幼女戦記 〜ターニャの家族を添えて〜   作:焼け野原主任

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どもども、焼け野原主任です。

投稿時間が遅れてすみません。

今回、まさかの人間と歪みねぇブリカスが出ててきます。

感想

ピンコロさん

ありがとうございます!

では、どうぞ


第二十五話、第二〇三装甲混成旅団

統一歴一九二六年、三月十三日、連合王国首都ロンドン。

 

王国海軍総司令部。

 

「戦況はどうか?」

 

「は、未だに共和国と帝国がラインにて膠着状態を続けております」

 

「またか!双方共に突破の兆しは?」

 

「ありません」

 

ハァァァ〜と深いため息をついて項垂れている恰幅の宜しい禿げたおっちゃんは王国海軍総司令官のウィンストン・チャーブル。

 

「帝国も共和国も両方から音沙汰がない。つい最近までドンパチやってたのが嘘みたいに思える」

 

「全くです。ですが、逆に考えると両方とも連日の戦闘にて疲弊し切っていると見えます」

 

「全く、ほぼ最後通牒の様な物を送られた時はヒヤリとしたが、表面上だけ支援を打ち切って(・・・・・・・・・・・・・)外交上の裏ルートから兵員供与やレンドリースを行っているのにも関わらず膠着とはな」

 

「今の所、王国義勇軍部隊がダンケルクに駐留し、リールに向けて戦車師団を派遣中です」

 

例の戦車(・・・・)の輸送も十分かね?」

 

「はい、滞りなく」

 

そう、このアルビオン連合王国(前世のブリカス)、お得意の外交戦略により秋津島の裏を掻いてフランソワへの支援を続けていたのである。

まぁ、あの程度で折れるブリカスじゃ無いもんね!

 

「さて、私達はこれにより秋津島皇国も仮想敵国として考えなければならなくなった…が、その問題は解決された」

 

「と言いますと?」

 

「合州国が戦時国債の購入に賛同してくれた。前まで秋津洲が購入していた分を合州国が負担することでこれからの継戦にも影響は少ない」

 

執務机に置かれた紅茶の入ったティーカップを口まで運び、音もなく優雅に飲むチャーブル。

ここまではまだ良かったのかも知れないが…。

ズダダダと何かが走ってくる音が聞こえ、バタンと扉が開かれる。

 

「報告です!帝国軍が…、帝国軍が右翼を突破しました!!」

 

「!?」

 

驚きの余り、ゴフッと先ほどまで優雅に飲んでいた紅茶を下品に吹き出す。

 

「何だと!?」

 

「突破によりリールに駐留していた我軍は帝国軍に包囲され、ダンケルクは戦艦により海上封鎖をされています!」

 

「馬鹿…な…」

 

悪い報告はそればかりではなかった。

 

「それと…秋津洲皇国が我が国と共和国に対し…宣戦布告しました」

 

ーーーーーーーーーーー

 

時は遡り『衝撃と恐怖』作戦開始四ヶ月前の統一歴一九二五年十二月十四日

 

帝国軍参謀本部「第二〇三混成装甲旅団編成室」

 

どうも、帝国軍魔導中佐…、いや大佐になりましたターニャ・フォン・デグレチャフと、同じく昇進して少佐から中佐になりました弟のアーデルハイト・フォン・デグレチャフです。

 

今、私の目の前には旅団編成内訳の紙があります。

 

司令官ターニャ・フォン・デグレチャフ魔導大佐、司令副官アーデルハイト・フォン・デグレチャフ魔導中佐。

 

第二〇三混成装甲旅団司令部

L旅団所属第一自動車化装甲連隊、車両総定数一〇〇両

 L第一装甲大隊

 L第二装甲大隊

 L第三装甲大隊

L旅団所属第二自動車化装甲連隊、車両総定数一〇〇両

 L第一装甲大隊

 L第二装甲大隊

 L第三装甲大隊

L第一〇七自動車化擲弾兵連隊

L第二〇三混成航空魔導装甲連隊

L第四〇〇自動車化砲兵大隊

L第三〇五自動車化工兵連隊

L第〇三〇装甲偵察中隊

 

と…、まぁちゃんと旅団の編成はしっかりしているのです。

もう既に招集の準備は整っていたようで、明日の内に旅団の構成員が到着するとの事です。

 

そして、この司令官という役職、もう嫌な予感しかしない。

 

「姉さん…」

 

心配そうな顔でこちらを見るアーデルハイト、そんな顔をするな。抱きしめたくなっちゃうじゃあないか。

 

「ここでうだうだしてても仕方ないだろう、さて、行くぞ、ゼートゥーア閣下に呼ばれている」

 

目の前の弟を抱きしめたい感情を抑え、弟の手を引き閣下のいる作戦会議室に向かう。

 

少し経って作戦会議室前のドアに到着したところで、我々の目の前で異様に怒気を孕んだオーラを出している山口閣下が出てきた。

…一体何があったのだろうか?

 

「ターニャ・フォン・デグレチャフ魔導大佐、アーデルハイト・フォン・デグレチャフ魔導中佐、到着しました」

 

「入れ」

 

「失礼します」

 

ガチャリと戸を開け、私は先ほどの疑問を胸を入室する。

 

そこにはこの前の作戦事務室にいた私にとって見た事のある面々だけで無く、肩の階級章を見るに少将以上の面々もいた。

 

「さて、本題だ、貴官にはこの旅団を率いてこの作戦に従事してもらう」

 

マンシュタインによく似た(ご本人である)将校からそう指令が下る。

 

「了解であります、所属はどうなるのでしょうか?」

 

「第一装甲軍団の指揮下に入る、司令官は南方より派遣されたエルヴィン・ロンm…失礼、ロメール少将だ」

 

ふーむ、ロメールとロンメルを言い間違えるか…、だとするとコイツも転生者か?

この世界でナチズムなど蔓延されたらたまったものではないぞ。

 

「これより貴官らはライン戦線に向かってもらい、作戦準備に取り掛かってもらう。喜べ大佐、最先鋒だ」

 

「は!失礼致します」

 

カツカツと音をたてて退出し、扉をパタン、と閉める。

 

また最前線か、クソッタレ。

 

[side:マンシュタイン]

 

…ふむ、イルシェンハウゼンで急に気を失ったかと思えば、またドイツで目を覚ますとはな。

そして、この世界では魔導師とかいう不可解な物が実用化され、戦争に使われている。

 

それだけでは無い、思えばあのフランスで共に戦ったグデーリアンもこの世界にいるという。

だが、ロンメルだけはどうやらこの世界に呼ばれなかったようだ。とりあえず、黄作戦の立案と提案を行って今は実行段階だが…、

 

その中核になりうるのがこの目の前にいる姉弟とはな。

 

聞けば、姉はダキア戦で世界初の戦略爆撃を成し遂げ、弟は同じくダキア戦で電撃戦ドクトリンを使いダキア軍を殲滅したと言う。

最初は何者なんだこのガキはと思ったが、確かにあの落ち着き様、双銀と名の付くだけあるな。

 

さて、そうは思ったがあの姉弟、少し面白い事になりそうだ。失礼してみよう。

 

「ゼートゥーア少将、少し退出してもよろしいか?」

 

「何用だ?」

 

「何、少しばかり双銀に話をしに」

 

「わかった、行ってこい」

 

danke(ありがとう)

 

そう言って私は席を立ち上がり、姉弟の行った方向へ向かう。

 

少し参謀本部の中を歩いていると、先ほど見かけた姉弟の姿が見える。

 

「デグレチャフ君、少しいいかね?」

 

「は、何でしょうか…えっと」

 

「エーリッヒ・フォン・マンシュタイン少将だ、デグレチャフ姉弟」

 

「は、何でしょうかマンシュタイン少将殿」

 

「何、少し君らの意見を聞きたくてね、ここではなんだ、少し私の部屋に来てくれ」

 

「は」

 

[side:デグレチャフ]

 

やはりフランス侵攻の立役者のマンシュタインだったか、一体何の用だろうか?

彼に着いて行くと、そこはマンシュタイン少将の事務室だった。

弟と共について来たが…一体なんだというのだろうか。

 

「さて、この作戦に当たり、貴官の役割は聞いているな?」

 

「は、第二〇三旅団は第一装甲軍団の先鋒となり、敵陣突破を主とすると」

 

「ああ、そうだ。その中である計画が浮上している」

 

「都市の戦略爆撃でしょうか?」

 

「うん?知っているのか?」

 

そりゃそうだ、私自ら兵器開発課とエレニウム工廠に出向いて提案して来たのだから。

B-29レベルでは無いにしろ、大型の高高度を飛行する戦略爆撃機が必要だと進言した所、シューゲル(M A D)は狂喜乱舞し、兵器開発課の連中はMADの暴れっぷりを見てまたか…と言う顔をしていた。

 

「はい、私自ら進言しましたので」

 

「ふむ、実に革新的な事を考える。優秀だな」

 

「身に余るお言葉です」

 

「さて、その事でな、最初は魔導大隊から選抜した魔導中隊をV1ロケットで長距離輸送、そのまま司令部を破壊する…と言う作戦だったのだが」

 

「流石にコストがかかる、ならもう先ほどの戦略爆撃機で司令部を破壊した方が安上がりと言うことでな」

 

うん、まさに電撃戦の方法そのままだな。

それもそうか、マンシュタインだもんな、こうなるか。

 

「最初、選抜中隊はV1作戦終了後にダンケルクに向かう装甲旅団との合流を予定していた、が、これをどう思う?」

 

これは…。

 

なんて事だ?

まさにマンシュタインプランそのものだが、何かが違う、これはおかしい。

 

北部から侵攻し、ダンケルクを突破してから第一装甲軍の大多数は南下し敵戦線包囲へ向かうが、二〇三旅団だけそのままカレーを侵攻、軍港の占領を行う。

 

訳がわからん、ダンケルク包囲+カレー占領でもする腹積りか?

 

…いや、まさにダンケルク包囲をするつもりなのだろう、前世でドイツ軍は総統閣下(美大落ち)に邪魔され逃げるイギリス軍を逃した。

そして、追加でカレーを占領することで海岸線からの撤退を阻止する。

 

なるほど、これは恐らく転生者であるマンシュタインにとってある種雪辱を晴らす機会なのだ。

前世で逃したイギリス軍を完全に、完膚なきまでに殲滅することを考えた復讐なのだ。

 

なら、考えることは一つ

 

「であればこの様に、ダンケルクやカレーを封鎖するように艦隊や潜水艦を配置したしましょう」

 

彼の手伝いをするのみだ、確かに私は平和主義者だ、だが殴りかかられているのなら十分に応戦する。

 

それに、ただの善意ではない、これでマンシュタイン殿に接触し優秀な参謀だと分かってくれれば後方勤務のポストを手に入れることができる。

その時は、弟と一緒に…な?

 

「ほう、そう思うかね」

 

「はい、もし、ダンケルクにいた連合王国の生き残りが海から撤退されては元も子もありません」

 

「なるほど…、ちなみに、なぜ連合王国と思っていたのかね?」

 

「それは…(マズイ、嵌められた!?)」

 

これはどう擁護したらいいんだ?いや待て、私は連合王国に対してある程度の知識を持っている。

 

「それは姉さんの予想です、フランソワ相手に帝国がここまで拮抗するとはそこまで思えない、なら、どこか手を加えている国があるのではと考えているのです」

 

「(ナイス弟!)」

 

「(いえいえ、これくらい)」

 

「ふむ、よく分かっているじゃないか」

 

「ありがとうございます」

 

そうマンシュタイン閣下と話していると、不意に後の扉からコンコン、とノックの音がした。

 

「山口多聞だ、エーリッヒ・フォン・マンシュタイン少将はいるか?」

 

わりかし流暢なドイツ語でそう聞こえた、声はまさしく山口閣下であった。

 

「ああ、どうぞ」

 

「失礼…、おや、君らもいたのかね?」

 

ガチャリとドアを開け、山口多聞が入ってくる。

 

「どうされたので?ヤマグチ閣下」

 

「ああ、先ほど話していた計画だがな」

 

「秋津洲皇国も手伝おうじゃないか」

 

 

…は?

 

 

To Be continued…。

 




お読みいたただきありがとうございます。

さて、歪みねぇブリカスを叩きのめすために計画を練るマンシュタイン閣下。

もうパンターもあるしティーガーもあるし長砲身四号もあるしでフランソワ勝ち目ねぇなこれ。

ティーガーを早々に出したけど色々当時のフランス戦車相手じゃオーバースペック過ぎて笑えん。
ではではまた次回…。

秋津洲皇国の魔導師エース

  • 居る
  • いらない
  • いっぱいいる
  • ドーモ、ソウギン=サン、ニンジャデス
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