幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どうも、焼け野原主任です。

投稿遅れて申し訳ない…。

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第十八話、ノルデン戦争3

「なんだこれは、爽快極まる!」

 

弟の提案、それは航空機の編隊のように戦車を集め、それで航空機を蹴散らすと言った考えである。

全くもって爽快だ!一瞬何言ってんだ弟よと思ったが全くこうも爽快だとは!

戦車による航空要塞で敵爆撃機編隊を破壊しつくした後…、

 

ーーーー

 

私とアーデルハイトは参謀本部の北方ノルデン駐屯拠点にいる。

 

前世、ナポレオンは何十万という兵力を飢えと寒さで失った。

そして、愚かなファシストも同じ轍を踏んでようやっと近代戦において雪中戦の恐ろしさが健在であることを理解するに至った。

いかに頑健な兵であろうと、いかに優秀な戦術であろうと。装備、物資が凍て付いて仕舞えばそれまで。

 

冬における補給と兵站の致命的不足を避けなければ、勝てる戦も勝てなくなる。

 

「だからこそ、帝国軍北方司令部が画策する冬季攻勢は失敗すると言えるだろう」

 

「それで、ルーデルドルフ閣下の入念な準備や訓練に励め、と言うのは春季攻勢を睨んだ越冬準備をしろ…、と言っていると」

 

「ああ、ほぼそれで間違い無いだろう。にしたってこの時代に冬季攻勢が無理筋だとわかっているとは、中々に革新的だ」

 

「ですね」

 

と一応こんなことを言っているがぶっちゃけそれ以上に目の前で犬と戯れているアーデルハイトの姿が可愛いのなんの。

 

「姉さん、ほら」

 

「ん?どうし…わぷっ!」

 

私にアーデルハイトと犬が同時に覆いかぶさってきた。

なんか弟と犬から凄い良い匂いがする。やめろ、私の理性が飛びかねん。

 

「こら…、離れたまえ」

 

そうやって弟を離すが弟が思った以上に軽い事に気が付いた。

まて、此奴っていつも何を食べていたっけ。

私と同じご飯をいつも同じ量食べて…、傍から見たらただの仲の良い姉弟にしか見えないだろうが私にとっては問題だ。

 

「アーデルハイト…、今お前の体重は何キロだ?」

 

「うーん、20キロちょっとでしたっけ?」

 

「…身長は?」

 

「姉さんより少し低いぐらいでしたから…138ぐらいですかね?」

 

…、これはマズい、非常にマズいぞ。

私ならまだともかく弟が栄養失調なのは姉として心配すぎる。

 

「なぁアーデルハイト、この後、何か姉さんが作ってやろう。何が良い?」

 

「本当ですか!?なら僕、ハンバーグが良いです!」

 

弟がにこやかにそのかわいい顔に笑みを浮かべる。

やっぱり、ウチの弟はかわいい。そのはにかむ様な笑顔も、その優しさも、体躯も、何もかもが愛らしい。

そう思った刹那、何かに導かれるように体が動きアーデルハイトの方から首にかけて腕を回し抱きしめる。

 

「なぁ…、アーデルハイト」

 

「ね、姉さん///?」

 

少し狼狽える弟をよそに、弟の正面に顔を回し、そのオデコにコツン、と自分のデコを合わせる。

 

「アーデルハイト、ずっと、これからも一緒だぞ」

 

「…はい、姉さん」

 

そういうと、アーデルハイトは私の後に手を回してぎゅっ、と抱きしめた。

私が…、私が守らねばなるまい。たった一つの家族を失わないために。

もう、その時は弟のことで頭がいっぱいだった。後に少将閣下がい流ことすら気がつかないレベルで。

 

「あー…、デグレチャフ君。少しいいかね?」

 

「は!?少将殿」

 

え、まさか聞かれてたか!?

うう…ものすごく恥ずかしいぞ…。

 

「まぁなんだ、姉弟で仲がいいのはよろしい事だが、その前の少し頼みたいことがある」

 

あ、やっぱ聞かれてましたね。

 

「は、なんでしょうか」

 

「少しな、二人とも会議について来てもらいたい」

 

「は、わかりました」

 

「了解です」

 

さて、上司からこう言われたからには面倒事だと相場が決まっている。

春季攻勢の為、越冬を行うにはクリアしなければならない課題があるのだ、例えばそう…。

 

北方方面軍の管轄で中央参謀本部の意見をねじ込む時とか。

当然の如く噴出する不満を一身に受け、上司への心象悪化を防止する防壁役とか…。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

将校会議中…

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

さて、先ほど会議が終わって司令部の士官控室に戻っている所だがちと面倒があった。

 

会議中、どうやら北方の魔道参謀と弟はノルデン配属時に関わったがソリの合わない奴らだったようで、半分皮肉の言い合いになってしまった。

 

片や北方の魔導師は西方ラインに行ったら何もできないのではといい。

 

片や西方の魔導師は宝珠が凍りついて動けなくなるといい。

 

ぶっちゃけ弟と魔導参謀には申し訳ないがくだらなかった。

だがこれがまだ廊下でばったり出会った時ならまだいい…、まだいいが北方方面軍との会議の最中だ。北方方面軍と少し関係が拗れるのはまだいいが、その拗れが中央参謀本部との関係にまで悪影響を及ぼしては私のキャリアに関わるし、何より弟との生活に関わる。

 

一応、少将の目論見通り春季構成を推し、そのついでで私等の北方方面軍における評価を険悪にし戦果から遠ざけ後方待機とされて侵攻に参加せずに済む…と考えたがこれではそれもちょっと怪しくなるのではないか?

 

ん…?ちょっと待てよと、私は先ほどの発言を振り返る。

 

私とアーデルハイトが言ったのは冬季攻勢における兵站、戦力が不足し、よしんば侵攻が成功したとて伸び切った補給線をどう支えるかと言うことだが…。

 

ーーーーーーーー

「我々の共闘と特に貴官の奮戦が大きな戦果を出したのは事実だろう。今一度手を取り合い共闘しようではないか」

「貴官が撃破したのは敵が有する魔導コマンドの中核だ、敵の大黒柱をへし折ったも当然ではないか」

「それに、貴官等がクラグガナ集積地で行った戦車を魔導反応で浮かせるという手法、とても強力ではないか」

ーーーーーーーー

 

まさか…私の働きが航空魔導師と言う兵科…、そして航空魔道戦車道という新戦法に過大な評価を与えているのか?

そして…、兵站の問題…航空魔導師の空輸による兵站問題の解消…。ならば短期攻勢も可能…、そして補給線…。

そしてルーデルドルフ閣下の思惑…。

 

その考察に私は自然と歩みが止まる。

 

あああああクソそう言うことか中央参謀本部の目論見は最初っから北方方面軍と同じ冬季攻勢(・・・・)!!!

そしてそれを私は北方方面軍のだけの主張だと勘違いして問題提起を私はしたがそれが逆に冬季攻勢の後押しをしてしまったわけか!!!

 

だがそれであれば結果オーライだ、これは後々の働き次第だがこの作戦が成功すれば私は出世!この功績により後方勤務のポストを手に入れる!!

 

「姉さん、どうしました?」

 

「んあ?」

 

弟が心配する目でこちらを見ている。うんかわいい

 

「ああ、いや問題はない。とりあえずだ、今日はあの方々と打ち合わせだ、張り切って行こうではないか」

 

「はい!」

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

私たち姉弟が向かったの後方のキィエール軍港。

そこでは、布に包まれた重戦車ティーガーが一台と、その設計図のコピーや諸々の重小火器がかなり大きな潜水艦に乗せられていた。

なぜ我々二人が来ているかというと…、作戦の一環なので主張元である我々、また一枚噛んでいる方々が成功祈願も兼ねて来ているのだ。

 

「いやはや、双銀殿はこちらですかな?」

 

我々の元にやって来たのは少しよれたスーツに身を包み、外交官バッチを襟元に着けた職員。伊集院紀明氏だ。

因みにかなり帝国語が堪能で、元を正せば日本人の私にとって尊敬する。

 

「これはこれは、伊集院殿」

 

「お疲れ様です」

 

「いえいえ、お二方もこの様な忙しい時期にここに来ていただいてありがたい限りです」

 

「そう言われましても、要請がなければ我々も暇なものです」

 

「はっはっは!羨ましいものですな。我々なぞ来る日も来る日も親善の為に政府の方々とお話ししているのですから」

 

「尊敬いたします」

 

さて、そうは言うが実際面倒だろう。何回か上司の愚痴を聞いたことは有るのだがガチトーンで割と聞かれたらまずい罵詈雑言の数々を聞く。それだけ辛いし面倒なことだろう。ある程度受け流す事も必要だとそこで学んだ。

 

「それで…艦長は何処にいらっしゃられますか?」

 

弟がそう聞く

 

「ああ、彼であればすぐそこに寝ていらっしゃいますよ」

 

「はいはい、おはようござんすお二方。私が艦長を務める、ガリア・ルーデルと申しやす」

 

よれた海軍服にボサボサの頭、痩けた頬とジト目に下にくっきりと残った隈が際立つそして猫背、だらし無さのトリプル役満の男だ。

 

「ああ、よろしく」

 

「よろしくお願いします」

 

「こちらこそ、よろしくお願いしやす」

 

彼はだらりと垂れた腕を動かし我々と握手する。割とちゃんと風呂は入っているのか臭くはない。

 

「失礼ながら、貴官は今までどちらへ?」

 

「そうやすね〜…、さっき風呂に入ってちょいと仮眠しておりました。割と一時間前に哨戒任務から戻ってきた所ですんで、制服直す暇がありやせんでした。因みにこの頭は寝癖です」

 

「寝癖…」

 

それでも多少直せやと思った私は野暮だろうか。

そして、今さっき帰って来たばかりか、なら確かに仕方ない気もするが…。

 

「それにしても、かの双銀殿に何も言われないとは。思ったよりも優しいんでやすねぇ?」

 

「はいはいそこまで、もう直ぐ出航では?艦長殿」

 

「へいへい了解です、行ってきやす。秋津洲土産、楽しみにしててくだせぇや」

 

伊集院氏に諌められ、潜水艦の方へ向かうルーデル氏。

 

「それにしても、あの潜水艦は巨大ですな」

 

「はい、どうやら帝国の方々が安全を期すため武装を犠牲に大きなペイロードと隠匿性を持たせたそうです。音響ソナー対策に試験的に開発されたエレニウム工廠作の音響相殺機も搭載されていてかなり隠匿性に優れるとか」

 

何やってんだあのクソMAD(シューゲル)、このままでは核兵器すら作りかねんぞ。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、我々は士官控室に戻っていた。

当たり前の如く膝枕で弟の柔らかい髪を太ももで感じながら考えていた。

そういえば、私は生前から自らの立場を盤石な物にする為に戦ってきた、子供の頃から親の不安を敏感に感じ取り、外面と内面の違いを理解していた。

人は皆平等と言うがそれは建前に過ぎない。従わなければ悪い子だとレッテルを貼られ、差別される。

与えられたルールと条件下における最善策をとる。それが私の人格形成の元だったのだろう。

 

だがしかし、それが今崩れようとしている。

おそらく、弟を持ったのがその発端だろう、何よりも弟が大切だ。自分も大事だが、弟はそれ以上に大切だ。

弟が幸せに暮らせれるのなら、私はそれで構わない。

 

正直な話、私の前世の話は学ぶことはあれ後悔できない。前世もし死ななかった先で幸福があろうとそれは死んだ私にとって I F (あり得たかもしれない未来)に過ぎない。

 

なら、今の私は幸せか?ああ幸せだとも存在X、家族がいて、職があって。熟練の兵と共に上空から安全に敵を叩いて昇進するだけの簡単なお仕事。

 

確かに、前世の幸せと形は違えど幸せだ。自分の子の様に可愛がれる弟がいて何を持って幸福じゃ無いと言えるのだ?

 

「存在X」

 

ふむ____それは良かったな

 

「だが、少し疑問がある。魔導力もそうだが、なぜ私に家族を与えた?家族がいなければ、もっと孤独に、もっと惨めに余生を過ごしたでしょうに」

 

_____そうか、だが構わん、私にとって罰を与える事も、貴様に信じてもらうことが目的でも無いのだから。

 

「…それはどう言うことだ?」

 

____少し訂正だ、私にとっては信心も確かに欲しい。同じように、貴様にとって、大切な物は大切で不可侵でいたいだろう?

 

「それは弟のことか?」

 

__逆に何が有ると言うのかね?

 

「ふむ、確かにそうだ。だがさらに疑問だ、なぜ貴様はそこまで私の幸せを望む様なことを言う?」

 

____じきに解るだろう。

 

「墓穴を掘ったか?」

 

__ならば、それに意味を見出したまえ

 

「おい待て!」

 

ジリジリと、稲妻の様なものが見えた刹那。そこにいた存在Xの姿はなかった。

 

「いったい…、何がしたいのだ…?」

 

一体あの存在X(悪魔)の思っていることがわからんし、何がしたいのかわからん。神のみぞ知るとはこのことなのか?

さて、存在X…、私は貴様の思っている通りにはいかんぞ…。

 

To Be continued…。




お読みいただきありがとうございます。

さて、ターニャのブラコン気質が余計に強くなってる気がしなくもないこの頃。
そして存在Xの発言の真意とは?

次回の幕間ネタを今回からアンケートで集めようと思います。

幕間ネタ

  • ターニャとアーデルハイトのイチャラブ
  • アーデルハイトとバートリー少尉
  • 総統閣下シリーズ
  • 連隊各中隊長ズの何か
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