幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どもども、焼け野原主任です。

最近幕間で書きたいネタがあるけど本編書くのが楽しくて進みませんとです。

さて今回で戦車のアンケートは締め切りとさせて頂きます。
投票してくださった方々。有難うございます。

ピンコロさん

コメント有難うございます!


第十三話、連隊編成3

統一歴一九二五年"演習後"。

 

第六〇一編成委員会事務室

 

どうも、最近成長期なのに身長が伸び悩んでいるターニャ・フォン・デグレチャフ少佐と。

同じく伸びないアーデルハイト・フォン・デグレチャフ大尉です。

 

私は今、アーデルハイトに膝枕をされています。

アーデルハイトの膝枕は、鍛えているのに柔らかくて、凄く寝心地がいいのです。

ちなみになぜ膝枕をされているかと言うと、アレ(十一話参照)以降アーデルハイトと私で交代交代で膝枕することにハマっているのです。

 

まぁそれはそれとして、連隊要員を厳しく選抜したせいで余計に周りとの体格差を感じてしまう。

その点、弟やヴィーシャなどは仲間と言うべきだな。

 

「なぁアーデルハイト、ちょっと立ってみてくれないか?」

 

「いいですよ」

 

アーデルハイトを立たせ、自分に近づけて身長を測る。

 

「えっ?ちょ姉さん?///」

 

生理学は専門外…、軍医に聞いてみよう。

 

「ちょっとアーデルハイト、ついてきてくれ」

 

「はい!」

 

いつも元気だな、弟は。

軍医の所へ向かっている途中、弟がある書類を見せてくる。

 

「姉さん姉さん」

 

「ん?どうした?」

 

姉さんと呼ばれることに喜びを感じる。自分を心の底からわかってくれる弟が一緒にいて、頼ってくれるのだから。

 

「これなんですけど…例の戦車の話です」

 

「ああ、ありがとう」

 

…は?新型重戦車試験運用の可能性だと?

 

「おいアーデルハイト。これは一体…」

 

「戦術課が言ってきました、多分生産元のヘンシェル社も一枚噛んでるかと」

 

重戦車だと?冗談じゃ無い、そんな木偶の坊なんて運用できるか!そもそも自動車化部隊はその展開力に定評がある!

重戦車なんて投入したら足手纏いじゃないか!これならまだIV号戦車の方がマシだ!

まぁいい、今は確定してないのだからそれは良い。さっさと軍医の所へ行かなければ。

 

 

ーーーーー医務室ーーーーー

 

医務室には女性士官が配属されている。

かなり豊満な体躯をしており、ウチのバートリーに負けないんじゃないかと言う容姿だ。

 

「あらお二人とも、どこかお加減が?」

 

「ああいやそう言うわけではなく…」

 

「先生に折いって相談がありまして…」

 

軍医殿はそれに何か気がついたのか先に入室していた伍長に席を外すように言った。

 

「何か話しにくい内容なのでしょう。私しかいないから遠慮はいらないわ。お二人共」

 

「これは…かたじけない(下士官への風聞を考えてくれたのか)」

 

「有難うございます(ん?なんか少し嫌な予感がしますね)」

 

「先生、私ら姉弟は他の同年代に比べて成長が遅れているのではないでしょうか?」

 

「少佐は十一歳、大尉は九歳でしたね。それはそれは…気になってしまいますわね」

 

私達の悩みに先生は笑顔で答えてくれる。

まるで母のようだ。

 

「お二人は孤児でしたから、他の同年代に比べ幼児期に取るべき栄養が足りなかったのでしょう。性徴が遅いのも仕方のないことだわ」

 

「やはり…そうですか」

 

その答えに納得する。確かに孤児院のご飯はあまり栄養のあるものとは思えなかった。

 

「それと、軍事訓練と言うのは子供を想定して作られていないから食生活や睡眠時間の乱れが体内のホルモンバランスを乱しているのかもしれないわね」

 

「屈強な部下達に囲まれていると…どうしても思うところはあります」

 

「はい、仕方ないことだとは思うのですけれどもね…」

 

ターニャやアーデルハイトがしゅんと落ち込む。

それを見て私は思う。

あらあらまぁまぁ確かに、考えてみれば少佐達は孤児だったから筋肉の塊みたいな男達に囲まれたり、女性士官がいたりしてそこに父性や母性を求めない方がおかしいわよね。異性の目も気になる年頃でしょうし、大変だわ〜!

 

私はそっと二人を我が子の様に抱き寄せる。

 

「大丈夫よ二人とも。女の子でも、男の子でも一度は通りうる道だから」

 

「は…はい?(ん?まさか何か勘違いされている?)」

 

「は…、はぁ…(わぁ…先生…、あたたかい…)」

 

「そうですね、軍務に差し障り無い程度で適切な睡眠時間と適切な食事を心がけてください、一応、ビタミン剤を出しておきますね」

 

自分はアーデルハイトと共にビタミン剤をもらい、医務室を退出する。

 

随分と親身になってくれたが…、どこか食い違っている気がしなくも無いな…。

しかし、女性で軍医とは珍しい。女性副官と同様に参謀本部…特にゼートゥーア准将あたりが配慮してくれたのだろうか。

女性である私が気兼ねなく相談できるように…ん?

 

ちょっと待て、女であればいつか通る道?女性である私?

 

そんな私の考えを遮る様にアーデルハイトが私に話しかけた。

 

「姉さん姉さん、大丈夫ですか?」

 

「ん?ああ、大丈夫だ」

 

…まぁ、いいか。おそらく肉体に精神が引っ張られていると言った所だろうが、私にそんなものは効かんぞ存在X。弟の為、私は姉たる全てを尽くす、家族の絆は壊させんぞ。

 

そんなこんなで編成課に戻り、休憩と称して風呂に入る。

だが、なぜだ?なぜお前がここにいるんだ。私と同じ金髪碧眼で、凛々しく釣り上がった私の目と違い優しく釣り上がった目に綺麗な唇。

そして、私より少し小さい体躯に細い腕、少し割れた腹筋。

 

そう、アーデルハイト・フォン・デグレチャフ。私の弟、

 

存在Xよ、個人の人格を汚染するのは構わんし私は汚染されん、だが私の性癖を壊そうとするのはやめてくれないか?

 

「なぁ、なんでお前は私と一緒に風呂に入っている?」

 

「ダメ…、ですか…?」ウルウル

 

はぁ…、そんな顔をされたら聞くしか無いじゃないか。

 

「わかったわかった、別に構わん。広いから私等ぐらいなら二人で入っても問題ないだろう」

 

にしても…いつの間に演習が終わったんだ?そしてこのロザリオは?

ロザリオは…これは中々に使い込まれた代物だ。世が世なら聖遺物として保管されていそうな代物だが…。

 

「なぁアーデルハイト。演習、何があったか?」

 

「え?覚えてないんですか姉さん」

 

そこから、私はことの顛末を聞いた。

厳しい訓練を行い、連隊の編成を遅らせようとしてヘルウィークやSEREなどをやった。

それと車両部隊はヘンシェル社に手伝ってもらい、ティーガーの操縦システムや騒音を模したシュミレーションを行い、厳しい車両訓練を行なった。

これを突破できる人間がいるのならそれは化物に違いないと。

 

そこで、保険としてあの存在Xによる精神汚染を受けたシューゲル(クソMAD)が管理するエレニウム工廠に向かい。

九五式を元に開発された九七式突撃起動演算宝珠、この呪いのアイテムを装備して無事な者はいるまいと。

 

そして、何やらアーデルハイトも策を練っていたようで、配属予定の戦車に演算宝珠の能力を持たせようとしたらしい。

曰く、

「魔導反応で戦車を浮かせれる様になれば空から砲撃、または燃料が切れても移動なんていう手段も取れるから」

らしい。

なんと言う変態珍兵器になる気しかしないが大丈夫だろうか

 

記憶が混濁してるのはここからだ。

 

クソ、やかましい、この体は低血圧で朝は弱いのだから叫ぶんじゃない。

いや…叫んでいるのは…、私か?

 

 

「本日をもって!貴様等は無価値な蛆虫を卒業する!本日から貴様等は帝国魔導士だ!戦友の絆に結ばれる貴様等のくたばるその時まで!」

 

「どこにいようと軍は貴様等の兄弟であり戦友だ!これより諸君は戦地へ向かう、ある者は二度と戻らない。だが肝に命じておけ」

 

「そもそも帝国軍人は死ぬためにある!つまり帝国は永遠であり、貴官らも永遠である!故に帝国は貴様等に永遠の奮戦を期待する!」

 

「国歌斉唱!!」

 

その言葉と共に、軍楽隊の演奏が始まる。

だが待て、なんだこの記憶は。

 

まさか…、あれか!演習中九五式を起動したせいで記憶が混濁し、精神汚染の影響で演習後半からの記憶が飛んでいたのだろう。

 

だめだ、まさか連隊を預かる指揮官が精神汚染などあろうものならキャリア以上にこれからの生活に悪影響を及ぼしかねない!

同じものを使う弟や同型後継機を使う部下には申し訳ないが、九五式の精神汚染は秘匿せねばならんだろう。

そう簡単に汚染されるまいとは思うが用心した方がいいだろう。

私は驚く人を尻目に超高速で自転車を漕ぎ、参謀本部へ着くと、ものすごい勢いで階段を駆け上がり事務室へ向かう。

 

「ちょっと姉さん待ってくださいぃ〜」

 

「ああ、すまん」

 

弟がついて来れなかったようで追いつくまで少し待っていると、後の扉からノックが聞こえる。

どうやらヴィーシャとバートリーが通信を持ってきたようだ。

 

「少佐殿、参謀本部よりです」

 

「ご苦労、返信は急ぎか?」

 

「はい、公用使がお待ちです」

 

「何、では急ぎだな」

 

私とアーデルハイトはヴィーシャより手渡された通信に目を通す。

だが、そこに書かれていた内容はちょっと我々にとっては早すぎるものだった。

 

「これは…、いくらなんでも早すぎる…!」

 

「戦車が…!戦車が…!!」

 

「お二人共、どうなされましたか?」

 

これは早く聞かねばなるまい。

 

「両少尉!至急参謀本部を呼び出してください!」

 

「「は!はい!」」

 

「その必要はない」

 

ガチャリと音を立てて後の扉が開く、そこには少し…いや結構やつれたレルゲン中佐がいた。

話によると、レルゲン中佐殿は我々の連隊長就任に対し最後まで反対してくれていたらしい。

子供を前線に送ることを忌避する、良識ある善良な人間だ。同じ心情を持つ人間として是非とも仲良くなりたいがなぜかうまく行かない。

敬礼をしながらそう思う。

 

「中佐自らいらっしゃってくださりましたか」

 

「お疲れ様です」

 

「ああ、昇進おめでとう、ターニャ中佐、アーデルハイト少佐」

 

参謀本部より届いたのは私とアーデルハイトの昇進の辞令と戦車の受領、そしてその内訳の書類だった。

受領した戦車に対する文句もそうだが何より、その昇進の辞令が意味するところは連隊は実戦に耐えねばならないと言うところだ。

 

「私が公用使として来た、聞きたい事もあるだろう」

 

連隊の錬成不足や組織形成の必要性を説いたところで時間は稼げるだろうか。

 

いや、難しいと思いますよ姉さん。

 

「ご配慮有難うございます」

 

「両少尉共、下がってください」

 

「「は!」」

 

パタムと、ドアが閉まる音と同時に私とアーデルハイトが話し始める。

 

「さて中佐、これはどう言うことでしょうか?」

 

そして昇進と同時に南東駐屯地への移動命令…。本来であれば駐屯地への展開は連隊の初期編成と戦車の訓練を終わらせてからのはずだった、それで半年は稼げると踏んでいたが…!

 

「魔導士四十八名と十二名、戦車兵は百七十名になり編成は完了したと見たが」

 

「ですが中佐殿、我々は編成は完了しましたが部隊として完成されておりません」

 

「…貴官等が行った選抜訓練だがな」

 

「「は?」」

 

ちょっとまてなんか嫌な予感がするぞ…?

 

「貴官等の報告してきた訓練内容を見て、参謀本部はおろか作戦部や居合わせた前線将校も凍りついたのだ」

 

「それと、兵器開発課の連中もいくら生産元の協力があったとは言えなぜ新型重戦車のシステムをここまで再現できるんだと言っていたぞ」

 

「あの過酷な訓練をこなせる連隊が…、果たして今の帝国にどれぐらい居るだろうか?」

 

まさか…、やりすぎた(ました)!?

 

「上は貴官等を高く評価している。明日にでも前線に赴けると…」

 

その言葉を遮るように私は答える。

 

「ご冗談を!現状、連携訓練、応用教習課程、指揮官基本合意過程それどころか戦車部隊との協力戦術もまだおぼつかないのが実態であります」

 

「両名共…帝国には余裕がない(北方ノルデンや西方ラインが未だ予断を許さない状況であれば弟は未知数だが貴官のような危険分子に出番など与えられるか!!)」

 

レルゲン中佐が顔を顰めておられる…。年端もいかぬ私たちの身を案じてかまたは罪悪感か。良心と職務の板挟みには同情するが…。

 

ん?ちょっと待ってください、なぜ?

 

「なぜ、南東方面なのでしょうか?」

 

アーデルハイトがそんなことを聞く、確かにそれも疑問だ。

 

「参謀本部の判断だ、軍規により答えられん。貴官は別命あるまでそこで連隊の育成に注力せよとの事だ」

 

「は」

 

ふーんなるほど、南東方面にはルーシー、イルドア、ダキアが位置しますが…。

ルーシー、イルドア両国とは友好関係がありますし…、となると。

 

ダキアか?あの小国が帝国に戦争をふっかけるとは思えんのだが…。

 

うーん、でも可能性は高いですね。少なくとも我々を送る必要があると言うことは確かなので…。だとすると消去法でダキアかと。

 

なるほどな…。

 

「戦力化と言う面であれば、錬成の完了した部隊をお使いください」

 

「貴官等の連隊が適任とのことだ」

 

もはや中央にベテランがいないと言うのか。末期症状の露呈だな。

 

「レルゲン中佐殿、職権に伴う義務として申し上げますが小官等は部隊の展開があまりにも性急であり、有益な戦力発揮の機会を逃しかねません」

 

「貴官等の警告は記録しておく、だが、決定は覆らないものと考えて欲しい」

 

つまり揺るがせようのない決定事項だと、言うことか。

 

「了解…いたしました…」

 

だが、本来であればこの程度命令書で済むはず、レルゲン中佐がわざわざ出向いて来たと言うことは何かあると見たが。

 

「__ああそうだ、それとこれは軍務ではなく、人生の先輩としての助言だが」

 

「せっかく南東方面に行くのだ、ダキア語でも勉強して見たらどうだね?」

 

ダキア…_!やはり情報部が何かダキアで動きがあることを掴んだのか。

だとしても、弟の察知能力は大したものだ。姉として鼻が高い…が、いつか自分より優秀になってしまうのではないか。

そんなことを思い、少し落ち込む

だがレルゲン中佐はやはり常識人だ、軍規に触れてまで子供を前線に送ることへの罪滅ぼしとして伝えたのだろうか。

その心遣いに、自然と頬が緩んで笑顔になる。

 

やった、あってた!僕の推察が正解だったとは、意外だった!姉さん褒めてくれるかな…?

そんなことで、僕は自然と頬が緩んでしまう。

 

「(これでわかる。戦争に行けと暗に告げられ、これでも笑顔であったな彼らは…!)」

 

「「ご助言ありがとうございます!レルゲン中佐(殿)!」」

 

満面の笑みで、彼らはそう言った。

ああ姉だけでなく弟もか!彼ならまだまともかと思っていたがもう手遅れだったのか!

やはり彼女…、いや彼らは狂っている!

 

「よろしい…。では改めて、昇進おめでとうターニャ・フォン・デグレチャフ中佐。アーデルハイト・フォン・デグレチャフ少佐」

 

 

To Be continued…




お読みいただきありがとうございます。

さて、どうやらレルゲン中佐の胃痛のタネがもう一つ増えちゃいましたね?

今回、一番票が多かったのがティーガー重戦車ですね。
改めて、投票してくださった方々ありがとうございます!

では、また次回

戦車の種類

  • 二号戦車のみ
  • III号戦車のみ
  • 二号戦車と短砲身IV号戦車の混合
  • 三号戦車と短砲身四号戦車の混合
  • 長砲身IV号戦車
  • ティーガー重戦車
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