。
空を見上げれば、赤く染まった雲が動いてる。何度見てもこの景色が好きだな。ぼーっとしながら見てると
「そんなに雲が好きなの?」
「好きだよ。あのふかふかそうな雲の上で、昼寝したい程」
「ふーん」
適当に会話をしながら、いつも別れる場所に着いた。ボタンを押して、信号機が青になればバイバイって言いながら手を振る。
「またねー」
そう言って彼女は走って帰ってく。小さなきっかけから星野と話す様になり、友達になって今の俺の日常だ。俺も帰ってこの世界にしかない曲を練習しよう。前世と変わらない部分もあるがここにしかない歌、曲がある。逆もまた然り、前世にしかないものもある。働きたくないからネット配信して、動画で前世にしかない俺が好きな曲をコピーして、広めて、食って行こう。
「おはよー」
「おはよう」
星野に挨拶して、隣の席に座る。今日の授業は何があるのか確認して、机の中から教科書を出して置いとく。丁度学校の鐘が鳴り、授業が始まる。
「今日もギリギリに来たね」
「お前の周りに誰か居るんだからしょうがないだろ。座ってる奴退かして座るのもなんか、気まずいし」
「君は他の子には優しいけど、私には遠慮ないよね」
「星野だし」
「...」
無言で脇腹パンチしてくるのやめません?痛くはないから良いけどさ、もしクリティカル入ったら痛いからね?俺が睨むとくすくすと笑う彼女に、俺は魅入られた。何故かは分からないが笑顔で居る彼女に視線を虜にされる。俺はロリコンかもしれない。いや、小学生だからロリコンもないか。精神年齢だけみればおっさんだけど身体は子供だし、何も間違ってはねぇな?自問自答を頭の中で繰り返してると先生に当てられた。
「ここ答えられるか?」
「1145141919810です」
「ちゃんと授業を聞きなさい」
「すんません」
次の子が当てられて正解を答える。座ったら星野に足をばしばしと叩かれた解せぬ。お前はちゃんと聞いてたのか?って聞けば聞いてたらしい、俺より優等生じゃん将来有望だよ良かったな星野。またパンチされた。そうこうしてる内に授業が終わり、星野の方へ群がる男子が来た。他の女子達は面白くなさそうな顔で見てる。
こうなったら関わりたくないので、寝たふり作戦でやり過ごそう。横目で星野を見れば、適当に相槌をうって続けてる。その顔には少し、退屈そうに見えた。俺の勝手なあれだけど。そういえばギターはあるけど録画機材無いよな...んー買うか迷うな。もう少しでデスクトップPCが完成するのに機材に手を出していいのか?先に完成させて、そこから機材買えば良いんだけどどうすっかな。親のノートPCじゃ限界があるし先に完成させちゃうか。何年間も貯めたお金でやっと買える!ってのはやっぱり良い物だ。そろそろ次の授業だ。
気付いたらもう放課後だった。今後の事をずっと考えてたせいで1日の半分が終わってた。まあ良いか。帰ったら親に録音出来る物ないか聞いてみようもしあったら、歌いながらギターを弾いて、自分がどんなもんか確認出来るから良い機会だな。滑舌の修正出来るからなおヨシ!
「一緒に帰ろ」
「ええよ」
「今日の君は全然話してくれないよね。そんなに私と話すの退屈だった?」
「そんな事はないと思うよ」
「私が話してもへーとか、良いじゃんって適当に返事してたじゃん」
「あー確かにそんな生返事してたね、ごめんね。今後の事考えてたら楽しくて」
「何考えてたの?」
「ネットに動画投稿して、それでお金稼ごうかなって思ってねもし駄目だったら大人しく働くよ」
「大丈夫だってー私が応援してあげるからね!後、私が君のファン1号になってあげようじゃないか」
「マジ?美少女にこんな事言われたら頑張るしかねぇよな!」
そう言ったら星野が固まった。顔が赤くなっていき凄いニヤケてる。何だろう、凄いからかってやりたいけどしたらパンチされそう。
「そそそそっかー君にはそんな風に見えてたんだーへーふーん...」
「学校の男子全員に聞いてみろ皆そう答えるから」
「あぎゃっ!?」
おもっきり足を踏まれた。痛い痛い痛い!タンスに小指ぶつけた時よりいってぇ!
「馬鹿タレいてぇわ!」
「君が悪いんだからしょうがない」
「はぁ....すんません」
「溜め息吐いたなー!この」
星野に両手首を掴まれて壁に押しられた。普段誰も通らない道に連れられた。なにこれ?壁ドンっすか?脳バグるからやめてクレメンス。顔が近いし、耳に星野の吐息が当たって....
「駄目だよ逃げちゃ」
「耳やめてヤバいからホントにマジで」
そう言ったら耳に息を吹きかけられ身体全身が震える。腕に上手く力が入らなくて、だめだ。
「君が悪いんだからね?変な事言って私の心を荒らして、自分だけ無傷なのは駄目だよ。だからこれはお仕置き」
お仕置きの部分だけ耳元で囁かれて完全に力が抜けて、座り込む。頭がぼーっとする。一刻も早く。そう思ってたら手首を放した。
「覚えちゃったなぁ君の弱点。もし次があるならまたこれ使うからね覚悟、してね。後その顔誰にも見せちゃだめだよ?絶対に」
俺がどんな顔してるのか分からないが次から気を付けよう。俺が持たないしバグる。何でこうなったか分かんないけど、星野を歪ませてしまったのか?あーもう考えるのはやめよ何も考えたくねぇわ今日。帰って寝よ。そう思って立とうとしたら立てなかった。
「星野」
「なに?」
「立てないから家まで連れてってくれません?」
「しょーがない連れてってあげましょう」
何で最後ああなったかは自分でもわかんねぇです