今回はちょっと違います。
ピンコロさん
シーザー・ドッグさん
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忠犬友の会さん
トリアーエズBRT2さん
誤字報告ありがとうございます!
第十六話、ノルデン戦争1
統一歴一九二五年九月、領土大奪還の大義名分の元総動員をかけたダキア大公国軍。
三個軍集団を持って帝国領への進軍を開始したかと思えば、たったの一個魔導装甲連隊によって先鋒部隊は全滅し、そこで当該連隊は装甲大隊と航空魔導大隊とで別れ、装甲大隊は他の軍団を殲滅し、航空魔導大隊は首都の軍需工場を破壊した。
まさに、蹂躙であった。
「ダキア大公国軍先鋒集団は完全に壊滅、分離した装甲大隊は他の軍集団を手当たり次第に殲滅し、魔導大隊は敵首都への攻撃を果たした」
「まさに赫赫たる戦果といえる」
「聞けば、かの連隊に対ダキアを匂わせたのはレルゲン中佐、君だと言うではないか」
「恐れ入ります」
「現在も装甲大隊のおかげで制圧戦は順調に推移している。首都も早晩陥落する見込みだ」
「私としてはこの英雄的活躍をした二〇三に凱旋パレードで士気高揚を計ろうとでも思ったのだが」
その後ろ、ドアを開けようとノブに手をかけた時、私、ターニャ・フォン・デグレチャフは聞いてしまった。
んな!辞令の挨拶にと思って来てみたが、こんなことになっていようとは。
パレードなんて起きてしまったら延々と最前線勤務になってしまう!
「貴官の判断で立ち消えになったそうじゃないか、レルゲン中佐」
「今はパレードなどしている状況ではありません」
お?
「(あんな戦争狂を英雄にするなど、それこそ亡国だ)」
上官に逆らってまで…!ありがとうレルゲン中佐!
「(敵の前線を連隊単独で倒し、挙句首都攻撃に他の軍団を手当たり次第に殲滅だと?聞いたこともない、確かに英雄であろうがその指揮官とは一体そいつはどんな顔をして…)」
満面の笑みをした幼女、そんな顔だった。
「本日付で第二〇三混成装甲魔導連隊は中央に戻りますので、挨拶にでもと思ったのですが」
「聞いてる通りだデグレチャフ中佐、私も追って戻る、報告はその時に受けるつもりだったが…」
「夜間都市空襲とでも言うべきか?航空魔導士らしい見事な行動力だった」
「だが、あまり無茶はするな、目立つと色々と面倒も多い」
「お気遣い感謝します。レルゲン中佐」
そう言い終わると、レルゲン中佐は少し周囲を見る仕草をした。
「おや?たった一個装甲大隊で軍集団を殲滅した弟の姿が見当たらないが…」
「ああ、彼なら今席を外しております。なんだか会食があるとかどうとかで」
「なるほど」
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統一歴一九二五年、トレンチーン。
そこの風情あるレストランでは、ある一人の帝国少年将校と帝国の貴族や大企業の大幹部クラスのお歴々が居た。
「そういえば銀狼殿。今回は姉上はご一緒ではないのかね?」
そう問いかけた風格あるカイゼル髭を蓄えた彼はアルベルト・フォン・トラバーン子爵、帝国の外交において発言権を持つ人物であり、強烈な双銀のファンである。
「今、姉上は兵たちの労いの為駐屯地の方へ赴いております。我ながら、いい姉を持ちました」
「フォッフォッフォ、それはそれは、姉思いの良い弟ですなぁ」
立派に顎髭を蓄えた彼はアルグス・フィードリヒ、ヘンシェル社の幹部で、二〇三連隊の編成に尽力してくださった方だ。
「それもまた一興、それにアーデルハイト君。わざわざ我々から招いたのだ、あまり気を使わなくてもいいぞ」
彼は秋津洲皇国の外交官、伊集院紀明氏。帝国と皇国の親善の為に来た秋津洲政府の官僚で、皇国のやんごとなき方々の親戚とも聞く。
「そうよ、貴方の姉上がいないのは少し寂しいけれど貴方が来てくださったのですから」
優しい笑顔を浮かべる彼女は帝国の肝入りである銃砲製造会社、クルップ社の重鎮アリア・リッペントロップ。姉さんや僕らが数枚噛んでいる"ある計画"の第一人者である。
「さて、本題だが秋津島皇国との軍事同盟を結びたいと。そう聞いている」
「はい、そうであります」
ちなみにこれは参謀本部と政府関係者、後姉さんと僕ぐらいしか知らない。ある意味後ろ暗い計画だ。
「来るべきルーシー連邦との戦争のため、ルーシー連邦が宣戦、ないしこちらから宣戦した場合に同時期にそちらも宣戦し、ルーシー連邦に対して二正面作戦を強いる。と言うことかね?」
「はい、ですがそれは今の所
「イルドアと秋津洲、帝国の同盟を組み、そこにルーシーを入れると?」
「そう言うことです、それであれば、双方共に血を流す必要がなくなるので」
「なるほど、君は外交分析も得意なようだ」
「恐れ入ります」
「では、その様に大使や外務省の連中に伝えておこう」
「それでですが。あの車両、完成しそうですか?」
「それなら滞りなく進行してるわ、新型の高機動中戦車、コードネーム"パンター"のことでしょう?」
「ああ、ダイムラーベンツも協力してくれているよ。設計案がぶつかった時はどうなるかと思ったが結果的にこうやって進行しているからよかったよかった」
「それで、その車両を秋津洲皇国に技術供与すると」
「そう言うことです」
そう、これらの外交計画と新型車両の計画はほぼセットで進行している。
秋津洲皇国は海軍だけで言えば世界最高峰の戦力や技術力を持っている上、魔導士も帝国とは違った驚異的な変態性を伴った独自の進化を遂げている。だが、肝心の陸上戦力が心許なく、新しく獲得した大陸の領土にて起きたルーシーとの衝突、ノモンハン事件においてその問題が表面化してしまった。
結局のところ押し返すことは出来たものの、圧倒的なまでに陸上戦力、その中でも装甲戦力の脆弱性がモロに影響してしまった。
そのため、急遽皇国陸軍はチハなど歩兵支援目的ではなく対戦車戦闘を念頭に置いた戦車の開発をすることになった。
一時は海軍の造船技術を流用して作ろうともされたが陸軍と海軍の不仲により立ち消え、結局現行の戦車を拡張して製造することになる。
話によるとすでに新型の47mm砲を搭載したチハや、その装甲強化型であるチヘ、さらには火力増強型のチヌも製造、量産されているという。チヌは帝国の長砲身四号戦車と比較しても勝るとも劣らじな性能をしている。
うーん…、この辺の行動力は凄まじいというかなんと言うか…。
と言っても、彼の国は連合王国と共謀し、植民地にした東南アジアや大陸に眠る各種鉄鋼資源にゴム資源を各国に売り捌き、それで手に入れた外貨で外国のライセンスを買いそれをまた売り捌く。
だからこそ、潤沢な資金の下ここまで開発が進められるのだろう。
だが、これからの戦車の恐竜的進化を見越してかチヘやチヌよりさらに強力な戦車を皇国陸軍上層部は欲した。
…が、現状皇国での陸上車両の技術レベルの問題からチヌ以上の戦車は設計こそされているものの、現実的には難しいとされている。
そのため、帝国の新型中戦車を購入し、技術供与をしてもらう手筈なのだ。
すでに皇国名義で一両ティーガー重戦車の発注がかかっており、現在輸送の段取りが取られている。
そして、この同盟にはこちらにとっても利点がある。
帝国はクロムなど鉱産資源は豊富だが、ゴムなど石油製品を作るための油田が不足している。
この同盟により、皇国が我々に友達価格で石油製品を売ってくれると言うのだ。
また、こちらも不足している海軍戦力の増強が確約されているため、美味しい話である。
それと、後もう一つの利点。ある意味、どんな兵器よりも強いたった一つの手段が使える。
「にしても、軍部や外務省がよく許可を出してくださりましたな。アーデルハイト殿」
「いえいえ、この能力に合わず名だけは知れておりますので」
「謙遜を、新型重戦車をあそこまで活用して能力がないとは言えませんよ」
「フォッフォッフォ、やはりデグレチャフ姉弟は似た物同士だな」
似た物同士…、そう言われるとなんだか嬉しく感じるし、当たり前だと思う。
姉さんの弟だから、姉さんに失望されるようなことはしたくない。
「さて、この話の続きはまた今度にするとして、今はこの料理に舌鼓を打とうではありませんか」
「そうですな」
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そのころ一方ターニャさん。
最善を尽くす他ない。そう思って首都への浸透攻撃をしたはずだった。
最初の目論見通り連隊は帝都に帰還、その有用性が再確認されたことは間違いだろうが…。
だ〜が早々に北方ノルデン行きは聞いていない。しかも連隊に"遊撃"という枕詞までついてしまった。
姉さんどうしましょう…?
とりあえずあそこに行くぞ!
「レルゲン中佐!」
「おや、デグレチャフ達じゃないか。来て早々、ダース単位の上申書とは」
「連隊をより有効的に運用する為ならば休養と連携訓練が必要不可欠です!」
「それに、この連隊は世界でも類を見ない戦車と魔導士の混在した連隊です!せめて四ヶ月はいただきたい!」
我々は鬼気迫る勢いでレルゲン中佐に対し提案…というかもう少し後方に居させろと懇願する。
「…それを決めるのは私ではない」
「それは…理解しておりますが…。レルゲン中佐ならお察しいただけると信じています」
年端も行かない子供を戦場へ送るなど良心が耐えられんのだろう!我慢するなレルゲン中佐!
我慢だ!あそこまでやっておいてまたさらに部隊の強化を図る戦争狂どもめ!貴様など戦場に出したくはないが参謀本部の決定は覆らん!
____待てよ、もしや連隊の将兵を気遣っての発言なのだろうか、であれば軍大学での兵を慈しむという評価と一致するが…。
「私としても、貴官の言う通り、連隊を一度後方に退くことは悪いことではないと思う。…、しかし、貴官等は最前線を望んでいるものだと思ったが?」
レルゲン中佐殿、わかってくださったか〜!
「はい!いいえ!いいえ中佐!人的資源の有効活用の為には後方に下がることも必要だと思います!」
私がそういうと、レルゲン中佐は椅子からガタリと立ち上がり。
「だが、ノルデンを片付けなければならない、レガドニア協商連合を黙らせるのが最優先だ。貴官等なら、その重要性が理解できると思ったが?」
「…、はい」
「…了解しました」
「訓練か…、そういえば、ゼートゥーア閣下いわく、ダキアで実弾演習ができてよかったそうじゃ無いか」
ピシリと、私たちの中に亀裂が走る。
もしや、あれが不味かったか…。
どうしてこうなったんだ!?いや、逆に考えればそれほど帝国の戦力が痩せ細っていると言うのか。
あはは〜…、これは…、不味いですね…。
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帝都ベルンの駐屯地内、デグレチャフ姉弟の部屋。
「姉さん、あの外交計画うまくいきそうですよ」
「それは良かった。全く、姉に似て…と言うより姉より優秀とはな」
そう言って私はアーデルハイトの頭を撫でる。
小動物の様な愛らしさにふわふわした髪、ああ全く弟とはこんなに可愛いものか。
「でも、いつだって僕は姉さんのおかげでここまで歩むことができたのですから。もう、僕と姉さんは一心同体、切っても切り離せませんよ♡」
「ああ、ありがとう」
…なんというか、弟に対してメンヘラ的感情を抱いているきらいがあるな私は。
まぁ、なんだ。これから我々はノルデンへ向かう、ダキアなどとは違う、本物の戦場へ。
純粋培養のエリートこそ、こういった実戦経験を積まねばならないのだ。
そして、最近ようやっとわかった事がある。
ただ戦で勝利を重ねるだけでは戦争に勝利できないと言うことだ。
我々の場合、昔から戦でしか外交の仕方をしようと思っていなかった、否、それしか知らなかったのだ。同盟を結んだイルドアの連中は我々より国力が低いし、不可侵を結んだルーシーも昔の帝政時代の名残が強かったから結べた。
今回の秋津洲皇国…、前世で言う大日本帝国との同盟関係、国力差は僅差で互いに特色がある。
今回は互いに足りない所を補い合う様な内容だった為に結ぶ事ができたし、皇国の航空機パイロットと帝国の航空機パイロットの技能共有、また皇国の魔導師と帝国の魔導師の演習。
なんか訳わからん魔術を使う忍殺じみた奴とか猿叫叫んで魔導刃振り回したり果ては海上をスケートの如く滑走する武装した魔導師とか出てこないよな。
なんだかそう考えると先が思いやられる…。
To Be continued…
お読みいただきありがとうございます。
いやはや、ターニャさん達外交戦略に関わる!
そして関わる秋津洲皇国!
ちなみに、この世界でのチヌチヘの役割は次世代戦車への繋ぎに近く、その新型戦車…現実だとチトに当たります。
つまり、パンターを参考にしたチトが生まれる訳ですね!
幕間ネタ
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ターニャとアーデルハイトのイチャラブ
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アーデルハイトとバートリー少尉
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総統閣下シリーズ
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連隊各中隊長ズの何か