今回はダキア戦の続きです。
ティーガーが暴れ回ります。
アルバート・シュペーア軍需省雑務員さん。
ピンコロさん。
コメントありがとうございます!
では、どうぞ。
車両群を近くの森林に隠し、直掩中隊が偵察に出る。
だが、本当に恐ろしい。ダキア軍本当にこんなものなのか!
ご丁寧に狙いやすい赤色の軍服に戦列!そして菱形戦車にわざわざ大きな旗を乗っけてまでやってくるとは!
これは狙い撃ってくれと言っているようなものではないか!
「ダキア軍集団、あと二〇で目標地点に着きます」
「さて、では第一混成装甲大隊!攻撃せよ!魔導師は味方に誤射するな!奴らに戦争の仕方を教えてやれ!」
「「「「「「「「「「「ヤヴォール!!」」」」」」」」」」
その号令と共にギュララララララと地を揺るがす様な鋼鉄の虎たちの行進が始まり、哀れなダキア軍を殲滅する。
「直掩中隊!味方の進軍を援護しろ!」
「は!」
術式で、火砲で、擲弾で。ありとあらゆる手を使って破砕されるダキア軍。
「な!なんだァァァァ!」
「せ、戦車だ!戦車に隠れろ!」
ダキア兵が戦車に隠れるが、そんなのを物ともせず戦車を破壊するティーガー。
その光景を見て僕はやはり信頼性に難はあるが重戦車は強いと再確認する。
「やはり、戦車の火力には惚れ惚れするな〜」
「それは良かったですね。少佐殿」
少佐殿が重戦車の活躍にニコニコしている、やっぱり、少佐も男の子なのだ。
てことは…、胸もデカい方がいいんでしょうか?
そんなことを私アイシャ・シュベルツは思っておりました。
さて、そんなことはいいとして。戦いの勝ち方は単純明快、頭を刈り取って仕舞えばいい。
指揮官を刈り取ればあとは掃討戦。敵軍を文字通り木端微塵に吹き飛ばしてお終いだ。
「さて直掩中隊!あとは戦車に任せて私に続け。敵司令部をいじってやる」
「「「「了解!」」」」
さて、もうただ単なる虐殺劇になっているが当たり前だろう。
国家の基盤も整っていない小国が近代国家に挑むのだから、苦戦する方がおかしい。
だとしてもダキアレベルなのはそうそう無いと思うけど。
直掩中隊のみで敵司令部を破壊し、各隊と連絡を取る。
「中隊各位、状況知らせ」
「第一装甲中隊、問題ありません」
「第二装甲中隊、同じく問題ありません」
「重戦車中隊、問題ありません。砲弾よりも機銃の弾がなくなりそうです」
「おかしいな、こうも簡単だとは。我々は攻撃されている筈なのではないか?」
そう僕が訝しむと、隣にいたアイシャ中尉が答えた。
「やつら、全くもって不思議です。殴っても殴り返されないと勘違いしていたのでしょうか?」
「困った連中だ…、所で、あの陣形はなんだ?」
なんかダキア兵共が四角形に寄り集まっているが…。
「パニック…、でしょうか?」
パニック…、確かに戦場で孤立することは恐怖でしょうが…。
「あれ…もしかして方陣では?」
「は?方陣だと?」
「そんな馬鹿な…、騎兵の時代じゃありませんよ?」
一斉にそんな馬鹿なと言う意見が出る。
いくら何でも時代錯誤すぎる。僕もそんなことは無いと思いますが…。
「なにか列強が新しいドクトリンや戦術をダキアに流したのかもしれない。一撃与えて様子を…」
「あ!大隊長殿、アルバート中尉の中隊があそこに!」
「ん?」
其処には、パンツァーカイルの陣形を取り、方陣に突っ込む重戦車中隊の姿があった。
「重戦車中隊!突撃ぃ!!」
轟音を立てながら泥道を進み、方陣に突っ込んだ重戦車中隊。
その勢いで泥濘に突っ込み、中尉のティーガーは動けなくなってしまった。
あーあー、言わんこっちゃない。これは後で説教ですな。
「な!何があった!」
「泥濘に嵌りました!動けません!」
「脱出!脱出!」
は?おい待てあのバカ!なぜ戦車から出ようとする!
「おいアイシャ、中隊の指揮を任せる!対地攻撃を継続せよ!」
「は!」
あのバカ!戦車が多数突っ込んだとはいえ敵歩兵はまだ生きているんだぞ!
僕はそう考えつつ、エルンスト中尉の乗るティーガー〇一五号車に乗り込んだ。
「しょ…少佐殿!」
「ごちゃごちゃ言うな!全員戦車の中に戻れ!」
「ですが!」
「戻れ!後ついでに乗せろ!」
「は!」
中尉のティーガーに乗り込み、車長席に座る。
もちろん、中尉の膝の上に載ってだ。
「伍長!ギアをリアの1速に入れて履帯を片方だけ回せ。その後合図をしたら全速力で後退」
「は!」
ギャリギャリと、指示通りに動かし、少し地面が硬い所へ出る。
「今だ、後退!」
「は!」
ギュルルルルとティ―ガーのエンジンが唸りをあげ、泥濘から脱出する。
よしよし、上手くいった。
「中尉!今後一切周囲を敵兵に囲まれた状況で無理に脱出しようとするな!下手したら戦車の中の方が安全な時もある!」
「は!肝に銘じます!」
「ちなみに中尉、先ほどはなぜ戦車から出ようとした?」
「は、第二十一野戦装甲車両戦闘教範通りに戦車が致命的損害、ないし泥濘に嵌り行動不能に陥った場合。速やかに車両から脱出、後方に戻り戦車回収車を待てとありましたのでそのように動きました」
ん?あーなるほど…、確かに編成するにあたって戦車に関する教範に一通り目を通したが…。
確かに、車両が損壊や泥濘に嵌ったなど行動不能になったら即座に脱出せよとはあったが…。
「待て待て、あの何も対戦車能力も持たない歩兵だぞ!?」
「一応言っておこう、あんな!対戦車グレネード所か火炎瓶すら所持していない上にこちらの装甲を貫通できる火砲すら持っていないあのただの歩兵だけの集団が!」
「こちらの重戦車を破壊できると考えているのかね!?」
例えばこれがフランソワやレガドニアとの戦いだったら正しい行動だっただろう。
あの手の連中ですら対戦車グレネードを持った対戦車兵は居たし有力な
特にレガドニア相手では峻厳な地形を利用して、思いも寄らない所から戦車が襲われ撃破されるのが続出していたからな…。
だが確かにこれを見ると何と無くゼートゥーア准将が教導を兼ねて参謀本部直轄部隊を作ろうとする理由がわかった気がする。
おそらく、実戦に乏しい南方や東方方面軍にこの二〇三連隊の戦訓を反映する為にと言ったところか。
であれば、我々は其の任を忠実にこなしていることになる。
そうすれば、閣下の推薦で参謀本部の訓練担当官として念願の後方勤務だ!
「少佐殿、これから如何いたしますか?」
「もちろん決まっているだろう。殲滅だ、いくらなんでも戦力がこれだけという訳ではあるまい」
そうだ、いくらダキアでも多方面に軍は配置している。
「我々はここから敵部隊の側面を食い破り、味方の攻撃を支援する」
「は?」
「何を困惑している、行くぞ」
「で…ですが…」
「さっきの有様を見ただろう、その程度の連中だ、戦車大隊に航空魔導士がついている我々なら突破も容易い」
「は、わかりました」
さて、ここからが本番。多少の被害も覚悟する必要があろうがここから北に向かって一気にダキアの先鋒を叩く。
「行くぞ!我々の勇姿をダキアの連中に見せてやろうじゃないか!」
「「「「「「「「「ヤヴォール!!!!」」」」」」」」」
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それから、我々は北に向かって進軍しダキア軍の先鋒部隊を食い破り続けた。
途中何人か怪我人が出たものの、基本装甲車の中で戦ったり戦車を主体にした電撃戦ドクトリンを使った為に被害はその程度で抑えられた。
他にも進軍に同行する戦車が数両あったものの、菱形程度でティーガーを撃破できる筈もなく、こちらの戦車の被害は四号の砲身が破損し、ティーガーの装甲板が削れた程度であった。
「さて、我々の目標は達成した。諸君、帰ろうか」
「「「「「「はっ!」」」」」」」
少佐殿、全くもって頼もしい。
突然、突飛な戦術を考案したかと思えばそれを成功させてしまう。
戦車戦に然り、航空魔導士に然り、それが現実のもので無いような感覚すら覚える。
ああ、そうだった、彼は銀翼突撃章、銀狼、アーデルハイト・フォン・デグレチャフ。
姉共々、帝国の光だ。
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ランシルヴェニア州帝国軍南方駐屯地
結局、我々は他にも敵部隊を叩いていた為に結局戻るのは夜になってしまいました。
と、そこには既に任務を終わらせ待機している姉さんの姿がありました。
「ただいま、姉さん」
「おかえり、アーデルハイト」
もちろん自分らの部屋の為、僕ら二人しかいない。
いつもの厳しい雰囲気の姉さんとは違い、優しい、姉相応の声色をしている。
「ダキア軍はどうだった?」
「いや〜、本当に軍かと思うレベルの酷さでした。それも、航空魔道大隊が敵首都に簡単に辿り着けるほどに」
「ああ、全くだ、でもお前もあんな稼働率の怪しい重戦車なんて代物を初戦でああもよく扱えたものだ」
「ありがとうございます」
ニカリと、私の弟が笑む。ああ可愛い。
「さて、まぁこっちにきてくれ弟よ」
「はい?なんでしょう」
「よっ、と」
ぽすり、と自分の膝の上にアーデルハイトを乗せる。
なんというか、これが毎日の癒しになっている気がするのは気のせいだろうか。
すんすんと、目の前にきた弟の頭の匂いを嗅ぐ。
自分で言うのも気持ちの悪いものだが、アーデルハイトの髪はいつも、風呂にすら満足に入れない環境下であるのにお日様のいい匂いがする。
「ね、姉さん…//?」
「綺麗だな…、アーデルハイト」
不意に、弟の耳元でそんな事を呟く。
男の私が言うのもアレだが、本当に弟は綺麗なのだ。戦場で舞うヴァルキュリアの様に。
そんな事を思っていると、ドクン。と胸の奥で何かが蠢く。
まるで、存在しないはず筈なのにまるで本当にあったかの様に鮮明に。
弟が、蹂躙され、犯され、殺される姿を。
そんな、あり得て欲しくない記憶がまるでこれから起きる予知夢の如く鮮明に。
泣いてしまいそうだった、失いたくなかった。
目の前の家族を失うのが怖くて。
「姉さん…///?」
いつの間にか、私はアーデルハイトの事を抱きしめていた。
何故かはわからない。いや、解るであろうが解らない。
「いや、ありがとう。もう寝ようか」
「はい!」
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場所は変わり、帝国軍参謀本部晩餐室。
そこでは、帝国の二羽鴉がレガドニアとの決着を着けようと着々と準備を進めていた。
「確かに帝国にとって二つの戦線を抱え込むことは望ましくない。その為、先に脆い協商連合を叩いてしまおうというわけだなルーデルドルフ」
「要点はダキアと同様、船舶による上陸作戦で敵の脆弱部を突くのだ」
そう言うと、ノルデン半島に見立てた食器を扱い、他の沿岸部から侵攻するのを示す。
「こんな具合にだ」
「ふむ、ノルデンの補給を万全にしろ、と言うことか?」
「では、攻撃を行うならオースフィヨルドを念頭に置いてほしい」
「オースフィヨルド?あそこは防備が硬すぎるぞ。狭い湾内に沿岸砲台だ」
「オース市は鉄道の要衝だ、ここを制圧すれば協商連合の鉄道網は機能不全に陥り、こちらはその鉄道を使って兵站の維持が可能だ」
そういうと、ルーデルドルフは納得した様子で
「理解した、えげつない事を考える物だが難しいだろう」
「何か必要なものがあれば言ってくれ」
「ああ、では貴様の虎の子を貸して欲しい」
「第二〇三混成魔導装甲連隊のことかね?」
「ああそうだ、もう一度、ダキアでやった事をやって貰う」
「取り扱いの難しい連隊だが、構わないかね?」
「かまわん、それに連隊長と連隊副長は確かノルデンでの戦闘経験があったはずだ」
「結構、すぐの手配しよう」
「では、ささやかながら勝利を願って」
「ならば、参謀食堂の食事が美味しくなる事を願って」
そう言って乾杯した後、少しの沈黙が訪れ…。
「…戦争が終わる方が早そうだな。それは」
「確かに」
To Be continued…
お読みいただきありがとうございます。
なんか話を切る単位が漫画に近くなってきている気がする…。
さて、次回はノルデン編です!
幕間ネタ
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ターニャとアーデルハイトのイチャラブ
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アーデルハイトとバートリー少尉
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総統閣下シリーズ
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連隊各中隊長ズの何か