幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どうもどうも焼け野原主任でございます。

さてさて、もう少しは"まだ"原作や漫画よりです。
ただ、今回時点でも少し展開が違います。



第十一話、連隊編成1

統一歴、一九二五年、帝都 参謀本部編成課 別棟

参謀本部戦務局編成課、第六〇一編成委員会。

 

同事務室にて。大量の願書に囲まれている二人の子供がいた。

一人はもうぐったりと机に突っ伏して目を回しており、もう一人は椅子に座ってただぼんやりと天井を眺めている。

 

どうして…、どうしてこうなった…?

今日の朝、いつも私より後に起きる弟が珍しく早く起きて朝食を作ってくれた時点で何かあると気づくべきだった。

事務室に来て、この願書の山に一瞬倒れそうになってしまった。一応何枚か処理したが大量の書類が壁のように聳り立つ物理的なプレッシャーとは如何ともしがたく、弟はダウン。私も数枚やった所で諦めそうになっている。

パソコンだといくらあっても物理的に実感しにくいからまだやれたかもしれないが今はそんな物はない。

 

どうも皆さん、他人の感性と自分の感性はどうにも合わない時があると痛感したターニャ・フォン・デグレチャフと…。

弟のアーデルハイト・フォン・デグレチャフです。

 

というか冷静にご時世を考えればこの募集要項でかなりの人が集まることは明白でした。

平和な現代の常識と、戦時下の昔の常識では違うと。言うことを。

 

「はは…はははは…はははははははは」

 

「姉さん…頭が痛いです」

 

「奇遇だな。私も今偶然頭が痛いんだ」

 

この紙を渡した時のレルゲン中佐のあの顔がわかった気がする

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「准将、子供の笑い声が…」

 

「まぁ気にするな(あれだけの願書の山だ、嬉しくて笑いが止まらんのだろう)」

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

現実逃避は時間の無駄だ、参謀本部の遠大な計画を任されたのは軍人として至上の喜びだ。

書類仕事は得意だった…だろう…。

 

うとうとして、自分はそのまま眠ってしまった。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「なんだこれは、XX部署の名簿だけ書式が違うじゃないか。」

 

「すみません!今すぐ修正を!」

 

部下に書類を渡すと私は自分の仕事に取り掛かった

 

「おまけに人数もあっていない、確認作業という言葉を覚えてもらうにはどうしたら良いものか……、?」

 

「少尉殿、僭越ながら私が調べた物があります。お使いください少尉殿」

 

「ああ、ありがとうセレブリャコーフ伍……長…?」

 

 

気がついた私はがばりと起き上がり、あることを思いつく。

 

そうだ、事務員を動員しよう。些事を見逃さない憲兵将校がダース単位で必要だ。

そういえば…、私とアーデルハイトにはそれぞれ副官が付いていたな。副官は秘書がわりに便利遣いできるのではないか?

流石に弟のを使うのは忍びないが仕方あるまい。

あと弟は書類にノックアウトされて延びてるし。

 

「副官!副官!」

 

『は、少佐殿、何かお呼びでしょうか』

 

ん?聞き覚えのある若い女性の声と、私は疑問に思った。

 

「直ちに出頭してくれ、アーデルハイトの副官も連れて来てくれると助かる」

 

『了解しました!』

 

そこから間も無く、扉をノックする音が聞こえる。

 

「入室いたします」

 

「どうぞ」

 

扉を開けた先には、ラインで見たことのある金髪碧眼の女性。ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ伍長…いや少尉がいた。

なるほど、将校課程を無事クリアしたか。

それともう一人。帝国の人間としては珍しく茶髪で赤い目の同じ少尉の階級章をつけた女性がいた。

 

「お久しぶりです少佐殿、ヴィクトーリヤ・イヴァーノヴナ・セレブリャコーフ少尉、ただいま着任しました」

 

「ああ、久しぶりだな、ヴィーシャ。そしてそこの少尉は…」

 

「自分はイルセナ・シュヴィルム・バートリー少尉です。ノルデン方面にてアーデルハイト大尉と共に戦いました」

 

ピシリと直立して敬礼をしているが…少し緊張しているな。

 

「ああ、ウチの弟がお世話になったな。ちなみにアーデルハイトならそっちで延びているぞ」

 

「は、大尉殿、起きてください」

 

バートリーがアーデルハイトの体をゆすって起こす。

 

「んん…、あれ?バートリー伍長?いや、でも今は少尉ですか。お久しぶりです」

 

「はい!お久しぶりです大尉殿!」

 

「来てくれたところ申し訳ないのですけれど…、少し眠いので姉に指示を仰いでくださぁ…いぃ…

 

寝たな、アイツ。

 

「…」

 

少し、私は考える仕草をする。あいつは部下にあんな素で話すやつだったか?

 

「どうされました少佐殿?」

 

「いや、アーデルハイトがあんなやって部下に素で話す人間だったかと思っているだけだ」

 

「ああ、確かに、普通部下に敬語で話すってなかなか無いですものね」

 

そりゃそうだ、上官たるもの、変に部下に下手に出て舐められては示しがつかない。

その為、普段から威厳ある態度を見せなければ成らないが…。

 

「まぁ、それだけアーデルハイトが心許してる存在だってことだろう」

 

「もしかしたら、二人とも戦争終わった後に結婚するかもしれないですね!」

 

結婚…、その言葉を聞いた時、自分の中で少しモヤっとした感覚ができた。嫉妬かこれは?

まぁ嫉妬していないかというと…少ししているのかも知れない。ここまで紆余曲折あったが孤児院でも戦場でも。だいたいの期間を一緒にいたからな…。それがなくなるとなったら、少し悲しいかな。

 

「それはさておき、二人をここに呼んで早速ですまないが衛兵司令に何人か憲兵をお借りしたいと伝えてくれ」

 

「は、何名ほど必要でしょう?」

 

「手の空いてる人だけで構わんが…、できればダースは借りたいと伝えてくれ。私はその間弟の介抱をしている」

 

「了解しました、では行ってまいります」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

弟を担ぎ、事務室のソファに寝かせ私もその隣に座る

 

「ふぅ…苦労したがこれで少しは楽になるだろう」

 

「すぅ…すぅ…」

 

いや…、なんというかいくらなんでも可愛すぎだろウチの弟。なんだこの寝顔、反則だろ!

ん?待てよ。そう言うことは私もかなりの美少女ということか?いやそれは無いか。

…、親や年上の姉や兄がが子供を抱っこしたくなる理由がなんとなくわかった気がする。あとショタコンの気持ち。

少しやってみたかったことをやるか…、あまりなれないことはやるものではないが…。

 

「よいしょっと」

 

自分もソファに座り、ぽすりと自分の膝に弟の頭を乗せる。そう、膝枕だ。

そういえば、今日は晴れた日だな。すっかりポカポカ陽気で、気を抜くと寝てしまいそうだ…。

 

っと、それもいいがこれからどうするか考えないと。ここまでの志願者の山だ、書類上でのミスも起きよう。

官僚的な事務手続きで全ての志願者を無にして再度募集するプランはどうだろうか…、いやそれは危険だ。

 

本来、そもそもここまで志願者が来ると思っていなかった。早急な戦力かの要求を質の兼ね合いから吟味せざるを得ない。というのが時間稼ぎの方便ではあったが…、現実はこの志願者の山だ。願書の山を前に無意味に時間を浪費してると見做されるかも知れない…。

それは危険だ!

むしろ現実的には一刻も早く部隊を編成し、1日でも早く鍛えることで頑強なヒューマンシールドを作る方が賢明だ。

 

であればやることは明白。大量の志願者を厳しく篩にかけ、盾の育成に注力する。それで良いんじゃないか?

悪くない、むしろ良いとも言える。

 

ただ、結局少しテンパった人間の思考など所詮こんな物であった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

帝国軍参謀本部外局の第七応接室。

 

そこでは、椅子に座った一人の憲兵将校と二人の魔導士官がいた。

女性の魔導士官が敬礼し話し始め…

女性士官でありながらヴィーシャとは違い、どちらかというとターニャに近い風格を持つアイシャ・シュベルツ中尉

 

「アイシャ・シュベルツ中尉、ただいま着任しました!」

 

顔に傷を負い、眼帯をした片目はとうに使えなくなっているだろう。歴戦の風格を持つクレイン・バルハルム中尉

 

「クレイン・バルハルム中尉、同じく着任いたしました」

 

「ご苦労、参謀本部六〇一連隊編成委員会委員長、グレゴリオ・フォン・ターナー大佐だ」

 

目の前にいる憲兵将校が話終わると、その将校の姿が少しジリっと歪んだように見えた。

その様子を二人は見逃すことなく、だが突然のことで少し戸惑い

 

「(試されている…?ん〜…、でもこれはどこかで…)」

 

「(これは…まさかと思うが…?)」

 

「「(光学術式?)」」

 

そんな二人の反応を他所に将校は話し始める。

 

「…諸君にはすでに本日の予定が通達されているだろうが急遽変更となった。諸君は直ちに第六航空戦闘団司令部に向かいたまえ」

 

「尚…、当然のことではあるが貴官らには本件においては機密保持の義務が課されている。機密保持に綻びがあった場合、即刻原隊へ処分付きで送り返すので注意したまえ」

 

「はっ!!!」

 

そして、一通り将校が話終わったあとアイシャとクレインが手を挙げ。

 

「質問、よろしいでしょうか」

 

「内容によるが答えよう」

 

「大佐殿…、大佐殿は本当に大佐ですか(・・・・・・・・・)?」

 

「ふむ…」

 

アイシャらがその疑問を述べると大佐の姿や応接室の壁がゆらりと歪み。

左に憲兵、右に二人の子供が現れ、気がついた時には大佐の姿はなかった。

 

「!?…!?」

 

「これは…」

 

二人が突然部屋の形が変わったことに驚きを示すも、憲兵や子供はいたって冷静に、手元の紙に記入をしている。

 

「ふむ…見抜くことはできました、と」

 

「だが、慌てるのはどうかと思うがね」

 

「まぁ、それぐらい良いじゃないですか、あとでどうせ訓練するので」

 

「それもそうか、さて二人とも」

 

幼女と少年が椅子から降り、二人の前へ歩く。

その姿は歴戦の将校の風格であり、二人の動揺など全く気にもしていなかった。

 

「改めて、一次試験合格おめでとう、アイシャ・シュベルツ中尉、クレイン・バルハルム中尉。私は、六〇一編成官ターニャ・フォン・デグレチャフ少佐だ」

 

「同編成官、アーデルハイト・フォン・デグレチャフ。二人とも、おめでとうございます」

 

二人は目の前で起きた事の処理が追いつかず、パンク寸前まで行ってしまう。

 

「…?ありがとう、ございます」

 

二人とも、そんな言葉しか出なかった。

 

「えーと、少佐殿、これは一体…」

 

「ああ、これか?これは一種の試験だ、君らはあれをどう見た?」

 

ど、どういう事だろうか…。あの光学術式の事かしら?

 

「戦場ではよく見る光学術式のデコイのように思えますが…」

 

「そうだ、君らはそれを見破っただろう。だから合格だ、これまでに十回以上これで落とされてるからな。貴官らは良くやった」

 

「は、身に余るお言葉、光栄であります」

 

「どうでしょうか?ここからまだ何組か続きますし、貴官らも見てみては」

 

普通に優しく聞いて、未来の部下からの心象アップを狙いましょう。

 

アーデルハイト…、恐ろしいやつ。

 

「は?」

 

え?どういう事だろうか、まさか君らがコレをみてしまったからにはバラされるわけにはいかないという事だろうか。

 

「お、お邪魔でなければいつまでも」

 

「よろしい、では次に行きましょう」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

その後、精鋭部隊の選抜が続き、そこで東部方面軍は壊滅的と言っても良いほどの結果を突きつけられていた。

編成官曰く、「無能、怠惰、傲慢、無策、低脳、注意力散漫、観察力皆無、最悪の給料泥棒と」言われ放題な挙句、結論が「東部方面軍魔導師に対する全般的な再教育が必要と望む」で、それに対しブチギレた東部方面軍参謀らが憤怒の表情露わにここに殴り込んできた。

が、結局の目の前で起きた騙され、失意の表情露わにトボトボと退室する士官の姿だった。

その一連の流れを見てまさかという表情をする東部方面軍参謀らと、いつも通りのゼートゥーア准将と「黒手袋」、デグレチャフ姉弟とガッチガチに緊張しているこの前の合格者ことアイシャやクレインもいる。

 

「口で申し上げられるより、ご覧になられた方がご賛同いただけるかと思いまして、どうでしょうか?」

 

そう聞くと、参謀らはぐぬぬと悔しがり、何も言い返せなくなる。

 

「ぐ…う、うぅ…」

 

その光景を見て少し笑いながらゼートゥーア准将が話し始め。

 

「なるほど、貴官が散々不合格を叩きつけるのだから気になって視察してみたが、納得だ」

 

そう言い終わると、ギロリと参謀らの方を睨む。

その視線から逃げるように参謀らは反省をする。

 

「しかし、中央軍の実戦経験者であれば約半数が突破できるというのに、同水準の東部軍ではほぼ全滅に近いというのがなんとも…」

 

「…失礼ながら経験というより技量の問題では?選抜の基準を双銀の水準でやるのはいささか不公平かと」

 

そう参謀が反論するがターニャはそれをなんだそんなことかと思い。

 

「光学術式で幻影を発生させているだけの単純なものです。戦場ではもっぱらデコイとして使われます」

 

そう言って、魔力の入った演算宝珠を取り出す。その宝珠は帝国軍では一般的に使われている型で、最もポピュラーなものである。

 

「採用したく無い理由を、おわかり頂けたかと思うのですが」

 

そう言い終わると、室内にしぃん…と静寂が走る。

意気消沈している東部軍参謀らを他所にゼートゥーアは姉弟に聞く。

 

「まぁそれで、東部方面軍の成果はどの様なものだね?」

 

「これまで二十九組中二十六組が幻影に騙され原隊復帰(不合格)となっています、中央軍は十組中五組が合格。それらを合わせても中隊分とあと少ししかありません、二個大隊…とまでは行きませんが少し多めに欲しいのが希望です」

 

「現在残っている東部・南方両方軍の六十五組に期待したいところですが…」

 

続きを待たずに黒手袋より結論が来る

 

「いや、この割合ではダメだろう、装甲部隊の編成もある」

 

「…要求水準を引き下げることはできるかね?」

 

「再訓練を施せば、使い物になるという基準設定が必要だと僕は思います」

 

「同じく、ですが編成に時間は掛かるでしょう」

 

「(東部方面軍は訓練で何をやっていたのだ!コレは少し締め上げが必要だな)」

 

ベテランを舞台になじませるのと新兵を馴染めさせるのでは全く持って勝手が違う。能力差がありすぎるために均質化ができないのだ。

つまり、ターニャやアーデルハイトが選抜した中隊を基幹とした混成連隊を形にするには膨大な時間がかかるということだ。

 

「具体的には?」

 

「一月ほど、コレが両名の希望です」

 

驚く参謀らの顔をよそに私らはこんなことを考えていた。

計算通り!1月の間軍大学の参謀旅行を二、三倍いや四倍以上キツくすれば脱落者続出だろう!

 

「!?」

 

たった1月だと!?新兵教育だけで二年かかるというのだ!無理だ!不可能だ!実現性が皆無だ!!

 

何度でも、何度でも選抜試験を行い!帝国の優秀な人的資源に私の盾になってもらおう!

そうだ、そしてそれでどんどん時間稼ぎをさせてもらう!

 

だが!あの二人の鬼のような形相、無能な兵を叩き直して使い物にしてご覧に見せようと言わんばかりの不敵さ!

これが双銀の風格と言うものか!

 

「ならこの際かまわん、多少手荒でも(・・・・・・)再教育してやれ」

 

「「はっ!!」」

 

彼らなら軍隊でいうとこの多少手荒の意味を理解しているだろう。それは死者を出さない程度にやれという意味だ。

嗚呼全く頼もしい、見てみろ、あの顔を。

 

姉のギロリと吊り目になり、今からでも敵兵を殲滅戦とする顔を!

弟のニタリとした目つきに、狂気的な薄ら笑いを張り付けた私でさえ怯えてしまいそうな笑顔を!

 

ふん、私も彼らに負けられんな…。

 

「よろしいこの記録、教導隊にも送っておけ、連中に南部・東部方面軍を再教育させてやる」

 

そういうと、ゼートゥーアはこちらに向き直り。

 

「方面軍については全く先が思いやられる、今度は戦訓の共有が課題だな」

 

「「「「は!」」」」

 

 

___To Be continued…

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。

今の所、幕間も書いているのですが本編との関係上もう少し後になりそうです。
そして言いたいことが一つ。ターニャとアーデルハイトのロリショタ可愛いウヘヘヘヘへ

えっちょデグ様と憲兵殿なんでここにいrちょっと待って連れてかないd(記録はここで途切れている)

アデル「さて、変態は放っておいて、次回、訓練内容になります。あと次々回あたりで幕間投稿するかもです」

デグ様「おい弟よ、さっさと戻るぞ」

アデル「はーい姉さん!で、あの時姉さん膝枕してくれてたんですね」

デグ様「そ…、それはいいだろう!///」

可愛い(尊死)

戦車の種類

  • 二号戦車のみ
  • III号戦車のみ
  • 二号戦車と短砲身IV号戦車の混合
  • 三号戦車と短砲身四号戦車の混合
  • 長砲身IV号戦車
  • ティーガー重戦車
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