幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どうもどうも、焼け野原主任であります。

ブルアカが楽しくて執筆に影響が出ないか心配です。
もちろん執筆も楽しいですよ、はい。


第9話、軍大学3

どうも皆様、私は帝国軍所属のウーガ大尉であります。

今私は軍大学で学生として通っております。

軍大学での教育では本来のところかなり贅沢な時間の使い方をして下ります。

その為、戦時下ということで削られた科目も多いのですが一方ではより実戦的な教育思考へシフトしている、とでも言うべきでしょう。

一部には質的に改善したとも評価される程です。通常二年間の教育課程を1年弱に短縮、それにより内容はより厳しいものへと変わりました。

自分自身の才能は同窓たちに決して劣っていないと思いたいけれども、やはり綺羅星のごとき俊英達と比べられると世界は広いものだと痛感します。

 

自分で言うのもアレですが自分は恵まれていると思います。

私ウーガは帝国軍人として順風満帆な人生を送っていて、若くして大尉となり、理解ある両親や妻にもめぐまれた。

先日生まれた我が娘は素晴らしいほどに愛しくてたまらない。

 

と、言うわけだからだろうか、一人の子を持つ父親としてようやくこれまで敢えて気にしないようにしてきた事に疑問を持つようになった。

だからこそ、聞きに来たのだ。

 

席次を争うライバル、ターニャ・デグレチャフ中尉に。

 

「おや、ウーガ大尉、珍しい所で」

 

「いつもここだとラーケン衛兵司令に聞いたのでね」

 

「ああ、なるほど」

 

私は、会ってから一つの疑問に気がつく。

 

「おや?今日はいつも一緒にいる弟が見えないが」

 

「ああ、弟は今はお手洗いに行っております。もう直ぐ戻りますよ」

 

「そうか、姉弟揃ってお食事とは、微笑ましいな」

 

「いえいえ」

 

「姉さんただいま〜」

 

「ああ、おかえりアデル」

 

アーデルハイト・デグレチャフ、今目の前にいるターニャ・デグレチャフ中尉の弟。彼は私や姉よりも優秀で、もうすでに十二騎士の一人ですでに同窓からフォンをつけて呼ばれていることもある。

 

一見、しっかりした姉と対照的なのほほんとした雰囲気だが、両方とも休日でもかっちりと軍服を身を纏い、一つの襟の乱れも服の皺も見当たらない。憲兵のあだ名は伊達じゃなしと。

飾り気は微塵も感じず。もし彼ら姉弟が私服であったなら私は気が付かないだろう。

一体どのような私服か、少し気になりもするが。

 

ターニャ・デグレチャフ、アーデルハイト・デグレチャフ航空魔導中尉。彼女は今年で十一、弟は九つだと言う。

 

「っと、少し、よろしいかな?」

 

「お構いありません、どうぞ此方へ」

 

二人とも、いや弟は兎も角姉はその十一歳の少女というよりも一人の中尉と言った方がしっくりくる佇まいだ。

だが、二人とも、軍人である。

二人の私物だって姉は小洒落たポーチやバッグではなくロンディニウムタイムズ?確かに中立国の新聞の類は言語学習には丁度いい教材だが…。

そして弟は…、肩掛け式の拳銃ホルスター?中に何か入っているようだが…。膨らみ的に拳銃でないのは確かだが中に何が?

 

[side:ターニャ&アーデルハイト]

 

姉さん、なんかウーガ大尉がこちらをじーっと見ていますけど…?

 

なんか先ほどから心ここにあらずと言った感じだが…。

なんか観察されている感じもあるな。

 

もしかして休日だから気が緩んでいたのでは?大尉はそれを目配せで咎めているのかと。

 

なるほど、休日でも常在戦場を心がけよと…、流石ウーガ大尉だ。

 

「(なんと言うオーラ、背筋が冷たくなる。これが帝国航空魔導士の中でも有数たるエース・オブ・ザ・エースの覇気か)」

 

「率直に聞きたい、失礼かも知れないがデグレチャフ中尉、君らはなぜ軍に志願したんだ?」

 

「「は?」」

 

心掛けが足りなかったとか?それとも何か別の理由が?

 

僕は姉さんのの為に志願しましたが…。

 

 

「(珍しく彼女が顔を変えている、鉄面皮と称される彼女にも表情があったのか)ああ、大尉からの問いかけではなく同期として聞いてほしい。君らほどの才があれば道は幾つでもあるように思える。だがなぜ軍に入った?」

 

ただ単に、魔導士だけの才能が突出しているだけであれば選択肢も他にさほどないように思えるが彼らはまだ、成人すらしていないのに軍大学で十二騎士の誉を勝ち取り、その一翼を担っている。天性の魔力だけではなく、高い才覚を併せ持った彼らなら研究者でも技術者でもいくらでも道はあったろうに。

 

「(姉さん、どうやらウーガ大尉は僕らに対して本当にただ単純に疑問を抱いているようですが…)」

 

「(ああ、どうやらそのようだな、どれ、これを好機としてとろう)」

 

ですね!

 

「私らの父は、軍人でした」

 

「でした…と言うことは……、すまないな」

 

「気にしないでください、今時珍しくもないでしょう」

 

「(もう慣れた、そう言わんばかりの態度だ、しかし、彼らの年齢でここまで悟っているとは…、悲劇としか。中尉は、復讐の為に軍に入ったのだろうか)」

 

「孤児だった私らには他に選択肢が見つかりませんでした。孤児にある選択肢など軍に入るか、娼婦にでもなりその日暮らしでしょう」

 

「僕らは運よく孤児院に着くことが出来ましたが…ね」

 

「…、しかし、士官学校に入れるほどの学力があれば、高等教育も選べたのではないか」

 

「失礼ながら、大尉の家庭は恵まれているのでしょう」

 

「いや…、まぁ裕福ではあるが普通の家庭だったが…」

 

「____ふふっ、羨ましいことです」

 

「孤児に選択の余地はありません、その日暮らしでカツカツでした」

 

「…、軍人遺族には恩給が出るはずだ」

 

「大尉殿、僕らは母親の顔すら覚えていない私生児なのです。孤児院がなければ、今頃二人とも野垂れ死ぬか娼館で男相手にもみくちゃにされていたことでしょうね」

 

「(聞いた話だと、彼らは休日には足繁く教会に通っているとのこと、教会付きの孤児院なればこそか)」

 

だが…例えそうだとしても、生まれたばかり私の娘も、あと十年もすれば目の前の中尉と同じ年齢になる。

自分の娘が銃を持って戦うなど、考えただけで気が狂いそうだ。

それが、私の娘の未来として見えてしまう

 

「しかし…君らはまだ子供だ、申し訳ないが、君はここで軍をやめるべきだ」

 

「ウーガ大尉は…、小官らに資質なしと、そう仰られるのですか?」

 

目の前の二人の目つきが変わる、ジトリと、こちらの体の奥底を抉り取るような目とオーラで。

ターニャ中尉はまだわかる。だが!だが!アーデルハイト中尉まで、さっきの齢九つの少年然とした態度から一変してしまう。

 

「それは違う、君らに資格なしと言うならば帝国将兵皆が銃を置かねばならないだろう。だが、君らのような子供が戦争に行くことに違和感を覚えるのだ」

 

そう、それこそもし彼らが敵軍に捕えられた時、どうなってしまうか。二人とも帝国を代表するエース・オブ・ザ・エース。子供である彼らがどうなるか想像もしたくない。

 

「帝国に殉じた君らの父は、そんなことは望んでいないのじゃないか!」

 

「…軍務です。軍人である以上、それは避けられないでしょう。」

 

「…、本気で…、言っているのかね」

 

何か大尉の様子がおかしいですね…

 

「大尉殿、先ほどからどうされたのでしょうか?」

 

「その…、実は娘が生まれたんだ」

 

なるほど、おそらく大尉は我々のことを自分の娘に重ねているのだな。

 

まぁ…心配…、しますよね…。

 

「それは…おめでとうございます」

 

「君をみていてふと思ってしまったんだ、自分の娘が戦争に行ってしまったらどうしようかと。自分が死んでしまったらどうしようかと」

 

「可愛い盛りの子供を…戦場に送ってしまっていいのかと」

 

あーあー大尉泣いちゃい始めましたよ。どうしましょう?

 

まぁ、こう言う精神が不安定な時が締めどきだ

 

「…大尉殿、あなたは常識的な方だ、退役をお勧めします」

 

「何を言うかと思えば…、戦火を次の世代に継がせない為なのに退役しろとは、酷い事を言う」

 

「いえ、貴方こそ、戦後に必要な方だと。自分は思います」

 

「私とて軍人だ、君らもさっき言っただろう」

 

「それは我々だからです。大尉殿、あなたは戦場を知っている良識ある人間だ。同期としてながら厚かましい助言をさせていただくと狂気の幕が上がる前に後方へ引くべきだ」

 

「だが…」

 

「大尉殿」

 

アーデルハイト中尉の顔が変わる。それは少年然とした顔ではなく姉に似た顔で、でもどこか優しい表情で。

 

「生きることも戦いなのです。…娘さんを、戦場へ送らない為にも」

 

そんな顔をされては、反論できんな。

 

「分かった、考えておこう」

 

「あまり時間もないので決心はお早めに」

 

「参謀みたいなことを言うな」

 

「両方ともそのような教育しか受けておりませんので」

 

「…なるほど、確かにその通りだ」

 

まるで立場が逆転してしまったな、まぁ、彼らの言う通りだ。私には、私なりの戦い方があると彼らは言っているのだろう。

 

「ああ、昼食が来たようです、ご一緒しましょう」

 

「いや、構わんよ、家で妻が作ってくれてるのでね」

 

「そうですか…、残念です」

 

さて、どうやらウーガ大尉はお子さんができて錯乱していたようだな。

 

まぁ、親になることが心理上の変化を誘発すると言う学説には同意します。

 

まぁだがなんだ、これでともあれウーガ大尉は脱落。これでなんとか私も十二騎士に上がることができそうだ。

 

よかったですね、姉さん!

 

「(とことん、今世には運に恵まれていないが今日はなかなかツイている。先ほどの昼食代は丸め込んだウーガ大尉が建て替えてくれた、今度何か奢ろう)」

 

「姉さん、ウーガ大尉の事なんですけど…なんと言うか」

 

「どうした?」

 

「なんと言うか、惚気も多めでしたね…」

 

「ああ…」

 

私は少しぼんやりとしながら考える。そういえば確かに、私は前世では男だったがこれでも一応女だ、前世は男だったが。

ウーガ大尉のように誰かと結婚し、家庭を持つこともあるのだろうか。とは言ってもこんな血に塗れた手を取ってくれる人などいるのだろうか。

まぁ…そのどれもが戦争が終わってからだがな。

 

「どうしました?姉さん?さっきからぼーっとしていますが」

 

「ん?ああ、大丈夫だ」

 

だとしたら、私の目の前にいる弟だって誰かと結婚するかもしれない。さて、誰なんだろうな。参謀本部作戦課のアイリス中佐とか、いいんじゃないだろうか。っと、こんなことを思っている場合ではない

 

「さて、そんな話もいいが我々はこの後夜に参謀本部に招待されている、何か出るだろうと思うからな。是非とも期待しよう」

 

そういうと、私と弟はコーヒーの入ったグラスを手に持ち、乾杯の音頭を取る。

 

「では、これからの我々の平穏な未来を願って」

 

「「乾杯」」

 

こん、と響のないグラスらしい音がでる。

子供らしい、可愛い音が。

 

To Be continued…




お読みいただきありがとうございます。

弟ができたデグ様の心境を書くのが楽しいですね〜。
次回、彼らを襲うは何者か?
ではでは、また次回。

幕間ネタ

  • ターニャとアーデルハイトのイチャラブ
  • アーデルハイトとバートリー少尉
  • 総統閣下シリーズ
  • 連隊各中隊長ズの何か
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